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思ったことは
どんどんやってみる製材所

※日本仕事百貨での募集は終了いたしました。再度募集されたときにお知らせをご希望の方は、ページ下部よりご登録ください。

日本は世界でも有数の森林大国。国土の約67%を森林が占めます。

森林はたくさんあるけれど、林業や製材業界は厳しい状況。

その理由は、コンクリートなどの建築材が台頭してきたこと、海外からの安価な輸入材が増えたこと、新築住宅や専門職人が減ったことなど。さまざまな要因が重なって、国内の森林がうまく機能していません。

先人たちが育ててきた森やものづくりの技術をつないでいく。

そのために熱い想いを持って事業を展開しているのが、永田木材です。

昭和14年に静岡県の浜松市で創業し、主に公共施設や一般住宅で使われる木材を製材しています。

普通の製材所ではありません。

たとえば、木をもっと身近に感じてもらえるように、オリジナルブランド「teN°P(テンプ)」をつくって、木を活用した食器用洗剤や雑貨などを展開しています。

製材所の枠を超えて活動する永田木材。

大きなミッションを掲げる熱い社長とスタッフ一同が試行錯誤しています。

今回は、製材所で働くスタッフを募集します。製材の仕事を中心に、ポップアップストアの企画運営も担ってほしいです。

経験は問いません。永田木材が目指す未来に共感して、一緒に実現していきたい人を求めています。

 

新幹線に乗って浜松駅へ。

改札を抜けるとスタッフの方と合流。

ロータリーに行くと、代表の永田さんが車から降りて迎えてくれた。

車に乗って市街を走ること約1時間。永田木材の事務所に到着。

あたりは里山の風景が広がっていて、穏やかな時間が流れている。

木材を天然乾燥している土場や、製材過程など、ひと通り説明してもらったところで、事務所の中へ。

あらためて永田さんに話を聞いていく。

「うちの特徴は、ものづくりに特化していることかな。たとえば、図面が読めるのが強み」

新築一棟まるごとの依頼をもらったとき。一般的には、工務店から木材リストをもらい、その通りに納品するのが製材所の仕事となる。

「仮に4mの長さで、節の無いきれいな垂木が欲しいって書いてあったときに、そのまま見積りすると、当然高額になります。じゃあ安くするにはどうしたらいいかって考えると、図面をもらえたほうが商品をつくりやすい」

「図面を読むと、見える部分と隠れて見えない部分が分かりますよね。見える範囲が1mしかなかったら、残りの3mには節があっても良いわけです。4m全てに節の無いきれいな材料と比べれば、価格もおさえられるし、木を無駄なく使うことができます。」

たしかに、図面が読めれば提案することもできる。

もともとプロのサッカー選手を目指していた永田さん。

プロになることはできなかったけど、その後大阪でサッカーの指導者をしていた。

コーチを始めて3年後、先代のお父さんから「会社に入ってほしい」と言われて、15年前に実家に戻ってくる。

当時の永田木材は、ちょうど時代が変わりゆくなかで、経営的にかなり厳しい状況だった。

「もう意地だよね。僕の代で永田木材が終わったら嫌でしょ」

入社当時は丸太のいろんな加工方法を試して、木の特性を知った。独学で森のことも、材のことも覚えていった。

また、地元の自動車学校で気軽に木工体験ができるワークショップを開くなど、教育分野にもチャレンジした。

たくさんの挑戦をしていたものの、なかなか数字につながらない。

崖っぷちの状況を打開するべく、大学院に通い、建築を学ぶことにした。

日本のトップランナーで活躍する建築家と話す機会があり、彼ら彼女らが求める一流の材と会社の商品を比べることで、自分たちの現在地が見えてきた。

「設計事務所の人たちが口を揃えて言っていたのが、『図面を見ながら加工できる製材所がいてくれたら何の苦労もないのに』ってこと。それを聞いたときに、うちはもうそれやってるぞって思った」

ほかにも、天然乾燥をしている製材所は、日本では10%ぐらいしかいないこと。そのなかで節のある並材と、節がない化粧材をつくりわけてもっている会社は、もっと少ないということがわかった。

「自分たちの強みが見えたんです」

今では意匠的な建築の仕事も多い。最近では、上野東照宮静心所の仕事にも携わった。

「僕らは、山で伐採された木を預かってから、最終製品として出荷されるまで、責任をもって関わる。そうなるとやっぱり森って大事で」

木が育って成長し、柱になるまで約40年。木材に価値が生まれるまで、とても長い時間がかかる。

「僕らはそのことを知っているけど、やっぱりみんな知らないから。森林の役割とか環境問題についてもっと知ってもらうために、小学校の授業へ行ったり、絵本をつくったり」

ほかにも、製材所の見学ツアーや建築について学ぶ機会を設けたり、大工を養成するための加工場もつくったりしている。

新しくできる加工場は2階建て。「森のいりぐち」というコンセプトをもとに、木の皮を貼ったり、端材を利用して壁面を装飾したり、森を感じられるような雰囲気に。製材所だからこそできる、素材を活かした空間となっている。

1階は大工の加工場、2階はキッチンを併設したワークショップスペース。学生の課外授業、企業や作家とコラボしたイベントの開催などを予定している。

昨年には、オリジナルブランド「teN°P」を立ち上げて、BtoC事業もスタート。各地でポップアップストアをおこなうなど、今後力を入れていきたい分野。

今回求めているのは、製材にまつわることを覚えていきながら、BtoC事業の橋渡しもしてくれる人。

働き方としては、製材にまつわる仕事が7割、BtoC事業をはじめ、そのほかの仕事が3割。

まずは木の特性を知り、どんな加工方法があるのかを覚えていく。そのうえで、ポップアップストアや木育ツアーなどの企画・運営も担ってほしい。

「日本の森林の課題を勉強しながら、持続可能な森林の維持や、地域循環型の木材消費が広まるように、一緒に動いていきたいと思っています」

 

