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オープンイノベーションという言葉を、最近よく耳にするようになってきました。
オープンイノベーションとは、組織内の技術や知識をオープンにして、そこに集った人たちとともに新しいものやサービスを生み出していくモデルのこと。
今回紹介するのは、西日本でも有数のオープンイノベーション施設「QUINTBRIDGE(クイントブリッジ)」です。
NTT西日本の本社敷地内にあり、個人と10名未満の営利法人、非営利法人や公法人は会員費無料。カフェやコワーキングスペース、イベントスペースに会議室、レンタルキッチンなど、設備も充実しています。
今回は、ここでコミュニティマネージャーとして働く方を募集します。
経験はなくても大丈夫。人に興味があって、話を聞くのが好きな方にとっては、やりがいのある仕事だと思います。
大阪・京橋。駅から出るとガード下が飲食街になっていて、昼間でも開いているお店が多い。そのまわりに学校や住宅地が広がっているという、繁華街と暮らしが一体となった地域。
NTT西日本は、2022年にこの京橋へ本社を移転してきた。今回の舞台となるQUINTBRIDGEは、その敷地内の一角にある。
入口の守衛さんに道を聞いて進んでいくと、QUINTBRIDGEの文字を見つけた。
建物は3階建てで、ガラス窓が大きく外からも様子が見えやすい。少し緊張しながら中に入ると、スタッフの方が「ようこそ!」と迎えてくれた。
そのまま2階にある会議室へ。最初に話を聞いたのは、このプロジェクトの発足時から関わっているNTT西日本の及部(およべ)さん。
「QUINTBRIDGEは、「Quintillion(百京)」と「Bridge(橋)」を由来としています。NTT西日本が大阪の京橋で、企業やスタートアップ、自治体、大学などとの架け橋となり、100以上の新規事業の共創や地域課題の解決をめざすという意味を込めています」
事業共創とは、会社規模の大小にかかわらず、それぞれが持つ技術やアセットなどを融合して新しい事業を生み出すこと。NTT西日本との共創に限らず、QUINTBRIDGEの会員同士で共創することで、よりよい社会の発展をめざしている。
「このQUINTBRIDGEは、事業共創以外にも、社員をイノベーター人材にするための育成も目的にしています」
QUINTBRIDGEの会員とNTT西日本社員が触れ合い、共に行動することで、さまざまな刺激を受けあって、社員の感覚も磨かれる。
そしてこのQUINTBRIDGEの基本構想の実現に向けた建物の内装やサービス内容の企画から運営までをサポートしているのが、UDS株式会社。
国内外でまちづくりにつながる事業の企画・設計から運営までを手がけている会社で、最近だとインバウンド事業者向けのコワーキングスペース「INBOUND LEAGUE」など、人と人との交流から新しい事業を生み出すような場づくりを手がけている。
「NTT西日本本社が移転したとき、社員だけではなくて、たくさんの人に使っていただける施設をつくろうという当時の社長の思いがあり、オープンイノベーションの拠点をつくることになったんです」
「とはいえ、そういった事業の経験がないので、NTT西日本だけでやっていくのは難しい。そこでコンセプト設定から運営までご一緒したのが、実績のあるUDSさんだったんです」
今年の3月にオープンしたQUINTBRIDGE。
コロナ禍中にリアルな場をつくったのは、やはりリアルで会うことの意義を再確認したからなんでしょうか。
「もちろんオンラインでもできることはたくさんあります。けれど人と人が会って名刺交換したり、その人の雰囲気を感じたり。たとえば今も僕はオンラインで話していますけど、そうすると僕の身長とかわからないですよね。リアルだからわかる存在感や人となりみたいなものがあって、それを共有してこそ、お互いに信頼関係をつくることができると思うので、どちらも重要です」
「あとはリアルな場にはセレンディピティがあるんですよね。目的ありきで人と会うんじゃなく、偶然の出会いから新しいアイデアが生まれたりする。リアルの場の価値は、今後も確実に残り続けると思っています」
すでに法人会員は388社を超え、個人会員は5,800にのぼっています。交流会を企画すると、ほぼ毎回定員の100名近くが集まるそうで、偶発的な出会いを求めている人が多い。
「西日本の経済活性化に向けて、社内外の人が挑戦できる場にしていきたいと思っています。たとえば僕も、NTT西日本に勤めながら会社をふたつ起業したり、コミュニティを構築したり、マジシャンやパフォーマンスなどもしています(笑)。今の部署でも、そういった外部の経験をNTT西日本の事業に結びつけていて」
「QUINTBRIDGEも、自治体や企業と共に社会実装まで取り組みます。アイデアがどれだけあっても、行動しなかったら何の発展もしないんですよね。それが本当の失敗だと思っているので、みなさんが挑戦できる場にしていきたいです」
なるほど。今回募集するマネージャーは、どんな人が向いていると思いますか。
「一つは好奇心旺盛で、何でも楽しくやってみたいと思ってくれる人。QUINTBRIDGEは個人も法人も会員がどんどん増えていますし、これから共創活動も進めていきます。いろんな会員と会話することも多いので、いろんなことに興味を持ってくださる方にとっては、とても楽しい仕事ではないかと思います」
「もう一つは、自分のためではなくて、社会や他者に貢献したいと思っている人。どうして事業共創をするかっていうと、QUINTBRIDGEの会員のみなさんと協力し合って社会を発展させるためなので、社会や他者に貢献したい人だったらいいと思います」
