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歴史をつなぐ宿
富士山の湧水からつくる
クラフトビールで乾杯!

※日本仕事百貨での募集は終了いたしました。再度募集されたときにお知らせをご希望の方は、ページ下部よりご登録ください。

「この仕事を選ぶのは、小さくても何かを成し得た経験があって、自分に自信がある人なんじゃないかな。ここでは任される範囲は無限です。そのぶん、自分の仕事はしっかりやってもらいます」

そう話すのは、加和太(かわた)建設の施設運営事業部長である渡辺さん。

静岡県三島市を拠点に土木・建設業を営んでいる加和太建設株式会社。

長年まちのインフラを支えつつ、道の駅や野外活動センターなどの施設運営、シェアサイクルやマルシェの企画など、まちづくり事業にも取り組んできました。

今回募集するのは、古民家宿「掬水(きくすい)」のマネージャーと、富士山の湧水でつくるMFB(Mt.Fuji Brewing)ビールの事業推進担当。静岡県富士宮市を拠点に働きます。

どちらも個性的な事業ではあるものの、渡辺さんの右腕として推進していく人が足りない状況。

まったく新しいアイデアで事業を展開してくれる人や、将来の独立のために経験を積みたい人も歓迎します。

「やる気があれば、国籍・性別・年齢は問わない」とのこと。事業のリーダーとして、一段上の力をつけるには絶好の環境だと思います。

 

富士山のふもとにある、静岡県富士宮市。

東京から新幹線こだま号に乗り、三島駅まで50分。富士宮駅は、そこから在来線で1時間弱、車なら40分ほどの場所にある。

電車の窓からは、常に大きな富士山の姿が見えていた。まちを歩いていても、当たり前に富士山が視界のどこかに入る。

この日は、地元のお祭りが3年ぶりに開かれていた。まちには山車をひく人たちの声が響き、屋台が並ぶ通りは多くの人たちで賑わっている。

駅から歩いて15分。お祭りの舞台である富士山本宮浅間大社の敷地に隣接しているのが、古民家宿「掬水」。

木々に隠れてよく見えないけれど、赤い橋の向こうに、池に面して建物がある。

裏の入り口からおじゃまして、客室のひとつへ。

先ほどの景色を反対側から眺める。木漏れ日と澄んだ水の流れを間近に感じられて、気持ちがいい。

ここで話を聞いたのは、渡辺さん。社員とアルバイトスタッフ合わせて80人が所属する施設運営事業部で部長を務めている。

「湧玉池の水、見ましたか? すごくきれいでしょう。富士山からの湧き水が溜まってできた池で、ここが富士山の0合目とも言われます。かつては富士山を訪れる人たちが、ここで身体を清めていたんですよ」

富士山信仰の中心地で、世界文化遺産でもある浅間大社は、このあたりに加え、富士山の八号目以上も社地として所有しているという。

隣接する掬水は、もともと大正時代に建てられた旅館。その後、割烹料亭になったり、地場の有力者の私邸になったりと、形を変えながら約70年続いてきた。

建物の風合いを活かしてリノベーションし、2018年に加和太建設がはじめたのは、富士山を訪れる観光客をターゲットにしたゲストハウス。

しかし、コロナ禍の影響で休業。

その間に内装をリニューアルして、1日3組限定の宿として生まれ変わらせたのが、渡辺さんだった。

長年勤めた観光・宿泊業界から、約2年前に加和太建設へ。施設運営事業部が担う、10もの事業を統括している。

「ここに来たとき、正直、10のうちほとんどの事業が赤字でした。それを一つひとつ立て直していって。常に考えることが多すぎて、今この時間も2つ3つ考えごとをしながら答えているくらいです」

「今、特に力を入れる必要があるのが、この掬水とビール事業です」

掬水はリニューアル後に、当時のマネージャーが家庭の都合で退職。渡辺さんとほかのスタッフで宿泊対応をしていたものの、現在は手がまわらず休業状態だという。

「泊まられたお客さまは、みなさんとても気に入ってくれて、チェックアウトの際に次回の予約を入れてくれる。ただ、今は人手不足で頻繁に開けられないっていう、すごくもったいない状態。施設の改修はほぼ終わっているので、1を10に育ててくれるような人を求めています」

時代ごとの増改築の名残を感じられる廊下を抜け、自慢の一室だという「水の間」を見せてもらう。

池の上にせり出すかたちの部屋で、窓際に座ると、澄んだ湧水が足元を流れていて不思議な感覚になる。

この立地も、歴史ある建物も、自分で宿をやりたいと思っても、簡単に手に入るものではないだろうなあ。

新しく入る人に任せたいのは、お客さんの予約受付から宿泊対応、数字の管理、施設メンテナンスなどの運営全般。

より多くの人に知られるよう、企画や広報も積極的に考えていってもらいたい。

「朝食を出すのか、お土産やビールを売るのか。オペレーションも自由に考えてもらっていいです。収支が成り立つなら、アルバイトを入れても構いません」

「会社勤めでここまで自分で決められる環境って、なかなかないんじゃないですかね。将来の独立のために経験を積みたい方でもいいと思います」

運営にあたっては、事業部のメンバーでシフトを組む予定。すべて一人でこなすわけではないので、安心してほしい。

今後について、渡辺さんは何か思い描いているイメージはあるんですか?

