求人 NEW

ヴィーガンとアートの融合を
食と空間で表現する
ようこそ、UZUのなかへ

※日本仕事百貨での募集は終了いたしました。再度募集されたときにお知らせをご希望の方は、ページ下部よりご登録ください。

たとえばラーメンひとつとっても。醤油や味噌、豚骨など、多くが動物性の材料を使ってつくられています。

一方で、世の中には動物性のものを一切食べずに過ごす人もいます。僧侶の修行をしていたわたしも、修行時代は肉や魚を食べない生活をしていました。

食の選択肢が増えている今。自分が食べるものをどのように選択するのか、そしてどんな場で食すのか。未来はそれによって大きく変わり得る。

いろいろな選択肢があるなか、世の中に新しい提案をしている人たちがいます。

UZUが目指しているのは、地球に過大な負荷をかける現代の食産業、食生活について深く考え直すきっかけをつくること。

その手段のひとつとして、食材や調理法の試行錯誤を重ね、動物性食材を一切使わずにつくりあげた、ヴィーガンラーメンを提供しています。

ヴィーガンとは、肉や魚のほか、卵や乳製品といった動物性食品を一切食さない「完全菜食主義」のこと。ヴィーガンという食の選択肢が絶対正しいと考えているわけではなく、あくまで手段の一つとして捉えています。

今回は、UZUで調理担当として働く人を募集します。経験は問いません。

地球の未来を考えたとき、自分たちの食をどう選択していけばいいのか。それに加えて、食やアート、自然環境への意識を高く持ち、組み合わせることで、新しい価値やおいしさが生まれるんじゃないか。

UZUが取り組んでいることを、ぜひ知ってほしいです。

 

UZUのお店があるのは、東京・豊洲。

ゆりかもめの新豊洲駅から歩いて3分ほどの場所に、UZUが共同で事業を行っている「チームラボプラネッツ TOKYO DMM」がある。

テクノロジーとアートを融合させたクリエイティブ集団、チームラボが運営している施設で、光と音楽を使ったデジタルアートやVRを使った仮想世界の体験をすることができる場所だ。

平日にもかかわらず多くの人で賑わっていて、ほとんどが海外の人。

UZUのお店は、チームラボプラネッツの目の前にある。

メニューを覗いてみると、ラーメン一種類と、ドリンク、そしてアイス。すべて動物性食材を一切使わずにつくられている。

スタッフに声をかけると、少し離れたところにある事務所へ案内してくれた。

最初に話を聞いたのが、UZUの代表を務めている片岡良さん。UZUの本店がある京都にいるということで、電話で話を聞かせてもらい、後日写真をいただいた。

「今まで10業態、40店舗ぐらい飲食店を経営してきました。主に愛媛が中心で、そこから四国全体と広島、大阪あたりでお店を展開してきましたね」

ラーメンやお好み焼き、洋食など、多業態化を進めて成長。十数年間、経営も順調にいっていた。そのうち、片岡さん自身の考え方もだんだんと変わっていったという。

「正直、30代でばばっとやって、ある程度成功して。お金儲けだけを考えることに飽きちゃったんですよね」

「それだったら、世の中に少しでも価値を生み出すことをしたい。それで40歳くらいから、世界中を旅してみたんです」

その旅の途中、6年ほど前にヨーロッパで出会ったのがヴィーガン。海外では主にエリート層に広がっていて、社会的にも周知されていた。

「日本を見ても、畜産業は衰退気味だし、漁業もサスティナブルな取り組みが進んでいる。これからは、世の中がヴィーガン志向になっていくんだろうなと」

「ぼくはヴィーガンではないし、ヴィーガンの考え方が絶対的に正しいとは主張しませんが、人類のよりよい未来について考えたとき、未来がそちらの方向に動きつつあるのは見逃せないと思ったんです」

そこで考えたのが、ヴィーガンのラーメンを提供するお店をつくること。

これまでの飲食店での経験も活きるし、以前からつながりがあったチームラボと一緒に新しい事業をはじめようと考えていたのもきっかけになった。

そして生まれたのが、ヴィーガンとアートが融合した食を提供する「UZU」。

世界中で人気がある日本のソウルフード、ラーメンを、動物性食材を一切使わずつくり上げた「おいしさ」と、「アート」を掛け合わせることで生まれる体験を通し、環境問題や食の問題を考える機会をつくりたい。

