求人 NEW

見つめ直す自分の在り方
いま、離島で生きる

※日本仕事百貨での募集は終了いたしました。再度募集されたときにお知らせをご希望の方は、ページ下部よりご登録ください。

伊豆大島は、伊豆諸島最大の島。

東京から南に120km。高速ジェット船に乗れば、竹芝港から2時間もかかりません。

島の中央にそびえる標高758mの三原山は、大島のランドマーク。現在も火山活動を続けていて、島民からは「御神火」として畏れ敬われてきました。

今回は、伊豆大島で暮らし働く人を募集します。

主な働き先は「大島恵の園」。

障がい者の方が、自立に向けたさまざまな支援を受けながら生活する、障がい者支援施設です。社会福祉法人武蔵野会が運営しています。

「自分を愛するように、あなたの隣人を愛せよ」という理念を掲げ、1963年に設立されました。

一人ひとりがその人らしい生活を送れるように。障がいのある方々の生活を支えたり、働いたりすることをサポートしています。

その人らしさを発揮してほしいのは、働く人に対してもおなじ。

新しく入る人は、生活支援員として大島恵の園で働きます。未経験歓迎、副業も可能です。

地域には、離島メディアを運営するデザイナーがいたり、ゲストハウスを運営しながら大島のクラフトビールをつくろうとしている人がいたり、遊廓として使われていた建物をリノベしてカフェを開こうとしている人がいたり。

福祉の仕事に専念したいという人はもちろん、島暮らしを満喫しながら働きたい、自分のお店をもちたい、収入の柱を増やしたいなど。

自分だけの納得いく働き方を見つけたい人に、おすすめしたいです。

 

朝一の高速ジェット船に乗って、伊豆大島の岡田港へ上陸。着岸率は伊豆諸島のなかでも一番というから安心だ。

船着き乗り場に着いてあたりを見回すと、遠くに見覚えのあるシルエット… 富士山だ。

海を越えて知らない土地にきた不安もあったけれど、快晴に富士山と、島に歓迎してもらったような気がしてうれしい。

港からは武蔵野会のみなさんと一緒に、車で島内を走る。

窓の外をのぞくと、色彩豊かで古代の雰囲気を感じる緑。途中、バームクーヘンのような切断面の巨大な地層も見かけた。

大島恵の園があるのは、港と対になる南のエリア。

車で30分ほど走ると、森のなかに佇む建物が。ここは、第2大島恵の園。大島恵の園の6年後につくられたものなんだそう。

木々が揺れる音や鳥の鳴き声など、のどかな時間が流れていて心地いい。

施設に入り、今回の採用をサポートしている、SOCIAL WORKERS LABディレクターの今津さんに話を聞く。

もともとは沖縄を拠点に、次世代の担い手を育てるプログラムをつくったり、地域における新しい仕事づくりに取り組んだり、まちづくりに関わったりなど。人を起点としたプロジェクトをさまざまに展開する組織を経営していた。

現在も分野・領域の垣根を越える活動をしていて、SOCIAL WORKERS LABもそのひとつ。福祉の関係人口を広げるため、多様なプロジェクトを手がけている。

「福祉に興味をもって大学に入った学生や、施設で働きはじめた若い人たちが、福祉っていうものの魅力を理解しきれないまま、業界から離れていってしまう現状があると知って」

はじめに取り組んだのが、大学生と福祉法人のマッチング事業。

採用活動をおこなう法人の理念、現場仕事のやりがいや面白さが、学生に伝わるようにデザインしてプログラムをつくった。

「もちろんマッチングの精度を高めることも大事なんですけど、それだけだともう現状は詰まってしまっているというか。結局、福祉とか介護って聞いた瞬間に、『お世話の仕事でしょ』『3Kだよね』みたいなイメージをもつ人が少なくないと思うんです」

「それをずらしたいっていうのが、ぼくの問題意識にあって。『ふくし』という概念自体を捉え直していくことが、今後は必要になってくると思っているんです」

「ふくし」の概念を捉え直す?

「それは、福祉の関係人口を増やす、ということで。いろんな人たちにとって、『ふくし』って実は身近なことなんだっていうのを、ふくしという言葉を使わずに感じてもらうとか」

たとえば、と教えてくれたのが、「ソーシャルワーカー」という言葉。

これは、社会生活を営むうえで、何らかの困りごとを抱えている人たちと関わり、よりよく生きるための支援を提供する対人援助職を指すもの。社会福祉士や精神保健福祉士といった国家資格も、ソーシャルワーカーの一つだ。

「福祉の世界に詳しくなければ、知らない人がほとんどじゃないかなと。医療や福祉における専門職の呼び名ではあるけれど、それだけだともったいないなって。見方を変えれば、人間が人間らしくいられるためにさまざまに活動している人たちも、ソーシャルワーカーって言えるんじゃないかって考えて」

その考えのもと、たとえばシェアリングエコノミーの事業を展開している人をソーシャルワーカーと捉え、ゲストに来てもらってイベントをおこなったり。

「ぼくらは、何をしているかではなく、そういう“在り方”を表現するものとしてソーシャルワーカーを捉えようとしているんです」

あらためて「福祉」の定義を辞書で調べてみると、「しあわせ」や「ゆたかさ」と書かれている。

これまで福祉について深く考えることがなかったし、ちょっと遠い世界に感じていた。けれど、「ふくし」を在り方として捉え直すと、一気にその距離が近づいたような気がする。

