求人 NEW

世界を変えていく
愛のこもったドーナツ

※日本仕事百貨での募集は終了いたしました。再度募集されたときにお知らせをご希望の方は、ページ下部よりご登録ください。

「ドーナツの可能性は無限大だと思う。それくらい楽しめると、おもしろいよね。やればやるほど、できることや見える景色や増えていくはずだから」

FarmMart & Friendsは、2022年の春、東京・代々木にオープンしたドーナツと食料品のお店です。

今回はここで、ドーナツシェフとして働く人を募集します。

全国各地から届く素材でつくるのは、生産者やご近所の方々と関係を育んでいくためのドーナツ。

パン生地を触ったり、製菓の経験がある人、そしてドーナツに愛を込められる人を探しています。

  

東京・代々木。

にぎやかな駅前を抜けて10分ほど歩くと、静かな住宅街のなかにFarmMart & Friendsがあらわれる。

お隣は薪窯でパンを焼くパン屋塩見。奥にはモノサスという会社のオフィス。

お店の前ではドーナツ片手におしゃべりしたり、店頭に並んだ野菜をじっくりと選ぶ人たちの姿が見える。

お店に入ってみると、小さな空間のなかに調味料やお菓子、クラフトビール、ナチュラルワインなどがところせましと並んでいる。

このお店をつくっているメンバーの一人が、FarmMart & Friendsを運営する会社、モノサスのCDOである真鍋さん。関連会社フードハブ・プロジェクトの共同代表も務めている方。

「デザインが好きで広告業界に入ったという経緯があって。デザインで世の中にある不自然なものを自然に戻すっていうことをしたかった。でも、食に出会ってしまったんだよね」

イベントのコーディネートをしたことをきっかけに、食を通じでできることの力を感じたという真鍋さん。

代表が高校の同級生という縁で、Web制作やマーケティングを中心に行うモノサスに入社し、プロデューサーとして仕事をしてきた。

働きながら立ち上げたのが、徳島・神山で町の農業を次の世代につないでいく会社、フードハブ・プロジェクト。「地産地食」を合言葉に、町のなかで食にまつわるものごとが循環していく仕組みをつくっている。

ここ2年でモノサスのなかでも食の事業がはじまって、真鍋さんはいくつかの飲食店の運営、商品開発などに携わっている。

「いろいろやってるんだけど、全部ものづくりの仕事なんだよね。神山と東京で、農家や料理人、販売スタッフと、食に関わるメンバーもだいぶ増えてきた。それぞれに大変さはあっても、連携しながらできることが広がっている感じかな」

そんな真鍋さんたちのチームが、FarmMart & Friendsをはじめるきっかけになったのは、東京・銀座で1年間、期間限定のお店を開いたこと。

移転先として選んだのが、モノサスの本社の一角であるこの場所だった。

「銀座で学んだのは、自分たちだけでやるとつくり手からの発信が強くなりすぎてしまうこと。建築は千駄ヶ谷にオフィスがあるスキーマ建築計画の長坂さんに、メニューのディレクションは原宿でeatripというお店をやっている野村友里さんのチームにお願いしています。2人とも、代々木のご近所さんなんだよね」

いい仕事、いいものづくりをするために、妥協はしない真鍋さん。

何度も打ち合わせを重ね、お店の中心に置くことにしたのが、おにぎりみたいに食べられる雑穀ドーナツと、神山で人気の食パン生地を使い、野菜や果物のジャムなどを添えたクリームドーナツ。

2022年3月のオープン以来、ドーナツを楽しみに来てくれる子どもや、散歩ついでに無農薬の野菜を手にしていく人、会社帰りに1杯クラフトビールを飲む常連さんなど、さまざまな人が立ち寄るお店になってきた。

この小さなお店を通して、真鍋さんたちにはやりたいことがいくつかある。

その一つが、モノサスのメンバーの暮らしを支える場所になること。

「モノサスっていろいろ事業をやってるけど、根本的には働き方と暮らし方を考える会社で。オフィスの一角にこういう店があることで、リモートで働けるなかでも会社に集まるきっかけができるとか、お客さんが会社に立ち寄ってくれる理由になる」

「あとは、東京からつくり手、生産者とどう関われるのかを考えていきたい。ドーナツって、色々な食材を、つくり手から食べる人に届けるひとつの手段なんだよね」

神山から届く、農薬を使わずに育てた野菜。育てるところから製粉まで、誰がやっているのかわかる小麦。

FarmMart & Friendsに並ぶのは、すべて関わりのある生産者が届けてくれるもの。

「『今年は台風が多くて、りんごの酸味が強くなっちゃって』と聞いたら、別の人から甘いのを買うんじゃなくて、そのりんごをどうするとおいしいジャムにできるか考えてみる。ふだんから話せる関係性ができていれば、困ったときでも食べ支えることができるし、おいしいものをつくり続けてもらうことができる」

単にものを受け渡すのではなく、日々会話をしながら、健やかに暮らすことをともに支え合える。

そんな横並びの関係を、モノサスのメンバーやご近所さんをはじめとする、食べる人たちにも広げていきたい。

今回募集するのは、そんな場所で日々ドーナツをつくる人。

どんな人と働きたいですか。

「ドーナツで世界を変えるって思ってるようなぶっ飛んだ人だと、一緒に働くのが楽しそうだな。世の中をよくするっていうとちょっと重たいけど、なんかやってやろうって。ドーナツの可能性は無限大だと思うんだよ」

ドーナツの可能性?

