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「働きたい」をあきらめない
社会を変える一歩を
塩尻から

※日本仕事百貨での募集は終了いたしました。再度募集されたときにお知らせをご希望の方は、ページ下部よりご登録ください。

子育てしながら働きたくても、時間の制約があって肩身が狭かったり、在宅介護とオフィス勤務は両立させづらかったり。体調や障がいなどで選べる仕事が限られていたり。

さまざまな事情で、働きたいけれど選択肢の狭さに悩んでいる人はきっと多い。身近で悩む人を見ていて、そのエネルギーを活かしきれない状況にもどかしさを感じることがありました。

そんな「働きたいけど、働けない」人たちが活躍する機会をつくっているのが、長野県にある一般財団法人塩尻市振興公社が運営するKADO(カドー)です。

自治体や企業からのアウトソーシング案件をもとに、未経験からスキルを身につけつつ、ライフスタイルと両立できるような働き方をワーカーに提供しています。

特徴のひとつは、社会的に注目の高いDX案件も多く受託していること。地方のDX化を推進する要の場としても、期待を高めています。

今回募集するのはプロジェクトマネージャー。事業をより拡大していくために新たにつくるポジションです。

マネジメント経験は問いません。大切なのは、世の中をより良くしたいという信念を持ち続けられるかどうか。そのために、はじめてのことにも果敢に挑戦していけるかどうか。

ここから新しいスタンダードをつくっていく、やりがいのある仕事だと思います。

 

新宿駅から特急あずさに乗って2時間半。いくつかの山を抜けると塩尻駅に着く。

駅から10分ほど歩くと、ショッピングモールが見える。その3階の一角に、KADOのオフィスがある。

向かいには遊具の置かれた広場があり、親子の楽しそうな声も聞こえてくる。

それに対してKADOの中は少し落ち着いた雰囲気。木のぬくもりを感じる空間で、パソコンに向かって作業する人たちの姿が見える。

会議室に案内されて待っていると、「こんにちは!」と明るい声とともに部屋に入ってきたのが、塩尻市振興公社の太田さん。

長年、塩尻市の職員として働き、KADOの立ち上げから関わってきた。

KADOのはじまりは2010年。仕事に制約の多いひとり親が、在宅で就業できるような支援体制をつくれないか。そんな事業モデルを検討していた国から声がかかったことがきっかけだった。

「ひとり親に限らず、地域にはいろんな事情で働けない人がいるだろうなと思っていて。身近なところで言うと、うちの母親が親族を自宅で介護するために仕事を辞めることになったんです」

「もともと働くことが好きな人だったから、精神的にかなりつらそうで。かといって、個々人の事情にあわせて時間を自由に設定できる仕事って、地方にはほぼなかったんです」

エンジニアやデザイナーなど、フリーランスとして仕事を獲得できるのは限られた人たち。

経験もツテもない、時間に制限はあるけれどそれでも働きたい。そんな思いを持つ人たちが仕事を得ることにはきっと大きな意味がある。そんな思いから取り組みが始まった。

KADOの特徴は、人材育成にある。通常、クラウドソーシングでは経験が重要視されるため、業務未経験の人は仕事を得にくい。受託したとしても、成果報酬型が基本となるため、慣れないうちは労働時間と収入のバランスがうまく取れないことが多い。

まずは仕事をこなせるだけのスキルを身につけるために。ワーカーと呼ばれる利用者たちは、指導役となるディレクターのもとで、3〜4ヶ月かけてOJTで仕事を学ぶ。

KADOとは業務委託契約を結んでいるため、スキルの習得期間もベーシックインカム的に収入を得ることができる。

受託している仕事は、パソコンを使った作業が中心。在宅勤務もできるし、この場所で作業することもできる。

経理や事務といったバックオフィス業務のほか、自動車の自動運転に欠かせない3次元地図や、AIや機械学習の元データの作成など、DX推進に関わる案件も多く受託している。

登録があり、実際に稼働しているワーカーは300名以上いて、パソコンを使った経験のない人がほとんどだそう。

「僕らがぜひ関わってほしいと思うのは、働きたいけれど働けない人たち。働きたいって気持ちとスキルは必ずしもイコールではない。スキルアップにはお金も時間もかかるので、行政の財源をうまく使ってバックアップしていこうという仕組みです」

「もともとパソコンを使えなかった人たちが3次元地図をつくって、一部ですがそのデータが最新の車に搭載されている。これってすごいことだと思うんです。ワーカーさんにものすごくポテンシャルがあるんだ、と日々実感していて」

ポテンシャルがある。

「環境さえあれば、人って何歳になっても学習できる。それは座学だけじゃなく、仕事を通して成果が認められるというプロセスがあるからこそだと思っていて」

「子育てや介護で仕事量を減らさざるを得ない人たち、障がいを持つ人たち。地方において、彼らが選択できる仕事って本当に限られていたんです。そんな人たちがKADOに関わることで、自分のペースでスキルアップしつつ、社会に対しても新しいチャレンジをどんどん重ねていくことができる。そういう場があることってとても大事だと思うんです」

 

