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「人生の価値観が多様化してきているよなって。そう考えて働く人がこれから増えると思う。家族の時間が大切とか、働いていてたのしいとか、そんな価値観をつくっていきたい。そういうやつのほうがかっこいいじゃん。自分の頭で考えてるからさ」
そう話してくれたのは、小僧com代表の平松さん。小僧comはシステム開発などをおこなっている会社です。
ここ数年で、ベトナムのダナンに開発拠点を持つオフショア開発を強みに、大きく成長してきました。
今回は、プロジェクトリーダー(PL)、システムエンジニア(SE)、プロジェクトマネージャー(PM)として働く人を募集します。
開発経験があって、自由な働き方に興味がある。地方で暮らしながらでも、開発の仕事を続けたい。
そんな人にとっては、働きやすい環境だと思います。
小僧comのオフィスがあるのは、港区赤坂にある草月会館。青山一丁目駅から歩いて5分ほどの場所で、10階の1フロアを知り合いの会社と分け合って使っている。
「リアルで会うのは初めてかもしれないですね」
迎えてくれたのが、小僧com代表の平松さん。
これまで二度取材をしたけれど、そのときはオフィスを引き払い、完全リモートにしていたため、どちらもオンラインでの取材だった。
「2年前くらいからこのオフィスを使うようになって。完全にないよりは、あったほうが都合いいよねという話になったんですよね。集まるところがないと、オフラインで会って話したいときにどうしても手間で」
「あとは社会的信用という面でも、オフィスはあったほうがいいんだなと思いました。この3年くらいはオフィスをなくしてもう一回つくったり、大きい案件を手がけたりと、マジで激動だったんですよ」
小僧comは、平松さんのお父さんが2006年に立ち上げた会社。もともとは、「人生100年時代、50代や60代なんてまだまだ鼻垂れ小僧だ」という考えから、小僧SNSという、アクティブシニア向けのSNSをつくりたいという事業からはじまった。
2009年に平松さんが経営を引き継いでからは、アプリや業務システムの設計・開発事業に力を入れるように。海外のエンジニアと協業するオフショア開発をスタートさせ、現在はベトナムのダナンに拠点がある。
「以前はアプリの開発などの仕事が多かったんですが、4年前に大きな転機があって。派遣会社のクライアントから、アプリだけじゃなく、それと連動する基幹システムをつくってくれないかと依頼をもらったんです」
企業の基幹システムをつくるというのは、アプリとは規模も異なる大きな仕事。紆余曲折がありながらも、昨年無事にリリースすることができた。
「これをやりきれたことがすごく大きくて。開発会社としては雲泥の差が出るくらい、大きな実績をつくることができました。大きな企業の基幹システムをつくりきって、24時間365日止めないで運用する。これって、誰もが知る超でかいSIerみたいな大企業に頼むほど高いレベルの仕事なんです。」
「俺は開発ができないから。みんなががんばってくれているから、何かあったら責任をとって、お客さんのところに行く。それが俺の仕事」
開発の核を担うダナンにいるメンバーも、当初20人ほどだったのが、いまは100人を超える規模に。自社でこれだけの規模のオフショア開発ができるのが、小僧comの強みだ。
「ダナンについては、メンバーを300人まで増やしたいと思っています。そうすると、さらにいろんな仕事を受けることができる」
「そのためにも、上流で開発の舵をとってくれるマネージャーがほしいんだよね。うちの働き方とかに共感してくれて、一緒にやりたいって思ってくれる人がいたらいいなと」
小僧comは働く時間もフレックス制で、個人が責任を持って自由に時間を使って働くことを推奨している。
「たとえば仕事百貨から入ってくれた森谷は、明後日から地元の秋田に引っ越して、遠隔で働くんですよ。それってすげえいいことだと思っていて。うちの働き方のモデルケースになってほしいなと思ってます」
「ほかにも、就業規則のなかに一週間くらいまとめて休暇をとったほうがいいよって書いてますからね。『休め』って命令口調だとダメだって社労士さんに言われたんで(笑)。みんな一週間くらい旅行とかしてリフレッシュできたほうがいいと思うんです」
仕事とプライベート、どちらも犠牲にしないように、働き方の仕組みを整えている。
一方で、会社の規模も大きくなっているため、よりきちんとした組織づくりにも取り組んでいるところだ。
「これまではあまり目標とか公言していなかったんだけど、今はダナンのメンバーを300人まで増やすっていう目標を立てています。あとは今までなかった組織図もつくったね」
「同じ方向を見て進むことが大事だと思っていて。上場とかは目指してないけど、ダナンを300人まで増やす。そのためにはこれくらい案件を取らないといけない、みたいな。そんなふうに、みんなが目標を共有できたら強いよね。なにより、それができたらたのしそうじゃん」
たしかに、わかりやすい目標があれば、働く人のモチベーションにもなる気がします。
「これからは、自分の価値観にしたがって働く人が増えると思っていて。家族の時間とかを大切にする価値観を持つ人が増えていくと思うんだよね。Z世代なんてまさにそうなんじゃないかな」
「そういう人たちが来てくれるような価値観をうちの会社はつくっていきたい。そういうやつが集まったほうがかっこいいじゃん。自分の頭で人生を真剣に考えていると思うから」
