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日々口にするものだからこそ
透き通った水を届けたい

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私たちの生活に欠かすことのできない、水。

水道水でじゅうぶんという人もいれば、水の性質や採水地にこだわって購入する人もいます。生活必需品でありながら、嗜好品でもある、珍しいものかもしれません。

本当においしい希少な水を、その価値を認めてくれる人たちへ届けたい。

そんな思いで水に向き合っているのが、今回紹介する岩深水という会社です。

拠点にしているのは、滋賀県大津市。滋賀の山中でしか湧出しないという、希少な水をボトルに詰め、販売しています。

今回は、工場で製造から出荷まで関わるスタッフを募集します。

希少な水を届ける仕事。自信とプライドを持って働く人たちに話を聞きました。

(取材はオンラインで行いました。現地の写真は提供いただいたものを使用しています)


岩深水があるのは、滋賀県大津市石山。琵琶湖の南側で、京都との県境の山あいに工場がある。

オンライン通話をつなぐと、社長の飯塚さんが迎えてくれた。

もともとは親会社のカクイチで営業や新規事業の立ち上げを担当しており、昨年の10月に異動してきたそう。

カクイチは、明治19年にトタン加工などの仕事から始まった会社。ガレージハウスやホースの製造販売、ホテル経営、アクアソリューション事業など、グループ内で幅広く事業を展開している。今回募集する岩深水のミネラルウォーター事業もそのひとつだ。

カクイチが岩深水の事業を始めたのは、今から20年ほど前のこと。

当時、ガレージハウス事業でつながりのあった会社の社長が、良質な水に惚れ込んで会社を立ち上げ、岩深水を販売していたそう。訳あってその社長は会社を退くことになり、経営を引き継いだのがカクイチだった。

「当時のカクイチの会長は戦争経験者で、大激戦のフィリピンに出征されていたんです。戦時下のフィリピンで一番感じたのが、水の大切さだったと。日本のおいしい水が飲みたい。そしておいしいお米が食べたい。そういった思いがすごく強かったそうで」

「だから水への思い入れが深かったんでしょうね。経営の引き継ぎを頼まれたときも工場まで足を運んで、『これはうちがやろう』と決断したと聞いています。正直私たち社員からすると、水を売るの?って思いましたけどね(笑)。でも会長も、社員みんなに自分の口で思いを伝えて。社員も理解して、ガレージのショールームや通販で販売していたんです」

岩深水の商品は、ミネラルウォーター1種類のみ。スーパーなどには卸しておらず、個人からの注文が多いそう。

数年前から製造過程の改善も進めており、稼働率も上がってきた。今後はミネラルウォーター以外にも、岩深水を使った炭酸水やウルトラファインバブル水など、新しいプロジェクトもはじめたいそう。

「炭酸水についてはもう完成していて、春ごろには出したいと思っています。世の中で売られている炭酸水って、採水地のわからないものがほとんどなんですが、岩深水の炭酸水はどこの水なのかがちゃんとわかる。そこに価値を感じてくれる人に届けたいと思っていて」

「おうち需要が高まるなかで、お水や炭酸水を宅配で届けるうちの事業にとっては今がチャンスだと思っていて。一緒に向上心を持って取り組んでくれる人が来てくれたらうれしいですね」


滋賀の山中だけに湧き出る希少な水。それって一体どんなものなのだろう。

工場長の古川さんに聞いてみる。

「工場からほど近い山の中腹に、昔、花崗岩を採掘していた坑道があるんです。その奥で、発破を仕掛けるために穿った穴から湧出した水が、岩深水なんですよ」

発破を仕掛ける穴は、直径わずか3センチほど。この小さな穴からのみ、水が湧き出ている。

湧出量は毎分80リットルで、年間を通してほぼ一定の水量、水温を保っている。

長い年月をかけて地層のミネラル分を吸収しており、硬度は12ほどの超軟水。くせがなく飲みやすい水だという。過去には通販で購入可能な水のランキングで1位をとったこともあるほど、良質な水として人気なのだとか。

「坑道は真っ暗で、地球の腹の中にいるような感覚です。3センチの穴からしか出ていないので、スーパーとかに出荷できるほどはつくれない。本当に希少な水なんですよ」

「だから、ただのものづくりじゃない、と言いますか…。つくって終わりじゃなくて、こんな水があることを知ってほしいし、その価値を伝える使命がわたしたちにはあると思うんです」

古川さんは3年前に岩深水へやってきた。それ以前は主にガレージハウスの営業として、日本各地を転々としていたそう。

営業畑だったこともあり、岩深水へ来た当初は、水や工場運営のことについてまったくわからなかったという。

「前任の工場長が退職して引き継いだんですが、機械のこともわからないし、スタッフの管理とか、工場全体のマネジメントも初めてで。当時は機械の不調が多かったり、スタッフのモチベーションの課題もあったりして、稼働率が60%くらいにとどまっていたんです」

