求人 NEW

何気なく、さりげなく
ここにしかないから
感動する観光

※この仕事は募集終了いたしました。ご応募どうもありがとうございました。

地域の魅力というのは、その場所でずっと住んでいると案外わかりづらいもの。

都会でもなく、田舎すぎるわけでもない。おそらく日本の多くのまちがそうなっていて、自分たちのまちの魅力はなんだろうと探し、広めようと考えている。

そこには、もしかすると外の人の存在や視点が重要になるのかも知れません。

福岡県川崎町。福岡市と北九州市からちょうど同じくらいの距離にある、山に囲まれた盆地のまちです。

今回は、このまちの観光協会の事務局長を募集します。

最初の3年間は地域おこし協力隊として。その後も勤務評価や条件にお互い合意したうえで、働き続けることができるとのこと。

今回は、事前に役場の方に教えていただいた川崎町の観光スポットを巡ったのち、インタビューさせていただく形になりました。

自分だったら事務局長としてどんなふうにPRできるだろう。そんなふうに、一緒に考えながら読み進めてみてください。

 

川崎町へは、福岡空港と北九州空港、どちらからも車で1時間ちょっと。今回は北九州空港からレンタカーを借りて向かった。

山沿いの下道を走っていくと、最初の目的地の「川崎町農産物直売所 De・愛」に着いた。

車を降りると、満開の桜。この歩道は昔線路だったそうで、歩いていて気持ちいい。

直売所には手づくりの豆腐や、まちの特産品であるりんごを使った「アップルクーヘン」「アップルバター」などの加工品、その奥には町内産の野菜が並んでいる。

ちょうどおじいさんが台車で大量の野菜を運び入れていて、山積みになっていた。「これはなんですか?」と聞くと、「高菜だね。今日はいっぱい採れたから持ってきたんよ」と話してくれる。

そのうちにおいしい食べ方まで教えてくれて、立ち話に。まちの人も、外の人に対してすごく親身に接してくれるように感じる。

一通り見てまわり、役場の方おすすめの「アップルクーヘン」を購入。

名前の通り、アップルパイとバウムクーヘンを合わせたような感じで、りんごのシャキッとした食感がおいしい。

仕事から離れそうな気持ちをおさえて、次の目的地である「ラピュタファーム」へ。キャンプ場とカフェがあり、建物の前ではヤギが飼われていた。

その向かいにあるのが、いちご園。いちごの量り売りや食べ放題ができるみたい。受付のお姉さんに許可をもらって、中に入らせてもらう。

いくつもある温室のなかに、いちごがずらっと並ぶ。おいしそう…。

お姉さんに話を聞くと、ちょうど今が旬の時期で、家族連れを中心にお客さんが多いという。この日もカップルと親子連れのお客さんが楽しそうにいちご狩りをしていた。

桜の咲く道に、産直の野菜や加工品。そしていちごやりんご。観光的にアピールできる点は、これだけでもたくさんある気がする。あとはどう見せるか、ということだろうか。

 

事前に紹介してもらった場所を回ったところで、川崎町役場へ。役場の敷地内に観光協会のオフィスがある。

「遠いところありがとうございます。いろいろと回ってこられたんですね」

そう迎えてくれたのが、商工観光課の一郎丸さん。役場の観光担当として、観光協会と一緒にまちの観光促進に取り組んでいる。

「アップルクーヘンも食べていただきましたか? 川崎町は町営の観光りんご園があって、九州ではめずらしくりんごが特産品なんです。とくにここ数年は、福島のりんご農家さんが移住してきてくれたのがきっかけで、品質もぐっと良くなって」

「りんごのほかにも、野菜全般がおいしいです。ブランド化して売り出しているわけではないんですが、そのぶんすごくお手頃に買うことができる。川崎には昔炭鉱があって、炭鉱夫たちはその日に稼いだお金を食べ物に惜しげもなく使うので、おいしいものが集まる地域だったという話も聞いたことがありますね」

町内の飲食店をまとめたパンフレットを見ると、たしかに数が多い。それも、ちゃんぽんやカレー、お好み焼き、からあげグランプリで金賞を受賞したからあげ屋さんなど、ジャンルはさまざま。

そういった食をはじめ、雪舟が築園したと言われる魚楽園など、歴史的なコンテンツも豊富な川崎町。

今回事務局長を募集するのは、これまでとは違った角度で観光をPRしていきたいと考えているからだそう。

「前任の方が昨年秋に退職されて。新しい人を考えたときに、外の視点からまちの魅力をPRできるような人に担ってもらうのがいいんじゃないかと」

「いちご園やりんご園といった観光スポットのPR以外にも、川崎町には『かわさきパン博』という大きなイベントもあるので、まずはその企画運営から入ってもらいつつ、新しい取り組みもしてもらえたらと思っています」

 

毎年開催している「かわさきパン博」。観光協会が立ち上がった2012年に始まり、県内外から50店舗ほどのパン屋さんが集まる、まちの一大イベントだ。

具体的にどんな仕事なのか、観光協会で働く藤岡さんに聞いてみる。

「関係団体との日程調整から、パン屋さんの募集や当日の運営まで、いろんなことを担当します。とはいえ、役場の商工観光課の方にもすごく協力していただいていて。規模も大きいので、いろんな人の力を借りながら、一緒に形にしていくイベントですね」

パン博には「川崎町の食材を使ったパンを販売する」という出店条件がある。

町内産のりんごを使ったパンなど、この日しか食べることができないパンを目当てに、県外から足を運ぶ人も多い。

「昨年はオンライン開催でしたが、今年はできれば現地開催したいと思っています。4月頃に実行委員会を立ち上げて、まずは開催方法を検討するところから、準備を進めていきます」

川崎町はパン博以外にも、町営りんご園の収穫祭や駅前イルミネーションなど、季節ごとのイベントが多い。

観光協会のスタッフは、それらのイベントの企画から準備、当日の運営まで担うことになる。とくに事務局長は、地域に顔を出す機会も多いそう。

ということは、地域に入っていくためのコミュニケーション力も必要になりそうですね。

すると、再び一郎丸さん。

「それは必要だと思います。まちの人の特徴として、仲間意識が強い面があって。たとえば、隣組っていう地域の自治会があって、定期的に顔を合わせて掃除をしたり、仲がいいところは旅行に行ったり。仕事だけでなく、暮らす上でも地域との関係性は濃いと思います」

なるほど。それは外から来た人もすんなり入れるものなんでしょうか?