次に話を聞いたのは、BtoC事業に関わっている大日方(おびかた)晶子さん。

業務委託で関わっていて、フリーランスでメイクの仕事もしている。

「はじめは期間限定のお店のアルバイトとして働きはじめて。接客だけじゃなくてディスプレイも任せてもらえました」

「単に丸太を角材にしているのが木材屋だと思っていたんだけど、永田木材に関わるにつれて、チャレンジ精神が大きいというか。永田さんがいろんなことを切り拓いていくんですよ」

チャレンジ精神はどんなときに感じましたか?

「スターバックスさんからマグカップの依頼をもらったときですかね。一番驚いたかも!」

それはスターバックスコーヒーの「JIMOTO Made」というプロジェクトのご依頼だった。

日本各地にあるその地元の産業、素材を取り入れた商品開発を行い、その地元の店舗のみで販売するというもの。

スターバックスから「浜松の天竜杉をつかってスリーブ付きのカップをつくりたい」と依頼があった。

天竜川流域は治水のために植林が始まり、古くから林業が盛んな地域。

歴史も長いため、若い木から樹齢100年以上のものまで生えているのが特徴の一つになっている。

また、森林の適正な維持管理の体制を認める国際的な環境規格・FSC認証の取得面積が、浜松市は市町村別で全国1位。

FSC認証の森で育った樹齢80年以上の天竜杉を使用し、3年かけて、なんとかカップは完成。今では売り切れてしまう人気商品になった。

「永田はチャレンジするタイプです。そして、いい意味でも悪い意味でも社長気質。細かい指示はないけど理想をたくさん話す。現実にしていくのがわたしたち」

「たとえば星が丘テラスという商業施設があって、そこに出店していたこともありました」

ただ、永田さんは商業施設の中に出店するだけでは、自分たちの世界観や伝えたいことを伝えきれないと考えた。

自分たちでお店を建ててしまえば、やりたいことを形にできる。

「でも、そんなことはできないんです。場所も予算もない。それでもお店つくろうって言うんですよ。半ば本気で」

永田さんのなかには、いろいろなアイデアが溢れている。

「ビジョンが大きい人です。それを形にするにはどうしたらいいのかな?って考えます」

たとえばオリジナルブランド「teN°P」のロゴは、大日方さんがデザイナーとともに考案したもの。

版画のようなタッチで可愛いですね。

「そうですよね!でも最初永田に反対されたんですよ。ウルトラマンの怪獣に見えるって(笑)。都会的な熊はこうなんです、って説得しました」

「コンセプトとか目指す目標は永田が考えているけれど、やり方は任せてくれるんですよね。こんな条件で働けるって、すごく楽しいです」

 

永田さんは任せる人。

あちこち飛び回っている永田さんの代わりに、製材所全体を任されているのが直也さん。

「普段の仕事は、ほぼ段取りですよ。木材を加工する機械がスムーズに回るように材料を用意したり、機械から出てきた材料を片付けたり」

もともと地元の先輩後輩で、直也さんは永田さんの一個上。縁があって、12年前から働いている。

新しく入る人は、直也さんのもとで一連の仕事を覚えていく。

住宅用の木材をメインに加工している永田木材。

新築一棟の依頼が届けば、図面を見ながら構造材、下地材、化粧材など、必要な材を揃え、順番に加工していく。

図面は読めなくても大丈夫。

まずは先輩スタッフの背中を見ながら、仕事を覚えていくのがいいと思う。

「化粧梁用の木材が多く必要になるときは、やっぱり神経を使うよね。節がないとか色が白いとか、綺麗な材料を自分たちで切り出していかないといけないから」

最初は大きく綺麗な木材も、カットしていくうちに節が出てきてしまうこともある。そうすると、化粧梁としては使えない。

また、通常であれば大工さんが行うような接合部の加工も、永田木材が引き受け、仮組みまで一気通貫して行うこともある。

「仕事は大変だけど、なんだろうな、建築の仕事は好きなもんで。もらった図面を見て、どういうふうに材を出していけばいいか。そういうのは面白いかな」

代表の永田さんがいろいろなことに挑戦していることは、どのように感じていますか?

「俺はそのまま続ければいいと思っていて。役割分担だよね。社長が外に出ているぶん、工場はこっちでやっておくから」

口数は多くないけれど、話を聞いていると、永田さんとの信頼関係がよく伝わってくる。

一方で永田さんは、こんなことを話していた。

「直也さんがすごいと思うのは、仕事をきちっとやるんだよね。段取りもそうだし、ちょっとした小物をつくって欲しいって頼んでも、パッとつくっちゃうほど器用でもある」

「あと仕事をお願いすると、そのまま言われた通りにやるんじゃなくて、ちゃんと自分で理解をして段取りよくやる。これは晶子さんも同じで、誰にでもできることじゃないから、すごいなって思います」

 

今年からはスターバックスと一緒に、学校に出向いて林業の大切さを伝える授業がはじまります。来年は、「teN°P」のポップアップストアを関東方面にも展開していく予定。

まだまだ永田さんのなかにアイディアはあります。

そしてそれを支えるスタッフもいます。

日本の森とものづくりを守るために、いろんなことに挑戦する製材所。ちょっと普通じゃないです。

(2023/06/29 取材 杉本丞)

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