島には豊かな自然もあれば、新たなカルチャーが醸成されてきそうな雰囲気もある。

自分はどう在りたいのか、生きたいのか。大島という土地は、まさにそれらを体現する場所としてうってつけの場所なのかもしれない。

 

次に話を聞いた中本さんも、在り方として「ふくし」を考えている方だと思う。

大島に移住してきてまだ10日ほど。島での生活を始めたばかりで、現在は第2大島恵の園で生活支援員として働いている。

「はじめは不安もあったんですけど、いまは知っていく楽しさとか、面白さとかのほうがすごく大きくて。できないことも含めて、体感していく面白さにどんどん飛び込みたいなっていう気持ちでいっぱいです」

案内してもらったのは女性の入居者が生活しているフロア。

現在は20人程度の方が生活していて、生活支援員は食事・入浴・トイレの介助のほか、アート活動やレクリエーションを一緒に楽しむなど、入居者のサポートをしている。

午前中は絵を描いたり、散歩に行ったり。貝を磨いてアクセサリーにするなど、いくつかのグループに分かれて作業に取り組んでいる。

案内してもらったときは、ちょうど午後のティータイムの時間。フロアには入居者の方がたくさんいる。

立ち話をしていると、入居者の方が近づいてきて「名前は?」「生年月日は?」「どこから来たの?」など、いろいろ質問をしてくれた。

まっすぐこちらの目を見て、視線が外れない。自分の奥底を観察されている感覚がして、ちょっと怖いと思ってしまった。

隣にいた中本さんに聞いてみる。

「わたしもありましたよ。それでも、この福祉の世界に踏み込みたいなって。最初怖いって思ったとしても、別の場面ではどうだろうとか、なんでこの人はこういう言い方をしたのか知りたいとか」

目の前の人のことを知りたい、という気持ちが強いんでしょうか?

「わたし自身が、自分を表現するのが苦手で。自分の気持ちや考えを伝えるのもそうだし、そもそも感情自体が生まれにくいと感じていて」

高校までは、自分の考えや感情が出ないように過ごしていたほうが、過ごしやすかったという中本さん。相手のことばかり気にしていたら、いつの間にか自分のしたいことや好きなことなど、自分の気持ちが分からなくなっていった。

「もともとないぶん、見つけるんじゃなくて、まわりの人と一緒につくっていくみたいな。そこから意識的にいろんな人やものごとに関わるようになりました」

「入居者の方を見てると、絵の作品にも日々のルーティーンにも、羨ましいぐらいその人らしさが出てるんですよね」

その人らしさを理解しようとすることで、知らなかった自分の一面が見えてくる。それは、入居者へのサービス向上にもつながっていくのだと思う。

現在は支援員の仕事をしながら、地域の人との関係をつくっている中本さん。

取材のなかで地域の人たちと話す機会があり、たとえば入居者と地域の子どもたちをつないで、地域交流と教育をかねたイベントもできるかもしれないと教えてくれた。

地域の人のことも知ることで、「ふくし×〇〇」の可能性は広がっていくのだろうな。

 

中本さんと同じく、今年の春に施設長として着任したばかりの松岡さんにも話を聞く。

「今はまず、現状を知ることからはじめようと思っています。働きやすく、明るい職場にしたいと思っていて。みんなが安心して働けるような場所になれば、入居者さんにも楽しいと思ってもらえるんじゃないかな、と」

「職員にもできないことがあったり、つらいことがあったり。組織の一員として働くうえでは納得できないこともあるかもしれないけど、やっぱり働いていてうれしいと思えるような施設にできたらいいな」

取材の途中、「入居者の方が車の扉を開けてしまった」という報告が。それを受けて、松岡さんが話を続ける。

「利用者のそうした行動について、一般的な通念における良し悪しはあるのかもしれませんが、支援する人が一方的に責めたりしてはいけないと思うんです」

どういうことでしょう。

「利用者にそうさせてしまった環境をつくった私たちがいるんですよね。そこを忘れちゃいけないと思う。そして、どうしても支援する側が立場として強くなっちゃう。だけど、対等な関係であることを忘れてはいけなくて」

「自分も理想としているし、これは新しく入る人に対しても求めることなんだけど、平常心を保てる人。そういう人に来てもらえるといいかなと思います」

一泊二日の大島での取材を終えた後、いただいた武蔵野会の採用パンフレットを読んでみた。

そこには武蔵野会の理念、「自分を愛するようにあなたの隣人を愛せよ」という言葉に続けて、こんなことが書いてある。

「まずは、あるがままの自分を理解し学び、変化を受け入れる。その過程で、自分と他者を対等のものと考えられるようになり、入居者一人ひとりを理解することにつながる」

取材のなかでも、働く人の話の節々から、この理念を感じさせるような行動を目にしたり、言葉を聞いたりした。

自分の在り方を模索し続けていきたい人にとって、この大島での働き方は、かけがえのない経験になると思いました。

(2023/04/10取材 杉本丞)

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