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まちの根っこはなんだろう?
地元の肌感覚と
大きな視点から探る

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あなたの住むまちは、どんなところですか。

長い年月をかけて育まれたものや、最近になって変わってきたこと、気に入っているところやすこし不便に思う部分が、それぞれのまちにあると思います。

なにげなく歩く道、目にする景色や、電車やバスなどの交通網。

わたしたちが当たり前のように過ごすまちの基盤を、10年、30年という長期的な視点でつくっていく仕事があります。

荒谷建設コンサルタントは、中国・四国地方を拠点に、測量や地質調査、土木設計などを手がけてきた会社。客観的な立場からのアドバイスだけでなく、変化してゆくまちに伴走し、目指したいまちのあり方を一緒につくっていく地域密着のコンサルティングが強みです。

今回は、まちづくりや都市計画を手がける地域デザイン部ではたらく人を募集します。

未経験でも大丈夫。人と話すのが好きな人や、さまざまな意見をまとめることが得意な人に合った仕事だと思います。

 

広島駅から、路面電車に乗りこむ。原爆ドームの前を通り過ぎ、約40分かけて、終点の江波電停へ。

電車を降りると歩いて3分で、荒谷建設コンサルタントの本社に到着した。

階段を上がって会議室に入ると、地域デザイン部部長の西手さんが迎えてくれた。

あまり馴染みのない、建設コンサルタントの会社。Webサイトの情報によると、創業からすでに100年以上が経っていて、従業員は400名を超えるという。

どんなふうにいまに至るんだろう。まずは会社の成り立ちから聞いてみる。

「もともとは大正5年に、広島の中心部で井戸を掘る会社としてスタートしました。戦争があっても、原爆投下があっても、がんばって経営を続けてきて。井戸を掘る技術を活かし、地質調査や測量も行うようになり、設計も…と。次第に建設コンサルタントが事業の軸になっていきました」

建設事業の地盤調査や測量・調査のほか、道路やトンネル、漁港や上下水道などの交通・生活インフラの計画・設計、メンテナンスなど。

専門的な知識やノウハウを活かして、まちを支えるさまざまな社会資本の整備に携わってきた。

そんな会社のなかで、まちづくりや都市計画の部署が立ち上がったのは約20年前。何度か部署の名前を変えながら、いまの「地域デザイン部」に至る。

まちづくり・都市計画の部署創設のきっかけになったのは、地域デザイン部立ち上げの中心メンバーである田辺さんの入社だったそうだ。

「土木系のなかではまあ、都市計画はちょっと異質なんですよね。花形といえば道路設計とか、橋の設計とか、河川の整備とか。だけど大学生のときに、いろんな事業の一番のおおもとをつくる、都市計画の仕事に興味を持ったんです」

入社当初、荒谷建設コンサルタントには都市計画の専門部署がなかった。田辺さんは上司と一緒に1からチームを立ち上げ、ひとつずつ仕事を受けながらできることを広げていった。

「初期の一番大きな経験は、鳥取市の都市計画マスタープランの仕事です。2年くらいかけてつくり上げる、大きな計画でした」

そもそもまちづくりや都市計画の仕事は、どういうステップで進むんでしょうか。

「まず、まちを知るところからはじめます。たとえば人口。単純な人数だけじゃなくて、高齢者の割合とか、市のなかでもどの地域の人口が減っていて、どの地域が増えてるのか。あとは土地利用の状況ですね。市街化が進んでるのはどの辺で、それはいまも広がってるのか、衰退してきてるのか、公共交通網はどうなっているのかなど。そういう現状を徹底的に調べて分析します」

数ヶ月かけて現状を調べたあと、そこから見えてきたまちの課題を整理して、ビジョンを策定。それをもとに、具体的な事業や取り組みについても方針を考える。

たとえば交通量が減っている地域では、片側二車線の道路を一車線にして、人が歩くスペースを広くとることで、その空間のにぎわいづくりに活用したり。車を使わない高齢者の多い地域を、どんなふうに電車やバスのネットワークとつなぐかを考えたり。

長期的な視点に立って、まちの将来に向けた計画をつくっていく。

クライアントは、おもに県や市町などの自治体。現状のリサーチだけを担当することもあれば、鳥取市の場合のように、大きな市町の都市計画の策定まで担うこともある。

「市役所の人と話すだけじゃなく、プロセスのなかでワークショップをしたり、協議会をつくったり、住民の意見を聞くこともあります。あとはJRやバスの事業者さん、道路や河川の管理者さんなど、いろんな関係機関の人たちと技術的な話をしたり」

たくさんの人のさまざまな声を聞き、それをまとめあげていく。とてもむずかしい作業のように感じるけれど、そのなかに面白さもあると田辺さん。

「高度成長期は街を開発して広げていこう、という時代だったけど、いまはゼロからつくるよりも、すでにあるものを再生していこう、改善していこうっていう仕事が増えていて。ガチガチした都市計画の知識だけではなく、いままでとは違うアイデアが必要になったりして、むずかしいけど面白いなと思いますね」

