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「ただ日常と同じことをMAYAでする。それに意味を感じてくださるお客さまが、ここを選んでくれているのかなと思います」
そう話すのは、鎌倉の材木座にあるMAYAで働く阿部さん。
MAYAは、海の近くの住宅街にひっそり佇む、一棟貸しの宿です。
宿泊のほか、2泊3日をここで過ごすウエディングも人気です。
今回募集するのは、MAYAスタッフ。宿でどのように過ごしたいか、お客さんの話を聞いて、実現するお手伝いをします。
宿泊の準備やサービスから、施設管理、ウエディングのサポートまで。仕事内容は幅広いけれど、働くみなさんの雰囲気は健やかで前向きです。
誰かに与えられるのではなく、自分たちの手で仕事をつくりあげる。
その実感がほしい人なら、MAYAの働き方はしっくりくると思います。
鎌倉駅からバスに乗って10分弱、材木座海岸のひとつ手前のバス停で降りる。
隣にある由比ヶ浜海岸に比べると、のんびりした雰囲気のエリア。バス停の近くには住宅街が広がっている。
通りから少し奥まったところにMAYA の入り口を見つけた。
門を抜けて敷地内へ。青々と茂った木々に囲まれた石畳の上を歩いて、建物に入る。
古民家の雰囲気を残しつつ、シンプルなインテリアで統一された室内は、周囲の音がほとんど聞こえないほど静か。
はじめに、MAYAスタッフの豊田さんに話を聞く。宿泊、料理、施設管理まで、広くMAYA全体をみている方。
「この前、庭の花壇にハーブを植えたんですけど、うまく育たなくて。今日、ちょっと土壌調査したいなと思っているんです」
どこか楽しそうに、今日の予定を教えてくれる。
築90年の古民家をリノベーションして、2020年にオープンしたMAYA。
敷地すべてを貸し切り、自分の家のようにゆっくり過ごしてほしいという想いで生まれた場所だ。
部屋は大きく分けて3つ。広いキッチンとダイニングがあるメインの部屋のほか、ふたつの和室がある。
宿泊のチェックインは朝10時で、チェックアウトが16時。時間を気にせず滞在を楽しむことができる。
MAYAでどんなふうに過ごしたいのか。
豊田さんたちスタッフは、一組一組のお客さんと丁寧にコミュニケーションをとりながら、毎回異なる滞在プランに対応している。
「基本はメールでやりとりしますが、必ず一度は電話でお話をします。お客さまには、食事を提供してほしいという人もいれば、キッチンで料理をしたいという人もいる」
「料理をしたい人でも、食材を持ち込みたいのか、こちらで準備するのかも違っていて。準備する場合は、買い出しに行くのも仕事です」
中庭で流しそうめんをする家族連れや、ペットと一緒に滞在する人。なかには一人で部屋に篭ったままの人も。お客さんの過ごし方はさまざま。
テレビもない静かな環境だから、本を読んだり、近くを散歩したり、ゆったりとした時間を過ごす人も多い。
「観光スポットについて質問されることはあまりないです。でも、自分がよく行く場所をお伝えすることはあるかな」
「旅行先で現地の友だちが案内してくれるとき、まちの捉え方ってガイドブックで見るのとは全然違うじゃないですか。それに近いものを、MAYAのお客さまにも感じてもらいたいなと思っています」
MAYAの仕事は、幅広い。
滞在に向けた準備から、朝食の提供などの当日のサービス、滞在後の清掃や布団敷き。本格的な調理はシェフが担当するものの、明確に分業していないことも多いので、スタッフ全員でMAYAをつくりあげている。
新しく入るMAYAスタッフも、宿泊まわりの仕事だけでなく、ウエディングにも関わっていく。
内覧会でのお客さま対応や、プランナーのサポートとして事務作業をしたり、挙式・披露宴の準備や当日の運営をしたり。新郎新婦との打ち合わせに同席して、一緒に滞在プランを考えることもある。
「婚礼といっても必ず宿泊とセットなので、ベースにあるものや考え方は同じです」
「僕たちが持っているものはそんなに多くない。そのなかで、最大限いい滞在にするにはどうしたらいいか、お客さまの希望を叶えられるよう、スタッフみんなで考えていきます」
婚礼当日はアルバイトスタッフが入るものの、普段MAYAの運営にコアで関わっているメンバーは、事務スタッフやシェフも含めて5人ほど。
そのうちのひとりが、プランナーの阿部さん。大手の結婚式場で5年ほど働いたのち、昨年MAYAに入社した。
「前の式場は毎週何十件も挙式があったけど、ここは月に4組。もっとじっくりお客さまと向き合えるかなと思いました。あと、鎌倉ならのんびりしてるかな、と思って(笑)」
のんびり。実際はどうだったんですか?
「気持ちとしては、のんびりしていますよ。ただ、やっぱり小規模なので、やることはいっぱいあります。資料づくりとかSNS投稿とか、以前は専門部署の担当がやっていたこともすべて自分の仕事です」
「大変さはもちろんあるんですけど、できることの範囲が広がっている感じがするのはうれしいです」
MAYAのウエディングは、「結婚の日」と呼ばれる2泊3日のプランのみ。
挙式・披露宴の時間以外も、自由にゆったりと過ごすことができる。
この家での時間を通じて、少しずつ家族になっていくような感覚なのかもしれない。
どんな過ごし方ができるか、プランナーから提案していくんですか?
