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まじめさを裏切らない仕事

※日本仕事百貨での募集は終了いたしました。再度募集されたときにお知らせをご希望の方は、ページ下部よりご登録ください。

佐賀・九州を代表する酒をつくろう。

そんな心意気から生まれたのが「鍋島」という日本酒です。

九州のお酒らしく甘みがありながら、シュワッとしたガス感ですっきりとした飲み口。国際的なコンテストで最優秀賞を受賞するなど、世界的にも評価を得ています。

つくっているのは、富久千代酒造有限会社。大正時代から続く歴史ある酒蔵です。

今回は、ここで酒造りや商品の出荷、事務に携わる人を募集します。

事務や経理の経験があると望ましいですが、未経験でも大丈夫。

時を重ねるなかで、知識も増え、感性も磨かれていく、終わりのない仕事です。目の前のことにじっくり向き合いながら、世界に向けて日本酒の魅力を発信していきたいという人を求めています。

 

佐賀・鹿島までは、博多駅から特急と各駅電車を乗り継いで1時間と少し。

このあたりはかつての宿場町で、駅前から歩いて5分ほどの酒蔵通りには、趣ある建物が並ぶ。富久千代酒造の蔵とオーベルジュも、このまちなみのなかに佇んでいる。

まずは蔵へ。代表の飯盛直喜さんを訪ねた。

直喜さんは、富久千代酒造の3代目。30年ほど前に東京から鹿島に戻って会社を継ぎ、老舗の酒蔵にさまざまな変化を起こしてきた。

「鍋島」という銘柄を立ち上げたのも、直喜さんの代から。江戸時代に300年にわたって佐賀藩を治めていた鍋島家の名を冠し、佐賀・九州を代表するこだわりの酒造りを目指した。

鍋島はどんな特徴のあるお酒なんですか?

「フレッシュさを大切にしていて、火入れのお酒でも生酒のような、わずかなガス感が感じられます。佐賀のお酒は甘めのものが多いので、鍋島も若干甘めで。地元で愛されるお酒にしたいと思っているので、佐賀らしさを取り入れることは考えています」

「ただ、愛されるには飲み飽きしないことも大切です。べったりとしたくどい甘さではなく、キレのいい甘さだと思いますよ」

一体どんな味なんだろう。聞けば聞くほど、気になってくる。

「鍋島って30種類以上もあるんです。いろいろなお米を使っていて、味も結構違います。すべてにおいて共通しているのは、お米の力を信じてつくるってことなんですね」

お米の力を信じてつくる。

「無理をしないで、自然体のお酒をつくること。工業製品のように、味を規格に合わせることはしません。無理に合わせると全体のバランスが崩れて、質が落ちてしまいますから」

その年の気候によってお米の出来も変わるし、発酵の進み具合も変わる。

「もちろん毎年データを分析して、大きなバラつきのない味を目指します。ただ、多少甘めだったり辛めだったりしても、ちょうどいいと感じたらそのまま仕上げに移るんです」

お米が十分にその美味しさを発揮できたところでお酒にする。なんだかお米の声を聞きながらつくっているみたい。

変わらない味にこだわらなくても愛されるのは、そうやってつくられたお酒が本当に美味しい証だと思う。

そんな鍋島は、2011年に国際ワインコンテストで最優秀賞を受賞。国内の鑑評会でも金賞の常連になっている。

「販売ルートは、うちのこだわりをちゃんとわかって売ってくれる専門店さんに限定しています。メーカーも販売店さんも、みんなが適正な利益を受け取れるようにやっていこうと」

2021年には、築200年を超える商家を改装したオーベルジュ「御宿 富久千代」をオープン。ほかにも古民家を所有していて、カフェやギャラリースペースなど、さまざまな形で活用していく構想もある。

酒造りに関しても、少しやり方を変えていこうと考えている部分があるという。

「これまで製造は製造、出荷は出荷と分けていたんですが、今後は製造の人も出荷や事務までできるような体制にしていきたいなと思っています」

なぜでしょう?

「製造は午前中に作業が立て込むことが多くて、忙しさにムラがあるんですよ。出荷まで全員ができるようになれば、まとまった休みもとりやすくなるだろうし、誰かが風邪を引いたときなどもカバーしやすくなりますよね」

日本酒業界は、海外への販売がここ13年ほど好調で、コロナ禍も伸び続けているそう。輸出にも力を入れていきたいので、出荷体制を整えておく必要がある。

そのため今回は、酒造りから出荷、事務まで担当する人を募集したい。

「しっかり腰を据えて働いてくれる人がいいですよね。時代に逆行するかもしれませんけど、終身雇用のような形がいいんじゃないかなって」

海外市場も拡大しているし、空き物件を活用したまちづくりなど、新しいことにもどんどんチャレンジしている富久千代酒造。働き続けるなかでも将来性を感じられる環境だと思う。