そんな思いのもと、2020年に京都店、2021年に東京店がオープンした。

「UZUに関しては、あまり日本を視野に入れていなくて。最初から海外展開を考えてつくっています。それで京都と東京につくって、まずは外国人に来てもらおうと」

「時期的にコロナ禍で出遅れましたが、インバウンドが戻ってきた今は、売り上げもかなり上がっています」

取材の日も、たくさんのお客さんが訪れていて、そのほとんどが海外の人だった。

ラーメンは外に設置されているテーブルやベンチに加え、デジタルアートを施した特別な部屋のなかで食べることもできる。いわば、「食べる」という行為が作品の一部になっているようなイメージだ。

「チームラボが『認知の拡張』をコンセプトに掲げていて。アートが施された部屋で、ヴィーガンのラーメンを食べる。それが食に対する意識が変わるきっかけになればいいなと」

メニュー開発は片岡さんが担当していて、その味は2022年から2年連続でミシュランガイドに選ばれるほど。

ただおいしいものを食べて終わりではなく、UZUでの食体験を通じて「食べるということが命の連鎖につながっている」ことに気づく。そのきっかけの場になりたい、と片岡さん。

「ヴィーガンだからおいしくなくてもしょうがない、みたいな妥協は一切ない。普通のラーメン屋さんと同じ土俵で、うまい、まずいを判断してほしいです。給与についても同じで、飲食店だから安いんでしょ、っていうことにはしたくないと思ってます」

「レシピについてはいくらでも話せますけど、今日の取材で味のこだわりを語るつもりはなくて。食べてなんぼやろって思うんですよね」

まずは自分で食べて確かめてほしいと。

「お店に来たことがあるか、食べたことがあるか。そして食べた上で何を感じたか。それを言葉にしてくれる人じゃないと、わざわざここで働いてもらう意味がない」

「うちは世界で唯一の店のあり方をしている店だと思っています。命の連鎖とか環境のことを真剣に考えて食を提供している。厳しいことを言ってしまいますが、『ただのラーメン屋なんでしょ』とか『なんかアートと一緒だから映える店なんでしょ』っていう感覚では、働くのはむずかしいと思います」

 

東京店がオープンして2年ほど。オープン当初から前線で引っ張ってきたのが店長の朽原(くちはら)さんだ。

もともとは航空関係の仕事をしていたそう。コロナ禍で打撃を受けたのもあり退職し、自分が本当にしたいことを考えた末に出てきたのが、海外で仕事をしたいという想いだった。

「偶然知り合いに紹介してもらったのが、UZUのオープニングスタッフで。もともとラーメンがすごく好きだったので、ウェブサイトとかも調べて、UZUっていうのはすごいところだなと。おしゃれなラーメン屋だけじゃないっていうのがいいなと思いました」

はじめの2週間は京都店で社長の片岡さんにも学びながら、つくり方などを学んでいった。

海外出店の予定があることも、入社した大きな理由のひとつ。今後海外で働けるチャンスがあるというのは、朽原さんにとって大きなモチベーションになっている。

「今もインバウンドで海外のお客さまが多いので、会話とかも英語が多いんですよ。なので、英語力も向上できるという意味では、今の仕事にすごく満足しています」

一緒に働くなら、どんな人がいいでしょう。

「やっぱり一番は、コンセプトを意識してほしいっていうことですね。仕事をしながら、より良い未来について考えられる方に来てほしいです」

コンセプト、ですか。

「たとえば、UZUっていう名前の由来。チームラボの代表が徳島出身なんですが、徳島には鳴門の渦潮があるじゃないですか。その渦潮は、波や水質とかの連続性のなかで成り立っている」

「チームラボが掲げるボーダーレスっていうのも、連続性をあらわしていて。連続性を環境のなかで捉えて、環境汚染につながらないように、植物の小さな命からでも満足できる料理を提供したい。『ヴィーガンいいじゃん』って、共感してくれる方を増やしていくことは、より良い未来につながることだと思うんです」

