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完成直前まで
計画を変え続けるから
空間はおもしろくなる

自分で料理をするときは、カレーのつもりで揃えた材料で肉じゃがをつくっても、大した問題ではない。

一方、人につくってもらうときは、途中で「あ、やっぱり…」と変更をお願いするのは気が引ける。

今回紹介する建築チーム「ビルダリッジ」には、そんな遠慮や躊躇はなく、そのとき本当にいいと思うことを形にする。なんでも、住宅などの施工管理を主に担う会社でありながら、いつも自分たちで図面に手を加え、どんどん計画を変更してしまうらしい。

設計士ではなく、施工セクションの担当者がディレクターとなって、建築のあり方を現場で変えていく。だからこそ、いつも柔軟であり続けられる。業界の経験がある人ほど、驚く構図かもしれません。

そこで今回は、未経験の人にも広く門戸を開いてスタッフを募集します。

ベテランのディレクターに1から教わりながら、現場の仕事を覚えていく。自分たちでデザインや空間コーディネートもしていくので、「施工管理」と聞いて想像できる仕事の範囲よりは、かなり広いものだと思います。

常識に縛られず、挑戦してみたいという意欲のある人を探しています。



恵比寿駅を出て歩くこと5分ほど。マンションタイプのビルの9階に、ビルダリッジのオフィスはある。

玄関でスリッパに履き替え部屋のなかに入ると、2つのデスクの島を囲んで10人ほどの人たちが働いていた。仕事の相談や確認なのか、いろんなところから話し声が和やかなトーンで聞こえてくる。

「うちは現場より事務所で仕事をする時間のほうが長いです。現場に行くのは週に2回くらいに絞って、そのかわりオフィスでいろんなアイデアを練る。業界の経験が浅いメンバーも多いので、ちょっとしたことを質問したり、人から何か学んだりできる距離感を大事にしたくて」

そう話すのは代表の越川さん。

もともとマーケティングや経営コンサルの業界にいた越川さん。2015年に、友人と一緒にPlan Cという不動産デベロッパーを立ち上げ、デザイン性に富んだ住宅などをリリースしてきた。

そのグループ会社であるビルダリッジは、施工管理の専門チーム。もともと外部に委託していた工事の施工管理を自分たちで行うことで、企画から竣工まで、より柔軟な発想を生かしやすくなった。

越川さんは、そのスタイルのことを「銀座のお寿司屋さんのようなもの」という。一体どういうことだろう。

「高級なお寿司屋さんには決まったメニューがなくて、『3万円のおまかせコースで』って頼んだら、3万円以上の体験ができるように、職人さんが中身を考えてくれる。それで、3万円以上の体験価値を感じれば、お客さんがまた来てくれる」

「僕たちも、図面どおりには施工しません。払ってもらう金額以上の建物になるように、途中で内容をどんどん変えていくんです」

図面を引いてから建物が完成するまで、およそ1年半。その間に世の中のニーズが変わったり、空間をつくっていく途中で新しいイメージがわいてきたり。

「さすがに建物の構造やフォルムは変えませんが、棚のデザインや位置、壁紙や床材、ディテールの表情が変わることで、空間の雰囲気は大きく変わります」

「普通は、図面にないアイデアを加えると追加費用がかかるし、『まあいいか』ってなりがちなんですが、僕らは施工管理会社であるビルダリッジをリーダーとしてプロジェクトを進めていくので、そういう心配がない。現場目線で思いついたことをどんどん実行できるんです」

施工管理というと、設計者の指示通りに職人の仕事を調整する役割を思い浮かべるけれど、ここでは自ら主体的にデザインの提案をしていくのが仕事。

だからスタッフのことも「現場監督」ではなく、工事ディレクターと呼んでいる。

「途中で計画を変えるって面倒くさいことだけど、僕はそのときに一番いいと思うことをやりたい。僕自身もともと建築畑の人間じゃないし、常識を知らない。だからできている部分もあると思う。会社としてもまだ若くて未熟だからこそ、『建築はこういうものだ』っていう発想に縛られずにいたいんです」

経験豊富で即戦力として活躍できる人よりも、思いに共感し合える仲間を求めて。

2年ほど前からは、業界未経験のスタッフを積極的に採用しはじめた。



彼らを育てているのが、部長の石井さん。実はこの会社、越川さんが石井さんに“惚れ込んで”生まれたらしい。

「そんな!大げさな。私はもともと友人の会社で建築の仕事をしていて、越川さんは、そのときのお客さんだったんですよ。それでたぶん『こいつに頼んどきゃ、建物できるだろう』って思ったとか、それくらいじゃないですか(笑)」

もうすぐ50歳を迎えるという石井さん。業界経験25年というベテランで、新卒のメンバーとは親子ほどの年の差があるものの、みんなからは「あきちゃん」と呼ばれている。

社員旅行で沖縄に行ったり、グランピングに行ったり、一緒に遊びに出かけることも多い。

お昼どきには、オフィスにある5合だきの炊飯器から湯気が上がり、「同じ釜の飯」を食べる。

「フリーライス制度っていってね。毎日、手の空いている人が炊くんですよ。今日は僕が炊きました」

終始リラックスしたトーンで話をしてくれる石井さん。会ったばかりなのに、不思議と親しみを感じてしまう。

「20代のころは何をしていいかわからずフラフラしていて。仕出し弁当の配達で工事現場に行ったとき、現場監督の仕事を見て、『あ、あれいいな』と。きっかけはそんなもんですよ」

