求人 NEW

聞く、書く、話す
日本仕事百貨で
生き方・働き方を届ける

※日本仕事百貨での募集は終了いたしました。再度募集されたときにお知らせをご希望の方は、ページ下部よりご登録ください。

人ひとりの人生って魅力的で、面白いもの。

そんな誰かの話を聞いて、写真におさめる。文章を書いて、読み手に届ける。

今回は、日本仕事百貨の編集者を募集します。

編集者は、ひとり旅のように日本各地の仕事現場を訪ね、インタビューと撮影を行い、約4000文字の求人記事におさめます。

「ひとりで何役も務めて大変そう」と、思われるかもしれません。

たしかに、大変なときもあります。

編集者・ライター・カメラマンというチームで臨めば、もっと楽に、もっと個々のクオリティを高められるようにも思います。

それでも、ひとりで訪ねる理由があります。

今回応募していただくうえで、ライターや編集者としての経験は問いません。いろいろな職歴の方と出会うのを楽しみにしています。

 

日本仕事百貨を運営するのは、株式会社シゴトヒト。オフィスは東京・清澄白河のリトルトーキョーにある。

現在は夏のリニューアルオープンに向けて改修中。4階にあるオフィスへ。

社員は11人。そのうち7人が、編集者として求人記事を手がける。

入社8年目の人から、今年入社した人。元学校教員から大手人材会社出身者まで、キャリアはさまざま。

それぞれの経験を活かしつつも、すべての編集者は「聞くこと」を大切にしている。

「『書く仕事だからアウトプット力が必要なのかな』と思いきや、圧倒的にインプットの力を求められます。話し手が考えることを、いかに引き出せるのか。引き出したものを、自分でどう受け止めるか」

こう話すのは日本仕事百貨・代表のナカムラケンタ。

それって、どういうことなんだろう。

編集者になりたてのころ、「聞くことが難しかった」と話すのは、編集者の杉本丞(たすく)さん。

前職は、旅行代理店の営業職。「文章で生きるゼミ」を経て、2021年4月に日本仕事百貨へ仲間入りした。

インタビュー前、杉本さんは訪ねる会社のWebサイトをくまなく読んだり、業界についても調べて質問項目をまとめたりしている。

「事前準備はするけれど、予定通りにインタビューが進むことはほとんどなくて」

インタビューがはじまると、あらかじめ調べたことは横に置いて、目の前の会話に集中する。

ただ話を黙って聞くだけではない。相手の話を反復してみたり、ときおり要約したり、沈黙をおそれずに言葉を待つこともある。

杉本さんが「聞くことが難しい」と感じたのは、次のような場面でのこと。

「『それってどういうことだろう?』と思うことがあっても、聞き返せないんです。とくに、会社の代表の方の話を聞くときですね」

話のニュアンスが読み取りにくいときや、その会社特有の言い回し、あるいは、自分の知識不足による場合など、いろいろなパターンがある。

「オフィスに帰って音声データを書き起こすと、わかるんです。全然聞けていないことが」

そこで同僚や先輩たちに相談するなかで、こんなことが見えてきました。

「お金をいただいてインタビューするのに知らない自分が恥ずかしくて。『発注者と受注者』という関係にとらわれている自分に気づいたんです」

悩んだ末、ケンタさんから提案されたのは「旅」だった。

入社した2021年の夏に、自転車で鹿児島県・奄美大島へ。目的はマングローブ林でカニを捕ることにした。

しかし初日早々、神奈川県・辻堂で自転車につけるサイドバッグの付着部分が故障。旅に必要な荷物をこのままでは運ぶことができない。「帰宅」の2文字が頭をよぎった瞬間に、他人任せな面や、すぐにあきらめる自分を思い出した。

そこからは、ロープと結束バンドを手に入れて自らバッグを修理。掛川、神戸、岡山、薩摩川内……と、日本各地の人たちと出会って助けてもらいながらリトルトーキョーへ帰ってきた。

ひとり旅は、自分で決断することの連続。旅を通じて、杉本さんはどう変化したのでしょうか。

「人と取っ組み合えるようになりました。まずは家族とか友だちと。それから、仕事もちょっとは変われたのかな」

いま、杉本さんの机まわりには、仕事を通じて出会った会社の製品がそこかしこにある。

そのひとつが、コート。

2022年の4月に、福井県のアウトドアの会社をインタビューすることになった杉本さん。

「話の糸口になれば」と思い、お気に入りのアウトドアブランドのリュックを背負っていった。

「会社に到着すると、代表が『そのブランド、ぼくが日本に展開したんだよ』って教えてもらって。そこから話が盛り上がりました。代表のご自宅にうかがって撮影をさせてもらった帰りに、コートをいただいちゃったんです」

ひとりの編集者が何役も担うことは、大変さを伴う。

けれども、ひとりで会社を訪ねるから、肩書きを超えた関係性が生まれることもある。

「株式会社シゴトヒトの社員」から「杉本丞さん」へ。

人と人の関係性のなかで聞くから引き出せる言葉があるのかもしれない。

 