「入れると思います。ただ、自分から積極的にコミュニケーションをとりにいく姿勢は大事かなと」

「このあと話を聞かせてもらうのは、移住してきて地域に溶け込んでいる方たちなので、なにかヒントを聞けるかもしれないですね」

 

続いて、役場から車で10分ほどの場所にある元小学校へ。数年前に閉校し、今は通信制高校の校舎兼、地域のコミュニティスペースとして使われている。

ここで迎えてくれたのが、まちで農林業などを営んでいる片桐さん。川崎町へは20年ほど前に移住してきた。

「以前は埼玉に住んでいたんですが、田舎に移住したいとずっと思っていて。犬を飼いたいとか、火を使った暮らしがしたいとか、田んぼや畑をしたいとか。やりたいことをざっと書いてみて、それができる場所を探してますっていろんな人に言って回ったら、知り合いが川崎町の空き家を紹介してくれて」

「集落の佇まいがよかったんですよね。川沿いに田畑と人家があって、山に抱かれてるような雰囲気で。最近は少なくなったけど、当時は薪でお風呂を焚いている家が多くて、夕方になると煙が上がってくるんですよ。それがいいなと思って決めました」

移住後は、以前からやりたかった田んぼや畑を実践。農機具も十分にないなか、手で田植えをするなど、試行錯誤する日々だった。

「最初は田舎のコミュニティに馴染むのがむずかしいなと感じました。たとえば、地元の人が使う呼び方で地域の人を呼んだら、『あんたに言われる覚えはないわい』って言われたり(笑)。たぶん、人間関係がちゃんとできてないのに空回りしてたんでしょうね」

「そこから隣組に入ったり、消防団に入ったり。いろんなところに顔を出すうちに、段々と仲間に入れてもらいました。僕の感覚ですが、1、2年は地元に馴染むので精一杯なのかなと。3年目くらいにやっと信用してもらえる。それくらい気を長くして来てもらうのがいいんじゃないかな」

片桐さんいわく、その温度感は町内の地域によっても異なっていて、片桐さんの住む地域は関係性がかなり濃いそう。

新しく来る人も、地域の人との付き合い方に迷ったら、片桐さんに相談してみるのもいいかもしれない。

「もちろん助けてもらうことも数えきれないくらいあるから。僕のモットーは、もらう・借りる・拾う、なんです(笑)。隣から野菜もらうとかしょっちゅうあるし、草刈機が壊れたって話をしたら、次の日に『使ってないからやる』って持ってきてくれたり。やっぱり田舎暮らしは持ちつ持たれつなんですよね」

「事務局長として来る人も、僕みたいに田舎暮らしがしたいとか、イベントを自分で企画することに興味があるとか。なにかやりたいことがあって、それが観光にもつながっているといいんじゃないかな」

 

後日、町内で「IKURI」というパン屋を営んでいる篠崎さんにもオンラインで話を聞かせてもらった。

もともとは福岡市内でパンをつくっていたそう。パン博をきっかけに川崎町のことを知り、4年前に移住してきた。

「パン博には1回目から参加しているんですけど、そのときに農家さんとお話しする機会があって。そこで食べた野菜がめちゃくちゃおいしくて、川崎の野菜すごいなと。それから福岡のお店にも毎週野菜を届けてもらって、パンに使ったりしていました」

「最初に食べたのが小松菜だったかな。小松菜ってちょっと筋張ったイメージがあったんですけど、川崎町のはシャキシャキしてて生でも食べれるし、まったく筋もない。こんなに違いがあるんだって、衝撃を受けましたね」

川崎町の農家は、小規模で野菜をつくっているところがほとんどで、町内の直売所くらいでしか手に入らないものも多いという。

「しかも旬の時期にしかつくられないので、この人参また使いたいなって思っても、次の週にはもうない、みたいな。もう住んで何年にもなりますけど、野菜のおいしさにはずっと感動しています」

たとえば、農家さんと一緒に野菜のブランド化を目指してもいいかもしれない。川崎町でしか買えない、という価値をつくることができれば、それはおのずと観光振興にもつながる。

IKURIでも、小松菜を練り込んだ食パンなど、川崎町産の野菜や果物を使ったパンをつくっている。4月末には、地元の野菜を楽しめる食堂もオープンする予定なのだとか。

本当に川崎町の野菜に惚れ込んでいるんですね。

「僕が移住する最大のきっかけが野菜でしたから。だから新しく来てくれる人も、おいしい野菜を観光に活用してもらうのがいいんじゃないかなって。流通しないぶん、ここに来ないと食べれないよっていうのは、まちに来てもらう理由になると思うんです」

「川崎のことをもっと知ってほしいなって、僕もすごく思っているので。なにか協力できることがあれば、ぜひ力になりたいですね」

 

種はたくさんあります。あとはそれにどう光を当てて、育てていくか。

自分の色を出して、川崎町の観光を引っ張っていってください。

(2022/3/29 取材 稲本琢仙)
※撮影時はマスクを外していただきました。

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