「このあいだナスとフェンネルを使ったジャムができて。それが、すごくおいしいんだよね。ナスがフルーツみたいになるって、新しい発見じゃない。そういう可能性を探りながら、ドーナツを文化的に価値のあるものにしていきたいと思ってる」

  

カウンターに並ぶドーナツの数も少なくなってきた夕方。

「いやー今日も働きましたね」と達成感に満ちている様子の本間さんは、ここで毎日ドーナツをつくっている。

「子どものころからものを大事にしたいタイプだったんですよ。つくった人にも失礼だし、ものもかわいそうだし。壊れたものがあるとすぐ直したくなっちゃうので、最初はバイクの整備士の仕事をしていました」

その後、山を横断して歩いていくロングトレイルに挑戦したり、ニュージーランドのレストランでパンをつくったり、飲食店のメニュー開発をしたり。さまざまな経験を重ねてきたという本間さん。

3月からはここで、ドーナツシェフとして働いている。

「ドーナツシェフって、わけわかんないですよね。だけど、専門家って感じでけっこう気に入ってます。パン生地、ジャム、カスタードクリーム。すべての構成要素が完璧じゃないと、おいしくならないんです。こう見えて、すごい几帳面なんですよ」

朝は6時半に出社。

パン生地を分割して、カスタードとジャムを炊く。

整形して、揚げて、クリームを入れて。

毎日200個以上のドーナツをつくっている。

「クリームドーナツの生地は、小麦を4種類混ぜたり、水じゃなくて牛乳を使ったりしています。水分をかなり多く含んでいるから、ちょっとミスるとご機嫌ななめになっちゃうんです」

「建物が古いから、外気温や湿度の影響も受けやすくて。最近、いい感じになる温度をつかんできました。それも楽しみのひとつなんですよ。むずかしいことって、うまくできるとうれしいじゃないですか」

ジャムは、夏にはパッションフルーツやブルーベリー、秋の終わりにはニンジンなど、その時期農家さんから届く果物や野菜を使ってつくる。

今はいちごのフレッシュさをいかに残せるか、日々研究しているそう。

「素材を育ててくれた人たちの仕事を無駄にしないというか。彼らが本気でつくったものを、一番いい状態で出すっていうのが料理する人の仕事だと思うんですよね。素材にもお客さんにも、要するに、全方位にベストを尽くせる人が望ましいです」

ベストを尽くす。

本間さんはさらっと言葉にしたけれど、簡単なことではないと思う。

「僕の場合はですけど、いかに自分のコンディションを一定に保つかってことは意識しています。毎日決まった時間に寝るとか、ジョギングするとか。自分の状態がよくないと、つくるものに出るんですよね。ちょっとずつ、まあいいかってことが増えてきちゃうんです」

「固い決意を持ってやってるつもりもないんですけどね。食って、理想はあっても、答えもないし終わりはないっていうか。そこがおもしろい仕事だと思っています」

そんな本間さんがつくったドーナツを店頭で販売しているのが、弓削(ゆげ)さん。

神山から銀座、そして代々木と、店頭に立ちお店をつくり続けてきた方。

「オープンしてすぐ、『Welcome to Our Neighborhood!』って声をかけてくれた方がいて。なんかほっとしました。台風の日には誰も来ないんじゃないかって怯えていたんですけど、『今日ドーナツあまるでしょう』ってたくさん買ってくれるご近所さんもいるんです」

お店に並ぶものを仕入れるのも弓削さんの仕事。

野菜のこと、農家さんのことを尋ねると、すごくうれしそうに話してくれる。

「つくっている人、その風景を知っているから、ちょっと不格好な子たちがきたら『雨が多かったのかな』って想像できるんです。すごくいい状態のものが来ると、よかったね!やったね!みたいな気持ちになります」

「有機のりんごを育てるのも、農薬を使わずにお米をつくるのも、自分たちにできないことをやっていただいているわけじゃないですか。おいしいものがつくれるって、あたりまえではないことを知っているから愛おしい。本当に尊敬しています」

自分たちが食べるものをつくってもらう。つくる人たちを食べ支える。

そんな関係を、このお店を通して広げていきたい。

「このあいだは常連さんが届いた野菜を見て、『先週の大根より大きくなりましたね』って言っていて。それって同じ農家さんから来たものを、定期的に見ていないと気が付かないですよね。そういうことを一緒に喜べる人が増えたのが、最近すごくうれしいんです」

一緒に働くのは、どんな人がいいだろう。

弓削さんと本間さんに、真鍋さんが「ドーナツで世界を変えたい人」と答えたことを伝えると、2人ともなんだかうれしそう。

「私、このチームに入るとき、食べもので世界を変えたいって言ってたんですよ」

「一個一個、ドーナツを通して人に愛をシェアしていくって意味では、その通りだと思います」

「確かに、ドーナツを通して愛を伝えてる。一緒に働くのも愛のある人がいい!」

「探究心の根源って、愛なんですよ。かわいい野菜が届いたね、今日のカスタードはなめらかでピカピカしてるね、とか。一つひとつに愛を注がないと、ちゃんとしたドーナツにならないんです。僕ら、ドーナツに愛を込めてます」

弓削さんに話を聞く前、「まかないがおいしくできたんで、どうですか」と、味噌汁を出してもらいました。

味噌汁をすすりながら取材するのははじめての経験だったけど、これがこのチームの愛なんじゃないかな、と思いながらおいしくいただきました。

世界を変えていく、愛のこもったドーナツ。

ぜひ一度、食べてみてください。

(2022/12/6 取材 中嶋希実)

この企業の再募集通知を受ける

おすすめの記事