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定時通りに働くよりも、フレックス制度を設けるほうが自由に働けるんじゃないか。
事務所を開放して本屋にしたら面白いかも。
この壁はやっぱり黒じゃなくて白がいいかも。
無意識に刷り込まれている常識に対して、「ちょっと待てよ」と立ち止まって考える。もっといい方法があれば試してみる。
そんな柔軟さを持っているのが、東京建築PLUSのみなさん。
商業店舗の内装・施工管理を本業としながら、事務所の隣には、自分たちが運営する本屋があって、定期的にイベントも開いています。スタッフのなかには、服をつくったり、テキスタイルの創作活動を続けたりしている人もいます。
今回募集するのは、2つの職種。
ひとつは現場に行って工事の管理を担当する施工管理スタッフ。もうひとつは、オフィスで図面を作成したり、仕事の進め方の効率化や教育の仕組みなどを考えたりするCADスタッフ。
どちらも未経験から挑戦できます。
これまでは、この2つの職種をスタッフ1人で担うことも多かったそうです。柔軟に働き方を考えて、役割を2つに分けることにしました。
建築に興味がある人はもちろんのこと、視野を狭めず、変化し続けながら働きたいと思う人におすすめの仕事です。
都営三田線の白山駅で降りる。
地上にでると、すぐ近くに小さな商店街。古書店やラーメン屋、カフェなどが立ち並んでいる。
お昼どきだったので、ランチを食べに来ている学生もたくさん見かけた。
3分ほど歩くと、青いタイルが特徴的なビルに着く。東京建築PLUSのオフィスは、この2階。
階段を上がると、本がずらりと並んだ空間が。
コンクリート打ちっぱなしの内装に、木の什器。大きな窓には、透明感のある白いカーテン。
シンプルな構造で、建物の雰囲気をそのままに感じられる。時がゆっくり流れているようで、なんだか落ち着く。
この場所は、東京建築PLUS が運営する本屋「plateau books」。
東日本橋の事務所から移転する際、代表の中里さんが「事務所を開放してみたら面白いのではないか」と考えたのがきっかけ。
もともとは精肉店だった場所で、自分たちでデザインから施工まで手がけて、半分を事務所に、もう半分を本屋にした。
本屋の中心にある木のテーブルに座って、まずは中里さんに話を聞く。
一つひとつのことについて、常に可能性を狭めないように考えている様子が印象的。
「建築の仕事だけしていると、建築の時間だけが増えてしまうので。そこに本屋さんっていう軸を入れると、そこから予期せぬ出会いや気づきがあって、面白いなと思います」
もともとゼネコンで働いていた中里さん。社長が夕食をつくってくれるような雰囲気のいい会社だったけれど、30歳を目前に「このままでいいのか?」という気持ちが芽生えた。
「長期的なビジョンがあったわけではなくて、その都度疑問に思ったことを解消して今に至る、という感じで。そのままの状態でいるのが嫌だったんだと思います」
内装施工会社で5年間修行したのち、10年前に東京建築PLUSを立ち上げた。
現在は、リピーターからの相談がほとんど。
施工管理の仕事は、お客さんとの打ち合わせから始まる。要望をもとに予算を決め、施工図に落とし込んでいく。
施工図ができあがったら、電気や水道、左官屋など、各分野の職人を手配。工事が始まれば、現場に入って進行管理を担う。
いろいろな施工管理の会社があるなかで、東京建築PLUSはどんな会社なんだろう。
入社4年目の林さんに、率直に投げかけてみる。
「常にふわふわ動いてる会社って感じですかね。よく言えば柔軟というか」
どんなところで、柔軟だと感じますか?
「お客さんから、壁紙を何にするとか、間仕切りの壁をどこにするとか。細かいことも決まってからでないと本当は動き出せないんですけど、動きながら考えることが多いです」
「もちろん早く決まっていたほうが、余裕を持って工事を進められます。お客さんを急かす会社も多いけれど、どちらかというとうちの会社は待つタイプ」
お客さんや設計者の考えが決まらないうちに工事に取りかかる。
そうすることでつくりながら考えることができる。ただ、オープン日が決まっている場合は、どこかで帳尻を合わせなくてはいけない。
施工をお願いする職人たちがいるから、お客さんと職人の間で板挟みになってしまうのではないか。
林さんが、担当した案件を思い出しながら教えてくれる。
「ある飲食店の現場だったんですけど、そこは壁と天井を塗装で仕上げたんですね。壁は白で天井は黒って決めたので、その通り施工していたんですけど、設計者さんが現地を訪れたときに『ちょっと違うね』ってなって」
塗装はすでに完了した後。また一からやり直すと、お金も時間もかかってしまう。
そのときは、どうされたんですか?
