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ありとあらゆる問題に
農業ができること

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農業もひとつのビジネス。

おいしいものをつくるだけでなく、エネルギーの循環、雇用の創出、食料自給率の向上など、農業を通じて社会に貢献できることは、まだまだたくさんあります。

新たな農業の価値を生み出し、地域や社会に貢献しているのが株式会社さかうえです。

設立は1995年。「農業で幸せを創る」をミッションに掲げ、農産物契約栽培事業、牧草飼料事業、畜産事業を3つの柱とし、幅広く事業を展開しています。

家族経営の小規模農家からはじまったさかうえ。現在は社員数100名を超え、売り上げは年間約10億円。作付け面積は200haと、東京ドームおよそ42個分の広さを誇ります。

今回は、総合職として働くスタッフを募集します。生産管理や営業など、働く人の希望や経験を考慮して、さまざまな部署に配属される予定です。

農作物の栽培を極めたい!という人はもちろんのこと、「食」に高い関心をもつ人、農業を発展させたい人、働き方や生き方を見直したい人など、農業を通じて新たな価値を見出していきたい人におすすめの会社です。

また、総合職に限らず、さまざまなポジションに門戸を開いています。たとえば、専門的な仕事としてSEやデザイナー、職人的な技能職として整備工や大工など。

そのほか、今はまだない仕事でも、入社後に本人の適性や希望のもと、新たな事業をつくることも可能とのこと。まずは会社のことを知ってほしいです。

 

羽田から飛行機に乗って鹿児島空港へ。空港からは、レンタカーを借りて車を走らせる。

向かったのは鹿児島県志布志市(しぶしし)。鹿児島県の東部に位置する場所で宮崎県との県境にある。市の南部は志布志湾に面し、まわりは山に囲まれた自然豊かなまち。

空港から1時間ちょっとで、さかうえの事務所に着いた。

ここでは、経理、人事など本社機能を担いつつ、隣接した建屋では営業、収穫した野菜の保管や袋詰めなど、出荷機能も担っている。

中に入ると、スタッフの方が迎えてくれて奥の部屋へ。少しして、今回話を聞く皆さんが来てくれた。

まずは、代表の坂上さん。大学時代は剣道部に所属、約500名の部員をまとめるほどの実力の持ち主で、主将を務めていた。

「大学生のあるとき、開眼したんです」

開眼、ですか?

「仏教用語で『ものごとの本質を悟る』って意味です。剣道で相手と対峙しているとき、相手の行動が事前にわかるようになった。次はどこから打ってくるのか、相手が放つ気を感じ取れるようになったわけです」

剣道を通して、達人の域に足を踏み入れた坂上さん。この経験を機に、「気」とはどんな原理で生まれるものなのか、哲学や宗教など、さまざまな書物を読み漁っていく。

はじめは「気」について知ろうとしていたけれど、知識を得るほどに、興味の幅は広がった。自分とは何か、どうやったら幸せに生きることができるのか。今後の生き方・在り方を考えるようになったという。

「結局、幸せは自分の心のなかにしかないと気づきました。どんな状態がいいかといえば、『明鏡止水』。水がとまっていれば、水面はくもりのない鏡のように月を映す。つまりは心の平穏が大事なわけで。また、人間の欲望には、きりがない。他人もお金も仕事も、自分の思うようにコントロールしようとしてしまう」

「だからこそ、心を平穏に保つことはむずかしい。一方で、自然は人とちがって、そのままを受け入れることができる。たとえば、台風が来ても『なんで台風が発生するんだ』なんて本気で怒る人はいないわけじゃないですか。自然に対して自分がどうにかできると考えていないから」

人の力の及ばない自然という大きな存在のなかで生きることが、心の平穏、ひいては幸せにつながっていくのではないだろうか。

実家で農家を営んでいたこともあり、大学卒業後は鹿児島の実家に帰って、農家として働くことを決めた。

就農したのは1992年のこと。実家ではゴルフ場向けの芝生を生産・販売していた。ただ、バブル崩壊によって芝の需要は減り、方針を変えざるを得ない状況に。

そこでさかうえは、卸売市場に卸す青果用大根の栽培を開始。その翌年には、より安定的な経営を目指して契約栽培に取り組みはじめた。

契約栽培とは、農作物をつくる前の段階で、取引先と品目、量、単価を決めておき、それに合わせて農作物を栽培するというもの。

個人で農作物を育て、収穫した野菜を卸売市場に出荷する場合、価格は需要と供給によって決まるため、収入は安定しづらい。

一方で、契約栽培の場合はあらかじめ価格が決まっているため、安定した売上を確保できるメリットがある。

さかうえでは、大手コンビニや有名なメーカーなどと契約を行い、おでん用の大根や青汁用のケール、ポテトチップス用のじゃがいもなどを栽培してきた。

ただ、毎年変化する顧客の要望に対して、生産基盤である農地を急に増やすことはむずかしい。そこで、必要な農地の確保を進めながら、生産量の変化に対応すべく取り組んだのが、牛の飼料商品の開発だった。

 

具体的にどんな事業なのか、隣で話を聞いていた営業部部長の中川さんが話を続けてくれる。

「飼料用のトウモロコシを栽培するところから、収穫して餌をつくって畜産農家さんに販売するところまで、すべて自社でやっています」

「お客さんから依頼をもらったときに、使える土地がないと機会の損失になってしまう。その課題を解決するために、必要以上に土地を多く借りておいて、普段は飼料用のトウモロコシを栽培する。お客さんから野菜の注文が入ったら、代わりに野菜をつくる。そんな仕組みになっているんです」

