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熱のある言葉で伝えたい
ボトルに詰められた物語

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「今日はワインを開けよう」

そのフレーズひとつで、何かいいことがあったのかな?と想像させてしまう。

誕生日や記念日、ゆっくり過ごしたい休日、日常のささやかなハレを祝福する食卓に、ワインが選ばれる理由はなんだろう。

紀元前の昔から脈々と受け継がれ、世界各地に根ざしてきたワイン。基本的な製法は同じでも、産地の風土や、天候、つくり手の個性によってさまざまな味わいを生み出せる奥深さがあります。

今あらためて、ワインの魅力をじっくり伝えたい。そんな思いでスタートしたのが、「WINE CLUB」というプロジェクトです。

ニューヨークのソーホーで創業し、食の本質に向き合い続けてきたDEAN & DELUCAが、今年の3月、麻布十番にワインの専門店「THE WINE STORE」をプロデュースします。

いわゆるボトルショップではなく、角打ちができるバースペースを併設し、食とのペアリングを提案したり、イベントを企画したり。ワインを通して、いろんな出会いが生まれる場を目指します。

今回は、ここで働くメンバーを募集します。接客やSNSでの発信を通して、ワインと日常をつなぐコミュニケーションのあり方をデザインしていく仕事です。

DEAN & DELUCAとしても、ワイン専門店は初めての挑戦。社内で長年ワインに携わってきた、ワイン愛溢れるメンバーが集結し、満を持して取り組むプロジェクトのひとつです。今回加わる人は、店舗のオープニングスタッフであると同時に、プロジェクトの立ち上げメンバー。主体的に場づくりを考えられる人なら、自ら役割を広げていける余白もある。

合わせてパートタイムで働くメンバーも募集します。ワインに詳しい人はもちろん、これから勉強したいという人も、その好奇心を生かせると思います。

 

訪れたのは、六本木ミッドタウンにあるDEAN & DELUCA。

プロジェクトのディレクションを務める田中さんは、DEAN & DELUCAのグループ長で、バイヤーとしてワインの仕入れなどに携わってきた。15年ほど前までは、他社でバリスタとして働いていたそう。

「コーヒーとワインには共通点も多いけど、ワインのほうが歴史も長く、つくり手や産地にしっかりフォーカスして体系化されていて面白い。最初は独学で資格を取りました。ただそのうち、ワインだけ勉強してもつまらなくなってきて」

そこで、食との組み合わせも含めて提案できる仕事を探しはじめた田中さん。

「ワインを扱う仕事ってなかなか間口が狭いし、どうしようかと思っていたときに、DEAN & DELUCAを知って。入ってみたら、ベンチャー気質で、中途でもいろいろと挑戦させてもらいやすい環境でした」

DEAN & DELUCAはジョエル・ディーンとジョルジョ・デルーカを中心に4人の創業者がアメリカではじめたグロサリーストアで、日本でその精神を受け継いだお店がスタートしてから今年で20年になる。

チーズや生ハム、スイーツなど、つくり手の想いがストレートに表現された食材を世界中から集めるDEAN & DELUCAにおいて、ワインは欠かせない商品のひとつ。

「食卓の一部としてワインを提案することも重要なのですが、売り場ではその奥深さを語り尽くせない部分もあって。今回、専門店という新しい場づくりにチャレンジしてみようということになったんです」

「THE WINE STORE」がオープンするのは、地下鉄麻布十番駅のすぐそば。

店内にはおよそ1,000種類のワインを揃え、バースペースでの角打ちや、ペアリング提案、生産者を招いたイベントなども企画していく。

とはいえ、まだお店はオープン前。

具体的な内容ややり方は、お店を運営しながら調整していくことになる。お店で働く人には、その変化に対応できる柔軟さや主体性、前向きさがあるといい。

「ネットでなんでも手に入る時代だけど、リアルな場でしか伝えられない熱量もあると思います。お店のメンバーには、決まった情報を伝えるだけじゃなく、『自分はこれが好きだ』『この商品のよさを絶対に伝えたい』っていう、主観的なアプローチも期待したいです」

「ブランドとしても新しい挑戦なので、僕たちもワクワクしているし、そこで一緒にチャレンジしたいという熱意を持ったメンバーを迎えたいです」

一人ひとりが熱を持って伝えるからこそ、お店がそこにある意味が生まれる。

もしも田中さんが売り場に立つとしたら、どんな視点でワインのことを語りますか。

「ワインって製法がシンプルなだけに、つくり手の考えや人柄が、そのままボトルにこもっているんですよね。そういう背景やストーリーを知ることも、ワイン選びの楽しみのひとつだと思います」

DEAN & DELUCAのバイヤーとして、田中さんたちは国内の醸造家がつくるワインにも目を向けてきた。

最近出会った岡山の醸造家さんの話を聞かせてくれた。

「もともとはフランスで修行して、地元岡山のぶどうでワインづくりをしている方なのですが、本質的なところはしっかり守りつつ、それ以外はすごく柔軟で。ワイナリーに行くと、『この樽、ネットで安く買ったんだよ』『こっちのエアコンは、たった○万だよ』って、笑い話みたいに教えてくれるんです」

個人でワイナリーをひらくとき、大きなハードルになるのが初期投資。

設備のコストを抑える方法があれば、もっといろんな人が挑戦する土壌ができ、日本のワイン業界全体も盛り上がっていく。

買い物上手をオープンに話すことも、ロールモデルとして若手に道を開くことにつながる。

「目の前のことだけじゃなく、50年後100年後の日本ワインの未来を考えてワインづくりに向き合っている姿に、すごく感銘を受けました。そういう背景を知ると、人にも勧めたくなりますよね」

