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フットワーク軽く
地域と歩むIT

ITや情報産業と聞くと、なんとなく都会的なイメージを持っていました。

IT系の企業の数で言えば、もちろん都会の方が多い。しかし、人手をかけずに効率的に物事を行う、という意味では、むしろ地方の方がその重要性が高いように思います。

徳島県美波町にサテライトオフィスを構える株式会社イーツリーズ・ジャパンは、自然が豊かな土地でITの技術を活かし地域の課題に向き合っている会社。本社は東京・八王子にあります。

参加者がどの地点を走っているかがわかる位置情報の計測システムなど、スポーツイベントの運営サポートを軸に、防災、教育、観光といった幅広い事業をしています。

今回募集するのは、自社でつくる位置情報の計測システムなどを運用・開発するスタッフ。

ITやコーディングの専門知識はこれから、という人も大丈夫。むしろ、自然を楽しむレジャーが好きだったり、地域の力になりたいという思いを持っていたりする人には、ぜひこの仕事を知ってほしいです。

 

徳島阿波おどり空港からバスと電車を乗り継いで2時間ほど。ウミガメが産卵に訪れるという浜辺がある美波町の日和佐駅に着く。

海にそそぐ川の透明度が高く、魚の姿が橋の上からも見える。水がきれいなまちなんだな、と思いつつ駅から5分ほど歩くと、住宅が並ぶエリアにイーツリーズのサテライトオフィスを見つけた。

この場所は空き家を借りて、オフィスとして利用しているそう。中に入ると、電子工作の道具などが置かれていて、学校の技術室のよう。

「迷わずに来られましたか?」

笑顔で迎えてくれたのは、代表取締役社長の船田さん。感染症が広がる以前は、月の半分を東京、もう半分を徳島で過ごし、二拠点で仕事をしていた。

「東京の八王子にある本社では、通信機器、通信専用のコンピューターをつくっています。うちがつくったものがほかの会社の装置と組み合わさって、放送局の設備やダムの制御装置、電車の券売機や鉄道の制御とかに使われているんです」

2000年に創業したイーツリーズ・ジャパンは、ハードウェア・ソフトウェアの開発や設計を手掛けてきた。

イーツリーズの主力となるハードウェアは、サーバーとして使われ、2007年の発売当初は、他社の同価格帯のものより100倍早い通信速度だったという。

「大手さんの下請け企業と仕事をすることがほとんどで、お客さんとの距離も遠い。実際に使ってくださる方と一緒にものやサービスがつくれないかなと、自社製品やサービスへの憧れを持つようになりました」

美波町のことは、一緒に事業をしていた会社の社長とのご縁で知ったそう。

「うちが入る前にも、技術がある会社十数社が美波町にあって。本社の仕事を地方でやるんじゃなくて、それぞれの会社の技術を使って地域の課題解決をしようって流れにちょっとずつ変わっていったんです」

イーツリーズの通信技術を地域の課題解決に活かし、そこから新しい商品をつくる。美波町にはITの会社もほとんどなかったので、地域で活動していることをメディアに取り上げられることも多かった。

「美波町の人ってすごくあたたかいんです。誰かが遊びに来ると飲み会が始まるし、日和佐八幡神社のお祭りに参加すると、みんな気軽に話しかけてくれるんです」

「地域の方に誘ってもらった大会にボランティアとして参加したのがきっかけで、アウトドアレジャーやいろいろなスポーツイベントを企画運営の事業をしている杉本さんと出会って。今回募集する『みなみえる』の事業も始まりました」

「みなみえる」はマラソンやトレイルラン、自転車競技といったスポーツイベントの参加者がどこにいるか、位置情報をスタッフや応援する人が共有できるシステム。これによって大会運営の負担を軽減し、選手の安全も担保することができる。

無線タグとリストバンド、GPSのいずれかを参加者は携帯し、大会に参加する。タグは、通過する関門などに受信機を設置、近くを通過することで参加者がいた時間と位置がわかる仕組みだ。

リストバンドは受信機にかざすことで、タグよりもより正確なタイムを記録することができ、GPSは、単体で参加者の位置情報がわかる。

これらの情報はみなみえるのサイトからリアルタイムで確認が可能。どんなペースで走っていたかのデータを参加者自身も見ることができるという。

実際に今年5月の『室戸阿南ウルトラマラソン』ではコースミスをしている参加者を船田さんが監視画面で見つけたことがあった。そこから現地スタッフが参加者に伝えに行き、無事コースに帰還、「みなみえる」の意義を感じられた瞬間だったそう。

「先にゴールした選手が後から来る選手の位置を見て応援したり、後続の選手のゴールを迎える姿はすごくいい光景でしたね」

最初に実用化したのは、2017年の5月に開催された「ファガスの森24時間耐久トレイルランニング」。24時間で5kmの山道のコースを何周できるか、というレースで、参加者は20名前後。100人以下の大会では、専門のタイム計測業者に依頼をするのは費用の面で難しい。

「それまでは手動でタイムを計測していたそうなんですが、それって大変だし、人手も必要になる。でもこのシステムを使えば、運営側の負担を少なくすることができます」

「私たちの商品を使うことで、地域に人を呼ぶスポーツイベントを開催するハードルを下げたいですし、自分も参加してみたいという人が増えてくれたらもっとうれしい」

起伏が激しい美波町では、トレイルランニングの大会が多く開催されている。周到に準備したつもりでも「みなみえる」のデータがうまく受信できないなどのアクシデントが発生することもある。

