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誕生日やなにかの記念日など、特別な日にはいいレストランで食事をしたり、ホテルで贅沢な時間を過ごしたりしたくなるものです。
ドレスコードを求められるような空間で座る椅子や食事をするテーブル、キラキラと光る照明。華やかな完成形で見ることが多いラグジュアリーな空間の背景にも、それを1からつくり上げている人がいます。
ザ・ヴィンテージハウスは、インテリアデザイナーやオーナーなどから依頼を受け、特注プロダクトのデザイン設計や製作、納品まで手がける会社。
赤坂プリンスクラシックハウスなど、主にホテルやレストラン、結婚式場といった特別な空間でお客さんが非日常を楽しめるようなインテリアや照明を海外から輸入したり、自分たちで設計・製作したりしています。
日本だけではなく、中国やアメリカなど海外からも依頼がくることも。たとえば、ハワイにある「Rigo SPANISH ITALIAN」は業界の中でも有名で、これを見てヴィンテージハウスに問い合わせをする人もいるのだとか。
ほかにも、手がけたプロジェクトは専門誌でも度々紹介され、業界誌「商店建築」の表紙も飾っている。
今回は家具・照明器具の設計・デザイン製作する人、クライアント対応や営業サポートをする人、そして家具の修理やメンテナンスをするスタッフを募集します。
職種としては分かれていますが、ザ・ヴィンテージハウスで働く上で決まった役割はありません。
働く人のやりたいことや向いていることを担当してもらう。そして、大切なのは失敗を恐れないこと。
経験はないけど設計をしてみたい、海外でも働いてみたい、という人も歓迎です。一緒に働く人や海外のクライアントなど、たくさんの人とコミュニケーションをとりながら経験を積むことができる仕事だと思います。
ザ・ヴィンテージハウスの拠点があるのは、愛知県名古屋市と東京都目黒区の2ヶ所。今回は東京にあるオフィスに向かう。
オフィスがあるのは、目黒川沿いのマンションの一室。
ドアにはキラリと光る表札が。チャイムを押すと、スタッフの方が迎えてくれた。入ってすぐに「どうぞ、まあ座って」と、にこやかに声をかけてくれたのは代表の齋藤さん。趣味は葉巻とともに1杯のウィスキーを嗜むこと。
「うちの仕事ってね、どんどん変わっていくんですよ」
銀座では高級レストランのゴージャスな装飾、アメリカでは焼肉屋の和風なインテリアなど。
英国骨董家具屋として創業してから35年。業界の流行に合わせながら、造園業のような庭づくりを中心に依頼を受けていたこともあれば、特注のインテリアのデザインに特化した時期もあったそう。
ただ、一貫しているのはお客さんが非日常の中で自分を“特別な人”だと感じられるような空間づくりをすること。
その例として紹介してもらったのは、とある美容外科クリニック。主に照明やインテリアなどの設計から納品までを担当した。
「美容クリニックって、昔は入ることに後ろめたい気持ちがあったり、裏口から出入りしたりする風潮もあったんですよね」
「最近は美容ブームもあってか、入りやすくはなってる。ただ、そこには入りやすい空間づくりがされていることも大事で」
キラキラした照明やゴージャスな見た目のソファーなど。病院らしくないホテルのフロントにいるような待合室。
「お客さんが『綺麗になった』と気持ちよくなってドアを開ける、その瞬間まで考えてつくります」
事例をあげて話してくれる一つひとつの言葉に、自信を感じる。
心はいつもヒッピーのように自由でいたいと話す齋藤さん。中学、高校と長期休みは全国を歩き回り、20歳のときには友達とアメリカを旅したそう。
「40年くらい前かな。当時の日本の料亭は木造で、味わいはあるんだけど素朴なものが多くて。けれどアメリカのロサンゼルスとかに行くと、レストランに装飾品がたくさんついていて衝撃を受けたんです」
上からボートが吊るされていたり、農機具が飾られていたり。日本では見たことがない内装を体感したことが、ザ・ヴィンテージハウスを立ち上げるきっかけになった。
ともに働くスタッフも増えながら、これまでさまざまな空間をつくってきた齋藤さん。これから先、どんな人と一緒に働きたいと考えているのか聞いてみる。
「人が入れ替わることをマイナスだと思っていなくて。むしろ会社の発展につながると思うんです。『こういう人がほしい』っていう枠を決めずに、来てくれた人と“化学反応”を起こしたい」
化学反応。
「誰でもなにかしら得意なものを持っているじゃないですか。それを引き出すことが私の役割で。その人の本心を理解したいと思っているので、趣味の話とかあまり仕事と関係ない話もできる人だとうれしいですね」
終始落ち着いた口調で話してくれる齋藤さん。一方で、ときには怒ることもある。
「怒るときは理由もきちんと話します。そして何が最善だったのか一緒に考えるんです」
「人生は筋書き通りいかない。けれど、誰でもシャングリラを持っていると思うんですよね。理想郷を追い求めるためにここで働きたいという人がいてもいい。来てくれたら、スキルや経験を積むチャンスは毎日ある仕事だと思いますよ」
ここで働いている人たちは、どんな人なのだろう。
まず話してくれたのは、森さん。積算や見積り・予算管理を担当している。
入社してから印象に残っていることはありますか?