畜産農家とつながったことで、彼らが牛の糞尿処理に困っていることもわかった。農業ではそれらを堆肥として活用できるため、さかうえでは糞尿を引き取って土壌づくりに活かしている。

本来、糞尿の処理にもエネルギーが必要となるため、堆肥として有効活用することは環境負荷の軽減にもつながっている。

また、同じ耕地で同じ作物を栽培し続けると、土の栄養バランスが偏ってしまう。栽培のサイクルにトウモロコシを組み込むことで、畑を健康的な状態に維持する効果もある。

3年前からは、里山牛プロジェクトも開始。増え続ける耕作放棄地をさかうえが借りて、黒毛和牛を放牧。自社で生産した飼料を与えて、肉を加工し販売するところまで自社でおこなっている。

機会損失を防ぐだけでなく、耕作放棄地の解消、環境負荷の少ない循環型農業の実現、食料自給率の向上など、さまざまな課題に取り組んでいるさかうえ。

これらは代表の坂上さんが世の中のニーズを捉え、未来に起こり得ることに対して、設備や仕組み、教育へ積極的に投資してきたから。

契約栽培で多品目を高品質で安定供給できているのも、未来を見据えた行動が実った結果。

生産から納品までの工程を、十数年前から細かく管理してデータを収集。農業工程管理システムを独自に開発することで、栽培の効率化や安定供給に役立てている。

農業で新たな価値を生み出していくさかうえ。中川さんはそんな姿勢に惹かれて入社したそう。

「大学卒業後、海外に1年間滞在していた時期があって、帰国したときにあらためて日本の良さを痛感したんです。食とか景色とか、日本独自のすばらしさがある。それで前職は、都内にあるインバウンドに特化した旅行会社で働いていました」

「働くなかでも、やっぱり魅力は地方にあるなと感じていて。ただ、地方はどんどん衰退している。東京から地方に人を送り込むだけじゃなく、自分が地方に行って雇用を生み出すような、地域を活性化する仕事がしたいと思ったんです」

一体どんな仕事があるのだろうか。ふと思い浮かんだのが、小さい頃に祖父母の家で経験した農業の記憶。

担い手の減少や、食料自給率の問題もある。課題を多く抱えているからこそ、逆にチャンスもたくさんあるということ。まずは業界全体について理解を深めるために会社を探していたところ、さかうえと出会った。

「社長の理念に共感したのが入社の1番の決め手かなと。自分は農産物をつくりたいわけではなく、農業を通じた社会の活性化に興味があって。農業で社会課題を解決していくさかうえの姿勢に惹かれたんです」

入社してみてどうでしたか?

「どんな仕事をするにしても、最初は農作業をある程度経験するのかなと思っていたんですけど、畑作業した日は数えるぐらいしかないです(笑)」

中川さんが入社したのは3年ほど前、会社ではピーマンの生産規模が拡大していた。それまでは代表の坂上さんがひとりで営業をしていたけれど、生産拡大に合わせて販路の開拓も必要になったため、中川さんは営業職として働くことに。

はじめは、坂上さんの商談に同席しつつ、ある程度知識や交渉スキルが身についた時点でひとり立ち。現在は、顧客対応、予算、進行、出荷に加え、食肉の営業も担当している。

さかうえでは、常に新たな取り組みが生まれていく。中川さんのように自分の軸を持っておけば、役割の変化に対しても前向きに捉えていけると思う。

 

最後に話を聞いたのは、施設生産課課長の中島さん。出身は東京、さかうえへの入社を機に鹿児島にやってきた。

「わたしも社長と同じように、どういう状態が幸せかなって考えることがあって。そのときに思ったのが、不安な状態になっている人たちを幸せにすることが、自分の幸せにつながる、っていうことだったんです」

「たとえば、気候変動によって自分たちが住んでいた土地を離れざるを得なくなってしまった難民の人たち。その人たちを幸せにするためには、自然のように人の力で変えられないものを受け入れた上で行動する適応能力を、まずは自分が身につけることが必要だなと。それでたどり着いたのが農業でした」

入社して10年目、現在は生産管理の仕事をしている。

「この会社には、いろんな分野の仕事があるので、職種は限りがないくらいたくさんあると思っていて。最近で言うと、循環型エネルギーの開発が動いているんです」

ビニールハウスで野菜を育てる場合、温度管理のために冬は暖房が必須。いまは化石燃料を使っているものの、単価が安定しないのと、いずれ化石燃料が枯渇してしまう問題もある。

「今後は、産業廃棄物をエネルギーに変えることで、少しでも環境への負担を減らすことができないか、社内で検討している段階です」

生産、加工、販売のほかに、エネルギー事業があったり、倉庫をつくるなどの大工作業もあったり。そのほか電気、土木、ECなど、組織的に農業をするには、まだまださまざま分野で人材が必要だ。もちろん、新規事業を立ち上げたい人も大歓迎。

さかうえという会社がどんな思いと考えで、日々事業を展開しているのか。

農業を通じて新たな価値を生み出すことに興味を持った方は、ぜひ話を聞きに行ってみてほしいです。

(2022/10/4取材 杉本丞)

※撮影時はマスクを外していただきました。

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