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店内すべて長野産
ここだから出会える
おいしいを届けたい

※日本仕事百貨での募集は終了いたしました。再度募集されたときにお知らせをご希望の方は、ページ下部よりご登録ください。

東京・代官山に、長野のお酒と、長野の食材だけを使った料理を届けるお店があります。

名前は、代官山KURUMAYA。

店主の古越さんが自ら生産者とつながり集めた、長野のおいしいものをじっくり味わうことができるビストロです。

今回は、ここで働く社員とアルバイトを募集します。

お客さんとの距離が近い小さなお店なので、役割をわけず、調理にも接客にも取り組みます。未経験の人も大歓迎。まずはアルバイトから気軽に働いてみるのもいいと思います。

飲食に限らず、物販やイベントなど、長野を切り口にさまざまなことがはじまりつつあるお店です。

 

代官山駅から線路沿いを歩いて2分ほど。おしゃれな八百屋さんや、子ども服の専門店など、個性的なお店が並ぶ通りに代官山KURUMAYAはある。

階段で2階へ上がり、お店におじゃますると、店主の古越さんが仕込みの手を止めて出迎えてくれた。

今は一人でお店を切り盛りしているという古越さん。さっぱりとした雰囲気の、気持ちのいい方だ。

古越さんの実家であり、このお店の母体である株式会社くるまやは、長野県東部の御代田町で代々続く、漬物の製造会社。

「もともとは明治26年に、水車小屋を使った精米や製粉の商売からはじまりました。そのほかにも軽井沢に八百屋さんを出したり、海外向けに胡桃の輸出業もしていて。お店にも当時の歯車の一部を飾っています」

古越さんのおじいさんの代になって、野沢菜を中心とした漬物製造業に転換してからも、水車小屋に由来する「くるまや」という屋号は現在まで続いている。

古越さん自身は、製菓の専門学校を卒業したのち、パティシエや和食の料理人、ホテルのサービススタッフなどを経験してきた。

「いつか自分のお店をやりたいっていう気持ちはずっとあって、料理と接客両方の経験を積んできました。でも、コロナ禍で仕事がなくなってしまって。両親にその話をしたら、事業再構築補助金っていうのがあるから、それで飲食店を出してみようかって。チャンスをくれたんです」

そこから約2年。2022年7月に、くるまやの飲食店事業部として、代官山KURUMAYAをオープンした。

料理に使う食材や、ワイン、シードル、クラフトビールなどの飲みものはすべて長野県産。

壁にかけられた黒板には、「野沢菜とサーモンのグラタン」や「イワナのコンフィ」などのオリジナルメニューが並ぶ。

知り合いの紹介や、直売所で見つけた商品の製造元に直接連絡するなどして、仕入れ先を広げているそう。

「せっかくなら、くるまや本社でつくっている野沢菜の可能性ももっと広げてみたくて。化学調味料を入れる前の漬け汁を送ってもらって、煮込みの出汁に使ったり、いろいろな料理に試しています」

「長野産のもので縛ると、冬はあんまり華やかなお野菜がなくて。サラダはないの?ってお客さんに聞かれるんですけど、冬の間の生野菜って、天然のセリとクレソンくらいなんですよね」

天然の?

「清水が湧いているところに結構生えていて、純粋にすごくおいしいんです。両親に摘んでもらったものや、私が帰ったときに摘んだものをお店で出しています。昔ってきっと、その季節ごとの地のものを食べる生活をしていたはずだし、それが健康にもいいんじゃないかなって」

クレソンを味見させてもらうと、苦味もあまりなく、食べやすい。

一緒のお皿に乗っていたのは、川魚のイワナとサーモンのカルパッチョ。イワナを生で食べられるなんて、新鮮でおもしろい。

古越さんが長野の食材に注目しはじめたのは、2015年。ソムリエの資格を取得したころに、日本ワインのおいしさに心動かされたことがきっかけだった。

地元でも数々のワインがつくられていると知り、いろんなワイナリーを訪れるうちに、だんだんと長野のワインや食材のおもしろさを知っていったそう。

「お店で出すものを長野で縛るって、大変かなと思ったんですけど、一生懸命探すと結構おいしいものが出てきて。たとえば果物でいうと、長野産のイチゴやレモン。知名度が低いから、ほかではそんなに売れないかもしれないけれど、この環境にあると活きてくる」

「意外な食材を掘り起こしたり、季節ごとのレシピで料理したり。このお店ならではの付加価値をつけることで、今まで埋もれていたものを、光らせることができるんじゃないかなと思っています」

どんな人がつくっているものか、できる限り顔を見て仕入れたいという古越さん。毎月、生産者のもとに足を運んでいる。

「生産者さんのところには、『わたし、間違ってないですよね?』って気分で会いにいくんです」

間違ってない?

「自分が日々やっている仕事、料理や提供のしかたが合っているのかな?大丈夫かな?っていう確認作業。ただの“もの”じゃなくて、大事につくられた“ごちそう”を預かって売っているんだって、確認しに行っているんだと思います」

「こんなふうに味わってほしい」というつくり手の想いを、なるべく汲んだかたちでお客さんに届けていきたいと、古越さん。

ひとりでお店をまわしていくのは大変じゃないですか?