杉本さんの先輩であり、2018年に入社した稲本琢仙(たくせん)さんにも話を聞いた。

稲本さんの実家は、三重県のお寺。大学院卒業後、修行僧が集まるお寺で約1年半の修行を終えて間もないころ、きれいに刈り上げた坊主頭で「文章で生きるゼミ」に参加した。

2021年からは、日本仕事百貨の編集長を務めている。その役割のひとつは、編集者たちが書いた求人記事を校正すること。

会社の魅力が読者に届くように、稲本さんは「会社(話し手)」「求職者(読み手)」「編集者(書き手)」という三者の視点を行き来しながら、記事の校正にあたっている。

日本仕事百貨の編集方針は、編集長に委ねられている。

「一つひとつの記事が石だとしたら。日本仕事百貨というやすりでピカピカに磨き上げるよりも、編集者一人ひとりの個性がゴロゴロと活きている。そんな編集を心がけたいです」

原稿に手際よく、かつ正確にコメントを加えていく稲本さんの校正。その手さばきは、後輩の編集者から「魔法」と言われることも。

また稲本さん自身も、日本の津々浦々をめぐり、ひとりの編集者として記事を書いている。

日々、どのように仕事に臨んでいるのでしょう。

「聞くことは好き。話を聞くのが面白いですね。けど、最初は書くのがつらいな、と思っていました」

書くのはつらい?

「ぼく、自分では書くのはあんまり得意じゃないと思っていて。得意じゃないことをやり続けるって、けっこう辛いことだと思うんです」

大学生のころから日本仕事百貨を読んでいた。当時は「自分にも書けそう」と思ったこともあったけれど、読み手から書き手になってみると、その難しさを実感している。

「どうしてこんなに下手にしか書けないんだろう、って。書けば書くほど、自分の書けなさに気づいていく感じです」

稲本さんが感じる「書けなさ」ってどういうことなのか。

それは、日本仕事百貨の編集者になる上で、多かれ少なかれ抱く葛藤かもしれない。

インタビューでは、なみなみならぬ仕事への思いを聞くことも多い。

生き方と働き方の重なりが大きい人の話を聞くなかで、「自分に届けられるのか?」と圧倒されることもある。

どうしたら、画面越しの読み手をインタビュー現場へ誘うような記事が書けるのか。ひいては、ギャップを感じることなく、就職や転職という大きな決断をあと押しできるのか。

インタビューの対象は人に限らないし、さまざまな土地を訪ねる。

先週は奈良県のトマト農家さんを訪ねたかと思えば、今週は東京の建築事務所、はたまた来週は和歌山県のお寺、といったように。

早めに到着してひとりで周辺を歩いたり、宿泊をするなかでその気候風土を聞いたりすることも、求人記事の制作につながる。

また当然、それぞれの記事にはクライアントに送る締め切りを設定するので、時間は有限。

何本書けば終わりではなく、次々と取材に行き、文字に起こして書いて、入稿してまた取材、という流れが続いていくので、そのプレッシャーは大きい。

聞いては書いての日々を、編集5年目の稲本さんは、どのようにやりくりしているのか。

「ほんとうはここまで書きたいけれど、今の自分にできるのは数歩手前まで。その繰り返しのなかで、ジリジリと歩を進めています。折り合いをつけるのはきついけれど、どうやったら続けていけるのか、前に進めるのかを日々考えています」

 

ここまで書いてきたように、求人記事の制作は、おおむねひとりで完結する仕事。

シゴトヒトという会社単位で捉えても、個人の裁量に委ねるところが大きい組織。

インタビューの現場はひとり旅だからこそ、ちゃんと帰ってこられるホームを大事にしたい。

約10年間続くのが、毎週水曜日に行う定例会。その場では、担当する仕事の進捗共有だけでなく、それぞれが「今の気分」を言葉にして伝える時間があります。

定例会の前後にはごはんを食べに行くことも。

2008年にひとりで東京仕事百貨をはじめた代表のケンタさんは、インタビューの現場をチームに任せ、編集者たちを支えている。

もともとは「いつまでも現場にいたい」という気持ちを抱いていた。でもそれを手放しつつある。

「日本仕事百貨の編集者はいろんな生き方や働き方に出会う仕事だし、新天地へ向かう人も多い。『それぞれの人生を自由に生きてもらえたら』と応援してきたけれど、ぼくの未熟さがそうさせてきたこともたくさんあったと思う」

「今働いている人にとっても、今回応募する人にとっても、シゴトヒトが長く働きつづけたい場になればうれしい。そんな思いもあって、今はチームビルディングに時間をかけているし、7年ぶりに求人記事で編集者を募集することにしました」

15年目を迎える今。日本仕事百貨は変化しようとしています。

夏にはリトルトーキョーがリニューアルオープンを迎える予定。Webサイト制作や居心地のよい空間設計など「広義の編集」といえるプロジェクトのご依頼も増えつつあります。

どの仕事をする上でも、聞くことからはじまる編集が出発点。

ここで働く自分がイメージできたら、ぜひエントリーしてみてください。

(2023/1/26 取材 大越はじめ)

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