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“ふつうに暮らす”に寄り添う
村を進化させるチーム

※日本仕事百貨での募集は終了いたしました。再度募集されたときにお知らせをご希望の方は、ページ下部よりご登録ください。

暮らしや仕事のさまざまな選択肢があるいま。移住のハードルは、以前より低くなってきているように感じます。

一方で、移住先での暮らしに不安を感じる人も多いと思います。

想像だけでは不安に感じることも、生活コストの例を示してくれたり、移住者用の住まいが用意されていたり。現地のサポート体制が整っていたら、安心して移住することができる。

奈良県宇陀郡曽爾村(そにむら)。地域おこし協力隊として活躍する人も多く、年間約20人がこの村へ移住しています。

そんな移住者たちをサポートするためにつくられたのが、一般社団法人SONI SUMMIT。

住まいや仕事の紹介、村内外をつなぐ交流の場づくりなど。一人ひとりの暮らしや生き方にそっと寄り添い、移住定住をサポートしています。

今回は、このSONI SUMMITで移住定住コーディネーターとして働く人を募集します。

今いるメンバーは2人。ふたりとも曽爾村出身ではなく、都会から移住してきて、曽爾村で新しいチャレンジをしている人たちです。

移住者の視点から、移住をサポートする仕組みやサービスをつくる。その一員となる人を探しています。

 

名古屋駅から近鉄特急に乗って1時間半。名張駅で降り、そこから車で30分ほど川沿いの山道を進んだ先に曽爾村はある。

ちょうど秋の紅葉シーズンで、川沿いのもみじが美しく色づいていた。

曽爾村役場で迎えてくれたのは、役場で移住定住の担当をしている企画課の椿井(つばい)さん。

「曽爾村への移住者は、年間20人くらいです。この数って、めちゃくちゃ多いわけでもないし、少なくもない、絶妙なところで」

「もちろん地域おこし協力隊を受け入れ続けてきたので、人が増えている実感はあります。ただ、住める空き家があるかとか、移住者のコミュニティが充実しているかとか。受け皿として十分かという点は、課題を感じているんです」

そこで、移住定住の相談窓口を新たにつくろうと生まれたのが、SONI SUMMIT。

最初は村の移住者が有志でつくった任意団体で、村に移住者を増やすにはどうすればいいか、理想を共有する試みから始まったそう。

そこから、専任でSONI SUMMITにコミットする地域おこし協力隊を募集。昨年末からは一般社団法人として活動を始めている。

「これからサミットに期待していることはいろいろあって。たとえば、空き家の利活用。空き家はたくさんあるけれど、市場に出ていない物件が多いんです。そういった課題に対してどうアプローチするか、サミットのメンバーと日々話し合っています」

「ただ、僕らがどんどん一方的に進めていけばいいわけでもないんです。課題だと思っていても、村の人は課題に感じていないことも多々ある。机上論で思いつくことも、実行するにはすり合わせが必要で。そこが頭を使う部分かなと」

役場に身を置きながら、柔軟にいろんなことを考えて実行している椿井さん。これからやってくる人も相談しやすいと思う。

 

「椿井さんとミーティングすると、1時間の予定でもだいたい5分で終わりますからね(笑)」

「『あ、いいんじゃない。それはこっちでやっとくわ』みたいな。『じゃあ僕はこっちの部分やっときますね』って、ぱっぱっぱって進んでいくことが多いです」

そう話すのは、地域おこし協力隊の菊原さん。SONI SUMMITの担当として、昨年曽爾村にやってきた。

前職では、東京の金融機関で働いていたそう。十数年キャリアを積んできたなかでの転職は、迷いも大きかった。

「前職の最後のほうは、地域活性や地方創生の案件を担当する部署にいて。そこで2、3年過ごしているうちに、東京で金融をするって、手触り感がないというか… 直接的に地域に関われない歯痒い思いがあったんですよね」

「それだったら会社を辞めて、現実がどうなっているかを知りたいと思って。どうすれば地域が盛り上がるのかを、自分でやれる限りやってみようかなって。そのときに、仕事百貨さんの曽爾村の記事が目に留まって」

もともと奈良出身だったこともあり、縁を感じたという菊原さん。思い切って応募して採用されたものの、決断するまでには何度も逡巡したという。

「想いだけで飛び込んでいいものなのかっていうのは、すごく考えました。でも3、4回曽爾村に足を運んで、役場の方といろいろお話をして、やってみようって。覚悟じゃないですけど、心を決めました」

「企画課のみなさんがすごく歓待してくれましたし、やると決めたらとことん一緒にやってくれそうな雰囲気もあって。この人たちとだったら一緒に面白い仕事ができるかもしれないって思ったんです」

移住してまず始めたのは、SONI SUMMITを立ち上げた有志メンバーへのヒアリング。

曽爾をどんな村にしたいのか、どういう人に来てほしいのか、どんなサービスがあったらいいか。2ヶ月以上かけて意見をまとめた。

そこで浮かび上がってきたのが、スキルがあって、自分からアクティブに動ける人に移住してもらい、村を活性化していきたい、ということ。そのために、移住後の支援を手厚くしていくことだった。

とはいえ、最初からすべて実現することはむずかしい。菊原さんはまず、これから来られる移住者が安心して暮らせる環境をつくるには?という問いを立てた。

「移住者が、暮らしのなかで困ったときに寄り添える。SONI SUMMITはそんな団体であるべきだなと。それを任意団体のメンバーとともにまとめたスローガンが、『“ふつう”に暮らす、そっと寄り添う』なんです」

