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駄菓子屋さんやカフェの運営、お祭りづくりに、YouTube配信…これらすべてに取り組んでいるのが、千葉市で福祉事業を展開している株式会社ベストサポートです。
ベストサポートは、障害のある子どもたちを対象とする「放課後等デイサービス」や、成人向けの「生活介護事業施設」など、全部で5つの障害者支援施設を運営しています。

一見「福祉」と関係のなさそうなことにもどんどん取り組んでいくのが、ベストサポートの特徴です。
今回は、障害者支援施設で働く支援職員を募集します。福祉系の資格があればそれを活かすこともできるし、未経験で資格がないという人も大丈夫です。
楽しむ気持ちを大切に、地域活動をはじめさまざまなことに挑戦しているみなさんに、お話を聞いてきました。
千葉駅から5分ほど電車に乗りJR都賀駅へ。そこからさらに車を10分走らせ、取材先の施設へと向かう。
たどり着いた場所には「Café ITSUMO」と書かれた看板が立てかけられ、隣のスペースには駄菓子がずらりと並んでいる。

施設内のカフェスペースへ移動し、お話を聞くことに。

障害者支援施設に、カフェと駄菓子屋とアスレチック…?
一体どういうつながりがあるんだろう。不思議に思いつつ、まずは会社のことについて教えてもらう。
「僕はもともと、障害者支援に10年以上携わってきて、2011年にベストサポートを設立しました。放課後等デイサービスを中心に、短期入所や訪問介護、相談支援など、4つの事業を展開しています」
放課後等デイサービスは、主に知的障害のある子どもたちが、放課後や長期休みに利用できる福祉サービス。運営会社によってさまざまな特徴があり、遊びや運動、療育に力を入れている施設も多い。
「ベストサポートでは、行動の制限を決めず、年相応の当たり前の生活や体験を大切にしています。たとえば、高校生になったらアルバイトを始める子が多いですよね。だったら、その機会をつくろうと」
支援職員のサポートのもと、高校生の利用者が、地域で草刈りやポスティングのアルバイトをする。働いたぶんのお給料をもらい、自分の好きなものを買う。
そんな仕組みをつくっている。

「こだわりが強くて、決まったものだけをずっと食べていた子が、海の家で初めて焼きそばやラーメンを食べてくれたこともありました」
その子は、海の家での経験を通じて、食事のバリエーションが少しずつ増えていったそう。
海で遊ぶ楽しさが、「ちょっと食べてみようかな」という気持ちを芽生えさせたのかもしれない。

「急に走りだしてしまう子、発作の症状をもつ子もいます。実際に、海でてんかん発作がでて溺れてしまい、ドクターヘリで緊急搬送されたこともありました。そのときのことは今でも忘れられないし、自分たちの活動はそれだけ責任と危険が伴っていると感じています」
万が一に備えて、事前に下見に行くなど、準備は万全におこなう。
何分の電車に乗るのか、トイレ休憩はどこでとるのか。どの職員がどの子どもをサポートするのか。障害の特性も踏まえながら、外出のたびに計画書をつくっているそう。
「夏休みは、計画書をほぼ毎日書いています。労力もかかりますが、いろいろな経験を通じて、子どもたちの人生の選択肢を増やしていくことを、これからも大切にしていきたい」

地域のお店や団体が屋台をだし、近隣の小学生や社会人サークルによるステージプログラムも。
祭りづくりは、施設内外の人が自然と関わり合うきっかけになっているそう。

積極的に地域活動に取り組むのは、ベストサポートについて知ってもらいたいという想いもあってのことだという。
「少しずつ、僕たちの福祉サービスに協力してくれるかたも増えてきました。施設利用者さんと町を歩いていると、声をかけてくれる人がたくさんいる。町のみなさんとの関係性は、ほかの施設の人にもすごく驚かれますね」
一般的には、福祉施設と町の関わり合いを広げていくことは難しい。これほどオープンな関係性を、立場を問わず地域のさまざまな人たちと築けているのは、たしかに珍しいことなのかもしれない。
事業所にカフェや駄菓子屋を併設しているのも、地域の人と気軽につながる場所をつくるため。
特に駄菓子屋は、施設利用者が働く場にもなっていて、障害のある人と子どもたちとの関わりもそこから生まれているそう。
「障害のある・ないに関わらず、住んでいる人同士が気軽につながり支え合えたら、もっと暮らしやすい町になると感じています。地域の人の居場所をつくるプロジェクトも、町の人たちと一緒にはじめているんですよ」
「あとは、町や僕たちの活動を紹介するYouTube動画も配信していて。面白いと思ったことはどんどんやっていきたいし、従来の福祉のイメージを変えていきたい。日々の仕事でも『わくわく感や楽しむ気持ちを大事にしてほしい』と職員にも伝えていますね」
支援現場の職員は、どんなふうに働いているんだろう。入社8年目の小野さんに話を聞いてみる。

