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ひらけ、第4の目
元気な地域を増やすための
コンサルティング修行の旅

「最初からこの会社で一生働くつもりじゃなくてもいいですよ。RPIでは、俯瞰的な立場でいろんな地域と関われるけれど、仕事をするなかで『自分でも米をつくってみないと地域の課題はわからない』と思えば、生産地で働いてみる人がいてもいいと思うんです」

「それで、やっぱり全体の仕組みから変えないとダメだと思えば東京に戻って来ればいいし、行ったきりになったとしても、いろんな地域に我々の仲間が増えるんだからそれでいい。私の会社運営のイメージは、プラットフォーム。ゆくゆくは地域と行き来しやすい会社にしていきたいです」

そう話すのは、昨年の夏に株式会社アール・ピー・アイ(RPI)の新しい代表取締役に就任した大島さん。

東京・神保町にオフィスを構えるRPIは、今年で創業45年。都市計画にルーツを持つ会社で、現在は地域振興やマーケティングリサーチなどを行っています。

全国津々浦々、農業漁業などの一次産業の課題から商品開発、観光、福祉や教育など、幅広い分野、地域に携わるコンサルティングチーム。他業種からの転職も多く、一人ひとりの経験やスキルから、さらに新しい領域を開拓しようとしているところです。

今回は、ここでコンサルティングプランナーとして働く人を募集します。

東京に軸足を置き、俯瞰的に地域づくりに関わるRPIの仕事。以前の記事では、その視点が多角的であることを「鳥の目、虫の目、魚の目」という言葉で紹介しました。

大島さんの言葉にあるような、多様なキャリアとプラットフォームが実現すれば、さらに新しいものの見方、いわば「第4の目」がチームに備わるはず。

新しい一歩を踏み出したみなさんに、話を聞きにいきました。



地下鉄の神保町駅から歩いてすぐのところにあるRPIのオフィス。代表の大島さんは、ミーティングルームに、ポスターや冊子など資料をたくさん用意して迎えてくれた。

大学卒業以来、30年以上にわたって地域振興に携わってきた大島さん。もともと家族が水産業に携わっていたことがこの道に入るきっかけだったそう。

「バブルの終わりごろはまだ、農村漁村には舗装されていない道路もたくさんあって。地域づくりはインフラ整備が中心でした。やがて都市部への人口流出や過疎化が顕著になると、住民の数に対して公共施設が多い状況や、空き家や廃校などの問題が出てきた。最近は、RPIでもその利活用を考えるプロジェクトに携わることが増えました」

使い手のいなくなった公共財産をどう活かすか。発想次第では、地域に人が戻るきっかけを生み出せる。

RPIが長年取り組んでいる神奈川県三浦市の地域振興事業にも、同様の背景があった。

三浦市といえばマグロの水揚げなどで有名。ただ、近年は漁獲量が減少し、かつて大規模に整備された漁港の一部を、観光事業に活用する取り組みが進められている。

RPIでは、その運営主体となる企業団体の募集や、コンテンツ開発のサポートを担ってきた。

「三浦にはキンメダイなど海産物もあるし、大根やキャベツはもちろん、ほかにもいろんな品種を栽培する農家さんがいて、地元の食材だけでフルコースができるんですよ。今後はガストロノミーとしてインバウンドにもアピールしていく予定で、海外のお客さんを招いた試食会も好評でした」

現地に足を運び、イベントの準備をしたり、ときには地元の人に交じって一緒に魚を売ったりすることも業務の一部。

一緒に成功体験を積み重ねることで信頼関係を築ける面もあるものの、コンサルタントとしては、あくまでも第三者の距離感が必要だと大島さんは言う。

「地元の人はどうしても、その土地の資源を固定観念で見てしまう側面もありますし、柔軟に発想するためには、俯瞰的な視点が欠かせません。そのイベントは何のためなのか、根底にある問題は何なのか。目の前にある業務を通して、どうすれば地域を元気にしていけるか考えるのがコンサルタントの役割だと思います」



大島さんと一緒に三浦のプロジェクトに携わっているのが、まもなく入社して1年となる藤野さん。

「コンサルタントというと、ワークショップのファシリテーション役のようなイメージだったのですが、想像以上に多岐にわたる業務がありました」

実は…、と見せてもらった三浦市のポスター、写真に写っているのは藤野さんの娘さんなのだそう。

「親子のイメージを入れたいということで一緒に連れて行ったんですが、娘も楽しんでいて。それ以来、生魚を喜んで食べるようになりました。しばらくは私の新しい仕事を漁業関係だと思っていたらしく、『お母さん、今日も船に乗ってきた?』って言っていました(笑)」

もともとは、学生時代から鹿や猪など獣害対策の研究に取り組んでいた藤野さん。

漁業や観光を核とした三浦市の案件は、畑違いのようで共通点もあったそう。

「獣害対策では、まず物理的に被害を防いだり、動物の行動を把握したりすることから解決方法を探っていきますが、関わる人間の意識について考えることもとても重要です。今回のプロジェクトでも、課題に対する地域の人の価値観や捉え方を知って、それを踏まえたアプローチを考えていく流れは似ている気がしました」

