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大きな裁量で
瀬戸内の町を
ひとつにするプロモーション

※日本仕事百貨での募集は終了いたしました。再度募集されたときにお知らせをご希望の方は、ページ下部よりご登録ください。

たとえば大企業で働いていると、実際に携われる仕事内容が一部分だったり、社内調整に時間をとられたり。社会に対するインパクトが大きい反面、自由に動くことができない側面があると思います。

社会への影響力は持ちつつ、自由に裁量を持って働きたい。

そんな人に知ってほしい仕事があります。

広島・竹原市。

瀬戸内海の豊かな自然と温暖な気候に恵まれた場所で、人口は2万3000人ほど。

うさぎで有名な「大久野島」や、塩づくりで栄えた「たけはら町並み保存地区」。江戸時代からの郷土料理「魚飯」や竹の工芸品など、さまざまな観光資源があります。

ただ、現在はこれらの資源を活かしきれていない状況。

一般社団法人竹原観光まちづくり機構は、この現状を改善していくためにできた官民連携の組織です。

今年の4月に6名のメンバーで事業を始めたばかり。

観光資源のブラッシュアップや、町のブランディング、古民家の活用など、町の人を巻き込みながら、地域を盛り上げようとしています。

今回は、主にプロモーション事業を担当する人を募集します。

どうすれば竹原にもっと人を呼び込めるのか。

今は、地域の合意形成や全体の計画をしているところ。それらを具体的な行動プランに落とし込んで、実行していく役割です。

上司はいますが、個人の裁量が大きく、決まりきった仕事はありません。未知の環境に飛び込むのが好きな人にオススメの仕事です。

 

広島に飛行機で訪れるのは初めて。

到着ゲートを抜けてバス乗り場へ向かう。

てっきり路線バスが停まっていると思ったら、待っていたのは民間の乗り合いタクシー。竹原市内へ毎時1本の間隔で走っているという。数名の乗客と一緒に中心部へ。

道はほとんどまっすぐで、フロントガラスから見える山を眺めながら、のんびりと南下していく。

空港からの距離は近く、20分ほどで竹原駅に着いた。

駅のまわりには、こぢんまりとした商店街が広がっている。昔からあるような喫茶店もあって、静かな雰囲気。

まず向かったのは、竹原市役所。

中に入り、階段をあがって2階へ。

いろいろな課を横目に奥へ進むと、竹原観光まちづくり機構の事務所に着いた。

席について、はじめに話を聞いたのは、中川さん。

もともと竹原市役所でずっと働いてきた方で、今は事務局次長と総務課長を兼務している。

「昨年の12月に法人が立ち上がって、本格的に4月から事業が始まりました。今はバタバタした気分ですね」

竹原市役所が主体となって、商工会議所や観光協会とともに立ち上げた竹原観光まちづくり機構。

どうしてこの組織を立ち上げることになったのでしょうか。

「竹原の観光振興の課題として、観光客が少ないこと、そして観光客の消費額が少ないことの2点があります」

竹原市の観光の全盛期は、おおよそ10年前。NHKの連ドラ「まっさん」が放送されたとき。主人公の竹鶴政孝の出身地ということで、ロケ地を訪れる人が多かったという。

「年間の観光客数のピークは130万人ほどです。それがコロナ禍のときに60万人ぐらいまで下がってしまって。今は90万人ほどで、徐々に回復しています」

「あとは、どんなものが観光客に刺さるのか。成功事例があっても、それを共有する場がなくて。各事業者さんが独自に商品開発やプロモーションをおこなっている状況でした」

町を盛り上げるためにも、町全体が潤うような仕掛けをつくりたい。

とはいえ、行政だけでは動きづらいこともある。そこで、官民が協力することで、よりスピード感をもって課題を解決しようと、竹原観光まちづくり機構ができた。

「竹原には、うさぎ島、町並み保存地区、湯坂温泉郷という大きく3つの観光資源があるんですけど、それをひとつの竹原ブランドにできていなくて。同じ方向を向けるように、計画をつくっているところです」

「町並み保存地区については、すでに古民家を活用したホテルなど、古民家物件の利活用が始まっています。市の保有物件についても、民間に貸してテナントに入ってもらうとか、具体的な計画に落とし込もうとしている段階です」

事業の大きな柱は、竹原ブランドづくりとプロモーションの2つ。

そのほかにも、古民家の再生や、ふるさと納税の返礼品やお土産品の開発、販売ルートの開拓。また、市から移住サポートセンターの業務も委託されている。

「将来的には、地域DMOになることを目指していて。いわゆる地域商社ですね」

地域の稼ぐ力をあげていくためにも、やることは山積みだ。

 

事業課長の内藤さんは、今年の4月に入ってきた方。

前職は旅行会社で30年ほど海外にいた経験を持ち、竹原観光まちづくり機構では、海外・国内のプロモーションを担当している。

新しく入る人は、内藤さんのもとで働くことになる。

「面接のときに、町並み保存地区やうさぎ島の魅力、魚が美味しいという話をいろいろ聞いて」

「観光地としてはまだまだ可能性があるように感じたんです。大きな都市だと根回しも大変だと思うけど、人口規模も2万3000人ぐらいなので、スピード感を持って動けるんじゃないか。そう思ってやってきました」

最初に取り組んだのは、海外へのプロモーション活動。

内藤さんはまず、一緒にプロモーション活動をおこなう旅行会社を公募し、第1弾として香港へのアプローチから始めた。

「認知拡大に向けて、インフルエンサーを起用してSNSで広めるとか、方法はいろいろあると思うんです」

「そのなかでも、やっぱり我々が現地に行って雰囲気を感じ取ったり、向こうの人に話を聞いたりすることが必要なんじゃないかと。それで、香港の旅行展覧会に出展しました」

香港では、何か発見はありましたか?