今までは船田さんを中心に、数名のスタッフで作業していたけれど、現場での機材の対応などができるスタッフの必要を感じ、今回募集することに。

「正直この仕事だけじゃ儲かりません。うちとしては『現場で位置情報を測るための実証実験の場』というふうに捉えていて。ここで出来上がったシステムをゆくゆくは全国に展開していきたいと思っています」

 

船田さんと一緒に「みなみえる」の運用に携わっているのが、寺沢さん。イーツリーズでつくったハードウェアの技術の高さに感動し、2007年に入社した。

「最近、『みなみえる』の技術を活かした観光地のスタンプラリーとか、教育施設の野外アクティビティの安全管理といった現場で、行政の方と一緒にお仕事をすることも増えてきました」

「拠点がある美波町に常駐のスタッフがいてくれたら、地域の声に応じたものづくりをすることもできる。IT技術を活用することで地域の課題解決につながることはたくさんあると思うんですが、それを担える人が少ないんですよね」

たとえば大手の会社が地域に入ったとしても、新しいシステムをつくるために莫大なお金と、時間がかかってしまうことが多い。一方でイーツリーズでは、小規模だからこその小回りの良さを活かして、地域の課題に応えるものをつくり、実用まで進めることができる。

「みなみえる」を使った大会運営のサポートをする寺沢さん。新しく入る人には、大会運営のノウハウや機材を組み立てるものづくりの部分を教えていきたいと考えている。

「いきなり美波町で仕事をする、でもいいし、最初は東京で会社のことやITについて学ぶ研修をしてもいいと思っています。どういった働き方にするかも一緒に考えていけたらいいな」

実際に「みなみえる」の仕事はどういう流れで進んでいくのでしょうか?

「大会当日の半年前に、大会の企画運営をしている杉本さんから依頼と大会の情報が届きます。次にうちでつくった申込のシステムに参加者の方に入力してもらって、大会の2週間くらい前に参加者の人数がわかるので、機材がどのくらい必要になるか、何箇所に設置するかを決めます」

「1週間前に参加者リストが確定するので、システムに情報を入れます。そこからタグやリストバンドなど使うものに正しくデータが入っているか、動作を確認します。大会3日前には賞状のデザインも届くので、それも大会当日に出力できるようにデータを入れておきます」

3本走っての合計タイムで競うなど、単純な計測ではないものは都度システムの書き直しが必要になる。こういったものは数ヶ月、数週間前から準備をするそう。

「当日は受信機をコースに設置し、動作を確認してまわります。これをスタート前に終えなければいけないので大変です。参加者より走っていることもありますね」

大会中は監視画面を見て状況を確認し、問題があれば現場にいるスタッフに連絡をして対応。参加者がゴールしたら、賞状を印刷して運営側に渡す。その後は機材を撤収し、後日簡単な報告書を提出するまでが一連の流れ。

 

実際に計測システムを使っている杉本さんにも話を聞く。

アウトドアスポーツのツアーやイベントを企画運営する会社の杉本さん。イーツリーズと「みなみえる」を使うパートナーとして、一緒に事業に取り組んでいる。

「もともと湘南でカヌーのガイドをしていましたが、徳島に帰ってきて。こっちでトレイルランニングの第一人者と言われる方と会ったことがきっかけで、トレイルランの大会を企画運営するようになりました」

大会シーズンの11月〜3月は大体2週間に1回、週末にスポーツの大会がある。そこで『みなみえる』を使っているという。

杉本さんは、徳島、香川、高知をメインに各地で大会を企画運営し、そこで「みなみえる」を利用中。新しく入る人も、まずは杉本さんと一緒に現場での仕事を覚えつつ、大会が少ないシーズンには、「みなみえる」やイーツリーズで開発している別のシステムの開発に携わってもいいし、副業的に地域の仕事に取り組むこともできる。

「大会の後で結果がデータとして見れるので、参加者さんからの評判はいいですね。手動で計測したタイムは正確じゃないからって、あまり人に見せたがらないんですけど、『みなみえる』は電子計測なので、正確なデータを出すことができる」

「24時間の耐久マラソンだと、自分がどんな順位を辿ったかとか、休憩時間も計測していて。24時間を参加者がどう使っているかをわかるようになったので、いかに休憩時間を短く走り続けられたかっていう賞もつくりました」

「みなみえる」があることで、タイムや周回数以外で競う楽しみも発見できそう。

 

最後に地域で取り組みたいことを代表の船田さんに聞いてみる。

「うちのサテライトオフィスが『地域のものづくりの拠点』みたいになれたらいいなと思っています。子どもたちがITとかものづくりに触れるきっかけとなるワークショップをやってみたり」

「ITって難しく捉われがちですけど、生活に浸透しているものだし、知っていくと面白いことだらけなんだって知ってほしいです」

 

話に出ていたことの多くはスポーツ大会に関することだったけれど、イーツリーズでは、防災などの地域課題に対して、ITの力で解決していこうという思いを持っています。

風呂敷を広げすぎずに、まずは小さいところからコツコツと課題を解決していく。そんな小回りの良さが、イーツリーズの強み。そんなふうに、丁寧に向き合う仕事がこれからの地域を支えていく力になると思います。

(2022/8/9 取材 荻谷有花)

※撮影時はマスクを外していただきました。

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