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流行のその先へ
観葉植物が大好きな
挑戦者、求む!

※日本仕事百貨での募集は終了いたしました。再度募集されたときにお知らせをご希望の方は、ページ下部よりご登録ください。

日曜日、いつもよりちょっと遅く起きると、部屋に降り注ぐ柔らかな日差し。もうすっかり暖かくなってきたなあ。

コーヒー用のお湯を沸かしながら、窓際とベランダに置いた植物たちに水をあげる。

お、コウモリランの新芽が出てきてる。サボテンは花が咲きそうだ。フィカスはそろそろ植え替えかな。

忙しい毎日の中でも、観葉植物のお世話をしている時間は、何よりもホッとできるもの。

今回募集するのは、静岡にある植物生産農園、武(たけ)農園で働く人。

植物を育てて全国の市場に出荷している生産農園です。

多種多様な観葉植物を育てる生産・営業担当のほか、時代の流れを見極めながら、植物の魅せ方や伝え方、売り方を考える、農園長候補も募集します。

都会の狭いベランダじゃ物足りない。もっといろんな観葉植物を育ててみたい。許されるなら、ずっと植物と触れ合っていたい。珍しい植物を世界中から探し開拓して、新たな流行をつくりたい。三度の飯より植物が好き!そんな植物好きを探しています。

ピンときた方は、ぜひ読み進めてみてください。

 

新幹線で、東京から掛川へ。武農園は、そこから車で30分ほど走った先にある。

すぐ近くには浜岡砂丘や、風力発電所、原子力発電所があって、「地球が丸く見える」という展望台に登ると、海沿いの開けた景色が気持ち良い。

武農園の代表で、運営会社であるフローレ21の常務取締役、竹内さんが出迎えてくれた。

「ここ御前崎は日照時間がとっても長くて、植物を育てるのにぴったりの場所なんですよ」

武農園は、温度や湿度が管理された大きなビニールハウスの中で、さまざまな観葉植物を育てている植物生産農園。

先代の「武社長」が1975年に創業して以来、お正月の竹飾りや、テレビセットの装飾などによく使われ人気になったシダの一種ツデーを多く手掛けてきた。

シダ植物「アジアンタム」は、なんと日本のシェア90%。長年武農園の看板商品となっている。

90%となれば、ホームセンターやお花屋さんで見かけるものは、ほとんど武農園の商品といえるだろう。

業績は順調だったものの、2018年に武社長が病気で亡くなり、後継者不在に。一度は閉園する話が上がったけれど、竹内さんが働くフローレ21が引き継ぐことになった。

フローレ21は、東京・世田谷市場に本社を構えるお花の仲卸会社で、もともと武農園とは生産者と仲卸という関係。

世田谷市場のほか、大田市場、葛西市場、板橋市場にも営業拠点を持ち、全国さまざまなお花屋さんと取引をしている。

武農園との付き合いも長く、アジアンタムをはじめ、さまざまな植物の仕入れでお世話になってきた。

「アジアンタムといえば武農園だし、やっぱり武農園のアジアンタムが一番きれいだと思う」そう考えていたのは竹内さんの上司で、フローレ21代表取締役社長の小池さん。

小池さんも、武農園に関わってきた多くの人と同じように、武社長の人柄と植物に対する想いに惚れ込んでいたひとりだった。

武農園がなくなれば、日本の市場からアジアンタムがなくなってしまう。それだけは、なんとしても避けたい。

仲卸が直接農園を運営するのはかなり珍しいケースだったけれど、農園を自分たちで運営すれば、アジアンタムもつくり続けられるし、ほしい植物を自由に生産することもできる。

フローレ21にとっても、武農園にとっても、良い形でのバトンタッチとなった。

「当時から働いていたスタッフさんも残ってくれたので、技術を途切れさせずに引き継ぐことができました。今はアジアンタムをはじめ、さまざまな品種を少しずつたくさん育てています」

「長年育てているものもあれば、海外から株を取り寄せて増やしている珍しい品種もありますよ」

グリーンネックレス、コウモリラン、プテリス、ワイヤープランツ、さらには育てるのが難しくなかなか流通しない、迷彩柄のアグラオネマピクタムなど。ハウスを見渡すだけでもかなりの種類が育てられていて、植物好きにはたまらない。

 

そんな農園を切り盛りするのが、農園長の清水さん。

もともと農業大学で造園を学び、お花屋さんに就職。その後転職してフローレ21に入った。

お花屋さん時代には会社の役員を務めていたこともあって、経営のことにも意識を配って働いている。

「ただ好きというだけではなくて、きちんと売れるものをつくらないとダメなんですよね。それが一番肝心。あとは、つくり過ぎると市場価値が落ちてしまうので、ちょっと足りないくらいを目指して生産しています」

普段はどんなスケジュールで働いているんでしょう?

「朝8時に来て、基本的には自分の担当しているハウスの作業に取り掛かります。季節や作業の忙しさによっては、担当を振り分けて、別の人の仕事を手伝うということも。休憩をはさみながら、17時まで働きます」

ちょうど今は雑草を抜く作業中。

「これはね、数ヶ月前までアジアンタムと一緒のハウスに置いてあって、移動してきた鉢で。このハウスは上に網を張ってあるんだけど、アジアンタムのハウスは秋になると雑草が入ってきてしまうから、今一つひとつピンセットで抜いているんです」

確かによく見ると、別の植物も結構生えている。

家で育てていると、別の植物が生えてきたら可愛いなあと思って放置したり、むしろ一緒に育ててみたりするけれど、ここにあるのは、あくまでも売り物。別の植物に栄養を持っていかれないよう、適切に処理して、商品として育てあげる。

「光を満遍なく与えるために、鉢の間隔を広げる作業も同時にやっているんです。これをやると、植物の様子がよく分かるんですよね」

武農園で働くなら、どんな人が合っているだろう?