「それを改善していくために、機械に向き合って、スタッフに向き合って。試行錯誤しながらなんとか整えてきたっていうのが、この3年間でしたね」

他社のミネラルウォーター工場へ見学に行ったり、カクイチグループ内の別会社に助けてもらいながら機械のメンテナンスをしたり。

ハード面を整えつつ、一番力を入れてきたのは、スタッフが自信を持って働ける環境をつくることだった。

スムーズに作業に取りかかれるように、自ら率先して準備をする。毎朝のラジオ体操を楽しくするために、各地の方言や外国語バージョンのラジオ体操を日替わりで流すなど。

作業に直接的に関わることでなくても、周りの環境から整えていった。

「それぞれが、『あそこの床が濡れていたから、もしかしたら水が漏れているのかもしれない』というように、気づいたことを言ってくれるようになって。稼働率がわるかった、で終わるんじゃなく、どうしたら良くなるのかっていう肯定的なディスカッションができるようになってきたんです」

「稼働率も90%くらいまで上がってきて、雰囲気もいいんですよ。私も含めて、それぞれが成長しているなと思います」

オープンな雰囲気のおかげで、ものづくりに集中できる。それは、自分たちが届ける水への自信にもつながっている。

「水って、飲料製品のなかでもかなり特別なものなんですよ。たとえばコーラや缶コーヒーといった有色の液体は、赤外線検査で異物のチェックができる。けれど、水は無色透明だからその検査ができないんです。だから最後のところは機械に頼らず、人の目でチェックする」

「そうやってつくるものなので、自信とプライドを持って働きたいと思ってくれる人が来てくれたらうれしいですね。向上心さえあれば、知識や経験はなくていいと思うので」


現在工場で働いているスタッフは、全部で7人。半分以上は、地元に住むパートやアルバイトのスタッフだそう。

仕事内容はどんなものなのか、1年ほど前から岩深水で働く関さんに聞いてみる。

関さんも、飯塚さんや古川さんと同じくカクイチグループ内で出向してきた方。

「以前はホースの製作所やハウスの販売、ホテルのバックヤードなどを担当していました。工場長と同じく、ミネラルウォーターの知識はない状態でここに来ましたね」

製造の工程は、坑道の奥からホースで運んできた水をろ過するところから始まる。

その後、殺菌処理されたペットボトルへ充填し、キャッピングとラベル貼り。最後に目視検査など、いくつかの品質チェックを経て出荷する。

ほとんどの作業は機械によって行われるため、スタッフは機械に異常がないかチェックしたり、異変があれば機械を止めて直したりといったことをするそう。

機械を見守るだけの単純な作業のようにも聞こえるけど、実際はどうなんでしょう。

「それが思っているより暇じゃないんですよ。たとえば、工程の最初のほうにスクランブラーっていう機械があって。これは充填前に空のボトルを綺麗に整列させるための機械なんですけど、たまに整列がうまくいかないときがあるんです」

「ボトルが倒れたまま進んだら故障につながるし、ボトルの位置がおかしいままだと充填もうまくいきません。些細な変化にもちゃんと気づくように集中する必要があるんです」

ほかにも、最後の目視検査では、ラインに乗って流れていく水を一本一本しっかり目で確認し、異物が入っていないか、ラベルはちゃんとついているか、水量は均一に入っているかなど、さまざまな項目をチェックする。

機械で補えない部分は、人がカバーするしかない。集中力を必要とする作業は20分交代制にするなど、効率を下げずに継続できるよう工夫している。

一方で、効率だけを考えてしまうと、なんのためにつくっているのか、見失いがちになる。モチベーションを高めるためにも、お客さんの手に渡ったときのことまでイメージすることが大切だそう。

たとえば、岩深水のホームページにはファンサイトが設置されており、購入したお客さんの感想や、岩深水を使った料理やスイーツの投稿が寄せられている。

岩深水は硬度がとくに低い超軟水なので、飲みやすいだけでなく料理との相性も良いそう。とくに和食との相性が良く、炊飯に使うとお米に水分がしっかり浸透してふっくらとした仕上がりになったり、出汁をとる際に使うと昆布や鰹節の旨味成分をほどよく抽出したりと、料理をよりおいしくすることができる。

今後は、岩深水と相性のいいレシピや飲むだけではない使い方を、自分たちでも積極的に発信していけるようにしたい。

また、炭酸水などの新しい商品企画についても、アイデアがあればぜひ出してほしいそう。デザインの経験がある人だったら商品デザインに関わることもできるし、機械系の知識がある人であれば機械の改良や作業工程の改善なども積極的に提案してほしいとのこと。

まずは基本となる工場の作業に向き合うことが大切だけれど、新しいチャレンジにも関わるチャンスがある環境だと思う。

「これからは炭酸水もつくっていくので、よりたくさんの人にこの水の価値を伝えていけたらいいなと思っていて。まだまだ僕らはつぼみの状態なので、素敵な花を一緒に咲かせられる人に来てほしいですね」

すると、それを聞いていた飯塚さんが「恋人募集かよ(笑)」と、すかさずツッコミを入れる。

「明るく働きたいっていう人にはいいと思います(笑)。私も経験とかじゃなく、一番は人柄だと思っているんです。向上心を持って、より良いものをつくろうって思ってくれる。その姿勢さえあれば、一緒に岩深水の価値を広げていけると思います」


日々口にする水こそ、よいものを。

生きていくうえで、当たり前のことを大切にできる環境なんじゃないかと思いました。

(2021/1/22 オンライン取材 稲本琢仙)
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