仕事も暮らしも、両方たのしむ。まだまだ成長途中だからこそ、会社の制度も柔軟によりよくしていこうとつくっているところ。
「ベトナムと日本、国境を超えたひとつのチームとして、うち独自の価値をつくっていきたいですね」
「以前までは俺自身も風に揺られて、会社がつぶれなければいいかなっていうくらいだったんだけど、今はちゃんと羅針盤を持って進もうって気持ちになっていて。自由な働き方とか雰囲気は、これからも大切にしつつ、一緒に船を漕いでくれる人が来てくれたらうれしいです」
自由な働き方のモデルケースに、と平松さんが話していたのが、森谷さん。
2日後に秋田に移住する予定。社内では主にPMの業務を担っている。
「3年前、日本仕事百貨の記事を読んで応募しました。妻が見つけて紹介してくれたのがきっかけでしたね」
もともとはITエンジニアとして20年ほど働いていた森谷さん。
東京で働いていたけれど、次第に地元の秋田に帰りたいという思いが強くなり、働く場所を比較的自由に決められるところに惹かれて、小僧comに入社した。
本当は2年前に秋田へ引っ越す予定だったけれど、子どもが産まれるなど家庭の事情から動けず、ようやくこの夏に移住することが決まった。
「実家があるので、子育てするにはいい環境かなと。あとは完全フルリモートになるので、メンバーとのコミュニケーションをどうしていくかというのが今後の課題ですね。東京には月一回くらいは行きたいと思っています」
小僧comで働いてみて、どうですか。
「入ってよかったなっていうのが一番です。今までの経験も活かすことができるし、ある程度裁量をもって仕事をさせてもらっているので、やりがいもある」
「組織もまだ小さいので、一緒につくっていく過程を経験できるのもおもしろいです。大変なことも多いんですけどね」
森谷さんの担当クライアントは、基幹システムをつくったと平松さんが話していた派遣会社。
派遣サービスを利用する側が使うWebサービス「スマジョブ」や、派遣会社側が使う基幹システム、その両方の開発と運営にかかわっている。
「去年の2月になんとか全国リリースすることができました。最初はトラブルもありましたけど、だんだんと落ち着いてきて。自分はディレクションを担当していますが、ゆくゆくは別のプロジェクトでもPMとして仕事ができたらいいなと思っています」
PMの仕事は、クライアントの希望や要求をヒアリングし、どんな仕様にすればいいかを考え、ベトナムにいるスタッフに伝えること。加えて、全体のスケジュール調整なども担う。
単純にクライアントの要望をベトナム語に翻訳して伝えるだけだと、細かいニュアンスが伝わらないし、必要な仕様がわかりづらくなることも。そのため、日本側で一度咀嚼して理解した上でダナン側に伝える必要がある。
外国語能力が必要そうに思えるけれど、いまは翻訳サービスも充実しているため、語学力は問わないそう。
「顧客の希望をすべて叶えることはむずかしい場合もあって。そのとき、落とし所をどこに持っていくか、顧客と調整するのがポイントですね。あとはそれをダナンにいるメンバーにどう伝えるか。日本とベトナムの架け橋になるようなポジションですね」
「プログラミングがすごく早く正確にできる、みたいなスキルはなくても大丈夫です。自分で手を動かすというよりは、方針とかやり方を考えて、ベトナムにいるメンバーに丁寧に伝えることが一番なので」
聞いていると、コミュニケーション力がとくに求められるように感じます。
「そうですね。人に対してアンテナをしっかり張れることが大事だと思います。基本リモートで会話するので、メンバーがどういうところで詰まっているか、しっかり感じとったうえで声をかけてあげる、とか」
「アンテナはメンバーに対してだけじゃなく、顧客に対しても同じです。双方が納得できるものにするために、細かいところまでしつこいくらいに聞く必要があるし、できないことはできないってはっきり伝えることも大事だと思います」
地元に帰っても、小僧comの仕事を続ける選択をした森谷さん。この先、どんな未来を思い描いているんでしょう。
「個人的な思いなんですけど、秋田に恩返しをしたくて。だから、秋田で人を採用して若手を育てたい。秋田にいながら、こんな仕事もできるんだよっていういい例を見せることができたらと思っています」
秋田に限らず、地方出身でおなじ思いを持っている人は少なくないと思う。森谷さんが開拓している新しい働き方に賛同して、ともに動いてくれる人だったらいいのだろうな。
「地方で働くっていう新しい選択肢を示すことができたら、すごくうれしい。自分のやりがいにもなるし、故郷への恩返しにもなるんじゃないかなって思ってます」
コロナ禍を経て、よくもわるくも働く場所へのこだわりは薄くなったように感じる。そのなかで、地方でも東京と同じ仕事ができるというのは、これからの新しい働き方の希望になるかもしれない。
「成長意欲があればどんどん成長できる環境なので、わたしと一緒にフルリモートのベストプラクティスを一緒に見つけることができたらいいですよね。そういうことに共感してくれる人にぜひ来てほしいなって思います」
小僧comでは、自由と自律を大切にしながら、国を越え、そして働く場所も超えた新しい働き方をつくろうとしています。
興味がある人は、ぜひ一度平松さんと話してみてください。自分の人生を大切に、会社と個人、両方ともアップデートしていける仕事だと思います。
(2023/7/27 取材 稲本琢仙)