たとえばちょっと困ったとき、コーヒーを飲むついでに相談できる場所があったり、移住者同士をつなげる機会が定期的に設けられていたり。

クリエイティブな仕事に向き合うなかでは、孤独を感じる場面もある。拠りどころとなる場を増やしていけば、今後移住してくる人も安心して地域のなかに入ってくることができる。

どちらが先かというよりも、同時にニーズを満たす形をつくっていくことが大切だと、菊原さんは考えている。

「今ちょうど取り組んでいるのは、村内の仕事の見える化ですね。移住希望者からの質問で多いのが、仕事はあるんですか?っていうものなんです。僕はまだ地域の事業者さんに詳しくないので、近くの名張とかの会社に勤めている人がいますね、くらいしか言えなくて」

「それをなんとかしようと、今年の2月くらいに村内でアンケートをとってみたら、実は20件くらい雇用の機会があるんじゃないかっていうことがわかったんです」

20件! 意外とあるものなんですね。

「そうなんですよ。アンケートをとることも、面白そうやからやってみたら?って、企画課の課長が背中を押してくれて。今はその雇用と人をつなげる仕組みをつくっているところです」

やったほうがいいとわかっていながらも、なかなか進んでいなかった事業が、SONI SUMMITができたことにより形になってきた。

「関係人口をつくるイベントとか、廃校になった小学校の利活用を一緒に考えるとか。いろいろとやることは増えてきました」

「来年度には、地域おこし協力隊の制度を活用して、村で起業する人も募集する予定です。起業ってゼロイチで悩まれる方も多いと思うので、それをサポートできるようなプログラムを提供できたらいいなと考えています」

移住定住に関する行政として取り組めていなかった分野や、分散していた各機能を、今後SONI SUMMITが一手に引き受けることで、村としても移住者を増やすことにつながるし、これから移住を検討する人にとっても、相談窓口がシンプルなほうが安心できる。

今回募集するメンバーは、サミットの顔となるような人に来てほしい、と菊原さん。

「窓口対応や事務作業が得意な人だったらいいなと思っていて。PRも自分たちでやっているので、ウェブに詳しかったり、文章を書けたり。なにかしらのスキルを持っていたら、なおありがたいですね」

「あと大事なのは… 愛嬌ですかね。僕が見た通りゴツい感じなので(笑)。人と接するのが好きで、目の前の人のためにがんばれる。そんな人が来てくれたらいいなと思います」

 

最後に話を聞いたのは、南さん。菊原さんとタッグを組んで活動している。

東京で住宅営業に携わったあと、奈良県内の別の地域で協力隊として活動し、任期後は民間企業で働いていたそう。

空き家活用に関するイベントで菊原さんと出会ったのをきっかけに、SONI SUMMITで働くことになった。

「ほかの地域も経験してきましたが、曽爾村はSONI SUMMITっていう組織があって、役場もすごく応援してくれているのがいいなと。自分も協力できることがあればと思って、ここで働くことを決めました」

住宅関係の仕事の経験を活かして、サミットでは空き家関係の仕事を担当している。

たとえば、今後空き家バンクの事業を自分たちで引き受けて、ワンストップで移住者の相談に答えられるような体制づくりをしたり。村が村内の古民家を一定期間借り上げ、若い世代の意見を取り入れながらリノベーションして貸し出す仕組みを構築したりなど。

この日も「空き家の修繕をするんです」と言って、暖房用のポンプを持って出かけていった南さん。今回募集する人も、住まいのことは南さんに聞けば安心だと思う。

するとここで、二人の話を聞いていた椿井さん。

「移住定住に関することを、本当に多岐に渡って取り組んでもらっているので、僕も村の立場としてすごくありがたく思っていて」

「二人の熱量がすごいので、『これどうしようか』って話したら、一週間もしたらだいたい形になっていて、もう一回考えて、みたいな。常に何かを考えて、創造して破壊して再構築する。その繰り返しですね」

続けて、菊原さん。

「自分のなかでは、過疎地域をいい形でソフトランディングさせるためにはどうすればいいんだろうか、っていう課題意識が大きくあって。それに対して、できるだけのことを全部やってみようって思ってるんです」

「それも自分の独りよがりじゃなく、みんなで話しながらいろんな取り組みをやっていく。それが重なって、少しずつでも村に活気がでたらいいなと思いますね」

ふたりとも声に熱を込めて話してくれる。曽爾をより良くしたいという想いを共有しているからなんだろうな。

南さんはどうでしょう?

「村でやってみたいことにチャレンジして、形にすることも大事なんですが、根っこには『そっと寄り添う』っていうコンセプトがあるので、そこは大事にしたいなと思っていて」

「人の話をしっかり聞いて、お手伝いさせてもらう。その感覚は、新しく来てくれる人にも持っていてほしいなって思います」

都会でも、過疎と言われる地域でも。そこには変わらず、ふつうに暮らしている人たちがいます。

その人たちを支えるには、どんなことができるだろう。曽爾村は、思い浮かんだアイデアを形にしやすい環境だと思いました。

この村の規模感、そしてこのチームだからこそ、できることがあると思います。

(2022/11/10 取材 稲本琢仙)

※撮影時はマスクを外していただきました。

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