求人 NEW

ちゃんとやる設計事務所
断熱もデザインも
一緒に働く人のことも

※日本仕事百貨での募集は終了いたしました。再度募集されたときにお知らせをご希望の方は、ページ下部よりご登録ください。

「僕らのキーワードって、『断熱とデザイン』とか『新築とリノベーション』など、両端に思えるものを同時にやること」

スタジオA建築設計事務所は新築とリノベーションを手がける設計事務所。

デザインだけでなく、地球環境やエネルギー、快適な暮らしのことなど、あらゆる領域を横断するように仕事をしています。

2つのものを共存させるのは難しいことだと思います。ただ、手がけた家を見ると見事に調和しているように感じました。

今回は建築・インテリアの企画などをする意匠設計、断熱設計などをする温熱環境シミュレーション、そして事務スタッフを募集します。

建築設計に携わっていて行き詰まっているとか、設計だけではなく幅広く経験を積みたいとか、そう感じているならぜひ読んでください。

 

芝公園駅から徒歩5分。路地に入るとビルやマンションが並んでいる。車の喧騒はなくなり落ち着いた雰囲気。

万代芝ビルの2階にスタジオA建築設計事務所のオフィスがある。

ドアを開けると、棚で仕切られたオフィスが目に入る。

左側には「エネルギーまちづくり社」、右側には「スタジオA建築設計事務所」の机が並んでいる。端には緑の観葉植物と小さな家の模型。

早速、打ち合わせスペースで、スタジオAの代表、内山さんに話を聞いた。

落ち着いていて、柔らかな雰囲気をもつ方。

「マンションリノベもいろいろお手伝いさせてもらいましたけど、言われなくても断熱はしっかりやっていたんですよね。プロデュース会社に話すと『断熱?お金がもったいない』って言われるから、全体の工事費を調整して黙って断熱材入れたり」

「そのほうが、住民にとっていい。住民にとっていいということは、オーナーにも必ずいいことだから」

断熱へのこだわりが感じられる。

ただの断熱好きではない。断熱を入れることでどうなるか、もっと先を見ている。

内山さんの根っこにあるものはなんだろう。

「29歳で独立して、一番はじめにものすごく大きな住宅を1人で設計したんですよね。オーナーさんのリクエストは、RCの打ちっぱなしのかっこいい住宅が欲しいっていうお話で」

「場所が福島県の郡山で、『寒いから断熱入れましょう』って言ったんだけど、なんといっても『絶対入れたくない』ということだったので、その通りにやったんですね。結果的に福島県で賞をいただいたり、オーナーさんも地元の人たちも施工業者もみんな喜んでくれたりして」

担当した建築が受賞したり、雑誌に取り上げられたり、評価されるのはうれしいこと。

だけど、そんなときにこそ見えない身体の感覚に耳をかたむける。

「福島で断熱しないと、やっぱり寒いですよね。あとから追加で断熱しました」

このときから、断熱は外せないものだと強く思いはじめる。

ただ、高気密高断熱の家というと、なんだか室内の空気が動かないような息苦しいイメージを持つことが多い。

自身の印象が変わる体験をしたのは、2015年、鎌倉にあるパッシブハウスを訪れたときのこと。そこでまさに断熱を“体感”する。

「わ!って声出しちゃったんですよね」

入って1秒でわかる心地よさ。これはなんだろう。

「季節が6月とか夏前あたりでした。なんていうか、すごい気持ちよかったんですよね、柔らかくて。今まで感じたことのない空気だった」

「その瞬間、高気密高断熱ってこういうことか!と腹落ちしたんですね。今までやってきた断片的なことがつながった感覚。快適性のこと、環境のこと、そしてエネルギーのこともやっぱりちゃんとやりたい」

ちゃんとやる。

それは高気密高断熱という性能だけではない。

デザインもちゃんとやる。

性能とデザイン、見えないものと見えるもの。両端に思えるものを統合していきたい。

 

どういう建築になるのだろう?

最近の事例として紹介されたものが、千葉県柏市のエコハウス。

5人家族、4世代が集うハーブ農家さん。もともと築90年の古民家を建て替えて新築したいということで、建築設計の依頼をもらった。

「農家さんって基本的に外で作業しますよね。冬は体が冷えているのでこたつから出たくない。暖かい家のほうが体が温まりやすいので、外出のときすぐに動けるんです」

農家さんのように外で仕事をする人にとって、エコハウスは特に向いていると内山さんは話す。

軒がない、すっきりとした外観。

リビングの天井を見ると断熱材が厚いのがわかる。それがデザインに面白いアクセントを加えている。

「軒がない代わりに南側の窓は小さめにコントロールしてるんです」

床も天井も木が使われ、どの部屋も光が差し込んでいる。断熱材が厚いので、柱や梁を目立たないようにデザインも工夫されていて、見た目でも伝わる温もりがある。

「あと実はこの家、エアコンは1台だけなんです」

え、1台?