「たとえば、団体旅行にも対応できるビュッフェスタイルの食事ができますって、レストランをご案内するじゃないですか。すると現地の旅行会社の人から、『人気の料理がなくなったら参加者同士で喧嘩になるから、ビュッフェはやめてください』って言われて」

「『食事の補充ができないなら、みんなが平等になるようにセットメニューにしてください』みたいな。こういうのは現地に行かないとわからないですよね」

また、高い付加価値を求められているとも感じたという。

「たとえば、山梨って日本で一番ぶどうが有名なところ。広島も有名なんですよって説明したら、『いや、一番じゃないものは行かないです』って言われてしまって」

「香港の方に対しては、ナンバーワンとかオンリーワンっていうことをアピールする必要があるとわかりました」

ただ、ほかの国に行けば違う意見が出てくる可能性がある、と内藤さん。竹原へのインバウンドを増やすには、国によっていろいろな見せ方を考える引き出しの多さも大切。

現在は、中国語とタイ語でFacebookページを運用し、積極的に海外への発信もしている。今後も国内外問わず、どのような手法でプロモーションを仕掛けていけばいいのか、新しく入る人の力を借りて考えていきたい。

「ブランドの戦略づくりって初めてで。むずかしいのは、地域のみんながハッピーになるように考えないといけないところ。業種も違えば、方向性もマーケットも違うなかで、最終的にブランド戦略を立てないといけない。毎日悩んでいますね」

いまはまさに、地域内での合意形成をしているところ。

地域の人たちに声をかけ、ブランド戦略検討会議を実施。今後もワークショップなどを通して、地域の人たちの声を掬い上げながら、竹原ブランドをつくっていく。

「ある宿の支配人と話していて、『初めて修学旅行の団体客が来たんです』って聞きました。関西とか四国の公立の小学校は、よく広島に来ているんです」

そこで内藤さんは仮説を立てる。

インバウンドの影響で広島市のホテルが飽和状態になっているのではないか。そうなると、修学旅行を受け入れる余裕がないから、代わりに竹原に流れているのかもしれない。

「広島は竹原から車で1時間くらい。修学旅行の需要があるとなると、国内のプロモーションの方向性も変わってくるわけです」

「こういった情報は、実際に町を歩いて人に話を聞かないとわからない。すごく重要なことなんです」

また、竹原には面白い企業がいくつもある。ジャムで有名な「アヲハタ」や、作業用ゴム張り手袋で日本トップの生産量を誇る「アトム」、昭和13年から続くユニークな「松本煉瓦」など。

観光スポットの魅力を発信するだけでなく、地域の企業やプレイヤーと協力することで、このまちならではのプロモーションの形が見えてくると思う。

内藤さんがゆくゆく取り組んでいきたい、と教えてくれたのは、「シティロゲイニング」。まちなかに設置されたチェックポイントを制限時間内に巡る競技は、地域の協力あってこそ魅力になるイベント。

新しく入る人も、まずは地域内の合意形成をしていきながら、地域にお金が落ちるような仕組みを具体的に考えて、形にしていってほしい。

 

この仕事のやりがいについて、続けて話してくれたのは、移住事業を担当している山田さん。

市役所から出向してきた方で、町の人と一緒に移住体験ツアーを実施したり、都内の移住フェアへ出展したり。移住のプロモーション窓口も担っている。

「移住事業を通して竹原にやってきた人が、古民家を改修して台湾カフェをオープンしました。そんなふうに町のコンテンツが増えていく、町の景色が変わっていくのは、目に見えて変化を感じられる面白い部分だと思います」

「今後、古民家の活用もどんどん進んでいくと思っていて。新しく入る人の希望や適性に合わせて、移住促進や古民家の活用を手伝ってもらうかもしれません」

インバウンドに力を入れたい人はそれに注力できるし、逆に国内に目を向けることもできる。ほかにも、食を軸にイベントやツアーを企画してもいい。猫が有名な尾道と連携して、うさぎ島ツアーを開催しても面白そう。

主体性は求められるけど、内藤さんや山田さんと相談しながら進められる環境。

まだ計画段階なので、本当に一からつくっていくことになると思います。

これまでのスキルや経験を活かして、まちを変えていく。竹原は、その手触り感がしっかりとある場所だと思いました。チャレンジに飢えている人に、ぜひ飛び込んでほしいです。

(2023/10/12 取材 杉本丞)

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