「やっぱり一番大事なのは、植物が好きっていう気持ちかな。植物が好きで、一緒に『もっと上』を目指せる人がいいですね。言われたことだけじゃなくて、こういうのをやりたいって意見が言えて、粘り強さと責任感がある人。そういう人が来てくれたらうれしいです」

 

生産・営業スタッフの山本さんと阿部さんにも話を聞いてみる。

写真左の山本さんは、武社長がいた時代から働いているベテランスタッフさん。大きなハウスの中でも、カイガラムシが発生している場所は匂いでわかるという、すごい能力の持ち主。

「甘い匂いがするんですよね。毎日働いていると分かるようになりますよ(笑)」

家が近所だからという理由で入ったけれど、気づいたらもう8年働いているそう。

「面接のときに武社長がすごく素敵だったんですよね。今でもずっと尊敬している方です」

「どこに出しても恥ずかしくないような、キラッとしていてツヤのあるものを育てられた時はうれしいですよ。やっぱりうちの子が一番可愛いなって思います」

写真右の阿部さんは、仙台からはるばるやってきた新人さん。大型園芸店で働いていたときに、Instagramで武農園のことを知り問い合わせ。武農園初の、DM入社となった。

Instagram担当の山本さんは、連絡をもらってすごくドキドキしたそう。

「なんか23歳の子からDMきたんだけど!しかも仙台から来るって!って、社内がざわつきましたね(笑)」

続けて阿部さん。

「そのうえ、当時髪の毛ピンクでしたもんね。みなさん年上なので、本当にお父さんお母さんのように優しくしてもらっています。引っ越してすぐ、病気で休んだときに、農園長が家にご飯を持ってきてくれたこともありました」

仙台から御前崎に引っ越すのって、どうでしたか?

「小学校までは田舎に住んでいたので、ここはスーパーもチェーン店もあるし、意外と栄えてるなって思いました。1時間くらい運転すればどこかには行ける、という距離感ですね」

近くにある道の駅には、新鮮な魚が安く販売されていて、美味しいカツオのわら焼きが食べられるお店もある。

都会で暮らしているときよりもお給料は下がるかもしれないけれど、生活コストが下がるから、QOLはむしろ上がるかもしれない。

広い家に住んで、植物を増やすことだってできる。

「園芸店で働いていたときは、植物のお世話をしながら接客もしないといけないので、植物に集中する時間ってあんまりなかったんです。でも、ここだとお世話ばっかりできるのが幸せですね」

「すくすく育っているのがよく分かるし、土日休んだら『大きくなってる!』ということも。それを見られる喜びは大きいですよ」

 

最後にお話を聞いたのは、生産・営業スタッフの竹田さん。竹田さんも、武社長がいた時代から働いているベテランだ。農業やファミリーレストランの仕事をしていたところから、武農園に入った。

「中身で判断してもらいたいので、あえて顔出しNGってことで…(笑)こんなポーズでどうですかね」

もともと観葉植物は好きだったのでしょうか?

「農業にも通じるものがあるので、全然嫌いではなかったですよ。でもやりだすとダメですね。植物って、文句もいわないし、成長も分かりやすい。やっぱりいいなあって、どんどんハマっちゃう」

武農園で働きはじめてから、自宅でも観葉植物を育てるようになったそう。

「家の植物はかなり増えてきましたね。植物を売っているおしゃれなお店や、ホームセンターに行くことも。専門職をやっていると何がいいって『見えてくる』んですよ。でも見るとほしくなっちゃうので、最近はあまり見ないようにしてますね」

奥さんも植物好きで、二人で「枯らさないようにしよう」と、管理できる分だけ育てているのだとか。どんどん増えちゃうの、すごく分かるな。

「最近はこういう優しい色合いの植物がトレンドで、よく売れています。インテリアにも馴染みやすいですよね。生産農園だからといって、ただ育てるだけではなくて、どんなお店に置かれていたらいいだろう、これからどんな植物が流行るだろう。そんな視点もとても大事です」

日によって作業は変わるけれど、夏は暑いし、重いものを運んだり、立ちっぱなし、しゃがみっぱなし、なんてこともしょっちゅうある。大変なことはもちろん多いけれど、大好きな植物に囲まれて1日を過ごすのは、きっとわるくないだろうな。

 

全国の有名インテリアショップや、生活雑貨用品のお店にも卸されている、武農園の観葉植物。

最近ではコロナ禍の影響で一般家庭やオフィスに飾る観葉植物の需要が増えた。植物マニアのすそ野も確実に広くなってきている。

時代に合わせたニーズを調査しながら、柔軟に生産品種を変え、全国の市場に出荷する。そして新たな観葉植物のトレンドをつくり出していく。

三度の飯より植物が好きで、覚悟を持って来てくれる方。ピンと来た方は、ぜひ一度農園を訪ねてみてください。可愛い植物たちがあなたの挑戦をお待ちしています。

(2023/3/8 取材 今井夕華)

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