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小さな村で
農家さんとつくるカフェ

※この仕事は募集終了いたしました。ご応募どうもありがとうございました。

農家さんの取材に行くと、その場でおすそ分けをもらって、そのあまりの味の違いに驚く。

野菜の“本当の味”を誰よりも知っているのは、育てている農家さんたち自身なのだな、と実感します。

つくり手ならではの知識を活かしながら、野菜の美味しさを多くの人に伝えていきたい。そんな想いをもった人たちと出会いました。

群馬県高山村は、人口3000人ほどの小さな村です。

寒暖差が大きい土地柄を活かし、キュウリ、枝豆、トウモロコシなど、さまざまな野菜を育てています。

この村に、来年の春、新しい施設がオープンします。コワーキングスペースやコミュニティスペースのほか、野菜の加工場なども備えた、村の魅力を広めていく拠点になる予定。

今回は、その一角につくられるカフェを運営する地域おこし協力隊を募集します。経験は問いません。任期が終わったあとも、そのまま運営に携わってくれたらうれしいとのこと。

農家さんと関わりながら、カフェを育てていく人を求めています。

 

東京駅から新幹線に乗り、約1時間で群馬県の上毛(じょうもう)高原駅へ。

車を15分ほど走らせ、トンネルを抜けると、田園風景が広がる高山村に入った。

待ち合わせは、道の駅「中山盆地」。

その一角にある直売所を訪れると、いろんな野菜がずらりと並んでいた。初めて見る野菜もある。

なかでも気になったのは、“高山きゅうり”というもの。馴染みのあるきゅうりとは色も違うし、何倍も大きい。

「これは、高山の伝統野菜で。一般的なきゅうりの原種と言われているんですよ」

そう教えてくれたのは、協力隊の受け入れ担当である、高山村役場の後藤さん。

「村では、いろんな野菜を育てています。枝豆、トウモロコシ、サツマイモ、こんにゃく芋…。本当になんでもつくっているし、なんでも美味しいんです。お米も、全国的なコンクールで受賞しているんですよ」

「このへんは、朝晩の寒暖差が激しくて、夏でも夜は半袖だと寒いくらい。そのおかげで野菜が美味しくなるんです」

高山村で採れた新鮮な野菜を求め、村外から直売所へ日々通う人も多いそう。

すぐ隣には大きな公園や温泉施設もあり、道の駅は村内外から人が集まる中心地となっている。

今回の舞台となる施設は、そのすぐ近くで工事中。コミュニティスペースやコワーキングスペースなどが入った施設になる予定で、来年4月のオープンを目指している。

「道の駅のベンチでパソコン作業している人もよく見かけていたので、作業場として使ってもらえるんじゃないかなって。親子連れが雨の日に遊べたり、いろんなワークショップが日々開催されたりする場所になったらと思っています」

「それに加えて、新しい施設から高山の農産物を発信していきたくて。1階にできる加工場では、1.5次加工を進めていきます」

1.5次加工とは、食品工場や飲食店で調理しやすいように、野菜をカットした状態に整えること。新たな販路開拓や、規格外野菜の利用にもつながるという。

「規格は本当に厳しくて。ちょっと傷がついているとか、少し曲がっているとか、それだけで出荷できずに処分されてしまうんです。1.5次加工を始めることで、この現状をなんとかできたらと思っています」

「商品開発もしていきます。加工品って、農作物が新鮮な状態であるほど美味しくなる。野菜が余ったら村の加工場ですぐ加工して、いい商品をつくって売っていく。そんな循環をつくっていきたいですね」

また、村の野菜を実際に食べてもらえるカフェもつくる。席数は30席ほどで、料理やジェラートの販売をおこなう予定とのこと。

今回は、このカフェのスタッフを募集する。

村の野菜を活かすという方向性は決まっているものの、メニューや内装については、まだまだこれから。オープンに向けて一緒に考えるところから関わってほしいという。

チームには後藤さんもいるし、すべてを一人で背負うわけではない。とはいえ、調理や企画の経験がないと難しそうな気もします。

「もちろん経験は活かせますが、興味があれば大丈夫じゃないかな。メニューも、すごく凝ったものじゃなくていいと思うんです。まずはいろんな農家さんのこと、野菜のことを知ってもらいたいですね」

農林課での勤務など、仕事を通じて農家さんと関わる機会が多かったという後藤さん。農家さんの知り合いも多いそうなので、いろいろな人との縁をつないでくれると思う。

 

次に話を聞いた協力隊の西山さんも、きっと農家さんとの橋渡しをしてくれるはず。

今は新施設に携わるチームの一員として活動しつつ、農作業体験やマルシェの企画を進めているところだという。

「去年1年間、いろいろな農家さんのもとへ毎日のようにお手伝いに通いました。農家さんって、それぞれの信念に基づいて農業している。その違いを農家さん同士、尊重し合っているところが高山村のよさだと思います」

無農薬栽培の畑のすぐ隣で、別の農家さんが化学肥料を使っていることも多い。

考え方の相違は対立を生みがちだけど、高山村ではお互いに対策をとりながら共存しているんだとか。

「農家さんたちの飲み会って、作物の話題ばっかりなんです。こう育ててみたらよかった、あの品種がよかったとか、すごく楽しそうに話していて。作業自体は体力仕事できついんだろうけど、本当につくるのが好きな人たちなんだなって」