「いつかRPIでも、自分の経験を活かして獣害関係のプロジェクトに携わってみたい気持ちもありますが、せっかくいろいろできる会社なので、新しい領域にもチャレンジしていきたいです」

RPIで扱う地域の課題は、分野も地域の特性もさまざま。

特定の分野の専門家であるよりも、未知の領域にも、広く探究心を持てる人の方が向いていると思う。

また、他業種からの転職が多いことは、会社として扱えるジャンルの幅を広げることにもつながっている。英会話など、メンバーのスキルが業務に活かされる場面も増えてきた。

この春提出された沖縄県久米島町の観光計画に関する冊子のイラストも、社内のメンバーが制作したそう。

イラストには、昔ながらの民家や伝統的な織物、農産物や海産物など島の名物のほか、研究者のような人たちも描かれている。

「久米島では、海洋深層水の製造が行われているんです。ほかにもビーチクリーンの活動や、修学旅行生などを対象としたホームビジットの受け入れ事業も盛んなんですよ」

説明してくれたのは、事業を担当した五味さん。

かわいらしい表紙をめくると、中身はかなりしっかりしたデータや記述のページが続く。

RPIで担当する地域の仕事の多くは、B to G for Cといって、行政や自治体からの依頼で進められるため、文書の作成や、データ集計など、正確な事務作業が求められることも多い。

「やっぱり行政の計画である以上、一つひとつの根拠を、公平な視点できちんと説明できる状態に整えることも大切です。観光振興計画で数値目標を立てるときにも、事前に島内の宿泊キャパシティを確認したり、アンケートをとったり、そういう地道なプロセスは欠かせないと思います」

コンサルタントの役割は、地域にいる当事者たちの主体的な意思決定をサポートすること。

必要な情報を提供したり、お互いに話やすい場づくりをしたり。

「計画策定に向けたワークショップでは、参加者同士でつながりを深めるきっかけになったというフィードバックをもらうことができて。地域の人たちがよりよい方向に進んでいくプロセスに携われることにやりがいを感じています」

入社して4年目の五味さんは、まもなく産休に入る予定。RPIでは現在、全体の6割弱が女性スタッフで、産休を経て復帰する人も少なくない。

数年前からは、出退勤の時間を定めない「専門業務型裁量労働制」を導入し、より合理的な働き方を模索中。

「事務作業など一人で完結できる作業は自宅で行うこともあるんですが、紙で出力したり、押印をもらったり、物理的に出社が必要なこともあります。チームのメンバーや先輩と対面で話すほうが進みやすい仕事もあるので、自分でバランスを取りながら働き方を考えていますね」



「専門業務型裁量労働制」を導入した背景には、もともと出張など時間で定義しづらい業務が多かったこともある。

メンバーの中には、多いときは月の半分ほど出張の予定が入ることもあるという。

入社して6年目となる景浦さんは、一昨年から伊豆大島の観光振興に携わっている。

出張中は、現地でどんなことをしているんですか。

「役場との打ち合わせなどもあるんですが、それだけじゃなくて。自分でも島の知り合いに連絡をして、近況を聞くようにしています。やっぱり小さいコミュニティであるほど、会議のような場では地元の人の本音は聞き出しにくくて」

当事者同士が直接伝え合うと摩擦になってしまうような意見も、間に一人部外者が入ることで、マイルドに共有できることもある。

その通訳が自分の役割だと景浦さんは言う。

「逆に、年配の方と話すときは、島の若い人に通訳に入ってもらって。手間がかかる方法ですけど、自分で街を歩いて、ときには飲みながら話すほうが、新しいアイデアを見つけられることも多いです」

取り組みをはじめて2年の間に、島にある空き家を宿に改修するなど、地域の資源を活かした計画づくりが進んでいる。現時点で6軒、今後も新たに10軒ほどの宿や飲食店、交流拠点などがオープンする予定。

島の様子や、人の生活が目に見えて変わっていくことに、手応えを感じていると言う。

「取り組みを通じて、中にいる人たちのマインドも変わってきています。自分たちの島には、何かやりたいっていう若い人がいる。それが明らかになったことが、一番重要な成果だったと思います」



「やっぱり、人に対する興味がないとこの仕事が続かないよね」

と、代表の大島さんが言葉を添える。

「仕事で地方に行くと、その土地ごとに、おもしろい人がたくさんいるんですよ。工芸でも農産物でも、変わったものをつくっている人とか。彼らが辞めたら途絶えてしまう産業もある。損得勘定とは別の次元でやりたいことをやっている人に出会うと、応援したくなる」

「全国どこに行ってもみんなが画一的な働き方をしているのはつまらないし、いろんな生き方を選べるほうがいいじゃないですか。元気よく、変わったことやっている人たちがいる。そういう地域を増やしていきたいですね」

元気な人がいる地域を増やす。

日本地図の上にピンを刺すように、一つひとつ事例を積み重ねることで、じわりと社会全体に変化を起こせる仕事だと思います。

(2024/4/3 取材 高橋佑香子)

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