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聴き、受け止め、伴走する
近畿のコミュニケーター

※日本仕事百貨での募集は終了いたしました。再度募集されたときにお知らせをご希望の方は、ページ下部よりご登録ください。

全国各地で活動している、環境系のNPOや民間団体、そして個人の活動家など。

環境問題が大きな話題になっている今の時代。前線で活動する人たちを陰で支える「中間支援」に取り組む人たちの存在は、より重要になっています。

「中間支援」とは、活動する主体の取り組みにあわせて必要な専門家とつないだり、団体同士を引き合わせたり、補助金の取得をサポートしたり。裏方として支援することを言います。

今回は、主に近畿地方で環境問題の中間支援に携わる「きんき環境館」のスタッフを募集します。

経験は問いません。人の話をじっくり聞き、黒子のように動く。

陰ながら人を助けることが好き、人と人をつなげることに面白みを感じる。そんな人には、やりがいのある仕事だと思います。

 

新大阪駅から、地下鉄を乗り継いで20分ほど。天満橋駅で降りる。

きんき環境館の拠点は、駅直結の大阪マーチャンダイズ・マートビル、通称OMMビルの5階。

ビル内はカフェや飲食店、アパレルのお店がありつつ、オフィスもたくさん入っている。

5階の一室をたずねると「ようこそ」と、きんき環境館の岡見さんが迎えてくれた。

縦に長いオフィスの奥にある、大きな机があるスペースで話を聞く。

「名前がややこしいんですが『きんき環境館』というのは、近畿EPOのことを指しています」

EPOは「地方環境パートナーシップオフィス」のこと。環境省と地域のNPOとの協働で設置され、全国に8カ所ある。

きんき環境館がスタートして19年。基本的な役割は、地域で環境保全などの活動をしている人たちを、さまざまな方法でサポートすること。

「現地に行って、活動している人たちの壁打ち相手になることもあるし、活動費をどうまかなうか相談することもあります。あとは人と人をつなぐことも多いですね」

「そのほかだと、環境省の人と一緒にイベントをひらくこともあります。そのイベントに集まった人と知り合って、支援につなげることもあったり」

話を聞くと、岡見さん自身も自ら団体を立ち上げ、まちづくりなどの活動をしているそう。

「大学を出てから2年くらい、きんき環境館の仕事をしていたことがあって。それを辞めたあと、より小さいエリアの中間支援をしたいなと、大阪の八尾市で中間支援の仕事をして、その後は学生時代に立ち上げた団体を中心に仕事をしていました」

「そんなことをしているうちに、1年前にきんき環境館の事業を請け負う団体が変わることになって。その法人の副理事長をしていたこともあって、今はきんき環境館の統括をさせてもらっている、というのが今までの経緯ですね」

きんき環境館にかかわる以前から、人と人をつなぐ中間支援に興味があったという岡見さん。

ここではどんな仕事をしているのでしょう。

「今だと、『地域循環共生圏』という事業があって、それに採択されている団体さんをサポートしています。なので、その団体さんを訪れてヒアリングをする、ということも多いですね」

地域循環共生圏とは、2018年に国が掲げた方針。地域の課題を解決する事業を生み出していくことから「ローカルSDGs」とも呼ばれている。

「昨年度は滋賀県の長浜市の団体さんに通っていたんですが、今年度は奈良市や京都市も地域循環共生圏の事業に取り組んでいるので、頻繁に行くことになりそうです。実際に地域でコミュニケーションをとって信頼関係をつくらないと、なにも進まないので」

サポートするためには、直接顔を合わせて話して、地域の人と信頼関係をつくることが大切。信頼がないと、支援したくてもできない状態になってしまう。

「たとえば長浜の人たちは、ぼくらがサポートしなくてもいいくらい自分たちでいろいろなことを形にしていて。それでも必要なときに力になれるように、関係性をつくっています」

「具体的には、一緒に行っている山下さんも詳しいので、ぜひ聞いてみてください」

 

そう紹介してくれたのが、隣に座っていた山下さん。4年前に法人に就職し、昨年からきんき環境館の業務を担当。岡見さんとともに長浜の案件などを担当している。

「長浜のチームはとくに、会社経営をしている人がいたり、役所の方がいたり。いろんな立場の人がいて。地域の人や地域の資源にスポットライトを当てながら、どんどん走っている。そんなチームなんです」

たとえば、エネルギーシフトのために脱炭素を目指すだけではなく、あくまで地域を元気にすることを目的に掲げ、結果的に脱炭素にもつながるような活動を進めている。

いろんな関係者がいる現場で、どんな場づくりをしていくべきか、日々考えながらコミュニケーションしているところだそう。

山下さん自身は、どういうきっかけで働くことになったんでしょう?

「大学の進学を機に大阪に来て、学生ボランティアに興味を持って活動しているときに、岡見さんと出会いまして」

「卒業後は東京で広告代理店の営業をしていたんですが、なかなかハードで…(笑)。しばらく働いたあと、大阪に戻ることになったとき、岡見さんに声をかけてもらったのがきっかけで、ここで働かせてもらっています」

学生時代からボランティアに参加していたけれど、環境に対して強い興味があったわけではなかったという山下さん。中間支援ってどんなことをするのだろう、という興味が大きかった。

「人の話を聞くのは好きだったんです。地域で頑張っている人ってこんなにいるんだ、っていうのを、学生のときに感じて」

「そんな人たちとつながれる機会が多いのが自分の刺激になるし、活動を知ってほしい思いもある。それがこの仕事を続けている理由の一つですね」

なるほど。てっきり、環境に対する熱意があるから働いている、ということかと想像していました。

すると、隣の岡見さんが補足してくれる。

「こういう業界に山下さんみたいな人ってなかなかいなくて(笑)。環境問題に関心があって、活動的に動いている人も大事。けれど、山下さんみたいに、頑張ってる人たちを冷静に見ることができる人も中間支援には必要だと思っていて」

