求人 NEW

コカ、ペプシ、イヨシ
世界で勝負するコーラ

※日本仕事百貨での募集は終了いたしました。再度募集されたときにお知らせをご希望の方は、ページ下部よりご登録ください。

好きなことを仕事にする。

そのために発揮する力は、ほかの何事にも変え難い大きな力になると、取材をしているときに感じることがあります。

好きなこと、ワクワクすることに全力をかけ、ビジネスとしても着実に成果を出している。日本国内にとどまらず、海外にも進出していく。そんな少年漫画に出てきそうな人たちを紹介します。

扱っているのは「クラフトコーラ」。

最近メディアやこだわりの雑貨や食品を扱うお店で目にする機会が増えてきた、クラフトコーラのパイオニア「伊良コーラ(いよしコーラ)」です。

世界的に有名なコーラ「コカ・コーラ」「ペプシ・コーラ」に並ぶ存在になるべく、今回はその製造、生産管理、配送を統括するファクトリーディレクターを募集します。

コーラをつくるところから、お客さんの手に届くところまで、一気通貫でかかわる仕事。今後売り出そうとしている缶での販売に向け、どういった缶を使うかというところから考えていくことになります。

世界を見据え、自分の力を十二分に発揮させてみたい人にはまたとない仕事だと思います。すでに大手の取引先や海外からの問い合わせが増えていて、その兆しを感じます。

ファクトリーディレクターとあわせて、セールスマネージャーやオフィススタッフ、マーケティングディレクターの全部で4つの職種を募集します。

日本中で、世界で、親しまれる存在になるために。伊良コーラの挑戦を知ってほしいです。

 

高田馬場駅から西武新宿線で一駅。下落合駅で降りる。

いろんな音がする隣の高田馬場のまちとはうって変わって、穏やかで静かな暮らしを感じられる。新宿区でありながら都心の空気とは少し違う雰囲気に、なんとなくほっとする。

上落中通りを進み、神田川にかかる橋を渡る。川沿いの「コーラ小道」を少し進むと、「伊良コーラ」の赤いフラッグが見えてきた。

元々は漢方職人だった小林さんのおじいさん、伊東良太郎さんが「伊良葯工(いよしやっこう)」という工房を営んでいた建物を活用し、今は1階をお店と工房、2階をオフィスとして使っている。

オフィスにつながる玄関のドアを開けるとスパイスの爽やかな香りに包まれる。2階のオフィスに上がると代表の小林さんが出迎えてくれた。

「伊良コーラの『伊良』は祖父の漢方工房の名前からもらいました。というのも『伊良コーラ』は祖父と自分の関係があってこそできたものだと思っていて」

下落合で生まれた小林さん。おじいさんは、生薬の原料を仕入れて加工し、漢方薬局に薬を卸す仕事をしていた。小林さんはおじいさんの工房に幼稚園の頃からよく遊びにいった。

「その頃はコーラよりも、虫や魚とか自然が好きな少年でした。ただ、通っていた小学校はみんなサッカーに夢中で、自然とか生き物が好きなのを隠してました。自分の好きを表現する生き方が全然できなかったんです」

大学で農学部に進学したことを機に、自分の好きな魚や自然への興味をどんどん深めていく。アルバイトで貯めたお金で世界中に行き、釣りをして過ごした。

「その時に飲んでいたのが、その土地ごとにあるコーラ。お酒が得意じゃないのと、コーラに含まれるカフェインが持病の偏頭痛に効くこともあって、段々とコーラを飲む機会が増えたんです」

外国でもコカ・コーラやペプシ・コーラが主流。ただ、ペルーのインカコーラ、ドイツのアフリコーラ、イギリスのキュリオスティコーラなど、世界のコーラに触れて「コーラマニア」への道を歩んでいった。

大学院卒業後、大手広告代理店に入社。終電での帰宅が続くほどいそがしい日々を過ごしていた社会人の1年目、コーラのレシピが書かれた古いサイトをたまたま目にする。

仕事の息抜きにつくってみたら、うまくいかない。

でもなぜかワクワクする。

「凝り性なので、よりおいしいものをつくりたい思いと、それ以上にこのコーラができた先に何か起きるんじゃないかっていう直感もあったんじゃないかな。じゃなきゃ2年以上もつくり続けないと思います(笑)」

入社して3年目、2018年にコーラづくりのターニングポイントが訪れる。おじいさんの良太郎さんが亡くなり、遺品などを整理するため下落合に戻ってきた。

「叔父や母が祖父の失敗談や思い出話に花を咲かせていたときに、『火入のときにこんな大変なことがあってね』『こういう手間があった』なんていうのを話していて。自分のコーラづくりにも活かせるんじゃないかってピンときたんです」

思いついた方法でつくってみたコーラはこれまでとは風味もコクも全然違うものになった。手応えを感じて、その翌日会社に持っていき同僚に飲ませたところ「これはお金払っても飲みたい!」という予想を超える反応。

「自分がつくったものにとてつもない可能性も感じて。たくさんの人に届けたい、売ってみたいと思ったんです」

同僚に試飲してもらった1ヶ月後には、国連大学前の青山ファーマーズマーケットにキッチンカーで出店。

「自分がつくったものでお客さんから『ありがとう』って言われて、お金をもらう。すごく新鮮な経験でした。広告代理店時代は、苦労して辛い思いをした先にお金があったけど、コーラづくりは、誰かに喜んでもらった対価がお金になる。それがうれしかったんですよね」

