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人に添う服と仕事

※この仕事は募集終了いたしました。ご応募どうもありがとうございました。

近鉄奈良駅から少し南へ下ったあたりに、ならまちと呼ばれるエリアがあります。

かつて世界遺産・元興寺の境内のなかだったと言われるこの地区には、商人や職人の住まいである「町家」が多く残っています。風情あるまちなみに惹かれた人たちがぽつりぽつりとお店をはじめていて、訪れるたびにちょっとずつまちの表情が変わっていくのがおもしろい。かといって過度に賑わっておらず、好きなまちのひとつです。

今回の舞台は、その一角にある「kaze no sumika(かぜのすみか)」というお店。

もともとは奈良を中心に各地の作家さんがつくるものや、70年以上続くイスラエル発の靴のブランド「NAOT」などを扱う雑貨店でした。そのうちNAOTの人気が高まって個別に店舗を構えるようになり、東京・蔵前と愛知・犬山にも出店。NAOTの靴をきっかけに、kaze no sumikaを知る人も多いようです。

そんなkaze no sumikaで根強く人気を集めてきたのが、オリジナルの服。みんなで意見を出し合いながら、毎日着たくなる服をつくってきました。

当初はオーナーの村上さんがひとりで、フリーハンドで形を決め、手仕事で少しずつ店頭に出すところから。そのうちパターンを引けるスタッフが増え、製造をお願いできる工場が見つかり、生産体制を整えて。アーティストや印刷工場と協力して、オリジナルのテキスタイルから服をつくることもはじめています。

kaze no sumikaから生まれる服をより広く届けていくために。新しく仲間を募集します。

店頭での接客や商品の企画、在庫管理や店舗内外でのイベントの企画運営まで、幅広く担うことになります。

なかでも今後、とくに力を入れていきたいのが、SNSやオンラインショップを通じた発信です。デザイン経験のある人や、さまざまな業界のプロを巻き込みながら、魅力を伝えていくのが得意な人に来てもらえるとよさそう。

まずはここで働く人たちに会いにいくような気分で、記事を読んでもらえたらと思います。



プライベートも合わせたら、もう10回は足を運んでいるだろうか。

近鉄奈良駅から南へ歩くこと15分ほど。ならまちは今日も気持ちがいい。

風に誘われるように、ひっそりと佇むkaze no sumikaへ。

迎えてくれたのは、kaze no sumikaとNAOTの運営会社である株式会社loop&loop代表の宮川さん。

あれ、ちょっと服装の雰囲気変わりました?

「そうなんですよ。kaze no sumikaの服のバリエーションが広がって、男性でも着やすいものが増えてきて。楽だし、外に出かけてもよく褒められるので、最近はこればっかり着てます(笑)」

店内を見回しても、服の種類も量も、明らかに増えている。前回の取材がコロナ禍の直前だったから、この1年半ほどでいろいろと変化があったみたいだ。

「オリジナルの靴下やバッグをつくったり、愛知にNAOTのお店を出したり。相変わらず人のご縁とか、自分たちのワクワクを大事にしながら、オンラインでの企画と販売にはかなり力を入れるようになりましたね」

たとえば、インスタライブで商品を着用しながらスタッフ同士のおしゃべりを配信したり、それまでお店で開催していた季節ごとのフェアをオンラインショップ上で開いたり。生地と型をお客さんに選んでもらい、4〜5ヶ月後に届けるオンラインの受注会も開催した。

すると、想像以上の反響があったという。

「うちの服を楽しみに待ってくれてる人が全国にこんなにいるんやって、お客さんから教わったんです。とくに緊急事態宣言下でのインスタライブは、遠くの人とつながりながら同じ時間を共有できたのがうれしくて」

「ぼくらにとって最大のモチベーションは、お客さんからありがとうって言ってもらえることです。コロナを通じて大変なこともたくさんありましたけど、この会社の根っこの部分やプロダクトの魅力って何か、それを再発見させてもらいましたし、まだまだ届け方の可能性ってあるんやなって気づきにもつながりました」

オンラインを活用して、遠くの、まだ知らない人にも届けたい。そして雑貨屋から、アパレルブランドへ。

kaze no sumikaはちょうど転換期を迎えているみたい。



その軸となる服づくりについて、教えてくれたのはスタッフの永田さん。

「うちの服は、全部フリーハンドでパターンを起こしているんです。肩まわりのカーブや袖の絞りも、ぜんぶ細かく調整していて。着たときの気持ちよさ、動きやすさは大事にしています」

人気商品のひとつである「ワイドパンツ」は、NAOTの接客を考えてつくられたもの。靴のフィッティングや在庫管理で上下運動の機会が多いので、重宝するのだとか。

「つくり手がすぐそばにいるから、わたしたちもどんなふうに服が生まれているか、よくわかるんですよ。もうちょっとこうしたほうが動きやすいかなとか、みんなでアイデアや意見を出し合いながらつくっていきます」

最近では、オリジナルのテキスタイルもつくっている。新商品は、道着などにも使われる刺し子のパンツ。

以前は12年ほどグラフィックデザインの仕事をしていた永田さん。色味の違いにはとくに厳しくて、染色工場の人も「こんなに直しを入れる人はほかにいない」と言うほどだとか。