まずは小さな工務店で建築の仕事をスタート。次第に、現場監督の仕事だけでなく、設計士さんとの打ち合わせや営業も自分でやり、現場をまとめることもできるようになった。

現場でのリアルな感触をもとに図面を変えるというビルダリッジのやり方は、もともと石井さんが大切にしてきたスタンスだった。

今、現場のプレイヤーとしてではなく、若手を育てる立場になってみてどうですか。

「正直、最初はすごく嫌だった。自分でやったほうが楽だしね。だけどまあ彼らが成長するとうれしいし、一緒にやると自分も勉強になる。自分はもう先が見えてるけど、彼らはまだこの先いろんな可能性があるわけで。日々、新鮮な気持ちですよ」

石井さんは現在、個別の案件の担当ではなく、それぞれの案件を俯瞰的にサポートする立場で仕事に関わっている。資材の発注や下準備など、大事な部分は自ら手綱を取りながら、若手のメンバーが現場の職人さんとやりとりをして進めていく。

工期や予算も、自社グループの企画なのでバッファを設けやすい。失敗してもカバーできることが多いので、これから入ってくる人にも積極的にチャレンジしてほしいという。

「内装の意匠を考えるのも若手の仕事ですから。最初は一つひとつ見積もりを取らせて、ってやってたんだけど、あんまりうまくいかなくて。最近は『一部屋10万円預けるから、内装をグレードアップしてみて』っていう指示の出し方に変えたんです」

「そしたら、なかなかセンスのいいのを出してくるんだよね。一部屋10万ってそれなりの額だから、壁紙を変えただけではお釣りがくる。いろいろ出来ますよ」

それはたしかに楽しそう!

とはいえ、やっぱり役割としては職人さんとのコミュニケーションとか、細やかな配慮が必要な部分もあるんじゃないですか。

「まあ、現場ならではの大変さはあります。いろんなトラブルがあるし、最初は職人さんからも『この若造が』みたいな感じで見られるしね (笑)。だけど、誰でも簡単にやれる仕事じゃないから、努力する価値があるんじゃないですか」

「それにこの環境にいれば、普通の監督業では経験できないような設計やデザインの領域にも関われる。建築をトータルで理解して提案できるようになれば、業界の中でもきっと強いですよ。若くて経験がなくても、自分でチャンスをつかんで人生を変えたいと思うなら、ぜひ来てほしいです」



2年前からここで働いている國島さんは、まさにそうやって1から現場のことを学んできた。

もともと大手の建築会社で設計を担当していたので、まったくの未経験ではないものの、日々の仕事の仕方には違いが多いという。

「当時は設計担当といっても、マニュアル通りに案件をこなしているような感じでした。仕事に慣れるにつれて、このやり方だけ覚えても会社の外では通用しないんじゃないかっていう焦りも出てきて。もっとチャレンジングな環境に身を置きたいと思ってここへ来たんです」

ビルダリッジでは住宅をメインに、木造、鉄骨、RC造と、さまざまな構造の建築に携わる。

それぞれ施工の段取りも異なるので、すべてのタイプに幅広く関われる現場という意味でも、手応えがある。

壁紙やタイルなどを自分たちでコーディネートしたり、棚など収納の意匠を変えたり。設計された図面通りではなく、自分たちでデザインを加えて建築を完成させていく。

具体的には、どんなアイデアを盛り込んでいるんですか。

「前回の現場での反省が、次のアイデアにつながることが多いです。梁の高さとか、壁と床の“取り合い”とか、コンセントの位置とか。そういうディテールって、図面ではただの線なんですけど、現場で収めていくと『あれ?なんか違うな』って気づくこともあって」

「現場ならではの視点を得られるのは、大きな学びになっていると思います。将来は設計やプランニングもできるようになりたいと思っていて。それを見越しても、今のうちに人とは違う視点でアプローチできるっていうのはいいことですよね」

1から施工やディレクションを学ぼうとする仲間が、ビルダリッジには現在6名。切磋琢磨できるメンバーがいて、困ったときにはフォローしてくれる石井さんもいる。

仲間っていいな、というのが今の國島さんの実感だという。

「ときどき越川さんから『失敗してもいいんだよ』って声をかけられることがあって。ああ、いつの間にか発想が凝り固まっていたなって気づかされます。すぐに守りに入るより、ほかの人がやらないような挑戦をして、いい建築を残せたらいいなと思います」



仕事に慣れていくうちに、つい、小手先でこなしてしまう。それは、どんな職種でもあることだと思う。

未経験で仕事に飛び込むときの、素直にベストを尽くしたいという気持ちはときに、経験や知識を凌駕するエネルギーになるのかもしれません。

(2021/1/8 取材 高橋佑香子)
※取材時にはマスクを外していただきました。

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