求人 NEW

自然エネルギーをきっかけに
地方を変える術を探る
学びと実践の3ヶ月

※日本仕事百貨での募集は終了いたしました。再度募集されたときにお知らせをご希望の方は、ページ下部よりご登録ください。

「ローカルリーダーっていう言葉にピンとこない人も多いと思うんですよ。ただ、何か地域の役に立ちたい、どうすればいいんだろう?と考えている人はきっといるはず。そんな人たちがピンとくるものを感じて応募してくれたらと思っています」

そう話すのは、自然電力株式会社の瀧口さん。

再生可能エネルギーの発電所開発や保守・運営など、国内外で事業を展開する自然電力。発電所のある地方での活動も多い会社です。

地方に拠点を置き、地元の人たちを巻き込みながら、本当に地域のためになる事業に取り組む。

今回は、そんな「ローカルリーダー」を生み出すための実践型ビジネススクール&オーディション「GREEN BUSINESS PRODUCERS」の参加者を募集します。

全5回のオンライン講義と、実際に地域を訪れるオフサイト研修2回で構成される、約3ヶ月間のプログラム。

開講式・卒業式とオフサイト研修時の交通費を除き、参加費はかかりません。卒業後、実際に地域で活動していく人には、起業のサポートや自然電力の契約社員としてのオファーが受けられる可能性も。

「採用がゴールではない」と瀧口さんは話します。

ではなぜ、ここまで力を注ぐのか。ローカルリーダーになった先に、どんな未来があるのか。ぜひ読み進めてほしいです。

 

講義の多くがオンラインということもあり、今回はプロジェクトに関わるみなさんにオンラインで話を聞くことに。

プロジェクトの発案者は、執行役員・事業企画部長の瀧口さん。

「以前スペイン人の友人に名付けてもらった『フェルナンド』っていう愛称で呼ばれることが多くて。僕の苗字を知らないスタッフもいるんじゃないかなってくらいです」

そんな気さくな自己紹介から、社内のフラットな雰囲気が伝わってくる。

以前は35年間大手総合商社に勤務し、黎明期に再生可能エネルギー事業の責任者も務めた瀧口さん。

昨年末、縁あって自然電力に転職してきた。

「自分が前職で取り組んでいたのは7〜8年前。当時と比べると、再生可能エネルギーを取り巻く状況はずいぶん変わっていて。中央と地方の温度差を強く感じるんです」

現在、電力全体の約22%をまかなう再生可能エネルギー。政府は2030年までに38%程度まで向上させるという目標を掲げ、自治体を手厚く支援している。

にも関わらず、積極的に太陽光や風力発電所をつくりたいという地方は少ない。

背景には、地域にあまり利益を還元せずに開発を推し進めてきた一部の事業者の存在があった。

「このままでは、再生可能エネルギーを推進することがすごく難しい状況になるだろうなと。大至急ローカルリーダーを増やしていく必要があると思いました」

ローカルリーダー、というと?

「自然電力では、若手スタッフが拠点を置いてがんばっている地域がいくつかあって。そういうところは、地域の課題解決に向けて、お金と人が集まる仕組みを考えて、地元の人の理解を得ながらプロジェクトが進んでいる感じがするんです」

「規模の大きな環境問題も、結局はローカル一つひとつの集大成。彼らのように、ローカルリーダーになれる人材をもっともっと育てていきたいと、今回の企画を立ち上げました」

オンラインとオフサイトの掛け合わせで実施するGREEN BUSINESS PRODUCERS。

グローバル課題やビジネスについて講義で学んだのち、自然電力のスタッフが活動している香川県三豊市、宮城県東松島市、佐賀県唐津市を訪問。耕作放棄地やシングルペアレンツなどの課題に触れたり、地元住民と意見交換したりと、地域のリアルを体感しながら学ぶことできる。最終的には学んだことをもとに、自分の新規事業を立案するというプログラムだ。

スクールに参加できるのは、選抜された30人。全日程に参加できることが前提で、本気で学ぶ意欲や具体的なアクションを起こしていきたいという気持ちが求められる。

卒業後には独立支援などのサポートや、自然電力の契約社員として迎え入れることで、経済的な不安を抱えずに事業立ち上げにチャレンジできる仕組みも考えているという。

「勉強して終わりではなく、実際に地域で行動を起こしてほしい。一番の不安は、食べていけるだろうか?ということですよね。経済的な不安が払拭されることで飛び込めるなら、惜しみなくサポートしたいと思っています」

エネルギーについての学びは、ひとつのきっかけ。それを切り口に、農業や教育、福祉といった、各々の課題解決につなげていけるのが、この仕事の面白い部分。

たとえば、自然電力が進めているリファーミングプロジェクト。畑の上に太陽光パネルを設置することで、太陽光発電と農業を掛け合わせる事業だ。

電気の販売で安定した収入が見込めるので、新規就農者も挑戦しやすい。自然を切り崩して建てるわけではないので、環境にも優しい。さらに耕作放棄地を活用すれば、地方の農業を守っていくことにもつながる。

こんなふうに、地球環境や発電所を設ける地域のことも大切に考えた電力事業を進めている。

「電気って色も形もなくて、誰がつくっても同じもの。それそのものではまったく差別化ができないんです。だからこそ、どういうストーリーで、どんな想いでつくるのかにこだわるべきだと、僕らは考えています」

「再生可能エネルギーの事業は、ある程度の利益は保障できるもの。であれば、地方こそそれを利用して資金や雇用を生み出して、今ある課題を解決したり、新しい挑戦をしたりしてほしい。そうすればもっと前向きに、未来のことを考えられるんじゃないかなって思うんですよね」

 

オフサイト研修では、実際に活躍している先輩スタッフのもとを訪れる。興味や課題感が重なれば、彼らがいる地域で活動したり、協業したりという選択肢もある。

「参加者の半歩先にいる感じ」と話すのは、宮城県東松島市に拠点を置く南井(みない)さん。

「今年2月から業務委託で関わり、5月に社員として入社しました。その数週間後には東松島への移住を決めて、住みはじめて3ヶ月です」

かなりのスピード感で移住を決めた南井さん。

一体何がきっかけだったんですか?

