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解き明かし
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たとえば家計を改善したいと思ったとき。いきなり極端な節約をしなくても、家計簿をつけてみるだけで、状況が良くなることがあるといいます。

何か新しい挑戦をはじめる前に、現状を正しく把握するのはとても大切なこと。

同じように、地域づくりやブランディングなどのプロジェクトではまず、世の中の人が漠然と感じていることを、言葉や数字で明らかにして向かうべき方向を考えてみる。

今回は東京・神田にある株式会社RPIの仕事で地域のコンサルティングや、生活のマーケティングリサーチに関わるプランナーを募集します。

40年以上にわたって日本各地のさまざまな地域づくりに取り組んできたRPI。都市計画から商店街の活性化、コミュニティづくり、商品のブランディングまで、幅広い領域に関わる仕事のようです。

神保町のビルの3階にあるRPIのオフィスから、オンラインで聞かせてくれたのは代表の長澤さん。

道路や建物をつくる都市計画からこの業界での仕事をはじめた長澤さん。RPIが受ける仕事も、時代とともに変化してきたという。

「地域や暮らしの活性化、観光振興や地域の食材を使った商品開発など、最近の事例は本当にさまざまです。あらゆる側面から、地域活動を最大化して地域を元気にしていく。それがRPIの仕事なんです」

この数十年の間に、地域づくりの業界ではハードからソフトへという大きな変化があった。そして今回、新型コロナウィルスの感染拡大によって、さらにライフスタイルが変わってきているようにも感じる。

「今、多くの人が今までにない生活を経験しているなかで、今後はもう少し実体のある『モノ』とか『場』みたいなものへのニーズが高まっていくんじゃないかなと思います」

「たとえば、今までは子どもやお年寄りしかいなかった平日昼間の住宅街に、テレワークのお父さんたちがいるようになる。そうなると、家以外にも仕事ができるシェアオフィスや居場所が地域内に必要になる、みたいな感じでね」

なるほど。そうすると地域のなかで知り合いが増えたりして、働き盛りの世代も地域活動に参加しやすくなるかもしれない。

暮らしにどんな変化が起きているか。まずは自分の身近なところから興味を持って考えることが、リサーチやコンサルティングにも生きてくる。

「我々の仕事は、まずリサーチからはじまります。そのうえで、地域や人のライフスタイルに関する提案を組み立てていく。いろんなことを調べたり考えたりするのはその土台になる部分だから、好奇心は大事ですね」

気候や産業、人口の変動など、地域ごとに状況が違えば、ニーズも違うから、まずはそこに暮らす人の営みを観察してみる。

また、同じ地域であっても、見方次第で課題や可能性は違って見えてくる。つまり、コンサルティングに関わる人の切り口や視点ひとつで、プロジェクトは大きく変わっていく。

「RPIは、本当に多種多様なメンバーがいるし、一人ひとりが主体的に考えて行動できるところがすごくいいなと思うんです。一人の力でできないことはチームでやる。そうやって、一緒に考えられる仲間が来てくれたらいいですね」

RPIの仕事は大きく分けて2種類。地域などの現場に入り込んでプロジェクトを行うコンサルティングプランナーと、リサーチを中心に行うリサーチャー。

リサーチチームは、地域づくりから企業のマーケティングなど幅広いテーマでの調査を担っている。

クライアントは自治体や行政、情報サービス企業、観光関連企業など幅広く、リサーチ結果を受けて、地域づくりが進められたり、新しいサービスや商品が生まれたり。社会生活のいろんな場面で活用されていく。

結婚や出産などの価値観を問うアンケートなどでは、その結果がメディアを通して「今、世の中は」と語られることもある。

入社23年目というベテランリサーチャーの渡部(わたなべ)さんに話を聞かせてもらう。

「私はもともと淡々とした性格なところもあって、調査の仕事が性に合っているなと思います。リサーチャーは机に向かって黙々と数字と格闘する時間も長いので、そのプロセスを楽しめる人のほうがいいかな。誰かに褒められることより、自分で納得しながら進んでいくような仕事だと思います」

渡部さんが長年関わってきたのが、旅行に関する調査。

これまでは旅行の頻度や行き先、消費動向など、定量的なデータを集めてきた。それらを活用して、最近新たに「なぜ旅館離れが進んでいるのか?」というテーマで調べることに。

「まずは仮説を立てます。この場合だと、同行者のタイプが変わったから?とか、満足するポイントが変わってきたから?とか。そこから実際に、どんな旅館でお客さんが減っているのか、条件ごとに比較してみます」

「最初は単純に全体を集計する、次に回答者の年代別に集計してみる、さらに別の条件を加えて分析してみる、というように、ひとつのデータから結論を導き出すために何段階も作業があるという感じです」