「入社して2、3年目のときに結婚式場の改装で家具と照明器具を納品したことは印象深いです」
8フロアもある大きな式場。現場への装飾品の搬入だけではなく、取り付けをする人員の配置を考えたり、トラック等の調整手配や道路の使用許可の申請をしたりと、今まで経験のない業務を任された。
大きな案件であるため並々ならぬプレッシャーあったという。
「ようやく取り付けの段取りができたと思ったら、定例会議で相次いで変更のご依頼が来て。最後の方は現場の事務所に机を用意してもらって、そこで仕事していました」
「予期せぬこともありましたが、先輩や取引先の方に助けていただいて、何とか納めることができました。それに加えて、代表の齋藤に褒めてもらえたことは、なんだか感慨深かったですね」
トラブルがあっても気持ちを切り替えて、やり遂げる。アフターフォローにも対応しているため、たとえば家具が壊れてしまったということがあれば、すぐに駆けつける。体力も精神力も必要な仕事だと思う。
「新しいことを常にやっているので、思いもしなかったことがよく起きるんです」
もちろん、仲間のスタッフの力を借りることもある。けれど、経験していくうちに自分自身が学び、次の仕事に活かしていく姿勢が大切だ。
「失敗した記憶はいまだに思い出します。でも何とかして乗り越えてきたので、できることがずいぶんと増えましたね」
何年働いても、成長を感じることができる。それは、がむしゃらに仕事に向き合う姿勢があるからこそだと思う。
「これから入ってくれる人には、自分でなにかをやり遂げたっていう経験があったほうがいいのかなと思います。そのうえで、ここでいっぱい失敗してほしい。失敗しないことが一番いいんですけど、やっぱり自分で経験することって大切だと思うので。社長がどっしりと構えてくれているので、安心してチャレンジしてみてほしいですね」
次に話を聞いたのは和輝さん。主にプロダクト図面の作図を担当している。
和輝さんから見て、ザ・ヴィンテージハウスで働く上で必要なものはなんだと思いますか?
「そうですね… コミュニケーション力だと思います」
「最近は商品のほとんどを中国で製作しているので、コロナ禍以前は検品するために現地の工場によく行っていて。中国人のスタッフに質問したり確認したりするんです。日本語が通じないので会話をするのが難しくて」
翻訳ソフトを使ったり、ジェスチャーで伝えたり。積極的にコミュニケーションを交わす。
「仕事の話はもちろんですが、一緒に食事をしたり、日常的なことを話したりしていると、だんだんと打ち解けることができて。そうなると、すごく楽しいです」
和輝さんのように海外とのコミュニケーションが必要になるときもあるし、もちろん日本でデザイナーやクライアントと話すことも多い。どんな仕事を担当することになっても、コミュニケーション力は必要とされる環境なのだと思う。
最後に話を聞いたのは、入社して20年のアートデザイナーのスタッフ。事情により、今回は名前と写真はなしということで話を聞かせてくれた。
「たまたまヴィンテージハウスを見つけて応募して」
転職を考えていたとき、偶然見つけた求人。他のことにも挑戦したいという思いから応募してみることに。面接場所は、今はなくなってしまったショールームだった。
扉を開けると、今まで見てきたインテリアのイメージを覆されるほど素敵な家具や照明が。
「ここで働きたいって強く思ったんです」
運命の出会いだったのかもしれない。その感覚が伝わり、採用が決まった。
「最初は海外からインテリアなどを輸入する物流の仕事を担当しました。アフリカやモロッコで社長が買い付けたアートオブジェを運ぶこともあって」
「海外から商品を日本に仕入れることって、当たり前のように聞こえるけれど、難しいんです。経験もなかったので先輩に聞いたり、自分で勉強したり。必死に経験を積んでいった気がします」
今ではアートワークのデザインや製作も任せてもらえるほどの実力をつけている。
「毎日が新しいことばかりで大変だけど楽しいです」
貪欲に学ぶこと、そして大変なことにもまずチャレンジする前向きさがあるからこそ、ここでの仕事を楽しめているのだろうな。
ザ・ヴィンテージハウスはいろいろな変化をしながら、働く人の得意なことを伸ばしつつ、できることを広げてきたのが印象的でした。
自分の得意分野を活かしたいという人でも、特別な空間づくりに携わってみたいという人でも。面白そうと感じた人は、一度齋藤さんと話してみてください。
自分の可能性を広げる、大きなきっかけになるかもしれません。
(2023/2/28 取材 大津恵理子)