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大社の門前から
出雲の歴史文化を伝える

※この仕事は募集終了いたしました。ご応募どうもありがとうございました。

新しい土地、新しい環境に飛び込むのは、どうしたって緊張する。

まず大切なのは、自分自身がその場所での体験を楽しむこと。どんな仕事であれ、力を発揮できる土壌づくりは、そこから始まるのだと思います。

島根県出雲市。

出雲大社で有名なこの地に、2021年10月、新しい宿がオープンします。

名前は「NIPPONIA 出雲 大社 門前町」。

もともと診療所だった建物を活用し、フレンチレストランを併設した宿をつくるプロジェクトです。

今回は、ホテルとレストランのホールを兼任するスタッフ、そしてレストランシェフを募集します。



島根県出雲市へは、東京から飛行機で約1時間半。

出雲縁結び空港から車を20分ほど走らせて、「NIPPONIA 出雲平田 木綿街道」へ。平田町という、老舗の醤油蔵や酒蔵が並ぶ街道沿いにある宿だ。

もともとは、およそ270年前に創業した旧石橋酒造の建物。酒蔵の雰囲気を残しつつ改修し、2019年の12月に宿としてオープンした。

最初に話を聞いたのは、この宿の運営会社である株式会社サウンドプラン代表の迫中(さこなか)さん。「お久しぶりですね」と迎えてくれた。

迫中さんにお会いするのは、今回で二度目。前回は12月のオープン直前のタイミングだった。

「オープンしてすぐコロナのことがあって。ホテルとしては大変な時期でしたが、スタッフのがんばりでなんとか踏ん張ってこれました。これから盛り返していきたいところです」

サウンドプランは大阪に拠点を置く不動産会社。不動産を活用した地域活性をビジョンに掲げ、商業施設の管理運営事業などに携わってきた。

昨年からは、古民家を活用した宿泊事業にも進出。地域の人の協力もあり、平田町にあった元造り酒屋の建物は、宿として生まれ変わった。

2020年の7月には、平田から車で30分ほど離れた鷺浦(さぎうら)という海沿いの町に「NIPPONIA 出雲鷺浦 漁師町」をオープン。

そして今年の10月には、今回の舞台となる「NIPPONIA 出雲 大社 門前町」も開業予定だ。

「出雲で3つの宿をつくることは、最初から計画していたんです。今度できる宿は、本当に出雲大社のお膝元にあって。すごくいい場所ですよ」

宿になる予定の建物は、もともと診療所だったそう。

院長ご家族が暮らしていた母屋と離れは、6部屋の客室に。診察室があった診療所部分は、20席ほどのレストランになる予定。現在は改修工事が進められている。

宿のコンセプトは、出雲大社の歴史や文化。

出雲大社まで歩いて5分と、アクセスが良い。体験コンテンツを通じて、出雲地域や大社の文化が感じられるような場所にしたいそう。

たとえば平田の宿では、醸造の歴史をもとに、近隣の醤油蔵や酒蔵と一緒に、蔵見学や料理体験などを協働してきた。新しい宿では、どんな体験を考えているのでしょう。

「出雲大社はもちろん、宿周辺の門前町にもいろんな歴史文化があります。まだどんな体験として提供できるかは形になっていないんですが、やり方次第で地域を巻き込んだ面白いことができると思うんです」

門前町以外にも、国譲り神話や国引き神話の舞台となった稲佐の浜、杵築八景など。出雲大社の周辺だけでも、出雲神話にまつわる場所がたくさんある。

そういった神話をお客さんに伝えながら、まち歩きやサイクリングをすることも検討中とのこと。遠い世界のように感じる神話が、目の前にあるものとつながるような体験ができたら、すごく面白そうだ。

「ほかでやっていることをなぞっても意味がないので、地域に入りながら面白い体験をつくれたらいいなと思ってます。新しく来てくれた人にもアイデアを出してもらえたらうれしいですね」

ホテルスタッフは、オープン準備の段階から携わることになる。2カ所のオープンを経験したスタッフがいるので、まずはその人たちに教わりながら地域に馴染んでいってほしい、と迫中さん。

「7月にオープンした鷺浦では、地元に住んでいる83歳のおばあちゃんが朝食を出してくれるんですよ。お客さんも地域の人と話せるし、地域の人にとっても働き場のひとつになっていて」

「僕らだけ潤ったらいいっていう話じゃないんです。NIPPONIAから新しい価値を生み出すことで、地域全体の活性化につなげていきたい。それをやりがいに感じてくれる人だったらいいですね」



地域に根ざし、ともに成長していく。

新しくオープンする宿でも、まずは地域のことを知り、地元の人たちと良い関係性をつくっていくことが欠かせない。

つづいて、先輩スタッフとして活躍するふたりを紹介してもらった。

左から、神野(じんの)さんと前田さん。ふたりとも日本仕事百貨の記事を見て応募したそう。

まずは前田さんに話を聞いてみる。

「大学のときは建築を勉強していました。大阪で就職したあと、地元の福井に戻って設計事務所で働いて。去年退職したときに、偶然募集を見つけたんです」

「古民家には前から興味があって。NIPPONIAは、建物を保存しているだけじゃなく、ちゃんと使っているのが面白いなと。それで応募して、2020年の4月から出雲に来ました」