渡部さんが着目したのは、旅館それぞれの価格帯。

宿泊料金ごとに分けてみると、高価格帯の旅館ではさほど利用者が減っておらず、お客さんの満足度も概ね高いことがわかった。

漠然と感じていた「旅館離れ」の意識は、実は正確なものではないのかもしれない。高価格帯にニーズがあるということは、旅館が日常の宿としてではなく特別な体験ができる場として求められているという見方もできる。

データを正確に処理するだけでなく、結果からその理由や次に起こすべきアクションをイメージする想像力も必要な仕事。

調査で扱うテーマは結婚や少子化、食やレジャーなど、ライフスタイル全般に及んでいて幅広い。

身近でないテーマでも、資料や事例を調べながら自分なりの切り口を見つけていく好奇心が欠かせないと思う。

「逆に、自分の大好きな分野だと変なバイアスが働くこともあってよくないんです。たとえば、『野外遊び』っていうテーマの調査をキャンプ好きな人がやると、アンケートの設問もキャンプ中心になってしまうとか」

自分の思い込みや仮説通りに結論を誘導してしまわないよう、倫理観や公平性を持って。チーム内でほかの担当者からもアドバイスをもらいながら調査を進めていく。

長く仕事を続けている渡部さんも、いろんな世代の同僚から意見を聞くという。

「ほかの人の仕事に関わることで、自分の引き出しも増える。自分のことだけじゃなくほかの人にも協力する姿勢でいることがこのチームには必要だと思います。壁にぶつかってもみんなで考えるから、怖くないよって伝えたいですね」

一つひとつの依頼に対して、丁寧に向き合う姿勢が評価されてきたRPI。地域に関する仕事も多い。

「以前ある小さな島の自治体からの依頼で、地域活性化のために旅館経営についての調査をやりました。もともと後継者がいないという悩みがベースにあって、調べてみたら実際に後継者が確保できている宿は25%しかなかった。一方で、若い働き手がいる宿は60%を超えていて」

「さらにヒアリングを進めていくと、その若い人たちがいろんなアイデアを温めていることがわかってきました。諦めかけていた高齢の経営者さんたちも『捨てたもんじゃないな』ってよろこんでくれたんです」

最終的には、島の特産品である天草を使って新しいスイーツをつくろうと、若手が中心になってプロジェクトが動き出した。

潜在的な可能性を掘り起こし、客観的に伝えることで、当事者のモチベーションが上がったり、地域の人たちに信頼関係が生まれたり。

自分たちの調査の先にいる人のことを思いながら、伝え方を工夫していく。

「ときには仮説と違う結果が出て、追加で調査をしたり、分析し直したりすることもあるけど、ちゃんと成果を出せば、誰かのアクションにつながることもあるから」

地域づくりの場合は特に、外から力を加えるだけでなく、その地域に暮らす人が意欲を持って主体的に取り組んでいく必要がある。

リサーチャーの仕事は、彼らのモチベーションの糸口を見つけることなのかもしれない。

働き始めて2年目の佐藤さんは、その役割を少しずつ実感しているところ。リサーチの先にあるコンサルティングのプランナーとして働いている。

初年度は5つのプロジェクトに携わった。特に大きな気づきを得られたのは、静岡市の水産物をブランディングしていく事業でのこと。

「静岡市には3つの漁港があって、それぞれに桜海老やしらす、マグロのような特産があるんです。それまでばらばらに活動していた3つの港が一丸となって立ち上げた、江戸前ならぬ『しずまえ』というブランドを確立させようというプロジェクトでした」

地元の漁業者に主体的に発信してもらおうと、バイヤーやSNS広報の専門家などを講師に招き、セミナーやワークショップを開催。

当初は県外へのPRを視野にスタートしたものの、対話を続けていくうちに、まずは地元の人たちにも「しずまえ」のことをもっと知ってほしいという声があがった。

大規模なプロモーションを展開するのではなく、まずは地域に愛されるブランドになろう。そんな共通の目標が見えたところで、初年度を締めくくったという。

「そのとき一緒に活動していた市の担当の方の言葉が、すごく印象的でした。『地域づくりのプレイヤーは市民だから。自分たちの仕事は、みんなが力を発揮できるような場づくりをすることだ』って熱心に話してくれて」

「私たちの仕事はもしかしたら、その『場』をかき混ぜるお手伝いをすることなのかなと思ったんです。地元の人の声に耳を傾けつつ、外からの視点や切り口で、場に新しい空気を送るというか」

暮らしや地域のなかでもやもやと曖昧になっている部分をすくい上げることで、当事者たちが次の一歩を自分で見つけていける。

冷静に分析する視点と、温かく寄り添う気持ちと。そのバランスが大事な仕事だと思いました。

(2020/6/10 オンライン取材、2021/3/4 再編集 高橋佑香子)
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