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日本では、1993年に日本プロサッカーリーグ(Jリーグ)が発足しました。
このおかげで、日本でプロのサッカー選手という存在が生まれたのです。その後2014年には3部制となり、J3が発足しました。
取材時の2023年8月、J3の1位に位置しているのが、愛媛FCです。
そんな愛媛FCの大きなスポンサーとなっているのが、東洋印刷が母体となっているニンジニアネットワーク株式会社。
BtoB向けにプリンター用のラベルやトナーなどの販売、またBtoC向けにはアパレル事業も手掛けています。
今回はニンジニアネットワークで、営業担当を募集します。
用紙やラベル、トナーなどプリンターまわりの製品を販売すると同時に、日本中に散らばっている愛媛FCのファンを探し出すのもひとつの仕事です。
営業の経験は求めません。フレックス制で、働く人にやさしい会社を目指しています。
ラベルが日本を救う?サッカーが地域を?と思ったあなた。ぜひ続きを読んでみてください。
ニンジニアネットワークの本社があるのは、愛媛県松山市。
夏休みシーズンだからか、羽田も松山空港も旅行客で賑わっている。オレンジジュースが出る蛇口には、多くの人が並んでいた。
空港からバスで松山駅へ向かい、さらに乗り換えて松山市街地へ。
10分ほど進むと、東洋印刷の本社に到着。ニンジニアネットワークのオフィスもここにある。
中に入ると、明るくて近未来的な雰囲気。内装一つひとつにこだわっている感じがする。
大きな会議室で迎えてくれたのが、ニンジニアネットワーク代表の村上忠(ただし)さん。愛媛FCの代表も務めている方。
「いま愛媛FCは1位でJ3を戦っているのでね。このまま優勝してJ2に戻ってほしいなと思っているところです」
「チームがいま躍進しているのは、スタッフがしっかり目利きして獲得した人が活躍してくれているからなんです。上昇志向も強いし、いい雰囲気になっていますよ」
目利きがしっかりしているか、そして原石を磨く環境が整っているか。J2以下のチームでは資金力などの問題もあり、J1の強豪チームとは違った視点でチームを育て、強くしていくことが求められる。
このサッカー事業を支えているのが、ニンジニアネットワーク。
「もとは1945年に創業した東洋印刷が母体です。紙問屋から始まり、その後は食品をパックする機能製包材づくりに移行しました」
「37年前くらいにぼくが社長になって、このままだとこの先やっていけないと。それで目をつけたのが、当時日本になかったプリンタラベルなんです」
海外含めさまざまな場所へ視察に行くなかで見つけたのが、プリンターで使用するラベル紙。
当時はプリンターで漢字すら印刷できない時代だったけれど、バーコードは打つことができた。そこで、村上さんはバーコード用のラベル紙を販売する事業をスタートさせる。
「たとえば飲み物とかお菓子にバーコードがついているじゃないですか。これとラベルで打つバーコードは似て非なるものなんですよ」
え、同じバーコードでもちがうんですか?
「何が異なるかというと、飲料とかお菓子についてあるものは、同じ商品であればすべて同じバーコード。値段はこうで、どこのメーカーがつくった、みたいな情報が載っている」
「一方で、自分たちでラベルに打ち出すバーコードは、内容が一点一点ちがうんです。システム用語で言うと『ユニークである』ということ。ユニークであると、そのモノがどこにあるのか、ロケーション、つまり位置情報を特定できるんです。コンベア上を移動しているのか、倉庫のパレットに積まれているのか、すぐわかる」
ロケーションを把握できるというのは、工場を自動化するために不可欠。たとえば工場のロボット化を進める場合にも、モノがどこにあるのか正確にわからないと、ロボットも作業ができない。
「当時は、この技術が日本を救うんじゃないかって思ったんです。日本って経済的にはよかったけど、すべて人海戦術だったんですよ。少子高齢化が進んでいったときに、生産力を落とさないためにはロボット化や自動化が不可欠だと」
「自動化が実現すると、間違いを起こさないことにもつながる。ラベルをよく使ってくれているのが、医療関連なんです。採血した人のデータと血液が違うとか。そういった人為的ミスをラベリングによって防ぐことができる」
たとえば、有名な自動車工場でもこのバーコードが使われている。それぞれのパーツをラベリングすることで、ラベルのないものが混入しないような仕組みになっている。
導入の仕方は各企業ごとに考える必要があるけれど、うまく利用できれば、低コストで大きな効果を得ることができる。
「1995年には、このラベリングの技術を使って、うちの工場をロボット化しました。今はほぼ99%完成している状態です。ここまでの説明でもなかなかわかりづらいと思うんですが、これをセンスよく取り入れられた会社は、かなり自動化を進められています」
「ものとデータが1対1で結ばれたとき、極めて安価に無人システムができる。これをいかにお客さんに説明していくかっていうのがニンジニアネットワークの肝であり、ぼくのライフワークになったんです」
ぼくたちが日常的に利用している通販や宅配も、荷物が今どこにあるのかわかるのは、ロケーションを把握できる仕組みがあってこそ。
導入している企業もたくさんありますよね。
