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地域づくりを支える
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地域に貢献する活動がしたい。

そんな想いを持っている人のなかには、「これから始める活動は地域の人に受け入れてもらえるのか」「事業として継続できるのか」といった不安を抱える人も多いと思います。

もちろん、うまく軌道に乗る保証はないけれど、相談に乗ってくれたり、アドバイスをくれたりする人が身近にいたら、一歩踏み出しやすくなるかもしれません。

そんな役割を担う中間支援団体の設立を目指しているのが、宮城県加美町。

加美町での地域活動、通称「かみ活」を行うさまざまな団体や個人を支援する「かみ活サポートセンター」を立ち上げ、地域活性化に取り組みます。

今回募集するのは、加美町地域おこし協力隊としてサポートセンターの設立準備と、開設後はさまざまな地域活動に伴走する「かみ活サポーター」。

任意団体やNPO、民間企業、行政機関などさまざまな立場にいる人、一人ひとりに寄り添ったサポートがしたい。そんな想いを持っている人にぜひ知ってほしい仕事です。

 

宮城県加美町は東北新幹線の古川駅から、車で30分ほどの場所にあるまち。平野が広がる道を、加美富士と呼ばれる薬萊山(やくらいさん)に向かって走ると、豊かな田園風景が続く。

訪ねたのは、町内の中心部からさらに西に進んだ旭地区にある公民館。到着すると、加美町役場の大河原さんが迎えてくれた。

「役場で働いて、今年で15年目ですかね。今は地域住民と行政の協働まちづくりに取り組む、ひと・しごと推進課に所属しています」

「今、加美町が力を入れていることのひとつが、地域運営組織の設立です。そのモデルケースとして、一足早く取り組みを始めているのが、ここ旭地区。私はその活動支援を主に担当しています」

地域運営組織とは、その地域で暮らす人々が中心となって、地域課題の解決に向けた取り組みを持続的に実践する団体のこと。

旭地区では、組織内に地域行事班、一日家族応援隊などのグループをつくり、地域行事の計画や地域の困りごとを解決する有償ボランティア、廃校の利活用などに取り組んでいる。

「旭地区の地域運営組織が設立されたのは今年の4月。重要なのは、地域活動をいかに継続的なものにしていくか、ということです。その土台をつくるために、行政の立場からも一緒に話し合いの場に参加したり、事務局のサポートを行ったりしています」

打ち合わせや会議は月に4〜5回。同じ日の朝と夜に続くこともあるし、その合間にもなるべく顔を合わせながら、細かくコミュニケーションをとってきた。

これらの大河原さんが今担っている仕事こそ、かみ活サポートセンターに求められる役割そのもの。

土台づくりの体制はできているように見えるけれど、今回新たな組織を立ち上げるのはなぜでしょうか?

「これまで、地域活動団体の支援は私たちが行ってきました。ただ、行政職員は異動があるので、知識や情報の蓄積がどうしても難しいんです。継続的に支援していくことを考えるなら、民間にもその役割を担ってくれる組織があったほうがいいんじゃないか、という話になって」

事業の進め方や経営への具体的なアドバイスなど、当事者に近い民間団体だからこそできるサポートもある。これまで地域活動に伴走してきた大河原さんからも学びながら、新しい支援の形をつくっていってほしい。

大切なのは、それぞれの団体に寄り添ったサポートをすること。

「『これがいいよ』とアイデアを押し付けるのではなく、その団体の人たちが考えて、導き出した答えを尊重したいと思っていて。その人達がやろうとしていたことを潰してしまうのはよくない。私も試行錯誤中ですが、一緒にアイデアを面白がって、盛り上げながら活動を継続的なものにしていく支援が必要だと思っています」

 

そんな大河原さんが今の役割を担うようになってから、一緒に活動してきたのが、旭地区の地域運営組織の事務局を務める土田巴(ともえ)さんだ。

巴さんは加美町に移住して今年で5年目。昨年地域おこし協力隊を退任し、今は旭地区に住みながら、集落支援員をしている。

「加美町に来る前は、長野県の工務店に勤めていました。そこは自然素材を使った家づくりやバイオマスエネルギーの活用に積極的で、自分たちで畑を耕したり、味噌づくりのワークショップを開いたりしていたんです」

ちょっと変わった工務店ですね。面白そう。

「建築だけでなく、暮らしづくりにも意識を向けていた会社で。当時お客さんに提案していたような暮らしを自分でも実践してみたいと思ったのが、移住のきっかけです」

「移住先では地域に貢献できる仕事がしたいなと思って探していたら、ちょうど加美町の地域おこし協力隊の募集を見つけて。一度役場の方に町内を案内してもらったとき、人のあたたかさやまちのよさを感じたこともあって、ここに移住を決めました」

もともと宮城県出身で、加美町のことは知っていた巴さん。山形の大学で建築を学んでいたころも、町内に点在する珍しい建築物を見るためにたびたび訪れていたらしい。

移住前には、地元の人たちの「ここは不便だよ」「なにもないよ」という声もあったけれど、特に気にならなかった。むしろ自然が豊かで、食べ物や生活の道具を自分たちでつくる暮らしが残っているところに魅力を感じたそう。

「地域おこし協力隊の活動を始めるときに、地域の課題について教えてもらったんですが、それを聞いて『どうにかしないと』というよりは、『ここでやれそうなことがたくさんあるな』と思ったんです」

地域の若者たちの集まりである「旭プロジェクト」の事業として、子どもたちと一緒に田植えや稲刈りをしたり、地域の郷土料理を持ち寄って食べるイベントを開催したり。もともとの得意分野を活かして、地域活動を発信する冊子やチラシの編集、デザインも。

地域の人と活発にコミュニケーションをとり、多くの人を巻き込みながら活動してきた。

そんな巴さんにとって、大河原さんはどんな存在ですか?

