求人 NEW

挑み続ける宿
楽しくつくる
あたらしい湯治

※日本仕事百貨での募集は終了いたしました。再度募集されたときにお知らせをご希望の方は、ページ下部よりご登録ください。

案ずるより産むが易し。火事場の馬鹿力。

もう、次の一歩を踏み出すしかない逆境や、どうなるかわからなくても、まずやってみるという状況。それを何度もくぐり抜けてきた人は強いし、身近にいてくれると、自分も何かはじめられるんじゃないかという気がしてくる。

群馬県の山奥にある四万(しま)温泉。この歴史ある温泉街で、新しい宿泊の形をつくろうとチャレンジを続けてきた株式会社エスアールケイ代表の関さんは、まさにそんな人かもしれません。

廃業寸前の旅館を「鹿覗キセキノ湯 つるや」として再生し、「森のカフェKISEKI」やグランピング施設「SHIMA BLUE」、昨年12月には「スパゲストハウス ルルド」もオープン。4万の病を治すと伝わる四万の温泉を活かし、まちを元気にしていく仕掛けをまだまだ計画しているようです。

今回は、2021年度の新卒生を主な対象に、エスアールケイの運営する施設で一緒に働く人を募集します。

どの施設で働くかは、本人の適性や会社の状況によって変わるそう。柔軟に吸収して楽しめる人が向いていると思います。

 

国民保養温泉地の第一号に指定されている、古くからの名湯・四万温泉。東京からだと、車でおよそ3時間ほどの山奥に位置している。

こぢんまりした商店街には、お土産屋さんや食事処が並ぶ。その合間には、ちらほらと新しそうなお店の姿も。

今回は、一昨年末にオープンしたばかりのスパゲストハウス「ルルド」を訪ねた。

まず話を聞いたのは、代表の関さん。

「これやったら面白いとか、あれやって喜ばせちゃおうって次の展開を考えていると、血が騒ぐんですよ。それをどんどん続けて実践していったら、四万がもっと面白い場所になるだろうなって」

30歳のとき、天職とさえ思った旅行会社での営業職を辞め、経営の危機に瀕していた家業の旅館「つるや」を救おうと四万に戻ってきた関さん。

当時のつるやは旅館というより民宿のような雰囲気で、部屋には鍵もないぼろぼろの状態。

露天風呂が動物の通り道のわきにあることに着目し、「鹿覗きの湯」と名づけて貸し切り制にしたところ、メディアにも取り上げられて徐々に人気の宿に。

その後も次々とお客さんが喜ぶようなプランを考えては形にしていった。

ただ、うまくいったことばかりではない。東京でおにぎり屋さんをはじめたものの、2000万円の損失を出してしまったこともある。

「失敗していいと思ってるんです。失敗したら、どこがダメだったのかっていう勉強になりますからね」

関さんが大きく見直したことのひとつが、旅館ならではの「おもてなし」だった。お客さんのためにとサービスを積み重ねていけば、当然コストは嵩むし、旅のスタイルも変化するなかで不要になっていることもあるんじゃないか。

そこで2017年にオープンしたのが、グランピングタイプの宿泊施設「SHIMA BLUE」。食事はバーベキューがメインで、7棟ある宿泊棟にはそれぞれ露天風呂がついている。

特別なおもてなしよりも、仲間内で気楽に過ごしたいお客さんに喜ばれた。

さらに一昨年末、もともと旅館だった空き物件を改修し、最大70名ほどが宿泊できる「スパゲストハウス ルルド」をオープン。

1階には日帰り利用も可能な温泉とライブラリースペース、そしてカフェ&ダイニング「シマノネ」がある。

シマノネは、県内で複数の飲食店を経営しているフードプロデューサーの方が運営。生産者とのネットワークを活かして、群馬県内各地のおいしいものが集まるお店をつくっている。

館内の一部はスタッフの寮にもなっていて、共有キッチンで交流が生まれたり、長期滞在やリモートワークに対応していたり。新しい需要に応えていく仕掛けが散りばめられている。

「新しく来る人も、『こんなの考えました』ってどんどん提案してくれると楽しいんじゃないかな。ここで大胆に挑戦してほしいです」

エスアールケイで新たなプロジェクトを立ち上げるほか、独立して四万温泉で自分のお店をつくってもいい。

ここで身につけたノウハウを、ほかの地域で活かすこともできるかもしれない。

毎回新しい構想を聞かせてくれて、しかも実現している関さん。

今度は何か考えているんですか。

「次は、現代の新しい湯治をつくりたいと思っています」

新しい湯治。

「そう、SHIN湯治です。SHINには新・進・心・身・賑というように、いろんな意味を込めていて。100年前から続く湯治文化を進化させて、四万の価値を上げていきたい」

「そのためにはまず、つるやを良くしようと思っています。今度のつるやも、ぼくのなかではもうイメージができていて、泊まってみたいんですよ。その後は少なくとも5店舗は宿泊拠点をつくりたいかな。そのうち2店舗くらいは彼がやるかもしれない」

 

そう紹介されたのは、一昨年の11月に入社した谷本さん。

ルルドをリーダーとしてまとめながら、フリーランスのライターとしても活動している。

岡山・倉敷出身で、大学を卒業後はファッション業界で13年間働いていたそう。

やりがいを感じてはいたものの、何か新しいことをはじめたいと、転職することに。

「ひとつの軸は、地域活性で。久しぶりに両親の故郷へ帰ったとき、町に元気がないことに衝撃を受けたんです。ぼくの地元の倉敷も昔は賑わっていたんですけど、今は商店街のシャッターが8割くらい閉まっている状況。それを見ていたら、もうちょっと地方を元気にしたいなって」