「そうですね。ただ、僕らはもっと中小企業に導入してもらいたいと思っていて。ラベルの良さって、企業ごとにどう使うかを考えられることなんですよ。だからぼくらが使い方を教えるんじゃなくて、お客さま自身に考えてもらう」
「経営が厳しくなっていると言われている中小企業にこそ、ロボット化してラベリングを使ってもらいたい。そうすることで、今まで積み上げてきた高度な技術を残すことができます」
家庭のレベルで考えても、冷蔵庫の中のものにユニークラベルを貼ってスマホと連動したら、期限がきれそうなものがすぐわかるようになって、賞味期限管理も楽になる。工場だけでなく、いろんな場面で活躍できる可能性があるものだ。
そんなラベルをもっと広げていきたい。その先陣をきっていたのが、元営業担当で社長室所属の大山さん。元Jリーガーだった方だ。
「19歳から浦和レッズにいたんですが、当時は小野伸二選手とか長谷部誠選手とか、錚々たるメンバーがいたので、レギュラーにはなれずで。愛媛や湘南、富山に移籍したりして、いよいよ引退しようっていうときに村上社長のもとで働かせてもらうことになったんです」
「それまでずっとサッカーの世界しか知らなかったので、最初は不安でしたね。ビジネスマナーもそうだし、営業ってなにをどうすればいいのかもわからなくて。それでもなんとかがんばってきました」
営業の仕事は、ラベルを中心に商機がありそうな会社や個人をイメージして仮説を立て、実際に訪れ提案する。結果を持ち帰って分析してまた訪れる、ということの繰り返し。
一度契約が取れると、あとはネット通販を通したやりとりになるので、営業の仕事の7割ほどは新規の開拓になる。
入社当時は新規の営業に行っても、「お前何しにきたんや」と返されるような日々。営業の壁にぶち当たっていた。
「そんなときに、あるお客さんが僕の個人的なキャリアに興味を持ってくれて。そんな人が一生懸命もがいてるんやったら、買わないかんっていうので取引してもらったことがあって。それはめちゃくちゃうれしかったです。たしかコピー用紙を買ってもらったのかな」
「当初は精神的にもきつかったですが、『この人は自分を否定しているわけじゃなくて、本当にこの製品を必要としていないのかも』と思えるようになってからは、いい意味で割り切れるようになってきました」
生活の面でも、海も山も行きやすく商業施設などもコンパクトにまとまっている松山。自然が好きな人にとってはたのしく、暮らしやすい場所だと思う。
「ご近所さんとかの人柄は、関東圏とはちょっとちがうのかなと感じました。あったかいんですよね」
「いっぱい採れたからって野菜くれたり、選手時代なんかは、行きつけの銭湯でおっちゃんが声かけてくれて、そこから試合を見にきてくれるようになったりしました」
営業もサッカーも、まずは人との関係性を築いて、興味を持ってもらう。それは共通していることなのかもしれない。
日を改めて、今度は東京・南青山にある事務所に伺った。
迎えてくれたのが、村上茉利江さん。村上社長の娘さんで、営業部門全体を取り仕切っている。
もともとIBMでコンサルタントをしており、2016年にニンジニアネットワークに入社した。
「東京とか大阪にも、愛媛出身の社長さんがいて。ラベルを売るというのはもちろんのこと、愛媛FCのことも知ってもらってスポンサーになってもらえたらいいなと思っているんです」
「地縁を活かして、愛媛にゆかりのある人が集まれる場もつくっていきたいんです」
最近、茉利江さんは愛媛出身のオーナーさんがいる店で、主に愛媛出身の人を招待してパブリックビューイングを開催した。
今後は愛媛出身者に限らず間口を広げ、関係人口の創出も狙っていきたい。
営業の人にはそういった企画も一緒に考えて実行してほしい、と茉利江さん。
仕事が幅広いですよね。
「そうだと思います。今はそれらが点で散らばっている状態なので、うまく線でつないでいくことができたら、会社としても売り上げにつながるし、愛媛FCのためにもなると思うんです」
「自己犠牲型ではなくて、お互いウィンウィンになっていくような関係をつくりたい。利他の精神を持つことが大事だと、常にみんなには伝えています」
営業先としてチャンスがありそうなのは、病院関係や物流の分野。個体識別が重要な業種から予測を立てていくのがいいと思う。
ユニークなバーコードのラベルは伸び代があるものの、宛名用ラベルは、ダイレクトメールの需要減少にともなって右肩下がりの状態。これも、いいアイデアがあれば積極的に売り出していきたいと茉利江さん。
「うちのラベルは、クオリティが高くて価格も安いんですよ。それは30年の歴史と、工場を自動化させてきたという実績があるから。売り付けるという気持ちじゃなく、お客さまのためになるものを自信を持って売ることができます。そこは営業に一番伝えたいことです」
「どんどん新しいことに対して挑戦していく会社なので、感度の高い人に来てもらえたらなと思います。社会のために、そして愛媛やサッカーのためにということも含めて、一緒に力を発揮できたらいいですね」
茉利江さんが話してくれたように、自信を持って商材を紹介できるというのは、営業としての働きやすさにつながるように感じました。そして自分の仕事が、愛媛やサッカー業界にもいい影響を与えていく。
自分の働く意味が見えやすい仕事だと思います。
(2023/7/31、8/9 取材 稲本琢仙)