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地球の地下には何がある?
求む、未来の技術者

※この仕事は募集終了いたしました。ご応募どうもありがとうございました。

※寮管理人は募集を終了いたしました。ご応募ありがとうございました。(22/2/4追記)

先日、前澤友作さんの宇宙旅行がニュースになりました。

人類がはじめて月に着陸してから半世紀、すごい時代になったなと思います。

ひるがえって今回の舞台は地球の地下。地表から数十~数千メートル下の大深度と呼ばれるエリアです。

「人間がこれまで掘ったことのある深さは、りんごで言えばまだ皮くらい。人間は月に行けても、地面の真下には行ったことがありません。地下は未知の世界なんですよ」

掘削(くっさく)技術専門学校の講師である島田さんは、そう話してくれました。

2022年4月、北海道白糠町(しらぬかちょう)に『掘削技術専門学校』が開校します。

掘削とは、地面を掘ること。この学校は全国初の専門学校です。一年間で、機械を使って数十メートルから数千メートルまで掘る技術者を育てます。

あまり耳なじみのない職業かもしれませんが、身近な水井戸、温泉の掘削や、再生可能エネルギーの産出にも深くかかわっている掘削技術者。

今回はこの学校の第一期生と、生徒を支える寮の管理人を募集します。

 

 

学校がある白糠町は、太平洋に面した小さな港町。最近では、イクラやホタテを受け取れるふるさと納税に、全国から人気が集まっている。

北海道行きの飛行機を待ちながら「掘削」と画像検索をしてみる。すると、土を掘るショベルカーの写真が出てきた。

なるほど、よく見る工事現場のイメージかな。そんな想像をしながら釧路空港へと向かう。

学校は、釧路空港から車で10分の場所にある。

国道や街からは少し離れた静かなエリアで、キタキツネも見かけた。5月に完成したばかりの校舎からは、海も一望できる。

職員さんと敷地を歩いていると、とんでもない高さの機械が目に飛び込んできた。

「あれが掘削機械です。高さは43メートルあります」と職員さん。

43メートル…。掘削って、ショベルカーで掘るんじゃないんですか?

「ああ、よく言われます(笑)。でも規模が全然違いますね。あの機械も現役から引退していますが、3年前まで、地下2千メートルの深さを掘っていたんですよ」

 

 

今度は、学校の理事長である沼田さんが教えてくれた。

「掘削というのは、私たちの身の回りでも幅広く使われている技術です。日本人が好きな温泉を掘りあてるのも掘削ですし、地球内部の熱水を使った発電もできますからね」

水井戸や温泉のほか、地震の観測にも掘削が活用されているそう。深さ数百メートルから数千メートルの井戸を掘ることで、地震の規模を分析したり、予測に役立てたりしている。

そして、風力発電機を建てる際の地質調査や、火力発電などで生じた二酸化炭素の地下貯留にも掘削技術者が活躍しているという。

「そして私がもっとも重視しているのが、地熱エネルギーです」

「地球の熱エネルギーによって発生する水蒸気を採取して、タービンを回して電気を得る方式ですね。実は日本は、地熱エネルギーの資源量は世界で第3位。日本の地下には、ものすごい量のエネルギーが眠っているんです」

地熱エネルギーは24時間安定して使うことができて、石油のように枯渇することもない。二酸化炭素を排出しない地球にやさしいエネルギーとして、近年注目が集まっている。

それに大地震の発生が予測されている日本にとって、ブラックアウト時も安定して発電することができる地熱発電は、人の生活を守るとりでにもなる。

そんな背景から、沼田さんは全国で地熱発電所を建設している。

「ただし今、掘削業界には非常に大きな課題があります。若い世代に技術の継承ができていないんです」

これまで日本では、ごく一部の大学をのぞいて、掘削技術を教える学校がなかった。さらに現場仕事のイメージが先行して若手が定着せず、技術者の高齢化が進んでいる。

そんな背景もあり、日本における地熱発電の設備容量は世界第10位。

莫大な地熱エネルギーが眠っているにもかかわらず、大きく出遅れているのが現状だ。

「掘削技術者は、60代で若手と言われます。今はモンゴルやヨーロッパから技師を呼んでなんとか掘削している状況です。近い将来、海外に頼まないと掘削できなくなるでしょう」

「日本は戦後、高い掘削技術をもつ先生たちが業界を引っ張ってきました。その方たちももう引退する時期。あと10年もすれば、日本人の技師はいなくなります」

第一線で活躍してきた技術者から、若い世代に知恵や経験を伝えてもらいたい。

そんな想いで開校するのが、この学校だ。

「掘削技術者は、社会にとっていちばん重要な仕事のひとつだと私は思っています。家族や社会を守る仕事だと理解して頑張りたいという方に、ぜひ来ていただきたいんです」

 

 

学校の特長は、第一線で活躍する技術者や、掘削を発注する企業のプロたちが講師となること。

そのまとめ役を担っているのが島田さん。掘削技術者としてキャリアをスタートし、国内最深度を掘れる会社の社長を務めた方だ。

「先日、無事に教科書の執筆が完了しました。今はカリキュラムを考えながら、授業の資料を作成していて。バタバタです(笑)」

学校では、卒業後に2つのキャリアを想定している。

一つは技術者。もう一つは、企業で発注側に立つ管理者だ。

どんな授業が受けられるのでしょうか?