「酒造りは基本的に単純作業の繰り返しです。飽きずに、って言い方は変だけど、責任を持ってピシッとやっていかなきゃいけない。そういう意識のある人でないとむずかしいのかなという気はしています」

直喜さんにとって、地道な仕事を続けていくモチベーションってなんですか。

「少しでもいい酒をつくるってことだけ。それ以外ないですね」

 

そんな直喜さんのもとで2021年から酒造りを学びはじめたのが、娘の日奈子さん。

「家業を継ぐつもりで、大学も経営学部に通っていました。昔からうちはグリーンツーリズムをやっていて、田植えとか稲刈り、お酒造りにも参加していたので、自然と継ぐんだろうなって。ただ、お酒造りの詳しいことは入るまで全然わからなくて、まだまだ勉強中です」

実際に携わってみてどうですか。

「すごく数字が大事だなと感じます」

数字が大事。

「たとえばお米の吸水率を計算して、このアルコール度数にするには水をどれぐらい足さないといけない、とか。お米に対して麹をどれぐらい振るのかとか。データと向き合いながらつくっていくんです」

お米の種類や精米度合い、その日の気温や湿度に応じて、微細な調整を重ねていく。

一方で、手触りや香り、味わいなど、五感を使う場面も多い。

データと感覚を行ったり来たりしながら、理想の味を目指していく過程に夢中になれる人だといい。たとえば、理科の実験が好きだった人は合うかもしれない。

「体力も必要だと思います。精米したお米を運んだり、タンクをかき混ぜたり。二の腕は細くなりますね(笑)」

麹室と呼ばれる部屋は、室温35℃程度、湿度60%以上を保つため、冬でも作業中は汗びっしょりになるそう。

富久千代酒造では、各工程をおおよそ1年ごとにローテーションしていく形をとっている。

四季を通じて経験することで一つひとつの作業への理解が深まるし、全員がまんべんなく酒造りの経験を重ねていくことで、チームとしてよりよい酒造りに取り組める。

「作業としては個人で進めるものが多いですけど、全体で見たらチームワークなので、協調性は大事ですね。明るい人でも、静かな人でも。未経験でも全然いいと思います。あとはやっぱりお酒が好きな人ですかね」

「父はほんとうに、趣味かっていうぐらい仕事が大好きで。誰かがいいって言っているからではなく、自分がやりたいからこうする、っていう。自分の道を突き進んでいるのは、すごいなと思います」

ゆくゆくはその後を継ぐことになると思うのですが、日奈子さんは将来どんなことをやっていきたいですか。

「日本酒のよさを、日本の方にもっと知っていただきたい。これから世界に広めていくにしても、まず日本の文化として誇れる人を増やしていくことが大事なのかなと思っています」

 

最後に話を聞いたのは、日本仕事百貨での募集を通じて酒造りに携わるようになった宮崎さん。

入社したのは7年前のこと。

酒造りの世界でいうと、7年というのはどんな段階なんでしょう。

「精米から仕込み、ムロの麹つくりまで、おおよそ経験はしてきました。ただ、やったことのない仕事もあります」

一通りすべてのことができるようになるまでは、どれくらいかかるんですか。

「自分は本当なら一周していてもいい年数ですけど、途中2年間やっていた仕事もあって、あと+1年で一周するかな、というところですね。基本は1年ごとにポジションを変えていって、7〜8年で一通りを経験することになると思います」

とはいえ、少人数の製造体制なので、急な休みや欠員があれば、みんなでサポートして現場を回していく。入ったばかりの人であっても、ほかの担当の人がどんなことをしているのか、酒造り全体に関心を持ちつつ目の前の仕事に向き合ってほしい。

ちなみに、お酒はもともと好きでしたか。

「そうですね、好きです。ただ、昔はおいしいなって思うだけだったのが、最近はちょっと辛すぎるなとか、マイナスに気づくようになったというか。より厳しくなったのかな? 言い方が合っているかわかりませんが」

より細かなことに気づくようになった?

「そうかもしれませんよね。今、おいしい日本酒はほかにもあって。自分のとこの酒ばっかり飲んでるわけではないので、やっぱり比べたりするようにはしています。いろんな蔵のお酒を飲んで、同じお米を使っててもこんな感じになるんだな、とか」

「ここでつくるお酒も、できあがったものを瓶に詰める前に、テイスティングをする人はして、感想を書くノートがあって。各自気になるお酒はチェックしていると思います。一人ひとりの感覚を頼るだけではなくて、みんなでつくっていく感じですかね」

淡々と、職人のように素材や環境と向き合う時間と、数字をもとに論理的に思考と試行を重ねていく研究者のような時間、そしてチームとして意見を交わしながら一つひとつの酒をつくっていく協働の時間。

いずれにも共通しているのは、ひたむきに、まっすぐ目の前のことに取り組む姿勢だと感じました。

ここは、まじめさがちゃんと報われる環境だと思います。

(2022/6/2 取材 2024/5/13 更新 中川晃輔)

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