つくり手の考えに共感できること。生産者や環境、社会に負荷が少ない方法でつくられていること。

これまでDEAN & DELUCA が大切にしてきたもの選びの基準は、今あらためて多くの人に見直されている、と田中さんは言う。

「コロナ禍をきっかけにゆっくり食事をとる機会が増え、自分が口にする食材がどこから来たのか、社会とどうつながっているか知りたいという人も増えているように思います。だからこそワインが本来持っている価値を伝えていくには、いいタイミングなんじゃないかと思います」

 

新しいお店では、フランス、イタリア、ドイツ、日本など、さまざまな産地のワインを扱う予定。

なかでもベースになるのは、DEAN & DELUCAの本拠地アメリカ産のもの。仕入れを担当する伊井さんに話を聞かせてもらった。

「アメリカのワインって、温暖な気候ならではの完熟した味わいで、ジャムみたいな風味をイメージされることが多いですが、それだけじゃないんですよ」

たとえば、と紹介してくれたのは、カリフォルニアにあるビリキーノというワイナリーのボトル。

「ヨーロッパ原産の品種でつくられているので、一般的なアメリカ産のワインに比べて繊細ですっきりした味わいが特徴です。ラズベリーやチェリーに似たフレッシュさで、生ハムやチーズと合わせるとおいしいんですよ」

「それに、ぶどうの樹齢が100年を超えているので、風味も凝縮されていて、アペタイザーからスパイスを効かせたお肉料理まで幅広く合わせることができるんです」

ひとつのワインの紹介なのに、味わいの特徴がいくつもあるのはおもしろいですね。

「温度によって味わいが変わるので、ボトルを開けて最初に感じる香りと、飲んでいくうちに感じる風味は違いますし、2日3日と時間をかけると、また違う味わいがありますよ」

その日の気温や合わせる食べ物、誰と飲むか、いつ飲むか。

月曜日と土曜日では、飲みたいお酒も違う。その微妙な気分の違いにも合わせられるほど、種類が多いというのも、ワインならではの楽しみかもしれない。

「ワインって本当に一期一会だと思うので、お店でいい提案ができるよう、私も日々勉強中です。それぞれの成分や特徴によって最適な保管方法も違うので、まずは正しい情報をお伝えすることが大切だと思います」

もともと都内のワインショップで働いていた伊井さん。ワインの知識は、仕事をしながら少しずつ身につけていったという。

「DEAN & DELUCAには、ワインやほかの食材について相談できる仲間はたくさんいるし、知識は少しずつ身につけられるはず。経験はなくても、人と話すのが好きな人ならうまくいくんじゃないかなと思います」

 

伊井さんの言葉を継いで、「本当に、ワインが好きっていう気持ちがあれば、私たちと一緒に、まずはチャレンジしてみてほしいですね」と話すのが、新店舗でマネージャーを務める今井さん。

DEAN & DELUCAの各店舗で10年近く仕事を続けてきたベテランだ。

ワインの売り場で、お客さんからよく聞かれることってありますか?

「そうですね、『おすすめはなんですか?』っていう質問は多いです。まずはお客さまの好みや、目的、今日飲みたいのか、プレゼントなのか、会話をしながらさりげなく聞き出すようにしています」

もともとワインが好きで、日常でもよく飲むという今井さん。仕事で扱うようになってからは、「こういう人にお勧めしたら良さそう」と、自分の好み以外の視点も広がってきたそう。

「ワインって一生かかっても飲み切れないほど、世界中にいろんな種類があるので、本当に飽きないです。嗜好品だから、なくても生きていけるけど、あったほうが絶対にいいです」

絶対にいい。そう言い切れるほど、ワインのおもしろさを知っているって、なんだかうらやましいな。

奥が深いからこそ、伝える側も、いろんな引き出しを増やす必要があるし、自信を持って売り場に立てるようになるにはきっと時間がかかる。

一人ひとりがじっくり仕事と向き合える環境をつくることも、自分の役割だと今井さんは言う。

「誰しも悩むことはあるかもしれないけど、問題が小さいうちに話を聞いて一緒に解決していきたいですね。スタッフの元気がないように見えたとき『まあ気のせいかな』って思いがちだけど、気のせいじゃないことのほうが多いので。一人ひとり、大事に育てたいなと思います」

マネージャーとしても、売り場のスタッフとしても、ひとつのブランドで長く仕事を続けてきた今井さん。

仕事を楽しみながら続けるコツってありますか。

「“やらされている”っていう意識でいるよりも、自分から興味を持って挑戦するほうが楽しいですよね。経験や知識がなくても、前向きに取り組める人が加わってくれたら、きっといいお店になると思います」

プロジェクトはまだスタートしたばかり。

これからTHE WINE STOREで働く人も含めた出会いが、WINE CLUBという新しい挑戦を熟成させていくはずです。

ただワインを売るだけじゃない。ワインがある暮らしの豊かさ、ひとつのライフスタイルを提案する場にしていくこともできるはず。

ワインのこと、もっと知りたい。誰かと一緒に味わいたい。

その純粋な熱量があれば、まずは十分だと思います。新しいお店づくりに加わってみてください。

(2022/12/19 取材 高橋佑香子)

※撮影時はマスクを外していただきました。

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