「まずは掘削の基本です。座学はもちろん、掘削現場で使う機械を利用した演習もたくさん用意しています」

一工程が長期にわたる掘削現場。

新人は、ひととおり現場を見るだけで最低一年はかかるという。

「現場は24時間稼働しているので、ゆっくり覚える時間は正直ないんです。機械やネジの違いを知りたくても、機械を止めるわけにはいきません」

「ですからこの学校では、教科書で写真や図を見るだけじゃなく、自分の手で機械を触ったり、部品を比較したりしながら『ああ、こうなっているんだな』と理解していただく。現場に入ってからもちゃんと動けるように丁寧に教えたいと思います」

井戸を掘ってから廃棄するまでの流れ、機械の操作、データの読み取り方。伝えられる知識や技術はたくさんある。

ただ、一年間という限られた時間。学校に通ったからといって、すぐに活躍できるわけではない。

掘削の現場は交代勤務制で体力が必要な面もあるし、数か月から数年、山の中の現場で働くことだってある。その環境に合わずに、数年で去っていく若手も多かった。

だからこそ学校では、「なぜ自分は掘削を仕事にするのか」を考える機会をつくりたい。

「生徒さんには、具体的な技術講習に入る前に、掘削とはどんな技術なのか、どう使われているのかからお話ししたいと思っているんです」

「それはひいては、今後自分たちがどう社会に関わろうとしているのか、何をするべきかの道しるべになるんじゃないかな」

大学卒業後、40年以上掘削に携わってきた島田さん。

地熱発電所の建設のほか、雲仙普賢岳のマグマのコアサンプルを採取するプロジェクトなど、さまざまな現場で働いてきた。

「いま、人間は月に行けるでしょう。本当にすごい技術だと思います。でも私からすれば、月は目に見える世界なんです」

「対して我々が掘る地下は、1センチ先も見えません。トラブルが起きても、常に地下を想像して対処するしかない。そんなときに何が頼りになるかといえば、油や泥水で汚れながら掘っていった自分自身の経験なんです」

トラブルに対していろいろな対応策を考えて行動してみる。なんとか対処ができる。ただ、本当のところは何が効いたのかは誰にもわからない。

思うようにいかないことも多いけれど、だからこそ夢中になれる。

「やってみてすぐにできてしまったら、それで終わりじゃないですか。一口に掘削といってもそのたびに起こることは違います。それに自分の知恵と経験で対処していくのが、掘削の面白さだと思うんです」

 

 

掘削の基礎知識に加えて、もう一つの軸になっているのが安全教育。

担当するのは佐々木さん。町内で土木会社を営んだのち、職業訓練校で13年間、建築や土木の技術を教えてきた。

「掘削現場はやさしい場所ではありません。現場では教科書に載っていない状況も起こるし、油断すると命に直結しますからね。事故を未然に防げるよう、きっちり指導させてもらいます」

学校では基本的な掘削技術のほか、クレーンの取り扱いやハーネスを使っての作業など、関連する技能の授業もおこなう。

これらの経験を生かして、最終的には、国家資格である削井(さくせい)技能士を目指すことになる。

向き不向きはあるんでしょうか?

「いちばん差が出るのは、好き嫌いなんですよ。職業訓練校でも、ほとんどの人は最初おそるおそる触るんです。でも、ずっとこういうのやってみたかったんだ!って人はどんどん伸びていきます」

大きな機械も、基本を守って操作すれば思い通りに動いてくれる。だから佐々木さんは、最初の授業で「機械を嫌いにならないでね」と声をかけるのだそう。

「興味さえ持ってもらえたら、年齢も男女も関係なく吸収していけます。それは安全教育だけじゃなくて、この学校で学ぶことすべてに言えるでしょうね」

 

 

学校開設は、お話を伺った全員にとってはじめての経験。それぞれの立場で、「この学校を出たことを誇りに思ってもらえるような学び舎にしたい」と語ってくれた。

それは生徒を支える人たちも同じこと。

寮の管理を請け負う株式会社きたみらいの岸山さんと、オンラインでつないでもらった。

「今回は、寮の管理人さんも募集したいと思っています。具体的にはご夫婦での着任を想定していて。生徒さんを一歩引いて支える役割を担ってほしいんです」

寮は学校の敷地内にある。管理人さんも、この寮に住み込むことになるそう。

一日の流れは、どんなイメージですか。

「平日は朝食をつくって生徒さんを送り出し、昼間は日誌作成や夕食の準備。生徒さんが帰ってきたら夕食をお出しして、片付けをして終了です。土日は、来客対応や荷物の受け取りがメインですね」

寮の掃除は、専門スタッフがおこなってくれる。食事も栄養士が作成するメニューにそって調理する仕組みで、簡単な調理で済むようにカット野菜などを活用するそう。

着任の想定は3月頭。最初の2週間は町外にいる岸山さんもやってきて、現地で研修をおこなう。

「私どもは、言ってみれば黒子です。あまり出しゃばらず、でも困ったことがあれば誠実に対応する。経験は不問ですが、その姿勢を持っているかは重視します」

「肩ひじ張らず、生徒さんをお子さんやお孫さんのように優しく見守ってくださる方なら大歓迎です。せっかくですから、白糠での生活も楽しんでいただきたいですね。白糠は夏も過ごしやすいですし、おいしい食べものもたくさんありますから」

 

 

専門学校は数あれど、第一線で活躍している方々から直接教わることができるのは貴重な機会だと思います。そしてここで出会う仲間も、同期としてつながりが続いていくはず。

SDGs時代のいま、これからますます必要とされていく掘削技術。その未来を担っていきたいという人を、この学校の皆さんは楽しみに待っています。

(2021/11/27、12/4~5 取材 遠藤真利奈)
※撮影時はマスクを外していただきました。

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