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「まだ知られていないものが多いから、伝えていくのが楽しいんです」
自分たちの商品について話すとき、ヴァイアンドフェロウズのみなさんは、たびたびそう口にします。
取り扱っているのは、オーストラリアとニュージーランドから輸入した、ワインやマスタード、蜂蜜など。
直接現地を訪れ、生産者の顔が見える安全でおいしい商品を選び、日本国内に向けて販売している会社です。
今回は、大阪もしくは東京を拠点とする法人営業スタッフを募集します。
営業未経験の人も、新卒の人も歓迎です。オーストラリアやニュージーランドが好き、という人はもちろん、ワインが好きな人や海外の食文化に興味のある人も、ぜひ読み進めてください。
東急東横線の祐天寺駅。東口を出て、駅前から続く商店街を歩いていく。
コーヒーショップなどの新しいお店と、昔ながらのお米屋さんや商店が混在して並んでいる通り。歩いて10分ほどで、あたりは落ち着いた住宅街になる。
駒澤通り沿いにある小さなお店が、Longfellows TOKYO。
オーストラリアとニュージーランドの国旗が描かれたガラス戸を開けて、店内へ。
片側の棚には食品、反対側にはワインがぎっしりと並んでいる。
お店の奥にある事務所から、代表の唄(ばい)さんが出てきてくれた。
穏やかな口調で、淡々と話をする方だけど、オーストラリアや商品のことになるとうれしそうにいろいろと教えてくれる。
「卸をメインに、レストランや酒販店、食料品店向けに販売してきました。ここがオープンしたのは一昨年です。自社店舗じゃないとできない見せ方があると思って、お店をつくることにしました」
「たとえば、人気商品のマスタード。全12種類あるんですけど、卸先だと置いてもらえるのは多くて3種類くらい。でも、12種類並ぶからこその面白さがあると思いませんか?」
棚の一角を占める、色とりどりのマスタード。たしかにこれだけ並んでいると、それぞれの味を比べてみたくなる。
見たことのない商品ばかり並んでいて、これはなんだろう?と、好奇心が刺激されるお店。
大学卒業後すぐに、ワーキングホリデーでオーストラリアを訪れた唄さん。
オーストラリアを選んだのは偶然だったものの、そこでの出会いが今の仕事をはじめるきっかけとなる。
「ハンギング・ロック・ワイナリーという、メルボルンから1時間くらい内陸にあるワイナリーで働いていました。一緒に暮らしながらワインづくりを一通り経験させてもらって、本当に良くしてもらったんですよね」
「この人たちのワインを日本で売りたいと思って、帰国後に輸入業をはじめました」
販売には免許が必要なこともあり、実家の唄酒店で取り扱いを開始し、2001年には社名をヴァイアンドカンパニーに変更。
その翌年には東京営業所開設、2022年からヴァイアンドフェロウズとして、本社倉庫の規模を広げるなど、さらなる発展を続けている。
「きっかけとなったワイナリーは家族経営で、子どもが二人、可愛いお姉ちゃんと弟がいたんです。今大人になってワイナリーを継いだ彼らと、取引をさせてもらっています。長い時間をともにしていますね」
多種多様なワインを中心に、先ほどのマスタードや蜂蜜、クラッカー、サーモンやチーズなど。会社で扱うのはどれも唄さんが現地で見つけてきたもので、生産者の多くが顔見知り。
オセアニア地域に特化して、幅広く商品を輸入している会社は、日本ではほかにないそう。
「扱うのは、手づくりの商品が多いです。どんな人たちがどんな場所でつくっているか、実際に見た上で、その背景まで含めて紹介したいと思っています」
唄さんが最近注目しているのが、オーストラリア東南部にあるタスマニア島。
地球で同じ緯度上に存在するのが、ニュージーランドと南米大陸の南端部分のみというこの島。南米からタスマニアまでの地球半周が海のため、空気の汚れが風に乗って流れてこない。
公害や大気汚染がなく、地球上でもっとも水と空気がきれいな土地と言われている。
「雨水のミネラルウォーターが販売されるくらいなんですよ。関われば関わるほど、タスマニアの自然環境と、そこでつくられる食品の良さに気がついて。もっと掘り下げたいし、タスマニアの商品では、日本一の会社になりたいですね」
タスマニア産の「レザーウッドハニー」は、人気商品のひとつ。
国立公園の中にある、100年ほどの樹齢にならないと花を咲かせないレザーウッドの木に芽吹く、貴重な花の蜜からつくられる蜂蜜だ。
「すごく抗菌作用が高くて、身体に良い蜂蜜です。ただ、身体に良いっていうのは、結果的にそうなっているだけで」
結果的に。
「大元にあるのは、自然環境を守りたいという考え。生産者が高い意識を持って、環境を壊さない方法で蜂蜜をつくっているんです」
ハチは健康になり、おいしくて栄養価の高い蜂蜜ができあがる。結果としてオーガニックの認証を受けたり、賞を獲ったりしているものの、最初からそれを目的とする生産者は少ないそう。
「マイカップ100%のカフェが街で流行るくらい、国民一人ひとりの環境に対する意識が高い国です。そういう考えにも共感して、うちで働いてくれたらいいなと思っています」
ものが溢れている日本で、自分たちの商品にたどり着いてもらうのは簡単ではない、と唄さん。だからこそ、商品の魅力を伝えていく営業の役割を重要視している。
続けてオンラインで話を聞いたのは、大阪で営業として働く吉田さん。