アイデアや発想が求められる場面では、異業種での経験も生きるかもしれない。

隣で聞いていた西手さんが、「まちづくり」と「都市計画」の視点の違いを教えてくれた。

「まちづくりは、住んでいる人がそのまちをどうしたいか、考えるのをお手伝いする仕事です。対話力やまとめる力があれば、業界に詳しくなくても得意な人もいると思います。一方で、行政視点からまちの方針を整理する都市計画の仕事になると、現状分析や論理的な資料づくりが必要です。まちづくりと都市計画のどちらが得意かは、人によって変わるかもしれませんね」

今回募集する人は、未経験でも大丈夫。法令や他地域の事例などの知識は、入社してから身につけていけばいい。

 

新卒で地域デザイン部に入った日向さんも、最初はこの仕事にぼんやりとしたイメージしか持っていなかったそう。

「まちづくりにはもともと興味がありました。でもそれは明確な理由があるわけではなく、漠然と楽しそうだなって。都市計画・まちづくりっていう言葉のキラキラした感じに惹かれたんです」

一連の仕事は、実際のプロジェクトに携わりながら学んできた日向さん。

なにかイメージとのギャップはありましたか。

「まちの分析や統計データ解析みたいに、すごく地道で泥臭い部分もあります。あとは、紙の上とか、パソコンだけでできるものでもないなって。現地に足を運ばないとわからない、まちの空気感ってありますよね」

まちの空気感。

「まちのホームページや観光情報ってきれいにつくられてるんですけど、行ってみたら交通の便が悪いとか、シャッターの閉まっている飲食店が多いなとか。駅の雰囲気やその土地の人柄みたいに肌感覚で感じるものって、そこへ行かないことにはわからないので」

「地元の人より知っている」と言えるくらいに隅々まで調べ、自分の肌感覚でそのまちのことを考えられるようになる。それこそが、いい仕事への第一歩なのだそう。

経験を積めば、ほかのまちとの比較で仮説や予測を立てることもできるけど、はじめのうちはそれもむずかしい。新人のうちは、“足で稼ぐ”のも大事なことかもしれない。

まちのいろいろな姿を見たり、そこに暮らす人たち、関わる人たちのさまざまな声を聞いたり。

知れば知るほどむずかしいのが、いかに合意形成をとっていくか、ということ。

「自治体のなかの、いち担当者が納得するのと、役所全体で合意ができるのとはまた別の話なんです。さらに役所の外には警察や消防がいて、交通事業者さんがいて、地域の人たちがいて…関係者は山ほどいますね」

たとえば、コンパクトシティの計画について考えるとき。まちの機能を集約することで長期的に自治体の支出がおさえられるというメリットがある一方で、急にまちの形を変えてしまっては、いま周辺部に暮らしている人の生活に大きな影響が出てしまう。

「自分の思いを持ちつつ、客観的にいろんな意見をまとめて、交渉していきます。最終的なアウトプットは計画書ですが、そこに至るまでのプロセスが一番大切。計画書を読むだけでは分からない苦労がたくさんあります」と田辺さんも苦笑する。

さまざまな考え方があるなかで、より多くの人が納得する状態を目指して、ひとつの落としどころを粘り強く探していく過程こそ、地域デザイン部の腕の見せ所であり、もっともむずかしいところなのかもしれない。

まちに関わる人の多様性。それに加えて、5年、10年というタイムスパンで考えたときに、技術や仕組みの進歩が、まちや生活のあり方を大きく変えていくこともありえる。

揺らがない正解がないぶん、ひとりで抱えてしまうと大変な仕事のようにも感じる。

地域デザイン部では、上司と2、3人でチームを組んでひとつの事業を担当するそうだ。頻繁に打ち合わせを行い、担当以外の人もお互いに声をかけ合うようにしている。

「電話の声のトーンで『あ、なんか苦労してるな』っていうのがわかったら『何かあった?』って話しかけたりしますね。いまこういうことでちょっと悩んでいると聞いたら、ああそういうのは誰々が詳しいよとか、過去にこんな事例があるよって教えたり」

困ったときに助け合えるのは、チームの距離感が近いからこそ。加えて、本社のある広島からアクセスのいい四国・中国地方に密着して仕事をすることで、まちの変化を追い、別の案件に活かしやすいという側面もある。

 

「まちをまるごと計画して、実際にまちが変化してくると、そこに住む人の動きが目に見えてくるんです。具体的なハードの整備が進むなかで、自分たちの会社で設計を担ったり、にぎわい創出の社会実験につながったりしていくこともあります。土木は“地図に残る仕事”とよく言われますが、まちづくり・都市計画は“地図を生み出す仕事”と言えるかもしれません」と田辺さん。

「アラタニさんならよく顔も名前も知ってるよ、っていう状況がつくりやすいのは、地域密着を大切にしているうちの強みであり、大手さんとの大きな違いかなと思います。中四国地方のどのまちも、なんとなく状況がわかって。ちょっとした自分の地元、そういう感覚はあったりしますね」と日向さんも話す。

担当した地域のことを話していると、みなさんの顔がほころんできて、そこに地域との距離感が表れているように感じました。

目の前の人の思いに一つひとつ寄り添いながら、大きな視野で取り組む仕事。

いろいろな地域に「地元」が増えていくことにわくわくする人には、きっとやりがいのある仕事だと思います。

(2022/08/19取材 瀬戸麻由)

※撮影時はマスクを外していただきました。

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