求人 NEW

“何もない”から
何でもできる

※この仕事は募集終了いたしました。ご応募どうもありがとうございました。

今住んでいるところから離れ、知り合いのいない場所でまっさらに新しいことを始めたい。

そんな人に、今回紹介する地域おこし協力隊はぴったりかもしれません。

愛媛県大洲市。

かつて城下町として栄え、現在も古い街並みが随所に残っていることから“伊予の小京都”と呼ばれています。

今回舞台となるのは、大洲市の南部、山に囲まれた肱川(ひじかわ)町。人口1,900人ほどの地域で、食や観光に携わる協力隊を募集します。

活動内容は、市の担当者と一緒に模索していけたらとのこと。地元農家とのネットワークづくり、特産品やメニューの開発、観光イベントの企画・運営など、その人の興味関心をまず聞いたうえで、さまざまなことに一緒に取り組んでいきたいそうです。

このまちで何を始めようか。そんなふうに面白がって取り組んでくれる人を求めています。


肱川町を含む、4つの町が合併してできた愛媛県大洲市。

市の中心部から川沿いに南へ30分ほど車を走らせると、あたりはだんだんと山に囲まれていく。

最初に伺ったのは、鹿野川湖(かのがわこ)の目の前にある「鹿野川荘」。大洲市内外の人が訪れる温泉宿で、今回募集する協力隊にとっても拠点のひとつになる場所だ。

荷物を置いて、まずは支配人の西谷さんに話を聞くことに。

鹿野川荘ができたのは、今から24年前のこと。

宿泊や温泉、食事も楽しめる複合型の施設で、市外から来るお客さんはもちろん、地元の人にも愛されてきたんだそう。

「2階には最大100名ほどで利用できる宴会場もあるんです。以前は週の半分以上、地域や親戚の集まりで宴会の予約が入っていたんですよ。ここで結婚式を挙げたっていう方もいらっしゃいましたね」

そんなかつての賑わいも、高齢化や人口減少で少なくなってしまった。

また肱川町では、2年前に大雨による水害が発生し、集落の多くが水に浸かってしまったそう。仮設住宅での生活を強いられた人も多く、最近ようやく以前の暮らしを取り戻しつつあるのだとか。

「まちとしても再スタートしたいというタイミングなんですが、最近はコロナ禍で大勢の集まりもむずかしくなってしまいました。以前と同じことはできないぶん、新しいことにどんどん挑戦していきたいと思っているんです」

まちにあるものを活用して、どんなことができるだろうか。

そのひとつとして西谷さんが考えているのが、新しい食事メニューの開発。現在は和食メインの食事メニューとなっているが、和食だけでなく、今後は和食と洋食のコラボ料理を提供していきたいという。

「たとえば、このあたりにフレンチを食べられる場所がないんですね。ただ、一般の方にはフレンチって少し敷居が高いイメージがあると思うんです」

「そこで、フレンチ要素も取り入れた和食と洋食のコラボ料理を開発し、ゆくゆくは鹿野川荘へそのコラボ料理を食べに、外から人が来てもらえるところを目指したくて。この宿が賑わえば、なによりまちの元気につながると思うんです」

新しいメニューでは「地元の食材をメインに使用していきたい」と西谷さん。

ただ、鹿野川荘で現在働くスタッフだけでは営業だけで手一杯の状況で、農家さんを訪ねる時間がつくれないのが現状なんだそう。

そこで今回募集する地域おこし協力隊には、鹿野川荘と農家の橋渡しをしてもらいたい。

「地域でとれる食材の情報を集めたり、農家さんへ食材の提供をお願いしたり。食材のことは農家さんが一番詳しいと思うので、美味しい調理法なんかも教えてもらいたいですね」

少量だけど無農薬で美味しい野菜をつくっている農家さんや、珍しい山菜が採れる山をもつ山主さんなど。

地域に入り込んでいくうちに、思いもよらない人や食材との出会いがあるかもしれない。

「お客さんにせっかくここまで来ていただくからには、『これなんですか?』とか『初めて食べたけど美味しい』って、驚いて楽しんでもらえるものを提供していきたいんです」

「今の季節だったら、そうですね…。コシアブラって知っていますか?」

コシアブラ…初めて聞きました。どんなものなんですか?

「このあたりだと、タラの芽と同じくらいポピュラーな山菜の一種で。日持ちしないので売っている数は多くないんですが、天ぷらにしたらすごく美味しいんですよ。あとは、イタドリや山くらげっていう山菜もありますね」

たとえば調理経験のある人だったら、一緒にフレンチのメニュー開発に取り組むとか。

道の駅のレストランで、地元の食材を使った料理を提供するのもいい。

またはパンやお菓子など、鹿野川荘や道の駅で販売する特産品づくりにチャレンジしてみるのも面白いと思う。

「あとは市内に農業の研修施設もあるので、メニュー開発で使えそうな食材を自分で育ててみる、なんてこともできるかなと思います」

そうか、いろんな食材に触れて、農家を目指す道もあるのか。

活動内容が固まっていないことに不安を感じる人もいるかもしれない。その不確実さを、むしろ楽しめる人が向いていると思う。


続いて話を聞かせてもらったのは、協力隊OBの中野さん。任期中は今回募集する人と同じく、地元食材を使った料理や特産品づくりに取り組んでいた。

現在は、肱川でしいたけ農家を営んでいる。

「もともとは、松山で10年間レストランを経営していて。子どもが成長するにつれ、もっと子どもとの時間を増やしたいと考えるようになり、故郷の肱川で暮らしたいなと思ったんです」

