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地域にふれながら
自分の居場所を見つける
”ちおこ”としての3年間

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「これからはまちの成長に舵を切っていくフェーズ。自分たちが暮らすこの地域をよりよくするために、攻めに転じていこうとする雰囲気があります」

こう話すのは、岩手県大槌町に事務所を構える「一般社団法人おらが大槌夢広場」の伊藤さん。

岩手県の沿岸部、三陸地方に位置する大槌町は、東日本大震災から12年を経て、復興の次の段階として新たなまちづくりに挑戦しています。

そこで取り組んでいるのが、新たなまちの産業づくり。

今回募集するのは、「移住定住促進」「サーモンの養殖・ブランド開発」「林業」の3つのテーマそれぞれで活動していく地域おこし協力隊です。

海や山に面した豊かな自然環境を活かして立ち上がった多様なプロジェクトを、新たなまちの産業として発展させていく。

それぞれのテーマに沿った仕事の経験がなくても大丈夫。

はじめて取り組むことや人との出会いを楽しめる人に、ぴったりな仕事だと思います。

 

大槌町には、自宅のある岩手県遠野市から車で1時間。

東京からは新幹線で3時間移動し、新花巻駅でレンタカーを借りて、さらに1時間半の移動が必要になる。

まず向かったのは、地域おこし協力隊の採用や活動支援を行っている、おらが大槌夢広場の事務所。

到着すると、伊藤さんが迎えてくれた。

移住定住事務局や地域おこし協力隊の採用・活動のサポートを担当しながら、自身も地域おこし協力隊のひとりとして活動している。

「前職でも、ほかの市町村の地域おこし協力隊の活動支援を行っていたんですが、自分自身が協力隊を経験していないと、ちゃんとしたサポートができないんじゃないかと思うようになって。それで、自分も地域おこし協力隊になることを決めて、大槌町に移住しました」

おらが大槌夢広場は、東日本大震災から8ヶ月後に町民によって立ち上げられた団体。まちの人の居場所をつくるための食堂運営や、中高生の意見を町に届けるこども議会、震災や復興の様子を伝承する活動などを行ってきた。

当初は、観光や商工、農水産などに関わる事業が中心だったものの、2021年4月から地域おこし協力隊の採用や活動支援も担うように。その後、移住定住事務局を2021年10月に立ち上げ、翌年4月から事業を本格的にスタートした。

伊藤さんはそれまでの経験を活かして、地域おこし協力隊の活動支援と移住定住事務局の立ち上げに向けた活動を行う協力隊として着任。

「大槌町は岩手県内で一番遅く地域おこし協力隊の制度を導入しました。他市町村の事例をリサーチしながら、隊員にとっても、まちにとっても柔軟な制度の運用方法を探して展開してきたからこそ、今いい取り組みができていると思っています」

大槌町の地域おこし協力隊は、募集時のテーマに沿った受け入れ企業に所属して、活動している。

受け入れ企業は日常的な活動のサポートや技術的なアドバイスを実施。中間支援団体であるおらが大槌夢広場は、地域おこし協力隊のメンタリングやカウンセリング、月1回協力隊が集まるワークショップや交流会の運営などを行っている。

「地域に根づいた企業に所属することで、地域の人とつながることができる。まちの一員としての感覚を強く持てると思います」

「大槌町のみなさんは地域おこし協力隊のことを『ちおこ』と愛称で呼んでいます。まるっこい言い方で呼びやすいこともあって、まちの人たちにも協力隊のことを認知してもらいながら、お互いに信頼関係を持って関わり合うことができていますね」

今回募集する協力隊は、移住定住促進担当はおらが大槌夢広場に、サーモンの養殖・ブランド開発担当は大槌復光社協同組合に、林業担当は吉里吉里国(きりきりこく)に所属することになる。

「今回の3つの事業者は、どこも『復興』という文脈のなかで立ち上がった団体です。大槌復光社も、吉里吉里国も、地域の人たちが協力しながら立ち上げて、運営を続けてきたので、職人気質な雰囲気というより『みんなで力を合わせてやっていこう』という空気感が強いと思います」

伊藤さんは、どんな人が協力隊に向いていると思いますか?

「募集要項に求める人物像を書いているんですけど、本当は正直誰でも大槌にフィットするというか。大槌に来たいと言ってくれる人を、僕らが選定できる立場じゃないなと思っているんです」

「それでもあえて言うなら、仕事をしっかり進めて成果を出す人というより、人と人との関係性をうまくつくれる人のほうが、大槌の風土と合っているんじゃないかと思います。そしてどんなことも楽しめる人。仕事も暮らしも、ひとりでやろうとするんじゃなくて、みんなでやれる人だといいですね」

 

実際に、大槌町の地域おこし協力隊として活動しているのはどんな人たちなのだろう。

次にお話を聞いたのは、協力隊2年目の大邉(おおべ)さん。大邉さんは今回協力隊を募集している、NPO法人吉里吉里国で活動している。

「大槌町に来るまでは、東京で建設業に携わっていました。その仕事がすごくハードで、このままの生き方でいいのかなと思いはじめて。自分の好きなものづくりや木に携わりながら、ライフワークバランスが整った暮らしを地方でしたいと考えるようになりました」