「地域の農家さんからの依頼で、肥料用に牡蠣の殻を粉々にしたり、地元のおばあちゃんのお宅で草刈りをお手伝いしたり。地域の御用聞きとして、さまざまな活動をしていますね」

「ここの施設では、障害の程度区分が重いかたを受け入れることが多いです。二階からジャンプしてしまう人や、突然床に頭をぶつけて、地球と喧嘩しはじめる人もいます(笑)」
地球と喧嘩…! 実際に遭遇したら、ちょっとびっくりしてしまいそうです。
「はじめは驚かれるかもしれないですね。ただ、そういう利用者さんの行動にも、一つひとつ理由があって」
小野さんが仕事を始めたばかりのころ、施設から急に出ていってしまう利用者さんがいた。
危ないので、はじめは出て行こうとするたびに止めていたものの、見守りながらついていくようにしたところ、突発的な行動は減っていったという。
「周りが反応してくれるから、その行動をとり続けていたんですよね。そのかたが欲していたのは反応だったんです。ゆったりと寄り添ううちに、だんだんと穏やかに過ごす時間が増えていって」
「安全のために行動を抑え込むのではなく、なぜそういう行動をするのか、知ろうとすること。それが僕の仕事なんだって、そのときに気がつきました」
不快感や不安感を覚えても、それを伝えるのが苦手な利用者さんもいる。「もしかして、この音が気になるのかも」というように、さまざまなパターンを想定し、行動の原因を探っていくうちに、その人のこだわりや特性が少しずつ見えてくるそう。
個性を尊重したいし、なるべく自立した形で社会生活を送ってほしい。障害がそれを隔てる壁になっているとき、支援ができるのはまず寄り添うことなのかもしれない。
「自分にも他人にも暴力をふるってしまって、どこかつらそうだった人が、ここでは穏やかな表情でのんびり過ごしてくれている。そういう変化に出会えると、やっぱりうれしいですし、やりがいを感じますね」

「支援に見返りを求めすぎてしまうと、結果が出ていないような気がして、つらくなってしまうんじゃないかな。楽しむ余裕を持つことも必要かもしれません」
「ただ『利用者やその家族の力になりたい』という想いは強いです。障害のあるかたも、そのご家族にも、やっぱり大変な部分はすごくあって。涙ながらに相談を受けたりすることもあるので、できる限りニーズに応えたいなって思いますね」
さまざまな経験と出会いを経て、仕事に対する想いは強くなっていく。はじめから焦る必要はないけれど、「力になりたい」という想いに共感できる人のほうが、やりがいを感じながら楽しく働ける気がする。
最後にお話を聞いたのは、入社1年目の金親(かねおや)さん。事業全体の事務を担当しているので、新しく入る人も関わる機会が多いと思う。

最初に支援に入ったときは、どうでしたか?
「学校で勉強はしていたものの、実際にどうやって接したらいいのかは全然わからなくて。不安はありましたね」
「施設では毎日ミーティングをおこなっているので、そのときに利用者さんの特性やこだわりを教えてもらえました。ほかの職員も近くにいるので、経験がない人も安心だと思います」
専門的な知識については、Eラーニングで学ぶこともできる。さらに、月に一度は外部から講師をよび、全員参加で研修もおこなっているそう。

「職場では、先輩スタッフの利用者さんに対する想いが伝わってくる場面も多いです。支援って、知識ももちろんだけど、利用者さんのことを知ろうとする気持ちが一番大事なんじゃないかなって、ここで働いていると感じますね」
ときには思い出し笑いをしながら、施設利用者さんとのエピソードを、楽しそうに話してくれる様子が印象的でした。
福祉って大変なイメージがあるし、実際体力的にも精神的にも、つらいことはあると思う。けれど、人と真剣に向き合い、日々ともに変わっていける喜びは、ほかではなかなか味わえないものかもしれません。
ベストサポートの皆さんとなら、きっと福祉の楽しさを見つけられると思います。
(2020/07/21 取材 鈴木花菜)
※撮影時にはマスクを外していただいております。