任期中は、前職の経験を活かして主に特産品開発に取り組んでいた中野さん。1年前には、地元のトマトや牛乳、平飼地鶏の卵を使ってトマトチーズケーキをつくったそう。

「トマトをチーズケーキにどう使うかは苦労しましたね。そのまま混ぜても美味しくなくて、どうしたもんかなって。最終的には、ドライトマトにして土台のクッキー部分に練り込んだり、煮詰めて甘くしたトマトのソースを生地に混ぜたりして、完成しました」

道の駅にて8ヶ月間限定で販売したところ、初日から順調な売上で、月平均130個以上の販売があったそう。

「あとは、地元の製麺所にパスタ麺をつくってもらって、イノシシのベーコンを使ったカルボナーラをつくったりとか。商品化には至らなかったんですが、レシピはあるので、ぜひ活用してもらえたらうれしいですね」

今回募集する人にとって、地元の人であり協力隊の先輩でもある中野さんは、いい相談相手になると思う。

「大洲のなかでも肱川って、見事に何もないんですよ。古民家みたいないい感じの場所もないし、街に行くにも遠いし、コンビニもWi-Fiもない。本格的な山なので、都会と同じ感覚で来ると、暮らしの面でいろんな厳しさがあると思います」

協力隊期間を終える3年後の保証はないのが正直なところ。自分で仕事をつくるか、鹿野川荘や道の駅などの施設のスタッフになるか、主体的に考えられる人でないとむずかしいと思う。「失敗してもいい経験と割り切って捉えられる若い人じゃないと、もしかしたら厳しいかもしれませんね」と中野さん。

「ただ、視点を変えれば無限の可能性が広がっていると思うんです。なんでもできます、このまち。できることや課題はいっぱい、でも人はいない。お年寄りが多いから、みんなできることはなんでもやってほしいっていう気持ちなんですよ」

「外から人が来ると、まちの雰囲気が変わるんです。無鉄砲にチャレンジしてほしいですね。行動力でどんどん引っかき回してくれるような人に来てほしいなと思います」


今回は、観光分野の協力隊も併せて募集している。食か観光、どちらかに特化してもいいし、両方に関わってもいい。

観光に関わる活動は、肱川の地域団体「肱川プロジェクト」の皆さんと進めていくことになるとのこと。

団体について教えてくれたのは、事務局長の河野(こうの)さん。肱川にある「肱川風の博物館・歌麿館」の館長代理も務めている。

「肱川プロジェクトは、3年前に肱川にあるいくつかの施設の代表者が中心となって立ち上げた地域団体です。13名のメンバーで、新しい特産品の開発や観光イベントの企画などに取り組んできました」

先ほどの協力隊OBの中野さんと協力して取り組んだ特産品開発のほか、肱川を題材にした「肱川カルタ」をつくって、地元の小学校でジャンボサイズのカルタ取りをするイベントや、音楽好きな人が滞在・交流しながら曲をつくり、最終日に道の駅で演奏する音楽合宿など。さまざまなイベントを開いてきた。

「2年前の水害のときは夏祭りも中止になってしまったので、楽しみにしていた子どもたちのために、夜市を企画したこともありましたね」

最近は、鹿野川湖を利用した観光イベントや体験メニューを検討中。

これまでにも、他の団体によるカヌーやドラゴンボートの大会、周辺のバードウォッチングなどが開催されてきたものの、もっと多くの新しい企画を提案していきたい。

「ジップライン、ダムクライミング、ウォーターボールとか…。考えついたものは、ものすごく費用がかかることばかりで(笑)。自分たちだけで案を出すには、正直限界がきているところなんですよ」

設備投資のかかるアクティビティ以外に、今ある資源を活かしてできることがあるかもしれない。

地元の人にとっては当たり前で気がつかないようなものにも、外から来る協力隊の目線で新しい価値を見つけていってほしい。

肱川のために精力的に活動している河野さん。てっきり地元の方だと思っていたけれど、実はそうではないんだとか。

どうして、プロジェクトに関わるようになったんでしょう。

「長年博物館を運営してきたので、自分にとっても思い入れのあるまちなんです。肱川の人間になりたくて、活動に取り組んでいる気がしますね。打ち上げで地元の方と乾杯していると、まちの一員として認められたような気がしてうれしいんですよ」

イベントの企画や運営には、地域の人の協力が不可欠。何をするにも、まずはまちの一員になることからはじまるのかもしれない。

「肱川は、ほどよく便利な田舎じゃなくて不便な田舎なんですよね。買い物できるのは道の駅だけだし、飲食店も4軒くらいしかない。むしろそういう暮らしがしたい、って人にはいいのかもしれないですね。生活も協力隊の活動も、ないならどうしようかって、試行錯誤していく楽しさはあると思いますよ」


肱川には、まだまだ“何もない”のかもしれません。

協力隊としての仕事も、見えないものが多いぶん大変なことも多いと思います。

だけど「何かを始めたい」という想いをもった人たちがいる。じっくり時間をかけながら、ここからひとつずつ、積み上げていく人を求めています。

(2021/4/6 取材 鈴木花菜)
※撮影時はマスクを外していただきました。

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