そして2018年の年末に会社を退職し、2019年からは伊良コーラ一本で働きはじめる。

2020年2月に下落合、その後2021年に渋谷店をオープン。百貨店やセレクトショップにもコーラを卸すようになり、多くの人に飲んでもらえるようになっていく。

「この事業をはじめた当初から『コカ、ペプシ、イヨシ』って言い続けていて。伊良コーラは世界のコーラメーカーに並ぶ存在になれると思っています。最近だと、韓国、タイ、台湾とも商談を進めていて。今度は瓶だけじゃなくて缶でも販売を始めようとしています」

今回募集するファクトリーディレクターには、缶の選定から、製造の委託先の決定、品質管理、サプライチェーンのマネジメントなど、多岐にわたる仕事を任せることになる。たとえば商社でバリバリ働いている人など、全体を俯瞰して見ることができる人だといいかもしれない。

「事業をしていくなかで、決まった正解や変えられないことはないと思っていて。常に最適解を探している感じです」

「たとえば、コーラに使うライムが輸入できなくなったとしたら、国内産の柑橘に変えるとか。それって見方を変えればチャンスでもあって。物語になるし、コーラがさらに美味しくなるかもしれない」

決まりきっていることはない。それは学生時代、周囲の決められた価値観に合わせて過ごしてきたときに感じた小林さんの息苦しさからくる言葉かもしれない。

「コーラっていうと、体にわるいってイメージがあると思うんですけど、アメリカの南北戦争で疲弊した人たちを元気づけるために、薬剤師のジョン・ペンバートン氏が発明したのがコカ・コーラの起源なんです。彼は漢方にも精通していて」

「体に良い、日本初のクラフトコーラを広めていくことで、それまでコーラが持っていた『体にわるい、手作りできない、アメリカのもの』っていう凝り固まった、この3つのイメージを壊したいと思っていて」

現状をよく観察し、何が最適解か考え尽くす。そこには常に正解があるわけではないし、そのとき次第で最善も変わる。何度も壊して、つくる。そんな気概のある人や、試行錯誤を楽しめる人だといいのかもしれない。

 

小林さんの会社員時代の後輩で、営業の責任者として働いているのが藤原さん。

「小林さんとは共通の友人がいて、一緒に飲みにいくような関係性でした。伊良コーラの事業は応援していましたが、自分も入るとは考えていなかったですね」

小林さんからの誘いがあり、2020年の11月、12月と土日に伊良コーラの仕事を体験。2021年に入社を決意する。

社員は全部で3人。

以前勤めていた会社とは規模も雰囲気も扱うものも全く異なる仕事。入るときに迷うことはなかったんですか?

「正直言うと、迷ったからお試し期間を設けさせてもらったところはあります。それ以上に、自分が伊良コーラに入る前の生き方って、正解ありきの思考というか。ここに進めば間違いないだろう、という道を選びがちで、自分がワクワクするものや、本当にやりたいことを突き詰めて考えたことがあんまりなくて」

高校・大学進学、大手広告代理店への入社と、順風満帆なステップを踏んできた藤原さん。

営業として約2年働いたタイミングで小林さんから連絡をもらったこときっかけに、ふと「このままの生き方が正解なのだろうか」と疑問を持つ。

「小林さんからは『自分の物語が転ぶほうを選んでみてもいいんじゃない?』と言ってもらったことがあって」

物語が転ぶ?

「自分の人生を物語としたときに、どっちの方がワクワクするか。自分はワクワクよりも不安がないほうを選んできたんですけど、新しい決断をするのもいいかなって思たんです」

実際に働いてみてどうですか。

「大小さまざまなトラブルは起こりますし、思っている以上に泥臭いことも細かいこともたくさんある。とくに今は人数が少ないのもあって、一人が担当する幅も広い」

「自分次第で事業がどうにでもなるので責任も大きいですが、そこに楽しさもあります。今自分が充実して働けているのはそこも大きいかな」

仕事の進め方も、社員でディスカッションして決めていくことが多いそう。そのためには、自分なりの考えや仮説を持っておくことが必要になる。

「たとえば、コーラのラベルにバーコードを入れるか検討したことがあったんです。元々は機能性よりもデザイン性を重視したいという意図があって入れていなかったんですけど、大手の取引先に卸す時にどうしても必要になって。最初はラベルとは別にバーコードだけ一つひとつ貼っていたんです」

ただ、それだと貼り忘れもあるし、時間も人手もかかる。どうしたらいいか。みんなでディスカッションを重ねる。

「それでラベルに印字しようってことになったんですけど、既存のラベルサイズのまま、見た目もすっきりしていて、バーコードの機能も保とう、ということになって。それでこの形に落ち着いたんですよ」

みんなが「コカ、ペプシ、イヨシ」の目標に共感できている。

だから建設的な議論が生まれるし、事業も前に進んでいく。

新しく入る人も悩むことがあったら、自分の考えをみんなに話してほしい。

「あとはベンチャー企業なので、事業にはスピード感があります。ある程度固まったブランドのように見えるかもしれませんが、日々ルールや、決まりごとは変わることもあって。そういう意味では柔軟な考え方ができる人だといいですね」

 

取材中に飲んだ伊良コーラは、普通のコーラとは違って、スパイスや柑橘の香りと風味がしっかり鼻に届き、ちょうどいい具合の炭酸が喉に抜けて心地いい。あっという間に飲み干してしまった。

健康にわるい、手作りできない、アメリカのもの、というコーラのイメージを軽々と超える、MADE IN JAPANのクラフトコーラ。

これからどんなふうに広がり、世界に挑んでいくか。一緒に歩いていく仲間を探しています。

(2022/9/30 取材 荻谷有花)

※撮影時はマスクを外していただきました。

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