「入社後すぐ、瀧口に東松島に連れてきてもらいました。瀧口が前職時代に、大規模な太陽光発電所を開発していて。東京ドーム1個ぶんくらいの大きな発電所を目の前で見て、かっこいいな!ってロマンを感じました」

「震災直後にいろんな苦難を乗り越えて完成したっていう話をまちの人たちからも聞いて、いろんな人の想いが詰まった発電所なんだと感じて。そんなみなさんの想いを受け継ぎたい、自分もこの場所から新しい仕事をはじめてみたい、と移住を決めました」

社内の賛同も得て移り住んだものの、進行中の案件もなく、まったくの0からのスタートだった。

「知り合いもいなかったので、最初の1ヶ月は孤独でした。少しずつ人を紹介してもらったり、地域のビーチクリーンに積極的に参加したりして、顔見知りが増えていって。震災後新しくまちをつくっているエリアも多くて、外から来た私も受け入れてもらいやすい雰囲気がありますね」

「地元の人と仲良くするというより、地元の人になるつもりで、まずはそれが仕事だと思って3ヶ月間過ごしてきました。電力開発の仕事は、これから本格的にはじまるところです。偉そうに語れるものはないので、僕が挑戦してよかったことや失敗したことを、参加者の人たちには率直に伝えていけたらいいかなと思っています」

地域のコミュニティに飛び込む第一歩は、信頼関係を築くこと。まだ歩みはじめたばかりの南井さんの話は、参加者にとってもリアルに感じられるはず。

これからは、瀧口さんが話していたリファーミングや、地域のお年寄りの移動手段と太陽光発電を掛け合わせた事業を構築するために動きはじめている。

「GREEN BUSINESS PRODUCERSを経て、自然電力に加わってくれたり、いろんな地域で活動していく仲間になってくれたらうれしい。でもそれに限らず、所属している会社でできることを探すのでもいいと思いますし。何かしらの形でつながり続けられたらと思っています」

 

佐賀県唐津市を拠点に働いているのが、小田切さん。

自身の会社を経営していて、自然電力とは5年近く業務委託の関係。電力の小売や発電所開発を経て、今は新規事業開発に携わっている。

唐津に移住したのは、8年ほど前。化粧品会社に勤めていた小田切さんは、佐賀県が美容を切り口に地方創生に取り組みはじめたことを知り、興味を持った。

東京から移住し、プロジェクトの先陣を切っていた唐津市で、行政とタッグを組んで仕事をはじめる。

耕作放棄地で育てた作物を原料に化粧品を開発したり、廃工場をリノベーションして化粧品工場をオープンしたり。

あるとき、地域に根付いた農作物や特産品、自然由来の商品を集めたマルシェを企画した小田切さん。その電力を再生可能エネルギーでまかないたいと思ったそう。

そのアイデアは実現しなかったものの、唐津市で風力発電所を運営している自然電力との縁がつながり、業務委託の形で関わるようになった。

「化粧品と違って、エネルギーって性別も年齢も問わず誰もが使うもの。地産地消の電気に切り替えることで、地域の事業者の原資ができて、活動を通じて地域に還元される。そんな循環こそ理想的だと思ったんです」

ローカルで長年活動するなかで、葛藤を感じることもあるという小田切さん。

「都会にいたときのほうが、ある意味ストレスは少なかったかもしれません。問題に直面する機会が少ないので」

人手不足の福祉・介護業界のこと、支援が足りていないシングルペアレンツ、心のバランスを崩して学校に行けなくなる子どもたち。

人口が多く、自分と近しい境遇の人たちとの関係だけでも成り立つ都会なら、目を向けずにすんでいた問題と直面する機会も多い。

「一極集中のほうが楽かもしれないと、諦めそうになることもあります。でも、そうじゃない楽しい世界をつくるにはどうしたらいいだろう?と考えると、そのひとつの方法が地産地消の電気かもしれない。地域内で経済をまわす力をつけることが、少しずつ理想の姿に近づくことにつながっていくんじゃないかと思うんです」

今回参加を考えている人に、何か伝えたいことはありますか?

「もしGREEN BUSINESS PRODUCERSに受からなかったとしても、そこで縁がなかったと終わらせないでほしくて。自分は、今回興味を持ってくれたすべての人と縁をつくりたいです」

「縁が増えるほど地域の可能性も広がると思っているので、唐津では関係人口づくりにも取り組んでいます。このプロジェクトに興味を持っているなら、今の想いを大切に、ぜひ何かしらのかたちで地域に関わってほしいですね」

 

エネルギーは切り口のひとつで、そこから自分の感じる課題の解決や、地域の想いの実現につなげることができる。そんな視点を得られたことが、とても新鮮な取材でした。

同じような課題意識を持つ仲間と過ごす3ヶ月は、大きな問題と向き合いながら活動していく上できっと支えにもなるはず。

自分にどんなことができるかは、ここで一緒に探していけば大丈夫。目指したい未来と重なる部分があると感じたら、ぜひ一歩を踏み出してほしいです。

(2022/10/3オンライン取材 増田早紀)

※記事中の写真はご提供いただきました。

この企業の再募集通知を受ける

おすすめの記事