求人 NEW

心身共に満たされる
心潤う御所を
まちづくりの宿から

※この仕事は募集終了いたしました。ご応募どうもありがとうございました。

地域に賑わいを取り戻す。

それは多くの地域で求められていることであり、同時に苦戦していることでもあると思います。中心となって活動を引っ張り続ける熱量も、時間もお金も必要になる。

そんなまちづくりに、地域で眠る古民家を活用して取り組んでいる人たちがいます。

奈良・御所(ごせ)。

奈良県の中西部、奥大和と呼ばれるエリアに位置する歴史あるまちです。

ここで始まっているのが、銭湯を中心としたまちづくり。

13年前に廃業した銭湯「宝湯」を復活させると同時に、古民家を改修した宿とレストランをまちなかにオープンし、新しい人の流れを生み出す事業がスタートしています。

今回募集するのは、その宿の支配人とスタッフ、そしてレストランのシェフです。

 

御所は、京都から近鉄を乗り継いで2時間ほど。橿原(かしはら)神宮で有名な橿原市の南西に位置している。

まず向かったのは、御所から橿原市を挟んで北にある、田原本(たわらもと)町。ここに、御所のプロジェクトを動かしているNOTE奈良が手がける宿、「NIPPONIA 田原本 マルト醤油」がある。

2年前にできた宿で、現役の醤油蔵でありながら、敷地内の建物に泊まることができる施設。レストランもあって、搾りたての醤油や地域の野菜を使った料理も楽しめる。

「NOTE奈良では、『NIPPONIA HOTEL 奈良 ならまち』とこの『NIPPONIA 田原本 マルト醤油』、ふたつの宿を手がけていて。3つ目の施設になる御所は、宿だけじゃなく銭湯とレストランも一緒につくるので、会社としても新しいチャレンジになりますね」

そう話してくれたのは、NOTE奈良の渡辺さん。

NOTE奈良は、奈良県内で古民家活用事業を手がけている会社。

住み手のいなくなった古民家を改修し、その土地や建物の歴史、周辺地域の文化などをコンセプトに取り入れ、1泊4万円ほどの宿やレストランとして活用している。

「NIPPONIA HOTEL 奈良 ならまち」が2018年、「NIPPONIA 田原本 マルト醤油」が2020年にオープン。3つ目の施設として今年の10月にオープンするのが、御所でのプロジェクトだ。

「13年前に廃業した宝湯という銭湯があって、そこをどうにか活用できないかと相談が来たのが始まりでした。銭湯の改修って普通の古民家よりもコストがかかってしまうので、それをまかない、かつ滞在型の観光拠点にするために宿とレストランを一緒にした事業にしようと、全部で4つの施設を工事しています」

ひとつは、13年前に廃業した宝湯。コンセプトは「賑わいの湯気を再びの『宝湯』」で、内装も一新してサウナ付きの銭湯にする予定なのだとか。地域内外から老若男女さまざまな人が集い、活気が生まれる場所にしていきたい。

そしてその宝湯から歩いて5分ほどの場所にあるのが、ふたつの宿泊施設。

一つはモリソン万年筆という万年筆屋さんが始めたカフェバーに隣接している古民家で、「見つめる、綴る、嗜みの時間」をコンセプトに、1泊4万円ほどの宿泊施設に。自分自身や大切な誰かと向き合える場所にしていきたい。

もう一つは自転車屋だった建物で、サイクリスト用の宿として1人1万円以下で泊まれるように。コンセプトは、「こいで、食べて、飲んで。宿チャリンコ(仮称)」なのだそう。

そして、もともとタバコ屋さんだった建物を活用したレストランもつくる。昼は地域の人や子連れの家族でも気軽に入れる陽気なお店、夜は観光客をはじめカップルや大切な人と時間を過ごしたいと思える落ち着いたお店に。席数は20席ほどで「気の張らない上質な時間を」をコンセプトに、朝食、ランチとディナーを提供する予定だ。