前田さんは現在、出雲鷺浦 漁師町の担当をしている。

「いろんなお客さんが来られるんですけど、この人はどういうものに興味があるんだろうって、察するのが楽しくて」

察する。

「どんな話をしたときに興味を持ってくれるか、観察するっていうんですかね。鷺浦はフロント棟と客室棟が離れているので、町を歩いて案内しながら話ができるんですよ」

「地域の歴史の話に興味持ってくれたなとか、食の話のときに興味を持ってくれたなとか。逆にこの人はどれも興味なさそうやったな、とかね(笑)」

鷺浦は、大阪から北海道へ向かう北前船が“風待ちの港”として利用していた場所。石州瓦の鮮やかな屋根が並ぶ風景には、かつての往来の名残が感じられる。

前田さん自身がまちに興味を持って楽しんでいるからこそ、いろんな引き出しを開きながらお客さんと関われているのだろうな。



「私も、前職で勉強したことを生かしながらお客さんと話してます。まだまだ勉強中なんですけどね」

そう言いながら話に加わってくれたのが、となりで聞いていた神野さん。

神野さんもIターンで出雲にやってきた方。以前は伊勢神宮近くの案内所で働いていたそう。

「伊勢から来たんですって話すと、神様のお導きやねって、いろんな人に言われるんです…(笑)。なにかご縁があるのかもしれないですね」

旧暦の10月は、一般に神無月と呼ばれる。全国にいる神様が出雲に集まり、翌年についての会議をすると言われているためだ。

一方の出雲では神在月と言われ、全国の神々を迎えるさまざまな神事が出雲大社で行われるそう。出雲大社への参拝客も、10月から11月にかけてとくに多くなるという。

「その時期に来られるお客さんは、とくに出雲大社のことに詳しくて。歴史や地域のことを、逆に教えていただくこともあるんです」

「自分でも勉強していますが、素直に教わることも大切で。そうやって吸収したことを、次に来るお客さんに返していければと思ってます」

ホテルスタッフの一日の流れは、朝食の準備から。早番は朝の6時に出勤して、朝食を提供する。

チェックアウトの対応や、地元のパートさんと客室の清掃を済ませたら、チェックイン対応をしつつ遅番に交代するというのが、一連の流れ。遅番は、チェックインから夕食の提供までを担当することになる。

スタッフのほとんどは、もともと宿泊業未経験だったそう。オペレーションも試行錯誤でつくり上げてきた。

今回募集する人も、経験者であればそれを活かしてほしいとのこと。意見を出し合って、日々改善していくことが求められる。

おふたりは、どんな人に来てもらいたいですか?

「正解がきっちり決まってるわけではないので、自分たちでつくっていくことを面白がれる人が来てくれたらいいと思うんです。普段の仕事もそうだし、神話とか歴史とか、そういったことも楽しめる人だったら、働いていて面白いと思いますよ」

前田さんはどうでしょう。

「うーん…ひとりで旅行できる人、ですかね。知らない土地に行っても、まず自分が楽しんで、馴染めるポイントを見つけられるっていうか」

「スタッフだけじゃなく、NIPPONIAという宿自体も、まずは地域のなかで居場所を見つける必要があると思うんです。新しい体験をつくったり、人と人をつないだり。それがゆくゆくは地域の元気につながっていくのかなと思います」



出雲大社の宿には、フレンチレストランが併設される。基本はディナーコースで、ランチ営業も検討中とのこと。

レストランについて教えてくれたのは、東京・麻布十番にあるフレンチレストラン「エルブランシュ」の小川さん。今回の宿では料理の監修や指導で関わることになっている。

「料理は1万円くらいのフレンチのコースを予定してます。出雲の食材を使った、地域の良さが伝わるようなメニューにしていきたいですね」

出雲地域は食材も豊富。たとえば、繊維がやわらかく爽やかな香りの出西生姜(しゅっさいしょうが)や、宍道湖(しんじこ)のしじみは全国でも有名だ。

島根県内まで視野を広げると、日本海でとれる魚介類や島根牛、県内産のぶどうを使ったワインなど、本当に幅広い食材がとれる。

小川さん自身、地元の福井でもフレンチレストランを経営しているそう。地方でお店を持つ良さと大変さ、どちらも身をもって感じている。

「生産者と直接話せるっていうのは、地方で料理人をする一番のメリットだと思います。料理人としての幅が広がる、すごく大きい経験ですよ」

野菜の育て方を聞いたり、実のなり方を実際に見たり。生産者と近い環境に身を置くことで、アイデアやセンスが育ち、それが料理に反映される。料理人にとっては、この上ない環境だという。

今回募集するシェフは、最初に小川さんの東京のお店で研修を受けたのち、出雲大社 門前町で働くことになる。

宿がオープンしてからも、小川さんは遠隔から関わってくれるそうだ。

「フレンチを経験している人が理想ですが、和食とか、それ以外のジャンルでもいいと思っていて。テクニックはいくらでも教えられるので、学ぼうとする心構えが大事だと思いますね」



出雲にまつわる神話や、豊かな食。

きっかけはどんなことでもいいのだと思います。好奇心を持って地域に飛び込める人にとっては、とてもおもしろい宿になっていくと思いました。

(2020/10/29 取材、2021/7/7 再募集 稲本琢仙)
※撮影時にはマスクを外していただいております。

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