就労支援から始まったKADOの取り組み。コロナ禍でのリモートワーク拡大も追い風になり、受託案件は右肩上がりに増えつつある。

さらに最近では、地域の小中学校からの相談を受けて、ICT教材導入のサポートなども実施。地域のDXを推進していくうえでも期待されるものは大きい。

「クライアントさんからの期待値も高まりつつあって。『事業開発のところから一緒にやりませんか?』と相談を受けるようなことも増えてきたんです」

そう話すのは、太田さんとともに立ち上げからKADOに関わってきた柳澤さん。マネージャーのひとりとして、業務の統括やマネジメントを担当している。

業務量、ワーカーの登録数も増えるなかで、クライアントとワーカーの間に立つディレクターの負担も増加しつつある。

そこで今回新たに募集するのが、クライアント業務におけるプロジェクトマネージャー。

クライアントの期待値を適切に把握して業務設計するほか、ディレクターやワーカーのスキルアップを図りつつ、それぞれが望むライフスタイルが実現できるよう、組織全体を眺めたマネジメントをおこなう。

KADOではクライアント業務ごとにチームが編成されていて、それぞれ1名以上のディレクターが配置されている。ワーカーは適性や希望を踏まえて各チームへアサインされ、さらに経験値や希望するライフスタイルに応じてディレクターが仕事を配分する仕組み。

「ワーカーさん一人ひとりにとってベストな役割を探しつつ、企業さんから求められている品質と量、期日は確実にクリアしないといけない。パズルのような感覚ですね」

「それがぴたっとハマったときに、『すごいね、今月こんなにできたね』とディレクターと一緒に喜んで、来月も頑張ろうと盛り上げてくれるような方に来てもらえるとうれしいですね」

新たに加わる人は、とくにディレクターと二人三脚で業務を進めていくことになる。マネジメント経験があるとより良いけれど、必須ではないそう。

それよりも大切なのは、「KADOの存在意義を常に意識できるかどうか」と柳澤さん。

「本来だったら働けなかった人が一人、またひとりと働けるようになる。マネージャーの立場だと、ついクライアントのほうに意識がいってしまったり、目先の数字に追われてしまったりすることもあると思うんです。それも大切だけれど、それだけじゃなくて」

「働きたいと思う誰もが働ける機会をつくること。そのために一人ひとりのライフスタイルに応じた働く場を、クライアントさんとKADOのスタッフとともにつくっていくこと。そんな理念とビジネスのバランス感覚がとても大事になると思います」

実は、15名いるディレクターのうち半数はワーカーから登用されている。

マネジメント経験のない人も多いなかで、KADO全体として事業拡大できているのは、新たな挑戦を応援しあう雰囲気がKADOにあるからなんだと思う。

新たに設けるプロマネという役割。考える視点は多いし、仕組みをつくる大変さもあると思うけれど、太田さんや柳澤さんの話を聞いていると、まずは当事者として思いを重ねられることが大切なように感じる。

新しく加わる人も、いろんな立場の人とコミュニケーションをとるなかで、どんなことに取り組めば組織がより良くなっていくのか、一緒に考えてつくっていけるといい。

 

最後に話を聞いたのは、ディレクターの髙田さん。ニコニコと話す方で、安心して話ができる。

12歳のお子さんを育てるママさん。5年前、友人の紹介でKADOを知り、ワーカーとして関わることに。

「子育ても落ち着いて、仕事に復帰したいと思っていたときに知って、これだ!と。パソコンを触るのは好きだったけれど、ひとりで仕事ができるレベルではなかったです。当時のディレクターの方に『こんな案件やってみない?』と声をかけていただいて、いろいろ挑戦するなかで少しずつスキルを身につけてきました」

3年ほどしたころ、ディレクターの仕事に推薦を受ける。家庭との両立もあり、数ヶ月悩んだ末引き受けることに。現在は3次元地図のチームで50名ほどのメンバーを担当していて、業務配分や工程管理をおこなっている。

「ただ、私ができることってまだまだ少なくて…。担当する業務をワーカーさんに教えてもらったり、経験の長いワーカーさんに協力してもらって業務マニュアルをつくったり。日々業務の改善をして、クライアントさんの要望に答えられるような体制づくりをしています」

ワーカーによって、仕事へのモチベーションもさまざま。新しいことにチャレンジしていきたい人もいれば、ほどほどに働きたい人もいる。それぞれの状況を把握してアサインするのは、簡単なことではないと思う。

「一人ひとりに合う役割ってなんだろうと常に考えてますね。とはいえ、納期もつきものなので、スケジュール内に納めるために結果的に一部のワーカーさんに負担をかけてしまうこともあって…」

人が仕事をする以上、思うように進まないこともあるし、トラブルもつきもの。一人ひとりのライフスタイルとスキルを両立できるスケジュールなのか、個々がさらにスキルアップするためにはどんな取り組みが必要か。

そういった観点から一緒にマネジメントしていく人が加わると、よりKADOの事業も成長すると思うし、働きやすい場所になっていくんだと思う。

最後に、太田さんの言葉を紹介します。

「塩尻だけが良くなればいいってもんじゃないので、このモデルを横展開させる動きも進めています。将来、地元にこんな仕組みを持ち帰りたいって方も歓迎です」

「KADOの取り組みは国にも注目していただいているし、なによりスタッフの生活がかかっているので、新しく加わる人の責任は正直、重いです。でもこの取り組みを広げていくことで、着実に世の中は前に進むと思うんです」

日々の仕事が、社会をより良い方向に変えていく。

その手応えを感じたいという人にとって、KADOはとても挑戦しがいのある舞台になると思います。

(2022/6/16取材 阿部夏海)

※撮影時はマスクを外していただきました。

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