「御所というエリアのなかで、この4つの拠点を回遊してしていただくというのが、今回の事業で。宝湯をまちの社交場として、地域の人も外から来た人も、銭湯を通してつながってもらえるような場所にしたいんです」

たとえば、サイクリスト用の宿はシャワールームのみ設置する予定なので、桶にタオルや石鹸類が入った銭湯セットを渡して、宝湯に足を運んでもらう。

高価格層向けの宿泊施設でも宝湯を紹介するのはもちろん、隣にある万年筆屋さんと一緒に企画を考えてみても面白いかもしれない。

また、御所の街並みも大きな地域資源のひとつ。御所は江戸時代初期に形成された陣屋町で、家々の間を水路が流れ、昔ながらの街並みが維持されている。

周辺には葛城古道など、観光資源がある一方で、現状は日帰り観光が中心。今後銭湯をきっかけに、「泊・食・湯」の滞在型観光のまちづくりを推進し、泊まりがけの観光客を呼び込んでいきたい。

宿やレストランを訪れる人が、宝湯で地域の人と一緒に湯に浸かる。面白い場所になりそうですね。

「これまでは宿だけつくることが多かったんですが、地域の人の目線でいったら銭湯ができるほうがうれしいと思うんですよ。外からの人の流れをつくるのはもちろん、地域内の人にも喜んでもらえるような場所にしたいですね」

今回募集する宿の支配人は、価格帯の異なる2つの宿泊施設を統括する立場になる。

またシェフについてはイタリアンなどの洋食を提供する予定で、ランチ3千円、ディナー8千円ほどの価格を想定しているとのこと。    

「支配人とシェフ、両方に言えるのが、宿泊施設やレストランのプロになるんじゃなくて、まちづくりのプロになってほしいっていうことなんです」

まちづくりのプロ。

「たとえばシェフだったら、ただ料理をつくるだけじゃなく、御所にどんな食文化があって、どんな農作物が育てられているのか。そういうところまでしっかり噛み砕いて、料理のなかに落とし込んでほしいと思っています」

御所にはもともと薬草文化が根付いていて、大和当帰などの薬草を栽培している農家もある。また奈良全体に範囲を広げると、大和丸なすや大和いもなど、昔から栽培されている大和伝統野菜があるので、そういった食材の背景を知っていくのも面白いと思う。

「せっかく地方にいるんだから、この場所の歴史や地域の生産者との距離感の近さを面白がってくれる人だといいなと思うんです。宝湯にはすでに熱い銭湯ボーイがいるので、彼と一緒に事業を盛り上げていけたらいいなと思っています」

 

このプロジェクトの一番の鍵となる宝湯の責任者が、NOTE奈良の太田さん。渡辺さんが話していた、熱い銭湯ボーイとはこの人のこと。

「銭湯はずっと好きやって。実家から車で10分くらいのところに、物心つくころからずっと行ってた銭湯があったんです。僕の自我が覚醒したのもその銭湯で、水風呂に浸かったときに自我が目覚めたんですよ。水風呂で冷えちゃって、『あったまりに行ったんちゃうんかい』って帰り道に親父に怒られたことまで覚えてます(笑)」

小中高と成長するなかでも、銭湯で働きたいという思いを持っていた太田さん。一方で、番頭で生計を立てていくのは難しそうな現実も見えてきて、大学卒業後は一般企業に就職した。

「しばらく勤めてたんですけど、やっぱり俺は銭湯やりたい!って思って。最近は若い人で銭湯を経営する人も増えてきたから、工夫すればやっていけるはずやと。奈良中の銭湯をばーっとあたって、あと継がせてくれませんかって、聞いてまわりました」

「ひとつだけ継がせてくれるところが決まりかけたんですけど、結局流れてしまって。会社も辞めたしどうしようかなと思ってたときに、NOTE奈良の人と出会って『銭湯やれますよ!』って。奇跡的に拾われましたね」

そんなことがあるんだっていう偶然ですね。

「ほんとにそうで(笑)。最近は滋賀県にある『都湯』さんへ修行にいって、運営の仕方とかをいろいろ学ばせてもらいました。こういう銭湯にしたいっていう思いはいろいろあるんですけど、それを強く出しすぎないほうがいいんだろうなと、今は考えていて」

どうしてでしょう?

