求人 NEW

場に、まちに
息を吹き込む
人が豊かになるために

※日本仕事百貨での募集は終了いたしました。再度募集されたときにお知らせをご希望の方は、ページ下部よりご登録ください。

何度も行きたくなる、お気に入りの場所はありますか?

居心地がよくてつい長居してしまうカフェ、好みのものがたくさん並んでいるお店、会いたいと思える店員さんがいるところ。わたしの場合は、こんな感じです。

どの場所も温度を感じられて、場をつくっている人たちの想いがすみずみまで行き渡っている。

今回紹介するのは、さまざまな角度から場を考えて、誰かのお気に入りの場所をつくっていくような仕事です。

bonvoyage(ボンボヤージュ)株式会社は、建物や場のプロデュースをする会社。

古い建物の利活用から新築の駅前ビルのプロデュース、商店街や公共空間の活性化まで。領域を限定せずプロジェクトに取り組んできました。

特徴的なのは、コンセプトから建物の設計デザイン、資金計画、運用の仕組みづくりまで一貫して関わり、最適なプロデュースをしていくこと。

完成して終わりではなく、当事者として運営にも入り、場の価値を高め続けていきます。

その中心を担うのが、今回募集するコミュニティファシリテーター。既存店舗の運営のほか、将来的には新店舗の立ち上げや、会社が担うさまざまなプロジェクトの企画運営にも関わります。

あわせて、まちプロデューサーも募集します。公共空間などを活用して、地域住民にとってより豊かなまちをつくっていくための仕掛けを企画・実行していく仕事です。

どちらも仕事は多岐にわたるけれど、一つずつできることを増やしていけば大丈夫。建築に関しての知識があると、仕事の幅はなお広がります。

初めてのことにも物おじしないバイタリティと、広い好奇心がある人には、ぴったりの会社だと思います。

 

蒲田駅から東急多摩川線で5分ほどの、大田区・下丸子。

このまちにあるのが、今回の目的地「hatome(ハトメ)」。ボンボヤージュが昨年6月にオープンした複合施設で、カフェやシェアキッチン、コワーキングスペース、アートギャラリーなどが入っている。

駅から3分ほど歩いて住宅街に入ると、大きな一軒家の1階部分にhatomeを見つけた。

今日はお店はお休み。中に入ってすぐにカフェカウンターがあり、奥には雑貨の展示販売スペースや、家族連れが過ごしやすそうな座敷の席も見える。

「この建物はオーナーさんの自宅なんです。お父さんからここを受け継いだけれど、自分たちが住むだけでは広すぎるから、地域に開くかたちで活用できないかって声をかけてくださって」

そう教えてくれたのは、代表の和泉さん。論理的でありながら、言葉の端々に温度を感じられるので、話がすっと頭と心に入ってくる。

以前は、ソフトとハード両面からまちづくりに取り組む会社で働いていた。コーポラティブハウスの企画や、銭湯をアート施設に改修するなど、幅広い事業を手がけたそう。

より裁量をもって仕事を進めたいと、同じ施設プロデュースの業態で3年前に独立。

初めての仕事であり、ボンボヤージュの代表的な場所でもあるのが、神奈川県川崎市にある「CHILL」。2020年にオープンした文化複合施設で、hatomeもCHILLをモデルにつくられた。

もともとは廃業したサウナ施設。解体してコンビニにしようとしていたオーナーに、リノベーションを提案したのが和泉さんだった。

「解体費用も莫大だし、廃棄による環境負荷も大きい。だったら、この建物を再利用して、地主であるオーナーさんだからできる地域貢献と、収益性の両方を叶える仕組みを考えていかないかって話をしました」

まちの人に長く愛される施設をつくるために。

耐震強度など、建物の調査を経たうえで、地域のニーズに合わせたコンテンツを組み立てていった。

「このエリアは、中学校で1学年10クラス以上あるほど、子育て世帯が集まっているんです。でもリサーチをしてみたら、子連れでゆっくり過ごせる場所が少ないという声が多く上がりました」

「リサーチの仕方も、僕らはちょっと変わっていて。 廃業したガソリンスタンドにプールを並べて、アーティストに壁に絵を描いてもらって、ビーチを味わえるイベントをガチで開催してね(笑)。来てくれた400人以上の人たちのリアルな声を拾っていきました」

その結果生まれたCHILLは、2階がアーティストやクリエイターのアトリエ。3階がフードラウンジで、屋上はレンタルスペースとして貸し出している。

フードラウンジには4店舗が出店していて、そのうちのひとつは、日替わりで出店者が変わるシェアキッチン。

さまざまなテナントが入る複合施設にすることで、関係人口は増えていく。経営面でもブランディングでも、特定の店舗ありきにならない、持続可能な場を生み出すことができた。

「ただ、その仕組みはすごく複雑なので、場をまとめ上げて価値を統一する役割が必要だと思って。それでコミュニティファシリテーターを置くことになりました」

もうひとつ、自分たちが抱えていた課題感も背景にある。

前職時代、プロデュースした施設の価値が、数年後には衰退してしまうケースがいくつかあったそう。

「引き渡したときの価値がマックスで、その後運営者の裁量に任せたら、残念な状態になっていったのを目の当たりにして。管理という受け身の姿勢ではなく、価値をより高めるために日々ドライブをかけていくこと、いろんなトライアンドエラーを続けていくことが必要なんだと気づきました」

「それなら僕らプロデューサー自身が、当事者として運営を知らなきゃいけない。CHILLでコミュニティファシリテーターの必要性が出てきたので、一テナントとしてカフェを運営しながら、継続的に場に関わっていくことにしました」