「お店やつくっているものの雰囲気から、やわらかいイメージを持たれることも多いですけど、そういった意味ではシビアなところもあるのかもしれません」

今回は、デザイン経験者に来てもらいたいそう。

オンラインショップでさまざまなコンテンツを発信していきたいので、PhotoshopやIllustratorなどのソフトを扱える人、写真や動画の撮影・編集ができる人を求めている。

「ターゲット層も広げていきたいので、SNSにも強い人だとありがたいですね。インスタライブとかリールを使って、今以上に可能性を広げてもらえたら。商品の見せ方まで、一緒に考えていける人だとうれしいです」

ただ、完全には分業しないのがkaze no sumikaのスタイル。得意分野や経験を活かしつつも、何かひとつの作業に専念したいという人は向かないと思う。

「大きな会社ではないので、接客や倉庫まわりの仕事も担当関係なくみんなでやります。商品のことも発信のしかたも、あらゆる情報をシャワーみたいに浴びながら、みんなであれこれ言いつつ進んでいく感じ」

「うちって、仕事がないんです」

仕事がない?

「割り当てられるような仕事がないから、自分から動いて仕事をつくります。スピード感をもって物事を動かせるので、見える景色も毎日変化していく。それを楽しんでほしいです」

日々の気づきやアイデア、小さな違和感や些細なできごとも、どんどん言葉にして伝え合う。立場や社歴に関係なく、自分が何を思って、どう考えているのか、アウトプットする力は求められそうだ。

宮川さんはどうでしょう。

「“よっこらしょ、仕事がんばろ…”っていうんじゃなくて、ご飯食べるとか、寝るとか。日常の延長線上で仕事にも携われる人なら、長く一緒に働けるんじゃないかな。だって、そのほうが楽しいですもんね」

「生きるうえで当たり前のことを大事にしていきたい。そこは変わらず思い続けていることです」

その感覚は、みなさんのつくる服にも通じている気がする。

仕事用とか、お出かけ用とか、そんなことは考えずに毎日着たくなる服。いつも自然体で、ワクワクするような服をつくっていたい。



「“自然体”は、うちのキーワードかもしれませんね」

そんなふうに言葉をつないだのは、スタッフの神谷さん。

「仕事とプライベートを切り分けるんじゃなくて、いつもアンテナをはって、いろんなことを見たり聞いたりした自分のままここに来る、みたいな。そういう人が楽しめる環境だなって、常々思っています」

そうそう、と宮川さん。

「社内のSNSみたいなものがあるんですけど、それを神谷はテレビみたいな感覚で観てるって言うんですよ(笑)」

小豆を炊きながら、ドラマを観つつ、社内SNSを見るのが神谷さんの楽しみなんだそう。

「社内チャットに、それぞれ見つけたいいものを共有するコーナーがあって。『こんなの見つけたよ』って言うとか、ドラマに出てる女優さんの服がかわいいなと思ったら、明日誰かに言ってみようって考えちゃう。それを仕事とも別に思っていないし、昔からのわたしの生活なんですよ。たぶん、そういう人がうちは多いんじゃないかな」

もともと百貨店で婦人服の販売担当をしていた神谷さん。

NAOTの奈良本店の立ち上げから関わり、産休・育休を経て復帰。さまざまな経験を積んだことで、服との付き合い方が変わってきたという。

「前はファッションとして服を選んでいたんですが、育休を経て、意識が変わったんです。着飾るだけのものじゃなくて、生活を支える道具でもあるんだなって」

「子育てってしゃがむ場面が多いし、とにかくおもちゃを拾いまくるので、このシルエット楽だな、大きいポケットありがたいな、とか。5年以上履いてきたものもあるんですけど、やっぱりめっちゃいいやん!って、あらためて感動して。ライフステージが変わってもずっと楽しめる服なんだよっていうことを、もっと伝えたいと思うようになりました」

いろんな色を持ったスタッフが集まり、ここで積み重ねた時間が、商品や企画にも反映されていく。

今後は社外の人たちとのコラボレーションの機会も増やしていきたいという。

「以前、NAOTのWeb担当をしていたときの企画で、ムービーをつくったんです。モデルさんやヘアメイクさん、カメラマンさん、音楽や振り付けもプロの方に考えてもらって。いろんな方々を巻き込んでの仕事が本当にむずかしくて」

「結果的にすごくいいものができたし、学びもたくさんあって、貴重な経験になりました。ときどき、胃が痛くなる仕事もしたほうがいいんだなって(笑)。これからも内側で完結せずに、どんどん外に出ていきたいなって思います」

たくさんしゃべって、よく笑い、よく食べる。そんな「基本」を大事にしたいと、1年前にお会いしたみなさんは話していました。そして今回は、「どこにもないお店を目指したい」とも。

根っこは変わらないまま、さらにたくましさが加わったような印象が残っています。世の中がどれだけ変わっても、ワクワクを絶やさずに、人間らしく生きていく。そんな変わらない価値を伝える服と仕事、だと思います。

(2021/6/3 取材 中川晃輔)
※撮影時はマスクを外していただきました。

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