「銭湯って、公衆浴場なんです。赤ちゃんからおじいちゃんおばあちゃんまで、みんなが来れる場所」

「それを守っていくためには、どんな人も受け入れる器の広さみたいなものが必要で。だからこっちからこういう人に来てほしい、って決めるんじゃなくて、人に来てもらうなかで宝湯の雰囲気というものができていくんだと思うんです。ほんまにそう思ってます」

銭湯の運営に関しては、太田さんが中心となって進めていく予定。もちろん、宿やレストランとの連携は欠かせないので、新しく入る人も太田さんと関わることは多いと思う。

なにより、近所に銭湯がある生活ってあこがれます。

「僕、会社員時代のしんどかったときは、月曜日のブーストと水曜のブースト、そして金曜のおつかれ銭湯をやってたくらい、平日でも通ってました(笑)。今日もすでに銭湯の話をしてるから行きたくなってます。地域の人にも外の人にも、日常的に行きたいって思ってもらえるような場所にしていきたいですね」

 

最後に話を聞いたのは、NOTE奈良の東川さん。東川さんは地元が御所なのだそう。

もともと宿泊事業を展開する会社で働いていたのもあり、御所の宿でもオペレーションの構築などに携わる予定。新しく入る人にとっては頼りになる存在だと思う。

「わたし高校ラグビーが好きなんですけど、近くにある御所実業っていう高校が毎年全国大会に出場するくらい強くて、小さいころから応援していて。それもあって地元への親しみは昔からあったんです」

「あと実家の酒屋が商店街の一角にあるんですけど、私の小さいころは商店街がとても賑わっていて。でも今は、まわりの店もほとんどが廃業してシャッター街になってしまっているんです。それが悲しいなって思ったのも、地元に戻ってきたきっかけのひとつでした」

東川さんは、昨年の3月から事業に加わっている。現在はマルト醤油の運営をサポートしながら、10月のオープンに向けてさまざまな準備をしているところだ。

「わたしが一番やりたいなと思っているのは、地域雇用なんです。このマルト醤油でも、近所のお母さんたちがパートで楽しそうに働いてくれていて。やっぱり地域の人に受け入れられて、愛されるっていうことがすごく大切なんだなって」

「地域の人が働きたいと思ってくれる、誇れる場所にしていくことで、想いの乗った言葉で御所の魅力をお客さまに届けられると思うんです」

支配人の実務的なところでいうと、シフト管理や黒字化を狙ったプランづくり、スタッフのマネジメントなどが軸にある。

その上で、地域の人に案内してもらうまち歩きなど、御所ならではの体験ができる宿づくりを進めていってほしい。

東川さんは、どんな人に来てもらいたいですか?

「支配人もシェフも、ある程度の経験は必要なのかなと思っていて。あとは、地域の人に愛される、一緒にお酒飲みたいって思えるような人、でしょうか」

「歴史が好きでも、銭湯が好きでもいい。御所にはいろんな面白いところがあるので、なにかしら御所のことを好きになってくれて、楽しそうに働いてくれる人がいいなと思います」

取材の最中も、銭湯と宿の構想や最近行ったおすすめ銭湯の話、NOTE奈良で企画したテントサウナの話など、とにかく楽しそうに今取り組んでいることについて話してくれる姿が印象的でした。

銭湯好きも、そうでない人も。ふっと肩の力を抜いて、ここでの取り組みを楽しんでみる。それがそのまま、御所を元気にする原動力になるのだと思います。

(2022/1/19 取材 稲本琢仙)
※撮影時はマスクを外していただきました。

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