「新しく来てくれる人も、必ずしも環境問題に対して強い想いを持っていなくてもいいと思っています。代わりに、フラットな目線を持つようにしてほしいですね」

話は再び山下さんへ。働いてみて感じたことはありますか。

「いいことと苦しんだこと、二つあるなと思っていて。いい面で言うと、頑張っている人や、地域でいろんな活動をしている人に出会えて、話を聞ける。それがすごく楽しいしやりがいになっています」

「個人的に苦しんでいるのは、みなさんの熱量が高いので、自分の熱量がそこに追いつかないときがあって(笑)。そこまで求められても… っていうときもあるんですよね。その人たちのことは好きなので、なんとかくらいついて行くんですけど、帰ってからどっと疲れることはあります」

日々の業務としては、現場に行ってヒアリングをし、それを記録に残したり、環境省の担当者とこれからの方針を調整したりなど。

人と人の関係性のなかで、さまざまなやりとりをすることが仕事の軸になっている。

「とくに現場で活動している人は熱量が高いので、どう折り合いをつけながら接していくかというのはむずかしいなと思います」

フラットな視点を持って取り組んでいるからこそ、生まれてくる悩みなのだと思う。

「きんき環境館だけでなく、法人としてもサポートしている団体もあって。たとえばある地域で、棚田の保全を通して人を巻き込んでいこうとしているNPOがあるんですが、そこでは活動資金の確保が課題になっていました」

「その人たちとは助成金などの獲得を一緒に検討しています。提案資料などのつくりかたもノウハウがあるので、そういった面でサポートしていますね」

山下さんは助成金関係の知識があるため、そういった相談ごとは積極的に担当している。自分ではわからないことも、岡見さんをはじめ経験豊富な人に相談して、少しでも力になろうとする気持ちが大切。

「人の話をしっかり聞く。わかったふりをせず、こちらの意見を押し通すこともせず、まずは受け止める。そういうことができる人がいいのかなと思いますね」

 

最後に話を聞いたのは、小路(しょうじ)さん。きんき環境館に入る以前は、北海道のEPOで3年ほど働いていた。

「香川出身なんですが、北海道へは大学院進学のために行って。高校教育について勉強してきました」

「大学や高校の先生からいろんな話を聞くことができて。しかも、みんな環境とか教育とか、分野が違うのに、あの人のところに話を聞きに行ってみるといいよ、って教えてくれるんですよ。そういうネットワークがあることってすごいなって」

人と人のつながりで、新しい知識を得たり、活動が生まれたりする。その力を感じ、人と人をつなぐ仕事がしたいと北海道EPOで働くことに。

北海道EPOでは、ESDという持続可能な未来や社会の構築にむけた教育を担当。3年ほど働き、家族の都合で関西へ移住するタイミングで、きんき環境館へ入職した。

担当は、主にESD関係の仕事。教育的視点で、さまざまな学校と関係をつくり、学校教育のサポートなどをしている。

「私がこの仕事をしている大きな理由があって。それは、がんばっている人って往々にして孤独だ、ということなんです」

孤独、ですか。

「とくに地方だと、熱い想いを持った人がいたとしても、その熱意についていける人が地域にいなかったりすることが多い。私の友人でも同じように孤独に頑張っている子がいて」

「そういう人を置いていきたいくないというか。すごく頑張ってるよって声をかけてあげるだけでも、エネルギーになるし、仲間を増やせたらもっといい。だからこそ今の仕事を続けていきたいし、とくに同世代くらいの人たちの活動を支えることができたらうれしいなって思います」

小路さんは、どんな人がEPOに向いていると思いますか。

「喋るのが好きとか、人の話を聞ける人は大前提なのかなって。聞くのも大事だけど、喋ることによって人との距離を縮められることが多いので。どっちも大切ですね」

最後に、岡見さんが二人を見ながらこんなことを話してくれた。

「ぼくらは『近畿のコミュニケーター』になりたくて。いろんな地域で人と喋ったときに、なんでこの人はこういうことを言ってるんだろう、みたいに、分析ができるような人だといいのかなと。この人たちは何に熱意をもって活動しているのかとか、どうしたらほかの地域にも応用できるだろう、とか」

「考え続けることで、ほかの地域にも役立つ引き出しが増えていく。その積み重ねが、中間支援の質をあげていくことにつながると思っていて。熱量の高い低いは関係なくて。課題意識を持って、相手に共感することのほうが大切。そういうことができる人だったらいいですよね」

新体制で2年目を迎えているきんき環境館。

これからさらに支援する範囲、人、領域を広げていくためにも、新しい力を必要としています。

EPOのなかでも新しい体制だからこそ入りやすい、これから一緒に育てていく感覚。

人と人とをつなぐ仕事がしたいと思う人なら、きっと活躍できると思います。

(2024/5/15 取材 稲本琢仙)

全国各地で地域の環境保全活動を支援している地方環境パートナーシップオフEPOそれらを統括しているのが地球環境パートナーシッププラザGEOC」です。なぜEPOが各地域に必要とされているのか。GEOCから見るEPOについて、コラムで紹介しています。

 

6月25日(火)には、GEOCにて出張しごとバーを開催します。この仕事をしてみたいと思った人も、GEOCやEPOの活動に興味があるという人も。

実際に会って、話ができる機会です。お待ちしています。

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