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目指せ!観光都市ヨネザワ
調べて、話して、考えて
土台をつくる

※日本仕事百貨での募集は終了いたしました。再度募集されたときにお知らせをご希望の方は、ページ下部よりご登録ください。

「東京で10億円規模の仕事をしても、まちが変わったなって感じることはなかった。けれど、地方の場合は100万円や1000万円でも、ああ、なんか変わったな、って目に見えて感じる」

「やってくれてありがとうという声も、人が集まって賑わっている光景も、自分が貢献したことが直に感じられるところが、地方で働く醍醐味かなと思います」

プラットヨネザワ株式会社は、山形県米沢市を拠点としている観光地域まちづくり法人(DMO法人)。100年後も魅力ある地域として続いていくために活動しています。

主な事業は、観光にまつわるデータの収集と分析、それに基づいた戦略づくりとプロジェクトの実施。

設立して1年ほどのあたらしい会社ですが、すでに温泉地域一帯の旅館改修やイベントの企画運営、商品開発など、規模感も内容もさまざまなプロジェクトが走っています。

今回募集するのは、プロジェクトを完遂させるプロジェクトマネージャー。

データ・プロジェクト・スケジュール・タスク。更には、人・予算などあらゆる管理業務が発生するため、マネジメント経験のある方が良いそう。

スタッフの多くは地域に顔を出せる距離に住みながら兼業しており、フルリモートで働いています。新しく入る人も、必ず県内に住んでいる必要はありません。

求められる能力も高いし責任もありますが、そのぶんやりがいも大きい仕事だと思います。

 

米沢までは、東京から新幹線で2時間ほど。

奥羽山脈や吾妻連峰に囲まれた盆地で、戦国時代には伊達家、江戸時代には上杉家が治めたという米沢藩の城下町だ。

「米沢牛」や「米沢織」で知られるように、食あり、温泉あり、伝統工芸品あり、歴史ありと、観光資源は盛りだくさん。

プラットヨネザワのオフィスは、今年の夏にオープンするコワーキングスペースを使うそう。現在スタッフはリモートワークが主とのことで、この日は足湯カフェの温泉宿「宝寿の湯」で取材をすることに。

はじめに話を聞いたのは、代表の宮嶌(みやじま)さん。

アメリカの大学を卒業後、東京で8年ほど営業の仕事に携わり、5年前に地元である米沢へ帰郷。冠婚葬祭を主事業とする会社で役員として働くかたわら、プラットヨネザワを立ち上げた。

「どうしてDMOだったかというと、地方にいるとまちがフォーマット化されていくという感覚があって。ドラッグストアやスーパーなどの大手チェーン店ができると便利になる一方、たくさん並ぶと地域の独自性みたいなものが減っていくし、人も物もお金も情報もどんどん地域の外に出ていってしまうんですよね」

「どうやってこの地域で経営していこうかという課題は漠然と持っていました。そんななかで、地域の外から人や物、お金や情報が入ってくる数少ないパイプの一つが、観光だと思ったんです」

これまで地方での観光といえば、経済成長を背景とした大量輸送、大量消費を前提としたパッケージ商品を消費する構造だった。ところが、15年ほど前から個人での旅行が増加。ニーズが多様化することで、いままでのやり方ではうまくいかなくなってきた。

「さらにコロナ禍が重なって、観光業もそのあり方を考えなければならないときでした。であれば、観光という外から経営資源を地域内に持ってくるパイプをしっかりとさせ、持続可能な在り方をつくったほうがよい。その土台としてDMOを提案する機会をいただき、2022年の5月に設立しました」

創業時のメンバーは5名。テクノロジーやファウンド、デザインやマーケティングなど、それぞれ専門分野を持っている。

DMOの一番の特徴は、一つの会社だけでなく、地域全体がよくなっていくための方法を考えること。

地域課題を大枠から捉え、小さな課題も一つひとつ掬い上げる、やりがいのある役割だと思う。

「国の事業をベースに運営している組織ですから、5年間でここまで達成したいという目標があります」

「そこに行き着くためにさまざまなプロジェクトが始まっているんですが、やり始めると、こっちも必要、あれも必要、というふうに新しいプロジェクトが次々と出てくる。そこで今回は、実際にプロジェクトを動かしてくれる、プロジェクトマネージャーを探しているんです」

お金、人、タスクなどすべてのマネジメントができたらいいけれど、何かを管理する立場でプロジェクトを動かしたことのある人であれば、話し合って、できる範囲から始めてもらうことができそう。

どんな人だとよいでしょうか?