ヴァイアンドフェロウズは、大阪と東京にそれぞれ2人ずつ営業担当がいる。発送担当や営業事務を含めても、全体で10名弱の会社。
「人数は少ないんですけど、お客さんは全国にいます。今日は京都の酒販店さんからたくさん注文をいただきました。普段は午前中に受発注の対応をして、午後からお客さんのところに出向いたり、電話をしたりすることが多いです」
入社7年目の吉田さん。以前はレストランのサービススタッフとして働いていた。
転機となったのは、前職を退職後に数ヶ月間、オーストラリアのワイナリーをめぐる旅をしたこと。日本とは違うオーストラリアの良さが見えてきたという。
「出会う人がみんなすごく気さくで、『レストランで働いてたよ』とか『ワインが好きで』っていう話で盛り上がると、今日家に泊まっていきなよ!って言ってくれることもよくあって。こんなに人との距離が近いんだって驚きました」
「食文化もワインももちろん良かったんですけど、ものだけじゃなくて、『この人たちがつくっているんだ』ってすごく感じられて。帰国後も関わり続けられる仕事を探しました」
ワインの知識はあったものの、営業職はまったくの未経験。
最初はあまり注文をもらえず、苦労したそう。営業をされる側だったレストランでの経験を思い出しながら、どうすれば興味を持ってもらえるか試行錯誤していった。
「オーストラリアの面白さとか自分の実体験とか、興味を持ってもらえそうな話からはじめることが多いですね。打ち解けるとお客さんからもいろんな話を聞けるので、そこから需要に合った商品を提案していきます」
「まだまだ知られていないものが多いから、商品説明だけだとむずかしい。逆に、いち早く知って広められるのは面白さでもあります。ワインはやっぱりフランスだよねっていう人たちが、オーストラリア産ワインのおいしさを知って驚いてくれたとき、ほらね!って思いますよ」
コロナ禍で、これまではなかなか現地を訪れることができなかったものの、生産者とは連携を続けてきた。
2021年には、長年付き合いのあるワイナリーにリクエストして、ヴァイアンドフェロウズ限定のワインをつくってもらった。
「オレンジワインっていう、葡萄の皮の色を少し出してオレンジ色に仕上げたワインです。あとは微発泡のワインも、完全に弊社限定で。お客さんと話をしていると、この二つを探している方がすごく多い印象だったので、社長に相談して依頼してもらいました」
「ワインの知識があるとかなり有利な仕事ですけど、それだけでは続かないかなって。やっぱり、オーストラリアやニュージーランドの国や食文化が好きっていう気持ちから発信できるのが大事だと思います」
現地での取材から1年半後。
コロナ禍による制限が緩和され、海外との行き来が可能になったいま、ヴァイアンドフェロウズにはどんな変化が起きているんだろう?
オンラインで話を聞いたのは、東京で営業を担当している、入社3年目の松尾さん。
ニュージーランドに留学していた経験がある松尾さん。前職はデザイナーと、まったく異なる業界ではあるものの、実家がワインショップというつながりもあり、ヴァイアンドフェロウズに入社した。
「入社当時は、レストランでアルコール提供ができない厳しい状況でした。でもいまは、需要が上がっているのが実感できる。会社の変化を肌で感じられるいい経験ができています」
「組織、チームとしてもいい形になっていますね。新しい商品も増えているし、それを取り入れるときも、全員で試飲・試食をしたうえで輸入を決めています。自分が納得しているものなので、売るモチベーションにもなっています」
今年、入社して初めてニュージーランドへ出張した松尾さん。1週間ほどで、8つのワイナリーを巡った。
「人とのご縁あっての仕事なんだな、人の手でつくっているものを売っているんだなって、原点回帰をした体験でした」
「直接会って話すから感じられる生産者の想いもありましたし、言葉を交わしていないことでも感じるものはあって」
たとえば、それぞれのワイナリーで、毎年変わるがわるワーカーが来て、ワインをつくっていること。手をかけている人が違えば、ヴィンテージによる味わいの違いも生まれてくる。
日本にいると、そのワイナリーのトップの人しかわからないけれど、実際に訪れるから、つくり手たちの顔まで知ることができる。
「製造過程でどんなことがあるのか、どんな人がつくっているのか、どんな空気感や環境でつくられているのか。ワインそのものの良さはもちろん、そのバックグラウンドやストーリーといった本質を、営業としては伝えていきたいと思っています」
生産者から消費者に届くまで、その道のりをつくるのが営業の仕事。
どんな気分でワインを飲むのか、どんな日にショップやレストランを訪れたのか。消費者にも口にするまでにストーリーがある、と松尾さん。
「そこにワインのストーリーも加わったら、より濃い体験になる。ただおいしいと思うだけじゃなくて、その感動が記憶に残って、『この生産者を知りたい』『このワイナリーに行ってみたい』と思ってもらえたらすごくうれしいです」
まだ日本であまり知られていないもの。でも、自分たちがとても良いと思っているもの。
つくり手の想いが手に取るようにわかるもの。
そんな商品を日々伝えているからこそ、相手に届いたときのよろこびは大きいと思います。
この楽しさに共感できる人なら、この仕事から得られるものがたくさんあると思います。
(2022/4/18 取材、2023/10/06 更新 増田早紀)