「こちらからそんなに提案をするわけじゃなくて。お客さまの言葉から広げることが多いです。MAYAには、『これをしなきゃいけない』っていうことはまったくないんです。わたし自身も毎回お客さまに対応しながら、『こんなこともできるんだ』って発見していくことが多いですね」
阿部さんが教えてくれたのは、初めて担当した新郎新婦のこと。
打ち合わせで小さいころの話になったとき、「お父さんがよくつくってくれたお好み焼きがおいしかった」と新婦が教えてくれた。当初の予定にはなかったものの、その話をきっかけに、初日の昼食は実際にお父さんにつくってもらうことに。
その日の夕食には、新郎がよく実家でつくってもらっていたトンカツも出してもらった。それぞれの思い出の味を、挙式前日に両家一緒に味わった。
新郎新婦が、楽しそうに料理をつくる両親を眺めていた姿が印象に残っている。
「打ち合わせといっても、本当に何気ない会話が多いですね。今まで過ごしていた日常をMAYAでもできますよ、みたいな提案が多いかもしれません」
MAYAという場所で日常を過ごす。
何か特別なことはしなくても、それ自体がとても特別な体験になるように思う。
「大きい会社だったらいろんな人の許可がいるようなことも、みんなで話し合ってスピーディーにどんどん変わっていくのが、MAYAの仕事のおもしろいところです」
阿部さんが入社してから、予約の受付方法や書類のフォーマット、ウエディング運営全体の流れなど、どんどん変わり続けている。阿部さん自身の提案をきっかけに変わったものもあった。
これから先、今は想定できないような新しい仕事が生まれる可能性もある。
流動的なやり方も受け入れられる、柔軟でおおらかな人が合っている環境だと思う。
「決められたことをただやるだけじゃなくて、自分の意見も取り入れながらよりよく変えていく。それができるのは、小規模な組織のいいところだと思います」
「わたし、もともとあまり意見を主張するタイプではないんです。でもここでは思っていることを言えるんですよね。本当に自分がやりたいと思っていることで、それを受け止めてもらえる環境なら、自然と言えるものなんだなって気づきました。実際にやってみて、うまくいったら楽しいんですよ」
阿部さんに仕事を教わりながら日々働いているのが、プランナーで入社1年目の瀬戸さん。新しく入る人にとって、一番近い立場の先輩になる。
もともとは結婚式場やレストランのある施設で、イベント企画や広報など、事務方の仕事を担当。
地元の鎌倉で、長年希望していたプランナーの仕事ができる場所を探して、MAYAを見つけた。
「MAYAでずっと働きたくて、何度か募集していないか問い合わせをしていたんです。なかなかタイミングが合わなかったんですが、今回、入社することができました」
「MAYAのスタッフって、どんなことでもひとつに集まって話し合って、協力して動くんです。前の会社は分業が当たり前だったので、最初はびっくりしました」
「婚礼が終わると、社員全員で集まって振り返りをするんです。反省とか改善点も話すんですけど、『新郎新婦がこんな表情だった』『こんなふうに話している人がいた』っていう部分もそれぞれが共有する。3日間、全員がよく見ているからこそ話せることだなと思います」
婚礼の準備で象徴的なのが、ゲスト全員が着席できるように、テーブルと椅子を毎回倉庫から運ぶ作業。
男性も女性も、役割も関係なく、みんながほかの仕事の手を止めて、汗だくになりながら運んでいく。
MAYAの家具は、重ねて効率よく運ぶことができないオーダーメイド品。毎週運ぶのはもちろん大変だけど、アルバイトスタッフに任せきりにはしない。
「ここをつくることに、本当に全員で取り組んでいるんだなって。驚いたけれど、運ぶのがいやだな、とは思わなかったですね。みんなでやるのが当たり前だから、誰か一人に任せきりにすることもない。大変さを大変だと感じないのかもしれないです」
たびたび話に出てくる、「みんなでやる」という言葉。
横で聞いていた阿部さんも、こんなふうに話す。
「入社前の面接で『文化祭好きですか?』って聞かれたんですけど、働いてみてその通りだなって思いました。会社や組織っていうよりも、みんなで手を動かして文化祭の準備をしているような感じ」
「でも、みんな文化祭のリーダーになるようなタイプではなくて。MAYAのスタッフって、自分の意見を主張する人はあんまりいない気がしません?」
そんな阿部さんの投げかけから、「MAYAのスタッフにはグイグイ引っ張るタイプはいない」という話で盛り上がるみなさん。
「全員でつくる場所だから、突出したリーダーじゃなくて、協力して一緒に進んでいける人が合うのかも」
「みんなやるべきことはコツコツ前向きにやるタイプだよね」
「ひとりではできなくても、チームでやっていければいいから」
そんな言葉が次々に出てきた。
一からつくりあげる仕事のイメージだったから、少し意外。
けれど、MAYAという場所や、お客さんの想いが真ん中にあるから、それに合わせて動ける人たちが、心地よく前向きに働いていけるのかもしれない。
MAYA に滞在する人たちがゆったりと時間を過ごせるのは、働く人たち自身が自然体だからなのかな。取材を終えて、そんなふうに感じました。
そんなMAYAの在り方に共感して、一緒に特別なひとときをつくってくれたらうれしいです。
(2023/6/15取材、2023/10/12更新 増田早紀)