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1/365日のために

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本番は、一瞬。

ただ、本番を迎えるための準備は、その何倍もかかる。

途中、何度挫けそうになっても走り続ける。すべては、その先にある達成感を味わうため。

湘南国際マラソンをはじめ、数々のランニングイベントを手掛けるランナーズ・ウェルネス。

創業は、1993年。24時間マラソンで、数々のチャリティランナーに伴走してきた坂本雄次さんが設立した会社です。

今回募集するのは、イベントの企画・運営、スポンサー営業。どちらの職種も未経験からはじめることができます。

ランニングが好きな人はもちろんのこと、人とコミュニケーションするのが好きな人にも、知ってほしい会社です。

あわせて、大会WEBサイトの制作を担うWEBデザイナー、イベントなどの撮影・編集をおこなう映像クリエイター、参加Tシャツや完走メダルなどの物販商品のデザインを手掛けるグラフィックデザイナーも募集します。

 

夏真っ盛りな日、取材に訪れたのは神奈川・大磯。東京駅からJR東海道線に乗って約1時間ほどの場所にある。

その後オフィスは移転して、東京方面に3駅近づいた辻堂へ。

相模湾に面した辻堂は、住みたいまちランキングでも上位に入るアクセスのいい場所。

駅の北口には、再開発事業によってできた巨大ショッピングモールがあり、南口には昔ながらの個人店が残っている。また、辻堂海岸をはじめ自然豊かな公園も近くにあるので、都会と自然の距離が程よいまち。

最初に話を聞いたのは、総務労務部で部長を務める小澤さん。まずは会社の成り立ちについて話を聞いた。

「会社設立のきっかけは、創業者の坂本が、現代表の比企を通じてお笑い芸人の間寛平さんに出会ったことです」

1990年当時、勤め先の会社の陸上部で監督をしていた坂本さん。

東京・日本橋から京都・三条大橋までの490kmを、6日間かけて走る「東海道街道駅伝」というユニークな練習を実施し、ランナー向けの雑誌で連載を持つようになった。

「そのころの寛平さんは、芸能界でこれからというときで。マネージャーもいろいろ売り出し方を考えていたんです。その一つが、ギリシャのスパルタスロンへ参加して、番組にしようという企画でした」

スパルタスロンとは、ギリシャで行われる超長距離型のマラソン大会。距離は、約246km。

ちなみに、通常のフルマラソンの距離が42.195kmなので、距離だけでもおおよそ6倍。

標高は海抜0mから1200mまで。舗装路、トレイル、山岳地帯と気候条件もさまざま。なおかつ、制限時間は36時間以内。

フルマラソンの距離を超えるマラソンは、ウルトラマラソンと呼ばれ、ランナーの猛者しか走れない大会。そのなかでもスパルタスロンは飛び抜けて過酷なレース内容になっていた。

「スパルタスロンに向けて、寛平さんも長距離走を練習しようとしていて。坂本と同じように東海道を通り、東京〜大阪間の560kmを7日間かけて走るという企画をしていたそうです」

「ただ、どのルートを走ればいいか分からない。そこで当時、吉本興業で寛平さんの初代マネージャーを務めていた比企が、坂本に連絡したんです」

長年陸上部の監督として、どうすれば強いランナーを育てることができるのか考えてきた坂本さん。

効率のいいフォーム、走りに必要な筋力トレーニング、身体の調子を整えるコンディショニングなど、独学で学んでいたという。その経験と知識を買われ、途中からランサポートとして加わることに。

同じく1990年の9月、ギリシャのスパルタスロンでも寛平さんのランサポート役に抜擢。寛平さん自身は完走にいたらなかったけれど、その企画をきっかけにレギュラー番組が決まり、一躍有名タレントになっていった。

その2年後には、24時間マラソンの初代ランナーに選ばれ、坂本さんも併走。

また、寛平さんのギリシャスパルタスロンへの再挑戦に向けて、富士五湖117kmを一周するウルトラマラソンを企画。練習の一環でつくったこの企画は、この後32回も続く大会になっていく。

「スパルタスロンへの同行、24時間マラソンへの参加。これらの経験から、ランナーをサポートする奥深さや、ランニングを通じて世間や地域にできることはないか考えるようになり、ランナーズ・ウェルネスを立ち上げることにしたんです」

はじめは、富士五湖のマラソン大会、24時間マラソンのサポート業務に、他社が企画した大会の運営補助で事業をスタート。その後、徐々に自社でランニングイベントを企画、運営していくことに。

「うちが一番得意としているのは、ウルトラマラソンの大会。富士五湖のほかに、長野・野辺山、京都・丹後、岐阜・高山、石川と岐阜をまたぐ白山白川郷とあります。これだけ自社でやっている会社は、うちぐらいだと思いますよ」

そのほかにも、横浜マラソンの運営を受託したり、企業のランニングイベントで記録を計測したり。

企画・運営はもちろんのこと、資金調達、広報、計測、ボランティア管理など、上流から下流まで、ランニング大会をトータルプロデュースしている。

具体的な仕事内容について、まずはスポンサー営業の仕事から教えてもらう。

「大会ごとにスポンサーさんがついてくださるので、大会を通して企業さんが求めていることを聞き出していきます」

「たとえば、環境に配慮したサービスを提供しているオートメーションの企業さん。会社のPRや来場者が環境に興味を持つきっかけになればと、大会会場に特設ブースを設けて、楽しみながらエコについて学べるワークショップの時間をつくったこともありました」

