求人 NEW

ほぼすべてが
答えのない仕事
カリモク家具の新しい場所

※日本仕事百貨での募集は終了いたしました。再度募集されたときにお知らせをご希望の方は、ページ下部よりご登録ください。

やり方が決められた仕事よりも、日々新たな道を切り拓いていくような仕事に取り組みたい。

そんな思いを持つ人へ、会社のなかで新しく会社をつくるような仕事を紹介します。

愛知県知多郡で80年続く、カリモク家具株式会社。

日本を代表する家具メーカーで、ダイニングテーブルやソファ、学習机など、木の温かみを感じられる高品質な家具を届けてきました。

そんなカリモク家具が昨年、東京・西麻布につくった「Karimoku Commons Tokyo」。自社ブランドのショールームのほか、ギャラリーやオフィス機能を兼ね備えたハイブリッドな空間です。

今回は、ここで働くスタッフを募集します。

主な仕事は、接客やPR、施設管理、ギャラリーのマネジメントなど。働くうちに新たな仕事が生まれる可能性も大いにあります。

愛知にある本社で働くメンバーとも協力しながら、新たな場を形にしていく仕事です。


地下鉄の表参道駅から、歩いて10分ほど。数々のアパレルショップを通り過ぎると、小学校や根津美術館が現れる。真っ直ぐ通りを歩いているのに、周りの雰囲気がどんどん変化していくのが面白い。

カリモク コモンズ トウキョウは、閑静な住宅街に溶け込むように佇んでいる。

1階のギャラリーを通り抜け、2階のショールームへ。

家具の一つひとつが存在を感じさせながら、空間全体で調和している。光がたくさん入るのも心地がいい。遠くには六本木のビル群がよく見える。

そんな空間の一角で話を聞いたのは、コモンズ立ち上げメンバーの中内さん。普段は愛知の本社で働いている。

コモンズは、1階がギャラリー、2階と3階はショールームで、「Karimoku Case Study」や「KNS」など4つのコレクションが展示されている。屋上には、開発中の屋外用家具が置かれ、耐久性の実験がされているのだそう。

「ここは、オフィスも兼ねていて。僕たちもショールームのテーブルと椅子で、仕事をしています。お客さまと入り混じることで、より柔軟な発想で仕事ができるという狙いがあります」

この日も端のテーブルで仕事をしている人がいた。一方で、同じ空間にはソファを見にきたお客さんとその対応をするスタッフも。

どんな場所かと聞かれても一言では言い表せない、さまざまな要素がある場所に感じる。

そもそも、どうしてこの場をつくることになったんでしょう?

「遡ると、オープン約10ヶ月前に、部署も異なるメンバー5人に突然声がかかったんです」

ミーティングに集まったのは、システム運用や新規事業開発など、多様なバックグラウンドを持つ若手メンバー。

そこで副社長の加藤さんから、カリモク コモンズ トウキョウの立ち上げを任された。

「そのとき、つくってほしいのは“バイブル”と、それを体現する“スペース”だと言われました」

バイブルとスペース。

「バイブルは、聖書っていう意味。これからカリモク家具が向かうべき場所、一歩先のあるべき姿みたいなものを表現してほしいと」

もうひとつ、スペースに課せられたのは「お客さまと自分たちスタッフが気軽にコミュニケーションをとれる場所」だった。

「僕たちは本社も工場も愛知にあって、ものづくりのことはわかるけど、それを選ぶお客さまのことは本当に見えているのか?と。建築設計事務所やインテリアショップが多いこのエリアで、自分たちのことを発信する場をつくることにしました」

形になった空間でその話を聞いていると、なるほど、と思えるけれど、当時は具体的なことは何も決まっていない状態。

先行事例もなければ、正解もわからない。そのなかで0から形づくってきたのが、中内さんたち「コモンズメンバー」だった。

「出された課題に沿って“カリモク家具”を表現するために何が必要か考える、まさに手探りの状態でした。さまざまな意見を交わすなかで、一つひとつ話し合いながら決めていきました」

たとえば、接客ひとつとっても、バランスがむずかしい。

空間演出のためのオブジェや植物にどれほどこだわるのか。単なるオフィスならお金をかける必要はないけれど、トータルで雰囲気をつくるためには力を入れなければならない部分でもある。

「このコースターは、ソファの切れ端の生地で、愛知にいるカリモク家具の職人さんにつくってもらったものです」

ソファ用のロックミシンで四辺を縫い合わせたコースター。糸がはみ出てしまう角の部分は、一つひとつ玉結びをして糸を中に引き込むという、細やかな処理をしている。

「そもそもコースターはいらないんじゃないかという意見もありました。でももし展示している家具に水の跡がついてしまったら、お客さまも気になってしまう」

「上司には、工場の時間を使ってまでやる必要があるのかと言われて。でも一度つくればずっと使えるものだし、これをきっかけに生地に興味を持ってもらえる可能性もあるからと、頼みこみました」

完成したコースターは、空間の雰囲気とマッチしている。かつ、カリモク家具の高品質なものづくりを間近で感じられるものになり、お客さんとのコミュニケーションのきっかけにもなっている。