「とにかく準備をしっかりして、少ない手数で出せるようにしています。営業中はなるべくドリンクの説明に比重を置きたくて。しっかり伝えつつ、料理もやるってバランスが結構むずかしくて、毎日悔しい思いもあるんですけど。お客さんに助けられながらやっている感じですね」

くるまやでは、あえてドリンクメニューは用意していないそう。

お客さんとコミュニケーションをとって、何十種類もあるビールやワインのなかからフィットするものを提供したいという、古越さんの想いがある。

「白ワインが飲みたいですって言われたとき、求めているのはスッキリ系なのか、しっかり系なのか。スッキリ系のなかでもどのあたりなのか。お客さんの求める味を探り当てるのが私は好きなんですよね」

「長野のワインって知らない人も多いから、説明しないとやっぱり伝わらない。説明することできっとおいしさがプラスされるし、それがサービスの仕事だと思っています」

開けてから刻一刻と風味が変わっていくワインは、ソムリエの資格を持っている古越さんでも、いつも正解が出せるわけではない。

一口飲んだあとのお客さんの表情を見て、こっそり答え合わせをしているんだそう。

新しく入る人は、まず苦労する部分かもしれない。

「でも、未経験で全然いいと思うんです。ワインってむずかしいイメージを持たれすぎているなって。特に長野ワインや日本ワインってまだ発展途上なので、興味を持てるなら、何も知らない状態からでも知識を深めていきやすいと思います」

 

実は、オープン時には、シェフとサービススタッフが一緒に働いていたという。

退職してしまったのは、どんな理由だったんだろう。

話しづらいとは思いつつ、古越さんに尋ねてみる。

「私も人として未熟だった部分があって、こうしてほしいっていう要望をうまく伝えられなかったのかな。特にシェフの場合は、相手を尊重したいばかりに、納得いかないことでもOKしてしまうことがあって。そこでひずみが出てきたのかなと思います」

これまで古越さんと話をしていると、自分の意志をしっかり持って引っ張っていきそうな印象だったので、ちょっと意外に感じる。

「自分よりも随分経験のある人だったので、言わないほうがいいのかなっていう気持ちが出ちゃったんでしょうね」

「いろんな人に相談して、料理はしばらく自分でやり続けることにしました。一発目で失敗しちゃって自信はないんですけど、私自身も成長していきたい。新しく入る人には、一緒に働きながら、私のことも見てもらえたらいいのかなと思っています」

「ぜひ伝えておきたい」と教えてくれた、この話。

ここで一緒に働くなら、お互いを尊重しあいながら、お店をよくしていくために本音で意見を交わし合える人がいいんだろうな。

「このお店の一番の常連さんって、近所のお母さんと3歳くらいの娘さんなんです」

「一人ぼっちになって、どうしようって手探り状態のときから、応援してくれていて。いそがしくて全然お話できない日でも、『おいしかったです』って言ってくれて、必ずまた来てくれる」

自家製のパンがお気に入りの娘さんのために、二人が来る時間に合わせてパンが焼き上がるよう準備しているんだそう。

「パンって結構大変なんですけど、来るかもしれないと思うとつくりたくなる。ありがちな言葉ですけど、二人のためにがんばろうと思える。一生の思い出だなあと思いますね」

古越さんが生産者さんの想いを大切にするように、お客さんも、単にお店の人ではなく、古越さんという人をちゃんと見てくれているんだろうなと思う。

そんな空気が流れるお店は、きっと心地いい。

これから古越さんは、どんなふうにお店を育てていきたいんだろう。

「飲食店というよりは、複合的な“長野屋さん”みたいにしていきたくて。物販もはじめたいし、今はお休みしている生産者の方とのイベントも定期的にやっていきたい。柔軟でおもしろい働き方ができるお店にしていきたいと思っています」

将来的には、長野県内に逆輸入するかたちで、二号店を出したいと考えているそう。代官山のお店を訪れた人が、長野も訪ねてくれるようなつながりを生んでいきたい。

くるまや本社の事業でも、新たにオリジナル商品を開発したいという計画もある。長野を切り口に、いろんなことにチャレンジできるお店になっていきそう。

新しいことやおもしろそうなことに積極的な人なら、きっと働いていて楽しいはず。

「将来的には、ここでも本社でも、ライフスタイルの変化に応じて女性が長く働きやすい職場をつくっていきたくて。ちょっと大きい話ですけど、飲食業の働き方やイメージを変えていけたらいいなあと思うんです」

「実は10年先くらいまでプランは決めていて、周囲には生き急いでるって言われるんです(笑)。計画通りにはいかないだろうと思いつつ、いろんな人に喋っていたら、実現できそうな気がしています」

目の前のお店の運営で手一杯になりそうなところを、古越さんの目線は常に未来を向いているから、話を聞いていて前向きな気持ちになれる。

長野に縁があるという人。食に関わる仕事がしたい人。何より、古越さんと働きたい人はぜひ、一歩踏み出してみてほしいです。

(2023/3/9取材 増田早紀)

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