続いて話を聞いたのは、NTT西日本の総務人事部の岡田さん。7月からQUINTBRIDGEのもう一つの柱である人材育成の推進と施設の運営管理を担当することになった。
「担当になる前は、外観がおしゃれな雰囲気で、意識高い人たちがいるんだろうなと思ってなかなか近づけなかったんです(笑)。でも一度足を運ぶと、居心地もいいし、社内外を含め面白い人がたくさん集まっていて。これから更にPRにも力を入れて、社内外さまざまな人が新たに出会いつながれる場所にしていきたいです」
会員のなかには、毎日利用される方や、ほぼすべてのイベントに参加している方もいるという。
「QUINTBRIDGEはこれから変革、進化をとげていく施設だと思うので、固定観念にとらわれず、新しいものを生み出していくにはこうしたらいいんじゃないかって、発信してくれる人がいいですね」
「身近な例だと、私たちは社外のお客様とお会いするときはスーツを着るのが当たり前だと思っていたけど、QUINTBRIDGEではもっとカジュアルな雰囲気で出会える方が良いんじゃない?とか。そういう小さいところからでも、利用者目線で改革してくれたらありがたいなと思います」
NTT西日本が本腰を入れてチャレンジしているこの施設。UDSの人たちはどんな思いで伴走しているのだろう。
立ち上げから関わってきたUDSの三上さんにも話を聞いた。
「コンセプト設定から始まり開業まで、ようやくここまで走り抜けたな、っていう感覚が強くて。オープンしてから、来てくれる顔ぶれが日々違うので、運営として昨日は上手くいった取り組みやオペレーションが今日の利用者には合わない、みたいなことが開業からしばらく続いたんですよね。それを日々ブラッシュアップし続け、やっと落ち着いてきたかなっていう印象です」
たとえば、週に数回、不定期で開催している「Coffee Meet Up」。会員同士の交流会で、15時に「無料でコーヒーを配りますよ」と館内放送を流して、人を集める。
偶発的な出会いを起こすため、事前申し込みの必要はなく、その場のノリやたまたま手が空いている人がふらっと参加できるイベントの仕組みになっている。
「試しにやってみたら、ちゃんと人が来てくれて。今は週に2回くらいのペースで開催しています。僕らが『AさんとBさんをつないだら楽しいだろうな』っていうスタンスだけじゃなくて、『え!知らないうちにその人たちがつながったんだ!』ってほうが、いいイノベーションが起こることが多いんですよね」
実際に、新しい事業の種も育ち始めている。
まだ具体的な社名は挙げられないけれど、たとえばNTT西日本とNTT東日本で同領域のビジネスをしているので、連携方法を模索しようという取り組みがQUINTBRIDGEを起点に進んでいたり、生物多様性を保護する活動をしている団体と、赤土の流出防止に取り組もうとしている会社がつながったり。
成功事例が増えていけば、QUINTBRIDGEの価値も上がっていく。
「僕は『健全な危機感』っていう言い方をしていて。同い年なのに、会社を立ち上げてバリバリやってます、みたいな人が出入りしてるんですよ。そうすると、俺まだ会社勤めしかしたことないぞって、いい意味での焦り、危機感を感じるんです」
「前にアルバイトで働いていた子も、ずっと独立したいっていう思いがあって。ここで同世代の女性が独立して働いているのを見て、一歩踏み出す決断に至ったんです。いろんな可能性に挑戦できる人のほうが楽しめるので、挑戦したいとか、視座を高めたいっていう人にはぴったりだと思います」
人と人がつながることで、新しいものが生まれる。
そのために日々どんなことをしているのか、三上さんと一緒にQUINTBRIDGEの運営を担当しているマネージャーの辻さんに聞いてみる。
「私のなかでは大きく二つあるかなと思っていて。一つは会員さん同士に交流してもらう仕組みをつくっていくこと。もう一つは、みなさんが快適に使っていただけるような施設管理の基本的な業務を行うこと、になってくるのかなと思います」
加えて、QUINTBRIDGEでは毎日5人ほどのアルバイトスタッフが働いている。そのスタッフたちに指示を出したり、シフトを作成したりするのも役割のひとつ。
「会員さんが持ち込みで企画してくれるイベントもあるので、そういった相談にのることも多いですね。会員さんの持ち込みイベントが週一くらい、うちの主催イベントは二週間に1回くらい、というペースです。今夜も一階でイベントをやりつつ、二階で会員さん主催のイベントがあります」
「いろんなジャンルの人のいろんなイベントに関わるので、自分の知らなかった世界がどんどん広がっていくような感じですね」
辻さんはどんな人と一緒に働きたいですか?
「人に対する興味がある人だったら、その人自身も楽しく働けるんじゃないかなと思いますね。あとはどっちかというとサポート的な側面が大きい仕事なので、誰かの面倒を見るのが好きな人だといいかもしれません。前線に立つわけじゃないけれど、人のためにがんばれる。そんな人がいいと思います」
辻さん自身、UDSに入社したきっかけは、がんばる人をサポートしたいという思いからだった。
「自分の地元である和歌山のまちおこしに協力したいって思っていたんですけど、ひとりじゃなかなかそういうことは難しい。でもQUINTBRIDGEのような施設で、まちおこしや地域活性に取り組んでいる人を応援するっていう関わり方ができたら、それはすごくやりがいになるなと思ったんです」
さまざまな人が混じり合い、日々新しいアイデアが生まれているQUINTBRIDGE。
今後プレイヤーとして活躍したい人も、サポーターとして関わりたい人も活躍できて、なにより役得なイベントやコミュニケーションがある職場だと思いました。
(2022/7/19 取材 稲本琢仙)
※撮影時はマスクを外していただきました。