「工程を守ることが第一優先なので、職人さんに『ごめんなさい』と伝えて、一部の工事を同時に行うことにしました」
本来であれば、1業者ずつ工事を担当して順番に進めていくのが理想的。
今回も天井や壁を塗った後に、床のフローリングを張る予定だったけれど、天井と床、同時に工事を行うことで、何とかオープン日に間に合わせることができた。
お店を開くということは、お客さんにとって人生の一大イベント。
良いものをつくって、良いスタートを切ってほしい。お客さんに寄り添いながらも、すべて合わせていたらスケジュールが間に合わなくなってしまう。
「すごくしんどいなって思うときもあります」と林さん。
「でも自分の性格上、無事終わるとそれでいいかなって思える。それに現場にいると楽しいんですよね」
現場にいると楽しい。
「そうなんです。お客さんの希望を叶えつつ、職人さんたちにもできるだけ気持ちよく働いてもらう。自分の頭の中でひたすら考えていた通りに周りの人が動いてくれたとき、すごくやりがいを感じます」
前職では洋服の生地を売る仕事をしていた林さん。
もともと、ものづくりに興味があった。でも何かアイデアを考えたり、自分で手を動かしたりすることは苦手だと思っていた。
だからこそ、自分の手でものをつくる職人に惹かれ、彼らと一緒に働きたいと東京建築PLUSに入社した。
「最初の一年目はよく悩みましたね。この壁は何色にするとか、この床は何を張るかとか。工事の詳細がなかなか決まらなくて、落ち着かなかったです」
「設計者さんやお客さんと直接話す機会もほとんどなかったし、主担当者に催促しても、『まだ決まっていないから待ってて』としか言われなくて。でも職人さんからは『どうするの?どうするの?』って急かされるし、私も答えてあげたいし、でもわからないし。慣れるまで時間がかかりました」
一般的な常識にとらわれず、常に変化を受け入れられる人だと、働きやすいのかもしれない。
働き方も柔軟で、たとえば役職に応じてフレックス制を取り入れていたり、スタッフ一人ひとりにクレジットカードを渡して、経費精算はそのカードでできるようにしていたり。
「現場に出ていると急に必要なものも出てきて、ホームセンターに買い出しに行かないといけない。今までは立て替えていたので、カードの支給ですごく便利になりましたね」
最後に話を聞いたのは、入社して2ヶ月目の長谷川さん。
「出身が京都で。美術系の大学で染色を専攻していました」
個人でテキスタイルの作品をつくっていた長谷川さん。
就職を機に、3年前に上京して繊維系の会社に入社。スカーフや日傘などの女性向けファッション雑貨の企画・デザインを担当していた。
「社会人になってからも、個人で作品をつくったり、友人と一緒に活動したり、創作を続けていて。仕事ではもうちょっと違う分野のことを経験したいなって思い始めたんです」
個人では依頼を受けてカーテンもつくっていた。せっかくなら今後の活動にも活きるような、建築の分野がいいかもしれない。
そのとき見つけたのが、前回の日本仕事百貨の募集記事だった。
現在は、先輩スタッフについて現場に同行したり、図面作成の仕方を覚えたりしているところ。
「その日その日で、現場にいる職人さんも変わることが多いので、新鮮で面白いですね。壁や床が出来上がっていくのも、知らないことだらけなので一つひとつ見れるのは楽しいです」
「いろんな人と関わる仕事だと思っていて。それを面白いと思える人、あとは現場での急な変更とか変化を楽しめる人だと、働きやすいのかなって思います」
変化を楽しむ。
それは布を染色することにも似ているような気がします。
「そうですね… 布はそのままだと何でもないけれど、デザインして染めれば、服にもカーテンにもなる。そういった変化はおもしろいなと思います」
「カーテンと空間、服と人みたいに、何かと何かの関係性を考えるのが好きなんです。この仕事も、常に誰かと誰かの関係性を調整して、そこからおもしろいことが生まれていく。だから惹かれているんだと思います」
みなさんの話を聞いてきて、変わることを受け入れる姿勢が印象的でした。
最後に、代表の中里さんが話していた言葉を紹介します。
「旅に出るっていうのは、すごくいいなと思っていて。知らない土地や人との出会いは、その場所だけの出会いなので、そんな出会いを想像するだけでワクワクします」
「休みボタンみたいなものがあって、押したらポンって休める。そんなことも考えますね」
思わず笑ってしまう。そんなボタン考えたこともなかったな。でもあったら、どんな未来があるんだろう。
常識は置いておいて、想像してみる。そこからできることを探してみる。
カチッと決めすぎない姿勢は、柔軟でいて、働く人も一人ひとり納得感を持って働けるのではないかと思いました。
(2023/05/30 取材 杉本丞)