「それに加えて、もともとサウナや温泉がすごく好きで。いつか自分で銭湯をやれたら、とも思っていたんです。受付に座りながら地域の人と交流してみたいと思って、実際にアルバイトも探して」

そんななかで偶然、日本仕事百貨の記事を見つけ、エスアールケイを知る。

温泉地で地域活性。まさにど真ん中な関さんの話に引き込まれ、そのまま応募した。

入社してからは研修を兼ねて旅館「つるや」で約1か月働き、掃除や配膳、フロント業務など宿泊業の基礎を学んだ。その後ルルドには、オープンに向けた準備段階から関わっている。

実際に働いてみてどうでしたか。

「学生以来の接客の仕事がすごく楽しいです。旅館と違ってルルドは客層が幅広いんですよ。家族連れもいれば、若い人がひとりでワーケーションに来たり、客室に麻雀卓を持ち込んで4人でひたすら麻雀するリピーターさんたちもいて。いろんな人に対応する難しさはあるけど、面白いですね」

どの施設に配属されるかは、適性や会社の状況を踏まえて決まるそう。旅館、グランピング、ゲストハウスと形態が異なるので、それぞれに適した接客が求められる。

ただ、基本的な仕事内容はほとんど共通している。フロントでのチェックイン・チェックアウト対応、予約の管理や部屋の清掃。つるやでは配膳の仕事もすることになる。

「あとは社長との距離の近さが新鮮でした。なんでもすぐに提案できるし、その内容に対して真剣に考えていただけるのが楽しいです」

どんどん新しいことに挑戦できる環境。谷本さんも四万に可能性を感じているという。

「四万エリアって伸びしろしかないと思うんですよ。全国の温泉地を回ってきたなかで、泉質もすごくいいし、自然も豊富だし。だから今後どんなふうに伸びていくかを見てみたい。そしてそこに自分も関わりたいんです。そのために今は勉強して、“まずはやってみる”ということを自分の一番のミッションとしています」

カフェKISEKIの横にグランピングをつくろうという話も出ていて、そこなら自分が!と手を挙げているそうだ。

前職から継続しているライターの仕事もここに活かしたい、と谷本さん。

「今記事を書いているファッション系の媒体が、ライフスタイルもテーマとして扱うことになって。移住とか地域の話題に触れるならぴったりだということで、ぼくが担当することになりました」

「この間は取材で中之条町で移住コーディネーターをしている方とも知り合えましたし、前職のときに知り合ったサウナプロデューサーの方もいて。そういう繋がりを活かせば、ルルドでも面白い取り組みができるんじゃないかと思っています」

山奥で娯楽が少ない分、自分から楽しみを見つけることが大事。

副業とまではいかなくても、何かほかに好きなことやできることがあると、ここでの生活も充実してくると思う。

アートでも、ファッションでも、食でも。もしかしたら、好きなことを仕事に活かせる場面も今後、事業が広がっていくとともに増えてくるかもしれない。

 

谷本さんと一緒にルルドのフロントスタッフとして働く齋藤さんにも話を聞いた。

大学では観光を学び、卒業後は瀬戸内海の島やイギリス、北海道など数年ごとに場所を変えながら働いてきたそう。

このあたりで開催される芸術祭「中之条ビエンナーレ」に来ていた縁もあり、一昨年の夏に入社した。

「新鮮さがなくなると次に行きたくなっちゃうんですよ。面接のときから社長には『長くても2、3年』と伝えています。そしたら『好きなだけやって次に行ってください』って(笑)」

新鮮な環境にいたいと思う一方、得意なのは一つひとつコツコツと進めること。

「ここで働く人は谷本さんみたいに野望を持っているタイプが多いんですけど、私はまったくそういうものを持っていないんです。生活をして、仕事をして、どちらかというと日常を積み重ねていきたいんですね」

日々、どんなお客さんが来ますか?

「ルルドは結構おひとりさまの方が多くて。そういう方だと会話が生まれやすいんです。『今日は喫茶店に行こうと思うんですけど、おすすめありますか』って。紹介して、お店から帰ってきてまた感想を聞かせてもらえたときはうれしいですね」

「そういうコミュニケーションが自然と生まれる瞬間を、ちゃんとキャッチしたいと思います。押し付けがましくもなく、いい感じに」

その気配りはスタッフ間のコミュニケーションにも言えること。

「私は裏方が好きなので、働く人が楽しいと思える環境をつくりたいと思っています。働いてる人が楽しかったら、お客さんもその空気感に入ってこれると思うんです」

ここで、隣で聞いていた関さんが「信頼してるんですよ」と一言。

「齋藤さんってすごくまじめにコツコツやって積み上げられる方なんですけど、そういう人が今までいなかったんですよね。総務的な部分を任せられる人がひとりいるだけで、安心していろんなことを進めていける。細かい気配りができる、齋藤さんの後輩になるような人も来てほしいです」

次々に新しいことに挑戦していくなかで、アイデアを生み出し実践する人もいれば、それをサポートする人もいる。それぞれの得意なことを活かす余白がここにはあると思う。

取材が終わると、そのままの流れで関さんが新しい周辺マップの構想を生き生きと語り始めた。そこに谷本さんがアイデアを付けたし、齋藤さんは微笑みながら話を聞いている。

会議のような、雑談のような、終始楽しげな雰囲気。

きっと普段もこんな感じにアイデアを膨らませているんじゃないかな。

まずは一度訪ねて、みなさんと話してみてください。

(2021/3/12 取材 堀上駿)

※撮影時はマスクを外していただきました。

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