「やはり、ある程度つくられた枠を固めて大きくしていく主体性は必要です。あとはDMOの特性上、関わる業界が多いのでコミュニケーションがとれる方」

「地域では、いろんな立場の人がいろんな言葉でいろんな意見が交わされます。そこに対して良いわるいではなく、まずはリスペクトがあること。次に、地域にとって一番いい動き方を選べると素敵ですね」

 

どんなふうにプロジェクトが進んでいくのか聞かせてくれたのは、CMO(最高マーケティング責任者)の青山さん。

「コロナをきっかけに夫の地元である米沢に引っ越してきました。夫がウコギ社というまちづくり会社を地元の仲間とつくって、それがきっかけで宮嶌くんに出会い、プラットに誘われたんです」

青山さんは岡山県の出身。美術大学を卒業後、都内のデザイン事務所や広告代理店、事業会社でデザインに従事。現在はデザイン会社TONARI Co.Ltd.に籍をおきつつ、プラットヨネザワで働いている。

これまでの経験を活かし、今年は地域の看板商品創出事業のプロジェクトを担当したそう。

スポットライトを当てたのは、米沢織。

「米沢織って歴史的には和装のイメージが強いですが、実際に機屋(はたや)さんを訪問してみると、多彩な織の技術があるんです。その技術はさまざまなハイブランドの洋服生地に使われているのですが、一般的には知られていない。うまく現代に落とし込んだものがつくれないかと考えました」

「そんなとき、永続可能な循環型の農業をもとに、人と自然がともに豊かになるような関係を築くパーマネントカルチャーという考え方に着想を得て。一流品の織りでつくられたオーガニックな寝具があったら、もっと米沢織を身近に感じてもらえるきっかけになるんじゃないかと思ったんです」

助成金をもらうため、事業概要やスケジュールなど、必要書類を作成。予算がついたら、まずは調査からスタートした。

「理想の生地をつくるために、糸の素材と撚りから考えました。糸の商社を見学させてもらい、撚糸屋さんにどれがいいかいろいろと試してもらって、織物屋さんで試作して…。宮嶌くんや地域の方の紹介でつないでもらうことが多いのですが、業者さんを探すのが大変でしたね」

結果として協力してくれる織物屋さんが現れ、世界中の人に届けたいものができた。

「新しいことに積極的に協力してくださる方が沢山いらっしゃいます。ちょうどこちらの宝寿の湯の方もその一人です。場所を貸してくださって、寝具を体験するお昼寝イベントを開催することができました」

「自分がつくったものが喜んでもらえると、やっぱりうれしいですね」と話す青山さん。

このプロジェクトひとつとっても、行政とのやりとりや業者さんとの連携、イベントの企画運営にマーケティングと販路開拓、全体のスケジュール作成や手伝ってくれるアルバイトの管理など、決めることもやることも多い。

「柔軟に対応できるように、あんまり決めつけすぎないようにしています。でも、イメージ通りにできると楽しいですし、プロジェクトが終わると確実に自分が成長しているのを感じます。なんというか、豊かになるんですよね」

豊かになる?

「人と出会ってあたらしい視点に触れたり、人と違うことを受けとめられるようになると、成長したなって感じる瞬間があって。そうすると出会った人に感謝できるし、自分も人に手を差し伸べようと思える。そういう感覚が心に溢れていることが、豊かだなって思うんです」

 

米沢には、どんな人がいるんだろう。

地域のキーマンのひとりだという、小野川温泉吾妻荘の12代目、遠藤さんを紹介してもらった。

「私自身は大学進学で仙台に出て、卒業してからは地元企業に7年勤めました。4年前に小野川温泉に戻ってきたんですが、ちょうどコロナ禍になってしまって。以来、小野川温泉のこれからを模索して動いてきました」

小野川温泉は、13もの温泉旅館が軒を連ねる温泉地。200年以上の歴史があるものの、なかなか若年層の新しいお客さんを呼べなかった。

「旅館の経営者さん一人ひとりと顔を合わせ、この小野川温泉をどんなふうにしていきたいかを聞き、そのうえで何かしましょうよ、とお話してきました」

「ずっと小野川単体で動いていたんですが、去年からDMOが立ち上がって流れが変わりましたね。滑川温泉や白布温泉など、米沢全域の温泉地と連携することで旅館改修の助成金が得られたり、みんなで事業を進められるようになったりしたんです」

今プラットヨネザワと一緒に準備を進めているのは、5月に実施する着地型旅行商品のプロジェクト。

戦国合戦をテーマにした小学生向けの体験型ツアーで、米沢市内を巡りながら戦国時代の文脈が感じられるようなプログラムを用意している。

吾妻荘では、武将が騎乗している際にお酒を飲むのに使ったとされる「馬上杯」で飲みものをふるまう予定だ。

「本来であれば、ゴールデンウィークの忙しい時期に部屋を空けるのは、少し大変です。けれど、宮嶌さんみたいに本当に米沢のことを考え、よく知っている方がつくる商品です。お客さまにとっても、自分たちにとってもいいものになるという信頼がありますし、地元旅館としても協力しないといけないなと思っています」

遠藤さんの話を聞いていると、宮嶌さんやプラットのメンバーが、とても誠実に言葉を交わし、関係を築いてきたんだろうなと伝わってくる。

最後に、宮嶌さんのこんな言葉が印象的でした。

「DMOはビジネスモデルでもなんでもなくて、想いがベースなんです。いくらデータやシステムがどうだと言っても、共有するものがなければ動いていかない」

「遠藤さんのように、想いでつながれる人がいろんな業界に沢山いらっしゃるということが、米沢の最大の資源かもしれませんね」

必要なことだけれど、動かしていく主役がいない。プラットはそういうものに対して手を上げ、みんなを巻き込みながらかたちにしていく会社です。

自分の経験をまちづくりに活かしたいという人には、またとない環境だと思いました。

(2022/3/11取材 倉島友香)

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