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ありのままで
つくる、たべる、つながる
食の探究者

2022年9月。地元産のこだわりの食材を五感で楽しめるレストランが、山形市にオープンします。

舞台となるのは、松濤園(しょうとうえん)。数寄屋造りの和室をリニューアルし薪火料理を楽しみつつ、空間全体で山形の食を堪能できる場です。

今回は、オープニングスタッフとしてホールスタッフを募集します。

ホール担当、マネージャー、料理人。肩書きこそありますが、料理やドリンク、サービスの内容や、生産者や地域の人を巻き込んだ企画など、垣根を越えて新しく加わるメンバーとともにつくっていきたいとのこと。

一人ひとりが食の探究者として、食をたのしみ、人をつないでいく。食のもつ可能性にワクワクする人に、ぜひ知ってほしい場所です。

 

東京から新幹線に乗って3時間ほど。山形駅から車で10分、道沿いに見えてきたのが、結婚式場のパレスグランデール。

建物の脇道から階段を登ると、2階の屋上部分が庭園になっている。奥のほうに、静かに佇む建物を見つけた。

木々の間からこぼれる日差しと、鳥のさえずりが心地いい。

「ここが今回の舞台になる、松濤園です」

そう教えてくれたのは、フードクリエイションジャパン(以下、FCJ)代表の武田さん。

山形で冠婚葬祭の式場運営を手がける、株式会社ジョイン。そこで料理を提供するグループ会社として設立されたのが、FCJだ。

結婚式やパーティーでの食事提供をはじめ、パレスグランデール内にあるレストランで、山形の食材を中心に季節を感じられる料理を提供している。

そして今回、ジョイングループ創業60周年を記念して立ち上がったのが、松濤園プロジェクト。創業時からある数寄屋造りの建物を、山形の食を楽しめるレストランとして改装する。

「結納や茶会、接待など、松濤園といえばこれまで特別なときのみ使われる建物でした。それを誇りにも思っていますが、限られた人にしか使われないことにもったいなさも感じていて。ならばと、FCJのこれからを体現するような場をつくることにしたんです」

松濤園のコンセプトは「eat local, feel the earth」。四季の移ろいを感じつつ、食へのつながりを広げ、深めていけるような空間を目指している。

「地域が主役になるようなお店にしたいと思っていて」

「山形に住んでいるからって、山形のことをよく知っているわけではないと思うんです。私自身もそうでした。ちょっと知るだけでとても面白いことがたくさんあるのに、知る機会がなかなかない」

たとえば、野菜。山形には150を超える伝統野菜があると言われていて、なかには一子相伝でひっそり受け継がれてきたものもあるのだとか。そのひとつ、「甚五右ヱ門芋(じんごえもんいも)」と呼ばれる里芋は、品種改良されることなく、室町時代から育て続けられてきたそう。

「まさかそんな背景があるなんて、ただ出されたものを口に運ぶだけでは知りえないじゃないですか。この種を残したい、と受け継いできた人たちの情熱に触れると、野菜ひとつへの捉え方も変わるはずで」

武田さん自身、県の有機農業やエコファーマーの推進委員会で委員を務めていたこともあり、実際に畑を訪れて生産者と話をする機会も多いそう。

そこで感じたのは、どの生産者も想いをもってものづくりに励んでいること。

「有機農法で育てている方とか、有機でなくとも持続的な生産方法を実践されている方とか。その想いや頑張りを知る機会があれば、生産現場に興味をもつ人が増えて、消費のあり方も変わっていくかもしれない。価値を認められることで、つくり手も育っていくと思うんです」

目の前の食材はどうやって生まれたのか。どんな人が、どんな想いでつくっているのか。自分の目で、舌で確かめるからこそ感動するし、興味も一段と深まっていく。

松濤園では食事を提供することにとどまらず、生産者に食材の話を聞くイベントや、発酵食品づくりのワークショップなど、五感で食を楽しめるようなイベントも仕掛けていく予定とのこと。

とはいえ詳細は、これから形にしていくところ。日々、生産者とコミュニケーションを交わすなかで、魅せ方を考えていきたい。

「つくり手と私たちの双方が、win-winになれたらと思っていて。『松濤園に関わると、なにかしらいいことがある』と思ってもらえるような存在になりたいと思っています」

長年、山形でハレの日の食を届けてきたFCJ。ここ数年は、コロナ禍の影響で余ってしまった食材を市場や生産者から買い取りフードロスにも対応。特別メニューとしてレストランで提供することもあったのだとか。

「里芋はチーズケーキに、牛乳はカッテージチーズに加工したりして。うちのシェフたちがいろいろ考案してつくったメニューがお客さんにも好評で、生産者から『実は相談したいことがあって』と、話をいただくことも増えました」

「地域と一緒に取り組むって、単に料理をつくることだけでは終わらない。つながりがつながりを呼んで、新たな扉を開いていく。松濤園では、食っていう私たちの得意分野を活かして、人と人をつないでいきたいと思います」

山形のゆたかな風土と、個性豊かな農産物、それを育てる生産者たちの想い。それらを食事や空間に落とし込んで、お客さんに伝えられるような場所をつくっていけると良いのだろうな。

 

現在、松濤園プロジェクトは武田さんを含め7人のメンバーで企画している。料理やドリンクメニューの開発、空間演出、イベントについて、日々それぞれがアイデアを出し合い、全員で店づくりを進めているところだ。

なかでも食事を手掛けるチームは料理長とシェフ、パティシエの3人。新しく加わる人にとって、オープン以降もっともよく関わることになる。

具体的にどんなことを考えているんだろう。まずは、シェフの松田さんに話を聞く。

「松濤園の館には、薪火グリルの炉をどんと入れる予定です。大きなものなので存在感がありますね。オープンキッチンだから調理の様子もよく見えます」

「庭にも釜をつくっていて、屋内と庭の区別なく行き来してもらいたいと思っていて。火の心地よさを肌で感じてもらいつつ、全身で食を楽しんでもらえる空間にできたらと」

こだわりをもってつくられた野菜や肉、魚といった素材を、化学調味料などは使わずに、薪火でじっくり調理していく。料理のジャンルに捉われることなく、素材の味を引き出せるような方法を日々考えているそう。

メニューはどんなものを想定しているんでしょう?

