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自分らしく
“ふつう”に暮らす
お手伝い

※日本仕事百貨での募集は終了いたしました。再度募集されたときにお知らせをご希望の方は、ページ下部よりご登録ください。

もっと自分らしく生きたい。

そんな想いから、移住を考える人も多いかもしれません。

自分の人生を変える大きな決断になるからこそ、同じ目線で寄り添ってくれる人がいたら、とても安心すると思います。

奈良県宇陀郡曽爾村(そにむら)。

漆塗り発祥の地といわれ、ススキが群生する曽爾高原でも有名な村です。雄大な自然に囲まれた小さな秘境のようなこの村で、移住・定住をサポートするプランナーを募集します。

移住希望者の不安や想いに耳を傾けつつ、移住後の仕事や住まいのことを考えて、村内にも働きかけていく。

暮らしや生き方を考える一人ひとりに寄り添った仕組みをつくっていく仕事です。

 

名古屋駅から近鉄線に乗り、三重県の名張駅へ。そこからさらにバスで1時間ほどかけて曽爾村へ向かう。

うとうとしながらバスに揺られ、終点間際で目を覚ますと、あたりはすっかり山に囲まれていた。

村に到着して最初に訪ねたのは、曽爾村役場の目の前にある「そにのわの台所katte」。

なかには木のテーブルが並んでいる。

「ここは製造許可付きのシェアキッチンなんです」と教えてくれたのは、役場で働く木治(きじ)さん。

「若手の農業者さんや移住者さんから『商品開発や製造にチャレンジできる場所がほしい』という声をいただいて。ワークショップを重ねて、どんな場所にしたいか一緒に考えてきました」

かつての農産物加工所をリノベーションし、2020年にオープン。

SHOPルームやイベントスペースがあって、毎週水曜日には地元の人へ向けた農産物市場「そにのわマルシェ」も開催してきた。

今年1月の緊急事態宣言以降は、いったんお休みしているとのこと。

「マルシェは、地域おこし協力隊の方が中心となって運営してくれています。地元の人もどんどん巻き込みながら進んでいるのが、すごくいいなと思っているんですよ」

この7年間で、25名ほどの協力隊を受け入れてきた曽爾村。協力隊の動きによって、マルシェのほかにもさまざまな活動が生まれている。

「間伐材を使ってスプーンや椅子をつくるワークショップが開催されたり、村人が講師になる観光体験ツアーが始まったり。各隊員の近況を綴った『そにっき』を役場の広報誌とともに配布しているので、村の人たちも活動のことをよく知ってくれているんです」

「協力隊の方が村を歩いていると、『あんた、トマトつくってる子やんな。いつもようやってくれとんな』みたいに、話しかけられることも結構あるそうで。地元育ちの僕よりも、皆さん有名だと思います(笑)」

外からの人を受け入れる土壌ができてきたおかげで、最近は協力隊以外の移住者も増えているそう。

「問い合わせも、年間180件ほどいただいています。これから先、移住の需要はどんどん高まると思うんです。今のところ、役場として取り組んでいるのは外部の移住促進イベントに参加することくらいなので、もっとできることはあると思っていて」

現在、問い合わせ対応から空き家の管理、内覧対応といった主な移住支援は、NPO法人空き家コンシェルジュに委託しているとのこと。

「実際に住んでいる我々だからこそ伝えられることって、たくさんあると思うんです。空き家コンシェルジュさんとも引き続き連携を取りつつ、自分たちならではのサポートも始めていきたいと考えました」

 

そこで設立されたのが、移住サポート団体「soni summit」。木治さんと移住者4名がメンバーだ。

そのうちの一人が、デザイナーとして働く山本さん。

「4年前に、家族とともに曽爾村へ来ました。旦那さんが焼き物を仕事としているので、薪窯が置けて薪材も調達できるような場所を探していたんです。いくつか空き家バンクに登録していたなかで、曽爾村だけすごくスムーズに話が進んで。私たちがここを選んだっていうより、選んでもらったっていう気がしますね」

「私自身、引っ越しはしたけど移住してきたっていう感覚はあまりなくて。ほかの人たちも、仕事の関係とか、ここで生まれたとか。理由は違えど、みんなここに導かれてきたんだと考えています」

移住してきた人を「移住者」として特別扱いするのではなく、一人の人間として接していく。

それは、soni summitでも大切にしている感覚だという。

「新しい環境も、数年暮らせば日常になるじゃないですか。だからこそ、soni summitで自分たちの暮らしを『田舎暮らし』と打ち出して特別感をだすのも、なんか違うかなって。みんなふつうに暮らしているだけなんです」

「村によっては、移住者に着目して特色をだしているとこもあるけど、曽爾村はそのようなハードルはなく『誰でもいいよ、ふつうに入っておいで』って感じなんですよね。そのなかで、みんなやりたいことをやりたいタイミングでやっている。何より、地元の人を巻き込んで一緒に進化していきたいって気持ちが強いんです」

「soni summitの活動を通じて、いろんな人が村に来るきっかけをつくっていきたい」と山本さん。

さまざまなバックグラウンドを持った人が集まってくることで、村の雰囲気が毎年のように変わり、活気に満ちていく。そんな未来像を描いているという。

「今soni summitは、私含めほかのメンバーも、本業があるなかで参加していて。だから今回は、専任者を募集したいんです。新しく来てくれる方を中心に、みんなで活動していけたらと思っています」

 