「ここを訪れて『癒された』っておっしゃる女性のお客さまが多かったので、その層をメインターゲットにしていきたいですね。将来的には入り口付近をオープンカフェにして、宿泊客以外にも利用してもらえたらいいかなと」

「ただこれ、まだ僕の頭のなかだけのことなので。また違う面白い絵を描いてくれるなら、それでも全然いいんです。これだけの建物を活かすも殺すもその人次第。これまでの歴史も活かして、次世代につなげていける人だといいですね」

ここに来るまで、「なんでもやってきた」という渡辺さん。社長秘書やホテルの支配人、経営企画や人事制度の立ち上げ、海外を拠点に自身の会社を経営していた時期もある。

社内では、渡辺さんのパワーについてこられず、離れてしまうスタッフがいたのも事実。

でも、追随できるなら、こんなにやりがいのある環境はなかなかないと思う。

 

「暴走する車のハンドルを握らされている感じなんですよ(笑)。月ごとに考えが変わることもよくあるし、部長についていくのは大変なんですけど、その先で必ず自分がステップアップできる。日々エキサイティングで、面白いです」

そう話すのは、ジャンナッチーニ直子さん。イタリア人の旦那さんと、3人のお子さんと暮らす伊豆から通っている。

加和太建設でデザイナーとして働いて7年。本社勤務を経て、今は施設運営事業部でデザインを含む幅広い仕事に取り組んでいる。

「イタリアに長年住んでいて。歴史のあるいい国なんですけど、実は穴だらけの道があったり、壊れている橋があったり。インフラが整備されているってすごく大事だなと気づいて、子育てをするなら安全な日本がいいと、地元に帰ってきました」

インフラを支える人たちに、自分のデザインの力を活かせたら。そう思ったのが入社のきっかけだったそう。

この事業部に来てから、特に力を注いできたのがビール事業。

掬水から歩いて2分。拠点である、Mt.Fuji Brewingに移動して話の続きを聞くことに。

2019年にオープンしたMt.Fuji Brewingは、クラフトビールの醸造所が併設されたブルワリーレストラン。

国内外のブルワリーで経験を積んだクラフトマンが仕込むビールは、地元富士宮のハーブやスパイスを副原料に、富士山の湧水を使ってつくられる。

味見をさせてもらうと、とても香り高く、個性はあるけれどすっきりとした後味。クラフトビールに馴染みがない人でも、飲みやすい味だと思う。

ビールの味に自信はあるものの、この施設でしか購入できないのがこれまでの課題だった。

より多くの人に届けるため、渡辺さんと直子さんが取り組んだのは、缶ビールの開発。

「商品デザインは私が担当しました。特に大変だったのは、パッケージ。部長が突然、『3種類のビールが入る、富士山みたいなパッケージをつくって』って言ってきて、ええ!?って(笑)」

「事業部のメンバーから反発もあったんですよ。どうやって陳列するのかとか、誰が梱包するのかとか。でも難しいって感じる反面、そこに、ほかの商品と差別化できる要素があるんじゃないかって思っちゃうんですよね」

何度も試作をして、簡単に組み立てられ、デザイン性も高いパッケージを考案。

渡辺さんが自ら掛け合い、地域のお土産屋さんを中心に卸すと、半年間で約7万個を販売。無名のビールがこのスピード感で売れるのは、大きな快挙なんだそう。

「普通はクリエイターがチームを組んでつくるレベルの商品開発なんですよ。反発があるなかで進めるからには、絶対成功しなきゃ許されない。怖かったし、大変でしたけど、形になるとやっぱりうれしいですね」

「わたしはデザイナーだけど広報もやるし、イベントにも出る。常にいろんな世界に触れて視野が広がる経験は、ここでしか味わえないんじゃないかな。仕事を本気でやってきた人なら、きっと楽しめると思います」

新しく入る人には、渡辺さんに代わってビール事業全体のリーダーシップをとってもらう予定。

現時点で考えている構想を、渡辺さんに聞かせてもらう。

「缶ビールの収益構造はつくれたけれど、事業全体で見るとまだまだです。今後、もう少し人の多いエリアで、カウンターでビールを楽しめるようなタップバーをオープンしたいと思っているんです」

熱海や東京、横浜など、人の流れの多いところでビールを広く知ってもらい、そこからこの富士宮のブルワリーレストランを訪れてもらえるような流れをつくりたい。

「ビールが好きなのはもちろん、それをお金に換えられる人を探しています。ビールを仕事にしてみたかったとか、この事業に可能性を感じるとか。面白くユニークに稼ぐ仕組みを考えられる人を求めています」

「海外展開も視野に入れて動いています。ただ、これは僕の考え。その人が共鳴してくれたら一緒にやりたいし、違うやり方でもちゃんと稼げるなら全然そっちでもいいんです」

掬水のときも、同じように話していた渡辺さん。

思い入れもありそうですけど、本当に任せきれるんでしょうか?

「どんどん任せたいですよ。僕は新規案件を手がけていきたいから、軌道に乗った事業は手放してスタッフに任せているところです。ただ、数字とかKPI/KGIに関しては、シビアかもしれません」

「そこさえクリアしたら、もう任せますよ。ほかで成功したノウハウを活用してみたい、自分の経験をもとにできる仕事を増やしたいっていう思いがあれば、いくらでもやってもらいたいと思っています」

直球な言葉の裏側に、一緒に働く人たちへの信頼を感じられる渡辺さん。

今の自分に足りない部分があると感じるなら、それも素直に伝えて、渡辺さんの力を借りながら進めていくのでもいいと思う。

志をもって、ここで力をつけたいと思う人に、ぜひチャレンジしてほしいです。

(2022/11/4取材 増田早紀)

※撮影時はマスクを外していただきました。

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