「そうなんです。14畳のエアコン1台で、だいたい100平米ぐらいを暖めることができます」

その仕組みについて内山さんは丁寧に説明してくれる。

「断熱しているだけでなく、全熱交換器も入れているんです。部屋と外の空気を換気する役割のもの。屋内の空気を排出するときに、室内の熱を屋外から入ってくる空気に受け渡すので、換気をしているのに熱損失が少ないんです」

「窓の大きさも測って、冬にどのくらい日光があたるか、熱がどれくらい取れるかを計算してエアコンの容量を決めています」

また最近はエコや省エネに関わるご依頼が、ずいぶん増えているそう。

「関心が高い人は『当然やってくれますよね』という感じでご依頼されます」

そのぶん、今まで設計事務所がしなくてよかった作業が増えている。

例えば、温熱環境のシミュレーション。

最少限のエネルギーで快適な空間をつくるために、建物の向きや窓の大きさ、その周辺環境を勘案して設計すること。

地球環境を気づかう住まいは、住む人の未来も心地いいものになる。だから、丁寧に考えていきたい。

「それ以外にも僕らはチャレンジングなことをいろいろやります」

「最近だと目黒区にある、ちょっと変わったRCのワンルームマンション」

チャレンジしたのは、すべての窓枠に樹脂サッシを使用したこと。樹脂サッシにするだけで結露がしにくくなるのだとか。ただ前例がないため、設置までが大変だという。

「RCの集合住宅に木造用の樹脂サッシを入れるのは難しいんです。施工費用を抑えられるんですけど、普通は防火認定が通らない。だからきちんと通る施工法を考えたり、メーカーに相談したり、そういうハードルを丁寧にひとつずつ超えながらやっていきます」

「本当にスタッフと支えあっていないとできないことですね」

大変なこともみんなで歩調を合わせながら、着実に進めていく。歩調が合っているのは働いている人たちがお互いを信頼していないとできないことだと思う。

 

スタジオAにはどんな人がいるのだろう。

次に話をうかがったのは、入社4年目の岡本さん。

少し緊張しながらも、真っ直ぐこちらを見て話してくれた。

以前は、某ハウスメーカーで5年間、戸建て住宅の設計をしていた。その後、日本仕事百貨でスタジオAの記事を見つけ、入社。

大手ハウスメーカーからの転職は給料も下がる。それでも決断したのはなぜだろう。

「5歳のとき、実家を新築に建て替えたんです。工事現場を見るのが好きで。それから高校生になる前、自分は何がしたいんだろうと考えたときに幼いときのワクワクした記憶を思い出して、高校、大学と建築の道を志しました」

大学では都市計画や地域活性化に興味を持ち、大学院で研究もしたそう。ただ進路には迷い、最終的には原点に戻って建物をつくりたいとハウスメーカーに就職。

「働いているうちに、利益重視の風潮や他の設計図をコピペするように使いまわしている感覚を持つようになって」

「このままだとこの会社以外では何もできないと思って。ちゃんとお施主さんや街、社会に還元できるような仕事がしたいと、転職先を探しました」

日本仕事百貨でスタジオAの求人記事を見たとき、どう感じましたか?

「ムム!という感じ」

「『社会をより良い方向へ変えていくためには、設計を超えた様々な領域を横断する必要がある。設計とはあくまで手段の一つに過ぎないのかもしれない』というところに共感しました」

実際に入社してみて、どうでしたか?

「設計はもちろんきちんとやるのですが、仕事上で関わる人と接する時間や話す内容が濃いです。例えば、オーナーさんに『天井を好きな色に塗っていいですか?って入居者さんから問い合わせがあったんだけど』と相談を受けたり。そんなこと今までなかったので」

「入社してすぐに携わったプロジェクトが内山さんも話していた柏のエコハウスでした。2、3年も関わって、毎週のように顔合わせていたので、行くたびに農家さんから採れたての野菜をいただくこともあって」

入社したての頃は、手取り足取り教えてもらった。

現場に足を運ぶとお施主さん、職人さん、そしてスタジオAのスタッフがそばで教えてくれるのも心強かった。

「設計以外の仕事も多いので、大変だなと感じるときもあります。でも関わる人たちと深い付き合いになるのはおもしろいです」

岡本さんが今一番うれしいことは、お施主さんの喜んだ姿なのだとか。きちんと目を見て対話する。だからこそ、心地いい設計ができるのかもしれない。

 

最後に話を聞いたのは、入社7年目の石原さん。笑顔がまるでお母さんのようなあたたかさ。

スタジオAに来る前は、木造住宅や分譲マンションの設計事務所で設計をしていたそう。

7年間過ごしてきて、今どんな人に来てほしいですか。

「ちょっと偉そうなこと言うかもしれませんが、人と話せる方ですね」

笑顔で話しながら、強い思いを感じる。

「お施主さんの要望に全部応えることは難しいこともある。でも一生ものの建物だから気持ちをちゃんと汲み取って、なんとか実現していきたい」

「技術もそうだけど、一番はお施主さんの目線で考えられる人。一方的にいいものを提案するのではなく、きちんと会話のキャッチボールができる人。そんな人に来てほしいです。もちろん全力でサポートするので」

表情からも優しさが伝わってくる。

断熱ってあたたかい。それを扱う人もあたたかい。

スタジオAのみなさんは、今もその先の未来も快適に過ごせるよう、人と建築について真摯に考えているように感じました。

(2023/1/17 取材 大津恵理子)

※撮影時はマスクを外していただきました。

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