「“農家さん”って一括りで語るにはもったいないくらい、一人ひとりの人柄や取り組みが面白いんですよ」

農業をしつつ、外国人や若者向けに農業体験を提供している人もいる。

「ゆっこ先生っていう、面倒見のいいお母さんというか、先生みたいな人が農家民宿をしていて。若い人が来るといつも料理を振る舞ってくれるんですね。それがすごく美味しくて」

「というか、農家さんがつくってくれる料理は、どこも本当に美味しいですね。きゅうりの浅漬けとか、シンプルでめちゃくちゃ美味くて。カフェのメニューでも、農家のお母ちゃんがつくってくれる、あの感じを出したいですね」

目指すのは、村の農家さんの人柄まで伝わるようなカフェ。

レシピを教わって、いろんな農家さん直伝の“選べるおかず小鉢”なんてできたら楽しそうだ。

 

今回募集する人も、西山さんのように、まずはいろんな農家さんを訪ねることになると思う。「ちょっと会いにいきましょうか」ということで、近くの畑へ。

作業の合間に話を聞かせてくれたのは、向かって左から後藤さんと平形さん。

お二人とも有機栽培に取り組んでいて、後藤さんは平形さんの師匠なんだそう。高山きゅうりやトウモロコシ、枝豆など、全部で20種類ほどの作物を育てている。

せっかくなので、高山きゅうりの美味しい食べ方を後藤さんに聞いてみる。

「そのまま味噌つけて食べてもいいし、炒めてもいいし…。あと、最近つくって美味しかったのはね、煮物だね」

きゅうりを煮物で…? イメージが湧かないです。

「ないでしょう。でも高山きゅうりはね、煮物ができるんですよ。多分そんなきゅうりはほかにないんじゃないかな。冬瓜よりももっと柔らかい感じなのに、煮崩れしないんです。味噌汁の具にしてもいいしね。いろいろなメニューで楽しめる食材なんです」

主にビーツを育てている平形さんも、美味しいビーツの食べ方を教えてくれた。

「スライスしてマヨポン酢で和える、チーズのせてオリーブオイルで味付けとか。ボルシチも美味しいんですよ。高山ではすいとんをよく食べるので、それも入れたりして。ビーツを入れるとスープが真っ赤になって、すいとんが可愛くピンク色になるんです」

うちではこういう食べ方もしてる、と次々レシピを教えてくれる二人。

メニュー開発をするにしても、農家さんとの会話にたくさんのヒントがあるだろうし、困ったときには頼れるアドバイザーになってくれると思う。

「カフェを通じて、高山村の野菜の美味しさを知ってもらいたい。食感も、瑞々しさも、味も違う。トウモロコシなんか、とれたては生で食べられますから。もう、ミルクみたいな。あまりに感動して、こっちに移住する方もいらっしゃるみたいですからね」

「トウモロコシといえば、今年はすごく成長がよかったんですよ。いつもはわき芽をとるんですが、そのままにしておいたら倍とれて」

わき芽ってどれですか?と尋ねたら、「こうやって下から出てて」と、実物を見せながら教えてくれた。

後藤さんも加わって、わき芽をとる意味やデメリットについて、詳しく説明してくれる。

野菜の魅力を知りたい、伝えたいと思ったら、お店にこもることなく、現場に出かけていくことが何より大事なんだろうな。

 

「自分も畑をやってみたい人だと、ここでの暮らしをより楽しめる気がします」

そう伝えてくれたのは、西山さんとともに新施設に携わっている、協力隊1年目の大沢さん。

「私も農家さんから余った苗をもらって、枝豆、ナス、トマト、お米って、少しずついろいろ育てているんです。育て方もみなさんすごく丁寧に教えてくれるので、初めてでも大丈夫だと思いますよ」

大沢さんが高山村に移住したのは、前職時代に村を訪れたことがきっかけだった。

「ここの峠を越えて下ってくるときに、すごくいい景色だなって。なんとなく気になって、何度か通いながら住んでいる人と触れ合っていくうちに、人のあたたかさや穏やかさを感じて。だんだん住みたいなって思うようになったんです」

「実際に住み始めてからも、野菜を分けてもらったり、食事に誘ってもらったり。村全体が大きな家族みたいな、そういうあたたかさを感じてますね」

あたたかさは、人と人との距離が近いからこそ。ご近所づきあいが強く残っているという側面もある。

「苦手な人だと、つらいかもしれないですね。『こんにちは〜』って声が聞こえたときにはもう、ドアを開けて入ってきてるとか(笑)。地域で決められた草刈りの日もあるし、私の畑についても『草そろそろのびてきたね』って言われることもあります」

「それだけ地元の人たちには、村を綺麗にしようって意識があるんですよね。お散歩ついでにゴミを拾っている人も多くて。道路脇に花を植えているところも多いから、『高山村の道は綺麗だね』って言ってもらえることもよくあります」

村の人口は、約3000人。車で5分あれば村の端から端まで行ける小さな集落だからこそ、自分たちの村という想いが強いのかもしれない。

「新しい施設は、まず村の人が楽しいって思える場所になったらいいなと思います。村の人が楽しんでいる様子を見て、村外からも遊びにきてくれる人が増えたらなって」

 

取材後、直売所を見ていたら「これ、すっごく美味しいから」と、買い物にきていた方にトウモロコシをおすすめしてもらいました。

自宅へ帰り、すぐに茹でて一口。びっくりする美味しさでした。美味しいもの好きとしては、こんな野菜を毎日食べられる人がちょっと羨ましくなるくらい。

食べることが好きな人だったら、暮らしでも仕事でも、ここだからこその豊かさを味わえると思います。

(2021/7/19 取材 鈴木花菜)
※撮影時はマスクを外していただきました。

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