コンセプトづくりから、キャッシュフローの構築、空間構築のディレクション。テナントとの調整と自分たちのカフェの運営、そしてコミュニティのファシリテーションまで。

一連の流れすべてにボンボヤージュが関わっているからこそ、一貫性のある場が生まれ、その価値が保たれ続けている。

この事例を知り、声をかけてくれたオーナーさんとつくったhatomeが2店舗目。2024年には、3店舗目と4店舗目が内定しているという。

また、ボンボヤージュの仕事は施設がベースのものだけに限らない。

たとえば行政からの依頼で、公園や遊休地の活用可能性を探るための実証実験に取り組んだり、まちの再開発の一環で地域住民を巻き込んだワークショップなどを企画したり。

最近では、衰退しつつある商店街の価値を向上させるための施作提案など、より広いエリアをプロデュースする仕事も増えている。

話を聞けば聞くほど、場づくりとも、まちづくりとも、簡単には言い表せない。

みなさんって、一体何屋さんなんでしょうね。

「僕もあまり、自分たちのことをワンワードで表現できないんですよね(笑)。ただ、根っこの部分で共通しているのは、人が豊かに暮らせる場所とか、建物とか仕組みとか、そういったものをつくっているんだろうなと思うんです」

「その手段が建築物だったり公園だったり、公共空間だったり。レストランもプロデュースするし、そこに入るワインにも口出ししますし、ブライダルのプロデュースをしたこともありますから」

“何で”実現するかにはこだわらない。

でも、本当にその場所や関わる人たちのためになるものを、考え抜いてつくり出している。

「その場所の文化的な背景とか、歴史とかオーナーの状況とか。そういったものをしっかり受け止めたうえで、最適なものを提案する。それが僕らの意味というか、存在価値なんですよ」

 

多岐にわたる仕事をやっていても、社員はわずか5人。「一人ひとりがいろんなことをやっていて、ちょっとオーバーワーク気味」と和泉さん。

創業時からともに働いてきたのが、コミュニティファシリテーターの小室さん。

実は小室さんは先日退職していて、これから入る人は後任となる。現在は、経理担当のスタッフさんが兼任しているので、なるべく早く新しく入る人に任せていきたいとのこと。

「いろいろな仕事に取り組むなかで、より注力したい分野が見つかって。新しい道に進んでみようと思ったんです」

和泉さんが以前いた会社に、新卒で入社した小室さん。同じチームで1年半ほど働いていた。

「もともと、人と人が出会う場のプロデュースや、地域のコミュニティづくりに関わりたくて。ソフトとハード両面からアプローチできることに魅力を感じていました。でも、和泉さんが独立したら、その仕事が少なくなくなってしまって。自分がやりたい仕事をするためにここに来ました」

ボンボヤージュで働いて、2年と少し。

立ち上げから関わったCHILLとhatomeでは、たまに店頭に立ちつつ、展示する作家さんやシェアキッチン出店者との調整、スペース利用者のブッキング、イベントの企画など、運営や仕組みづくりを主に担ってきた。

小室さんが0から1をつくったので、これから入る人に求められるのは、1を10にしていく仕事。

お客さんの反応や収支を見ながら、より場をブラッシュアップしていくための仕掛けを生み出していってほしい。

「たとえば、hatomeでは営業時間外のスペース貸しが思った以上に伸びていて。朝にヨガのレッスンを開いたり、地域のスポーツチームが宴会をしたり。それぞれに合わせたオプションプランを考えてもいいのかなと思います」

俯瞰的な視点で場を考えて、どんどん自分で実行していく。近い将来には、小室さんのように、0から施設を生み出す仕事も待っている。

簡単な仕事ではないはずだけど、小室さんは社会人2年目から任されてきたんですよね。

「そうですね。結構挑戦を好むタイプなので、大学時代もマーケティングのゼミで商品を企画したり、地方の特産品をアレンジして東京で広めてみたり。0からつくり出すことがすごく好きなので、抵抗はなかったですね」

「ただ、仕事は全部大変でした(笑)。でもそれに勝る楽しさがあって。今日も駅から歩いてくる途中に、何人か顔見知りに会って挨拶してきたんです。自分が息を吹き込んだ場所で、たくさんの人と関係性をつくっていくことができるのは、とてもやりがいがありました」

新しく入る人は、ずっと関わってきた小室さんの後任になるプレッシャーはあるかもしれない。

そう伝えると、「全然不安にならなくて大丈夫」とのこと。

「アルバイトさんたちが、お客さんとすごくいい関係を築いてくれていて、もう場所にファンがついているんです。一人でつくる場所ではないし、関係者が本当に多いので。みんなにとってよりよい場にしたいっていう視点で考えられる人なら、きっとうまくやっていけると思います」

どんな人に来てほしいか、代表の和泉さんにもあらためて聞いてみる。

「“虫の目”と“鳥の目”、両方の視点を持っている人ですかね」

「お客さんとのコミュニケーションとか、コーヒードリップとか。現場の仕事も楽しみながら、全体を俯瞰して施設の価値を高めるために動く。いきなりはむずかしいと思うんですけど、その必要性を理解はしていてほしい。どうしたらみんながもっと豊かになれるか考えて、トライしていくことが何より大事だと思っています」

現場の仕事から、施設全体へ、まちへ。働きながらどんどん視野を広く高くしていけるといいと思う。

「びっくりするくらいさまざまな仕事がある」とのこと。楽しめる自信がある人は、ぜひ挑戦してみてほしいです。

(2023/1/30 取材 増田早紀)

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