「定番のこれ、とかを準備することは考えていないです。つくりたい料理ありきで素材を探すのは、もうひと昔前の話で」

「その時期ごとに生産者さんのおすすめを取り入れていきたいと思っています。『これ使ってみて、おいしいから』と勧められたものをうまく使っていくのが、なんかこう、無理のない付き合いなんじゃないかなと」

無理のない付き合い。

「一年中、同じ食材を集めて同じものをつくり続けるのって難しい。価格の変動も大きいし、生産も大変。素材がいちばんおいしい時期につくるほうが楽しいし、価格も抑えられるし、お客さんにとってもいいと思うんです」

これまで和食の料理人として経験を積み、カフェなどでも腕を磨いてきた松田さん。

前職を辞めて今後どうするか悩んでいるときに知ったのが、松濤園プロジェクトだった。

「コンセプトはぼんやり決まっているものの、提供する食事の内容とかはまだまだ決まっていない段階で。このコロナ禍で新しいことに挑戦するって面白い、と感じて入社を決めました」

現在はメニューの考案や庭の手入れのほか、食材を提供してくれる生産者のもとを訪ねて、つながりを広げているところ。最近は、薪を確保するために果樹園へも通っているのだとか。

食材調達でも、メニューづくりでも、新しい取り組みを生み出していくという意味でも。生産者との関わりは大切になる。

新しく加わる人も、レストランにずっと居続けるというよりは、外へ飛び出して、生産者やお客さんの声を店づくりに活かしていけるといい。

「ここで何か学びたい、というよりは、『持っている力を活かしてここで何かしてみたい』と思う人に来てもらいたいですね。得意を活かして、一緒に考えながらつくれるような人に来てもらえるとうれしいです」

 

まさにそんな声がけで仲間に加わったのが、パティシエの原田さん。松田さんとは前職の同僚なんだそう。

「お菓子をつくるのも、食べるのも大好きなんですけど、長年冷え性に悩んでいて。食材のことを勉強しはじめてから、白砂糖が体を冷やすことを知って、白砂糖がたくさん使われたお菓子を食べることが怖くなってしまったんです」

「でも、自分がお客さまに提供しているお菓子には大量の白砂糖が使われている。仕事とはいえ、それって矛盾してないかと嫌な気持ちになって、だんだん働くことがつらくなってしまったんですね。そんなときに松濤園のことを知りました」

生まれも育ちも山形市の山間部。自然に囲まれて育ってきた原田さん。

火を眺め、ときに土に触れながら、食べものが生まれる風景をつくり手ともお客さんとも共有していく。そんな松涛園のあり方が「自分にぴったりな場所だ」と感じた。

今年の3月に入社して以来、松濤園で提供するスイーツのほか、フードとあわせて楽しむドリンクについても考えている。

「ちょうど先月から、庭にハーブを植え始めたんですよ」

「カモミールにミント、ローズマリー、セージ…。8種類くらい植えました。あとはブルーベリーも植えたかな」

これらは何に使うんですか?

「まずは薬草シロップをつくってみようかなって。自分自身がすごい冷え性だから、ただ飲んでおいしいだけではなくて、健康になれるドリンクやスイーツをつくっていけたらと思ってます」

ここ最近は庭での作業など、厨房を飛び出して日光を浴びる日が多く、睡眠も深くなったのだとか。

「働く人も、お客さんも健康になれるような場所にしたいですね。食にまつわるワークショップもいいし、ヨガなんかもできるといいかもって思ってて」

おもしろそうな食材やアイデアがあれば、すぐにプロジェクトメンバーに共有しているという原田さん。構想中の食事やイベントの幅広さを聞いていても、メンバーみんながこの空間を楽しんでいるんだと感じる。

新しく加わる人も、一緒に庭づくりをしたり、生産者のもとをめぐるなかで、アイデアを温めていくといいかもしれない。

松濤園のオープンは9月。7月にはお披露目会があり、それ以降は試行期間として関係者やお客さんを招きながら、本格的に店をつくっていく。

日々、きっといろいろな新しい出会いや発見があると思う。

その一つひとつ、ワクワクすることに丁寧に耳を傾け、表現する。その積み重ねの先に、理想の店がつくられていくはず。

食べること。

誰もが当事者であるからこそ、自分ごととして動くことが、誰かのためになっていく。とことん考え抜かれた空間は、自然と人を引き寄せる場所になるんじゃないかと思いました。

余白の多い仕事だと思います。食が好きな人、その楽しさを伝えていきたい人がいたら、ぜひ仲間に加わってください。

(2022/5/6取材、2022/7/26 再募集 阿部夏海)
※撮影時はマスクを外していただきました。

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