境界を超え、既存の概念に縛られず、食に対する見方を変える。それはもしかしたら、世界をより良くすることにつながるかもしれない。

ここで、朽原さんがある画像を見せてくれた。

「アートでおもしろい話があって。ギュスターヴ・カイユボットっていう画家が描いた『パリの通り、雨』っていう絵があるんですけど、雨が描かれていなくて、傘で雨が降っていることを表現している。でも、日本の歌川広重が描いた浮世絵は、雨を線であらわしていて」

「アートを研究するなかで、人ってもともと雨は見えていなかったんじゃないか、っていう話があるんです。広重の雨の絵を見たことで、雨を線として認知できるようになったんじゃないかって」

なるほど… そう聞くと、アートっておもしろいですね。

「そうなんですよ。アートは人の意識を拡張する可能性がある。そんなアート空間で食べるヴィーガンの食事は、よりおいしく、そして発見があるものになるんじゃないか。これが、チームラボと一緒にやっている理由なんです」

アートが人の意識を拡張する。なかなか言葉にするのがむずかしいけれど、その果てしない可能性を、食を通じて探求しているのがUZUなのだと思う。

 

今まさに、アートやヴィーガンについて学びながら働いているのが、スタッフの片岡乃茂(のもん)さん。

朽原さんと同じく、京都で研修を受けたのち、オープニングスタッフとして東京に来た。

片岡さんは子どものころに英語を勉強していた時期があり、接客レベルであれば問題なく話せるそう。新しく入る人は英語に抵抗がない人であれば大丈夫とのこと。

ヴィーガンのラーメンをはじめて食べたとき、どう感じましたか?

「最初は京都のお店で食べたんですけど、『いや、もうこれでいいじゃん』って(笑)。すっごい美味しくて。チャーシューとか豚骨の出汁とか、そんなの全然必要ないんだって。ラーメンとして完全に成立しているなって思いました」

調理は、2、3ヶ月あれば習得できるとのこと。作業自体は単純だけど、タイミングやリズムなど身体で覚えないといけないこともある。

調理するなかで大変なことはありますか。

「常にクオリティの高いものを出せるように、自分だけじゃなくまわりの人の行動にも気を配ることが必要です。それをしながら、スピード速く手を動かす。そういうマルチタスク的な部分が、一番難しいっていうか、頭を使うところですね」

メニューでは動物性のものは一切使われていない。仕込みからレシピがしっかり決まっているので、それに沿ってつくれば味がブレることはほぼないという。

「出汁はオーツミルクをベースにしています。あとは昆布や味噌などを合わせていく感じですね」

東京店で出しているラーメンは一種類のみなので、オペレーション的には覚えやすいと思う。新しく入る人は、まずは仕込みや調理を覚えつつ、接客も柔軟に対応できるよう経験を積んでいく。

「外から調理場が見えるオープンキッチンスタイルなので、お客さまと距離が近い現場です。海外の方が多いのもあって、結構リアクションが大きいんですよ。食べ終わった後にわざわざキッチンの前まで来て、最高においしかった、と言ってくださる方もいて。それはすごくうれしいし、モチベーションになります」

「調理担当で、お客さまから直接感想をもらえるってめずらしい。なので、そういったやりとりも楽しめる人が来てくれたらいいなって思います」

 

取材後、楽しみにしていたラーメンを室内でいただきました。

全面鏡ばりの部屋で、不思議な雰囲気の光で照らされている。

コンセプトの話に出てきたように、鏡を見ている自分と空間の境界が曖昧になっていくような、新鮮な感覚。

ラーメンは、個人的に今まで食べたラーメンのなかでも一番おいしいんじゃないかと思うほどの味でした。

植物性のものだけでおいしさを感じる。その瞬間に人の美意識が拡張する。UZUが目指していることが、実際に食べることで実感できたような気がしました。

気になる人は、ぜひ一度食べに行ってみてください。まずは味を堪能して、アートにも触れて。

心動かされるものがあれば、ここでの仕事はおもしろいものになると思います。

(2023/9/11 取材 稲本琢仙)

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