本格的な活動は、まだまだこれから。

元協力隊であるトマト農家の中野さんに、具体的な活動内容を聞いてみる。

「僕らができることは、受け入れ環境を整えることなのかなと思っています。興味を持って来てくれた人の人生まで聞かせてもらいながら、一緒に寄り添って考えた先の結論が曽爾村に住むことだったらうれしいよねって、メンバーともよく話しているんです」

まずは、何からできそうでしょうか。

「村について発信していくことですね。コロナの影響で中止になってしまったんですが、本当は今年の1月に開催予定だった暮らし体験のイベントもあって。オンライン開催も含め、いろいろな企画を新しく入る人に進めていってほしいです」

soni summitのHPも現在制作中。曽爾村の暮らしや魅力を発信して、問い合わせがあればその対応も行うことになる。

住まいの相談だったら、空き家コンシェルジュにつないで内覧に付き添ったり、村を歩きながら案内する時間をつくったり。

移住してきたからこそ分かることをありのままに伝え、その人の望む生き方が曽爾村で実現できるように、一緒に考えていく。

「あとは仕事をどうするかも、すごく大きな問題だと思うんです。だけど、曽爾村には仕事を紹介している場所がなくて。村にある求人情報をsoni summitでまとめて発信していきたいと思っています」

「定職以外にも、単発の仕事も取り扱っていきたい。僕自身、トマト農家をしながら、空いた時間に草刈りや市場の手伝いをしてお金をもらっているんです。数日、数時間だけ人手が欲しいっていう需要はたくさんあると思うんですよ」

仕事の情報を集約してカレンダーにまとめ、どの日時にどんな仕事があるのか、すぐわかるような仕組みをつくっていく予定とのこと。

副業やフリーランスなど働き方が多様になった今、移住した先で隙間時間に働きたいニーズも増えていると思う。

「ゆくゆくは、後継ぎがいない事業者からの継業や、起業支援なども見据えています。今までできていなかったサポートを村内外に対してしていきたいですね」

 

移住にあたって、仕事と同じくらい重要なのが、住む場所だと思う。

実は、曽爾村ですぐに紹介できる空き家は10軒ほどしかなく、改修工事が必要な物件も多いそう。

空き家のことついて、メンバーの並木さんに教えてもらう。昨年の夏にお子さんが産まれ、現在は育休を取りながら漆の植栽に関わる仕事をしているとのこと。

「実際は空き家だけど、空き家バンクに登録していないところや、登録を検討中の物件も村にはあって。受け入れ可能な物件を増やすために、空き家登録の方法を発信するとか、オーナーさんとの関係性づくりとかも大切になってくるのかなと思います」

空き家に関するノウハウや専門的な知識を得るための勉強会も、空き家コンシェルジュと連携しながら開催していきたいとのこと。

「改修工事はお金がかかってしまうので、オーナーさんが自分でDIYできるようにワークショップとかもやりたいですね。ゆくゆくは、ある程度の改修業務や賃貸管理も担えたらいいなって」

「soni summitは、法人化を見据えていて。事業として成り立たせていくための体制づくりや収益モデルも考えていきたいと思っています」

現時点で特別な知識や経験はなくても大丈夫。

移住者に寄り添い、メンバーとともに一つひとつ学んでいけばいい。

とはいえ、移住に関する知識から起業支援、空き家関連の業務や法人化したあとの経営まで、最終的に取り組んでいく分野は幅広い。

日々学ぶ姿勢や、移住に伴う覚悟は必要だと思う。

「私も最初は協力隊として東京から移住してきたんです。東京に住む友達と話していると『本当は今の暮らしに悩んでいる』っていう声をよく聞くんですよね。私みたいな決断ができて羨ましい、って。悩みを抱えている人って多いんだなと感じていて」

「私自身、都会に暮らすなかでどこか引っかかっていたものはあったけれど、曽爾村に来るには結構勇気も必要で。こっちに知り合いがいるわけでもなかったので、これまでに積み上げてきた仕事や人間関係をすべて手放すような気がしたんですよね」

新しい環境に飛び込む勇気がなかなか出ないという人は、結構いる気がします。

「ただ、実際に来てみたら『意外と大したことないな』って感じて。もっと気軽に考えても良かったのかな、とも思ったんです。積み上げてきたものを一度横においとくことで、新しい知識や経験を重ねていけた。そこに、想像以上の喜びがあったんですよね」

「暮らしの面でも、新鮮な野菜をおすそ分けしてもらったり、近所の人がみんな家族みたいに接してくれたりして、すごく健やかに日々を送れていると感じていて。だからこそ、今悩んでいる方に、自分が経験してきたことを伝えていきたいです」

今回募集する人もきっと、なにかしらの悩みや不安を抱えた上で決断するはず。実際に移住した先で、良いところと同じくらい不便に思うこともあるかもしれない。

その気持ちを大切に忘れずにいられたら、新たにやってくる相談者と同じ目線に立ちやすいと思う。

「soni summitの仕事は、曽爾村を全体的に見ながら、すでにあるものを組み合わせてつくっていくものだと思うんです。そこに楽しさを感じられる方や、仕組みを1からつくっていく過程をポジティブに捉えていけるような方に来てもらえたらうれしいですね」

 

皆さん「たまたま曽爾村だった」と言います。

魅力的な地域はたくさんあって、どこを選んでもその先には必ず続いていく景色がある。だからこそ、直感で決断してみてもいいのかもしれません。

何かいい予感を感じたら、まずは曽爾村の皆さんと話をしてみてください。

(2021/2/2 取材 鈴木花菜)

※撮影時はマスクを外していただきました。

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