「そこで見つけたのが、大槌町地域おこし協力隊の仕事で。最初は『おためし制度』を利用して、2〜3日大槌町で過ごしてみたんですが、そのときの体験がすごくよかったんです。すぐに移住することを決めました」

森林の整備や林業の担い手育成、間伐材の活用のほか、さまざまな地域活動を行う吉里吉里国で、それらの作業全般に携わっている大邉さん。林業に関する資格は着任してから取得し、仕事を覚えてきたという。

「それまで経験したことがない仕事ばかりだったんですが、資格を取ったり、機械の使い方を学んで。半年くらい経ったら、木の伐採とか重機を動かすとか、いろんな作業ができるようになってきました」

「これからは、ほかの企業の仕事を見たり、林業で生計を立てている人をモデルにしながら、自分が3年を終えてどんな働き方ができるといいか、考えたいと思っています」

大槌町での暮らしはどうですか?

「自分の理想は、古民家を改修して小規模でも農業をしながら、日曜大工をしたり、釣りをしたりする生活なんですよ」

「今も、吉里吉里国で木工をしたり、釣りも仕事帰りに行けたりして、楽しいです。こういう生活がしたくて、ここに来たので。すごくいい暮らしができているなと思っています」

もともと大槌町に知り合いはいなかったものの、仕事のつながりや協力隊同士のコミュニティから、地域の人たちとの関係性をつくれている。

「大槌町の地域おこし協力隊は、すでに活動をしている先輩が多くいるので、その人たちを通して地元の人とも交流できる。仲間が同じまちにいるのは、すごく心強いですね」

 

続いて話を聞いたのは、鹿肉を加工・販売するMOMIJI株式会社で働く工藤さん。工藤さんは大槌町地域おこし協力隊の1期生で、今年で着任3年目。

協力隊として着任してすぐは、SNSやウェブサイトの運営、イベントでの鹿肉の販売など、ジビエのPRに従事。その後、新規ハンターの育成事業や農家と連携した鹿を捕獲するプロジェクトなどの企画・運営を担当した。

2年目からは、岩手県内の他市町村に向けた鹿肉処理施設の立ち上げ支援などの業務にも携わるように。

工藤さんは、協力隊の任期が終了したあとも、MOMIJIで働く予定だという。

「MOMIJIには、ほかの協力隊も所属しているんですが、代表が私たちの任期終了後もそのまま雇用できるように事業計画を立ててくれているんです。私としてもここの仕事に携わり続けたいと思っているので、すごくありがたい。恵まれているなと思っています」

大槌町の受け入れ企業型での活動では、3年の任期を終えたあと、自分で起業する以外に、企業に所属し続ける選択肢があることが特徴のひとつ。

今回募集する地域おこし協力隊も、3年間の活動を経て、そのまま受け入れ企業に関わり続けるか、それ以外の生業を見つけていくか、選ぶことができる。

今後のことが決まっていることもあってか、工藤さんは将来のことを気にしすぎることなく、目の前の仕事に集中できているように感じる。

「今年の4月から、協力隊の立場のままMOMIJIの社員になったので、少しずつ感覚が変わってきたんだと思います。ここでの暮らしが日常になって、よそ者じゃなく地域の人に近づいてきたのかなと感じているんです」

「協力隊としての期限があっても、ここに住む年数が決まっているわけではないから、区切りみたいなものも感じていなくて。地域の人とのつながりもすごくたくさんあるので、ここに自分の地盤がある実感を強く持てています」

それだけ大槌町への想いを強く持てているのは、どうしてでしょう?

「人との縁かなと思います。来たばかりのころは全然なかったけど、住みはじめてから、本当にたくさんの人が気にかけてくれて、困ったら助けてくれる人がいる」

「きっと最初は不安だと思うんです。インターネットで調べても仕事がないし、住めそうな物件も少ないし、誰がいて、なにができるかわかりづらい。でも、来たらなんとかなるんです。インターネットには載っていない情報のネットワークを地元の人たちが持っていて、私のときも家を探すのを手伝ってくれました。ここには、インターネットで一生懸命調べてもわからないけど、いざ来てみるとどうにかなることがたくさんあるんですよね」

 

最後に、再び伊藤さん。

「『こういう仕事がしたい』と目的を持っている人もいれば、自分探しで来る人もいるし、何も考えずに飛び込んでくる人もいます。大槌のことを知らなくても、海や山、鹿、サーモンなど何かの要素に関心があれば、ぜひ来てほしいなと思います」

「地域おこし協力隊の『おためし制度』もあって、今のところそれに来てくれた人は全員移住してくれています。なので、実際に来てもらえれば、その後のことには自信がある。ぜひ地元の人に会って、いろんなことを体験してみてほしいです」

どのテーマに携わるかは、応募の段階で決める必要はありません。

まずは大槌町を訪れて、ちおこのみなさんと話をしながら、まちの雰囲気を感じてみてください。

(2023/5/16 取材 宮本拓海)

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