自分の軸をしっかり持って、仕事に取り組んでいるのが伝わってくる中内さん。実は入社3年ほどで、以前は子ども服のデザインや店舗運営の仕事をしていたという。

長年働いているのかと思うほど、会社や日々の仕事について、自分の言葉で話してくれる感じがします。

「それは、コモンズのことを社内に伝える仕事をしているからだと思いますよ」

伝統ある会社のなかで、カリモク コモンズ トウキョウは最先端の新しい取り組み。

他部署のスタッフにも活動を理解してもらい、この場所を育てていくためには、社内向けのコミュニケーションも大切になる。


中内さんとともにその役割を担っているのが、東野さん。

新卒で入社して20年以上。普段は愛知で新規事業開発をしながら、コモンズ全体を統括・管理している。ここを小さな会社に例えるなら、総務部のような役割だそう。

「コモンズをカリモク家具本体とどう連携させていくのか、まだ模索中です」

カリモク家具には、エリアごとのショールームに展示している商品をWeb上で探すことができるシステムがある。

コモンズもそのシステムに連携させればお客さんにとっては便利かもしれないけれど、迷う部分もあるという。

「従来のショールームは、商品ごとに陳列されて、プライスカードも貼ってあります。でもここにはプライスカードはありませんし、場所がつくられた目的もこれまでのショールームとは異なっている」

「新しい挑戦をしている場所なので、セオリーをどこまで守って、どこから変えるのか、そのさじ加減がむずかしいですね。みんなで意見を交わしながら、でも決めるときは腹をくくって決めなきゃいけない」

展示されているコレクションも、従来とは趣が異なるものだそう。東野さんが開発に携わったものもある。

「たとえば、3階に展示してあるKNSは、2009年に生まれました」

「カリモク家具の製品の多くは、インハウスデザイナーがデザインを手がけることがほとんどでしたが、このコレクションは国内外の若手デザイナーと協業しています。まさにデザイナーと共に成長していくことを目指しています」

使用する木材は、広葉樹の小径木(しょうけいぼく)。幅が狭いため木材として値がつきにくく、従来はパルプチップとして利用されることが多いという。

こういった材料を使うことで、日本の木材や林業を持続可能なものにしたいという思いも込められている。

「デザインもコンテンポラリーだし、最初は社内でも、何をやってるんだろう?って思われていたと思います。10年経って最近ようやく取り組みが認められてきたかなと感じています」

KNSのように、カリモク コモンズ トウキョウも徐々にその存在が大きくなっていったらいいと思う。

「カリモク家具のなかでコモンズをどう位置付けるか?」という視点はベテランの東野さんたちに頼りながら、新しく入る人にはここでの活動をどんどん推進していってほしい。

「大きな会社とはいえ、整った組織に入る感覚で入社をされると、ギャップがあると思います」

「事務処理の方法ひとつとっても、『それすら決まってないの?』っていうこともまだまだたくさんある。一からすべてを一緒につくっていくつもりでいてもらいたいと思います」


新しく入る人は、愛知に拠点を置くメンバーと連携しながら、東京で仕事をする。

ここに常駐しているのが伊藤さん。日頃から一緒に働くことになるし、入社して1年ほどなので、新しく入る人に一番近い立場だと思う。

「もともと大学では理学部で、普通に就職をしました。でもずっとクリエイティブな仕事がしたいという思いがあって、デザインの勉強をするために学校に入り直しました。その後プロダクトデザインの事務所で働きはじめたんです」

「そのころ知り合った建築家の芦沢啓治さんが、コモンズの設計を担当されていると知り、そのご縁でオープン半年前に入社しました。大体の仕組みはできているんだろうなと思って入ったけれど、実際はまだまだこれからの状態でしたね(笑)」

建物のデザインから、ギャラリーの展示内容、施設の運営方法まで。全員が手探りの状態のなかで、一つひとつ形にしてきた。

カリモク家具という大きな会社に入ることと、その現状にギャップは感じませんでしたか?

「新しい取り組みだとは知っていたので抵抗はありませんでした。むしろ、セオリー通りこなすような仕事ではなくて、新しいチャレンジの一端を担えるというのは魅力だなと」

コモンズメンバーで、唯一ここに常駐する伊藤さんの仕事は、多岐に渡る。

デザイン開発業務をしながら、接客・案内や施設管理はもちろん、窓口として社内外からの問い合わせ対応、さらには花瓶に生ける花の調達やギャラリーの壁の補修まで。この場所にまつわることすべてに関わっていると言ってもいい。

カリモク コモンズ トウキョウでは常時5名ほどのスタッフが働くものの、伊藤さん以外は毎週愛知から異なるメンバーが派遣されているという。

「週のはじめには、展示の内容をみなさんに説明するのがルーティーンになっています。わかりやすいように事前に紹介の動画やマニュアルをつくることもあります。誰よりも展示内容を把握する必要があるという責任はありますね」

ギャラリーは定期的に展示内容が変わるので、次回に向けたリサーチをするのも仕事。出展者との打ち合わせや搬入の段取り、外部のサポーターと連携した広報など、スケジュールを立てて進めていく。

新しく入る人も、伊藤さんと分担しながら幅広い仕事を担うことになる。

アートやデザインについて、専門知識はなくても大丈夫。それ以上に、スケジュールを立てて段取りよく進める力と、チームメンバーと相談しながら仕事に取り組めるコミュニケーション能力が求められる。

「本当に、コモンズには正解がないんですよね。接客もしますけど、営業経験もないし、自分でも何が正しいのか、正直なところまだわからないんです」

「でも、カリモク家具を好きになってもらいたいし、コモンズという活動をもっともっと知ってもらいたい。そう思って日々手探りで取り組んでいます」

コモンズに関わるみなさんは、とても話しやすく、柔らかい雰囲気の方々でした。

はじめて取り組む仕事でも、流れのなかに身を置きながら、自分のやるべきことを見つけ、動いていく力のある人たちなんだと思います。

(2021/12/16取材 増田早紀)
※撮影時はマスクを外していただきました。
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