「地域活動には答えがないので、そもそも何をしたらいいかわからなかったり、先進事例を学んでもそれをどう旭地区に落とし込んでいくかが難しくて。そこを一緒に考えて、動かしていける人が大河原さん。もう分身がいてほしいくらい(笑)、すごく頼りになる存在です」

巴さんが地域運営組織の会議を進行するときには、サポート役としてアドバイスしたり、巴さんと地域の人とのつなぎ役になったり。事務局という立場上、さまざまな人たちの間で難しい調整を迫られることもある巴さんに寄り添い、二人三脚で活動を進めていく。

隣で聞いていた大河原さんも、こう話す。

「私がしてきた役割は、大きく分けるとふたつあって。ひとつは行政として、地域住民のみなさんに地域活動に関わる町の施策を説明すること。もうひとつは、団体の活動を成長させていくためのアドバイスをすること。その後者については先ほども話したように、民間団体であるかみ活サポートセンターの存在が今後強みになってくると思っています」

かみ活サポートセンターのオープン予定は2023年。今回募集するかみ活サポーターは、地域おこし協力隊の任期中に設立準備を進め、任期終了後は町から委託を受ける形でセンターの運営を続けていってほしい。

開設準備が整うまでは、デスクは町役場内に設けられる。とはいえ、町内全域のさまざまな地域活動に顔を出していくことになるので、事務所でじっと作業する時間はそれほど多くないかもしれない。

大河原さんは、どんな人に来てほしいですか?

「実際に活動支援をするときもそうですが、人に寄り添ったコミュニケーションをとれる人が向いていると思います。地域のみなさんの信頼を得るにも、今このまちで地域活動に取り組んでいる方々の調査やヒアリングを進めるにも、コミュニケーションがベースにあると思うので」

まずは相手をよく知ること。

地域には、昔から地元に住んでいる人もいれば、移住してきたばかりの若手もいる。年代も職業も異なる人たちと自然にコミュニケーションをとっていくには、まず受け止めるとか、ときにはじっくり待つような姿勢が必要だと思う。

最近は「地元の人たちのまちづくりへの関心も高まっている」と、巴さん。

「取り組みを始めたばかりの頃は、地域の人たちに声をかけて、半ば無理やり参加してもらっていたんです。でも、回数を重ねるうちに、自分から参加してくれる人がだんだん増えてきていて」

「若い世代の人たちの活動が活発になってくると、今度はそれまで先頭に立っていた60代、70代の人たちも『任せておいて大丈夫か?』って、ますます気にかけてくれるようになって。徐々にいろんな世代の人が交わりながら地域活動をする素地ができてきています」

旭地区のほかにも、陶芸の歴史がある宮崎地区では近々、シェアアトリエがオープンする予定だったり、町内の空き家を利活用する事業が始まっていたりと、地域に根づいたいわゆる“地域活動”のほかにも、さまざまな動きがある加美町。

それぞれの地区で活動が活発化してきているなかで、かみ活サポートセンターが担う役割はきっと今後、大きなものになっていくはず。もともとの地縁がなくても、まっさらな状態から地域と関係性を築いていきたい、新たな試みが生まれていくのを応援したいという人にとっては、ぴったりの仕事だと思う。

 

インタビュー後、大河原さんと巴さんと一緒に外を歩いていると、草刈り中の方と立ち話に。

その様子を少し離れて撮影しながら、話を聞いていると、雑談と地続きに地域活動の話題も出てきて、何やら少し打ち合わせしているみたい。「田舎にはプライベートな時間がない」という話はたびたび耳にしますが、この仕事は特にオン・オフが曖昧なものかもしれない、と感じました。

もちろん、要所要所を締めることも必要だけれど、あらかじめ立てた計画通りに、なんでもきっちり進めたい人は辛くなりそう。予測できない出来事や意見も、ある程度おおらかに受け止めるような、どっしりとしたスタンスの人が向いているかもしれません。取材中も終始、和やかにおしゃべりするようだったおふたりと関わって、そんなことを感じました。

加美町では、地域おこし協力隊の募集に向けて、現地をめぐるツアーも予定しているそうです。大河原さんや巴さん、町内の人たちとお話しできる貴重な機会だと思うので、ぜひ興味のある方は参加してみてください。

(2021/8/11 取材 宮本拓海)

※撮影時はマスクを外していただきました。

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