ほかにも、大会にランナーとして参加してもらい、社員同士の親睦を深めてもらうこともあった。

「毎年同じことをやるのではなく、企業さんの要望をもとに提案を繰り返し、満足してもらう企画をつくっていくのが、スポンサー営業の仕事です」と、小澤さん。

そのほかにも、大手のスポーツメーカー、アウトドア関連企業、腕時計メーカー、生命保険会社など。さまざまなスポンサー企業がいるので、切り口はたくさんある。

大会のコンセプトに応じて、なにを提案したらスポンサー企業のメリットになるのか。一つひとつ丁寧にヒアリングをして考えていくのは、やりがいも大きいと思う。

 

営業と並行して、大会の企画・運営も進めていかなければならない。

イベント運営チームのリーダー久留主(くるす)さんにも話を聞いた。

「自社で企画・運営する大会のほかにも、自治体から運営を受託する大会もあります。たとえば、岐阜県高山市のウルトラマラソン。ここは、高山市の観光課が主催になっています。地元の合意形成は高山市さんが中心に調整するため、僕たちはマラソン大会における専門的な部分に特化して行います」

「参加者が来場する車を1000台停められる駐車場はあるのか。ない場合、代わりに小中学校のグラウンドを使うことはできないか。みたいな感じで、実施までの準備を整えていきます」

そのほかにも、コースはどう設定するのか、コースの距離はどうやって測るのか、途中の距離を示す看板はどこに置くのかなど。大会に必要なありとあらゆるものを準備し、開催地域の特徴・特色が参加者に伝わる設計を主催者と相談しながら進めていく。

大会1週間前には、現地入りして最終準備。大会当日は、深夜2時ごろに起きて、スタートの準備。その日の仕事が終わるのは20時ごろになるのだとか。

さまざまな調整ごとに、スケジュール管理、長時間の現場仕事など。聞いていると大変な仕事に思うけれど、久留主さんの原動力はどこにあるんだろう。

「一番はやっぱり、楽しいからですよ」

楽しい… どんなときに感じるんでしょうか。

「365日のなかのたった1日のために、364日かけて準備する。散々苦労して辿り着いたのに、大会当日はあっという間に終わってしまう。だけど、それ以上に返ってくるものがあるんでしょうね」

「自分たちが電話とかメールとか打合せで多くの方々と調整したり、準備したり、お願いしてきたことが形になる。関わっている皆さんの楽しんでいる顔を見た、その瞬間が苦労を吹っ飛ばしてくれるんでしょうね」

本部で仕事をしている時間も長く、大会を見れないことも多いそうだけど、「それでもいいんです」と久留主さん。

「自分の代わりに、いろんな人から『すごくよかった!』って言ってもらえるだけで、やった甲斐がありますよ。反対にたくさんの反省もいただきますが、それは次回以降もっと良くなるためのヒントを教えていただいていると思ってます」

 

最後に話を聞いたのは、スタッフの徳弘さん。軽快な服装ですね。

「今日も大磯駅から走って通勤してきました」

この夏の日に! やっぱり、ランニング好きな人が多いんですか?

「私は走るのが好きで、天気が良い日は走って通勤しています。海と富士山を見ながら箱根駅伝のコースを走れて、会社にシャワー室まであるので、走る人にとってはすごくいい環境ですね」

「もちろん、走るのが好きでない人もいますが、走らない人の気持ちが理解出来ることもこの仕事では必要なことなんです」

もともとは、システムエンジニアの仕事をしていた徳弘さん。自分の好きなマラソンに携わる仕事がしたいと、2年前にランナーズへ入社した。

久留主さんと同じく大会運営をしつつ、前職の経験を活かして、各種マラソン大会のホームページなども制作している。

転職前は、ランナーズが主催するマラソン大会にも出場していたという徳弘さん。

マラソンの魅力って、なんでしょう?

「マラソンの魅力は、道具に頼らず、自分の体のみで完結するところです。とくにウルトラマラソンが大好きで、長いときは40時間以上かかる大会に出場しています」

聞いただけでも、過酷さが伝わってきます。

「走っているときは、嫌になるときが何度もあります。『なんでこんなことやっているんだろう・・・』って。でも、走り終わったら本当に気持ちが良いんです。気づいたら、また来年も走りたい!って気持ちになってます」

「それは、仕事でも同じですね。駅や警察との調整や近隣住民への説明、細かい資料を作成したり、各所関係先に電話したり。本当に小さなところから調整して。みんなで協力して準備した大会が無事に終わったあとは、これ以上ない達成感がありますよ」

地元の合意形成から、スポンサー、ボランティア、自治体など、いろいろな人と調整しながら、大会に向けて足を進めていく。地味な仕事も多く、体力も必要な仕事だと思う。

それでも走り続けられるのは、ゴールした先に味わえる達成感があるから。

走るのが好きでもそうでなくても。がんばる人をそっと支えるのが好きな人にとって、この達成感はやみつきになるのかもしれません。

(2022/08/18取材 杉本丞)

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