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化学を化学で正す会社が
すすぎ0回の革命から
環境も社会も変えていく

※日本仕事百貨での募集は終了いたしました。再度募集されたときにお知らせをご希望の方は、ページ下部よりご登録ください。

“すべては海の復帰のために”

あるときは地域で暮らす人たちとビーチクリーンに勤しみ、あるときは研究に励んですすぎ0回の洗剤を生み出す。

日本だけでなく世界中の人たちと一緒に、暮らしから環境を変えたい。そして、育ちゆく子どもたちが美しい未来を歩めるようにしたい。

有限会社がんこ本舗は、「海を汚さない洗剤をつくっている会社」です。

つくり手も伝え手も、関わるすべての人が幸せを感じられるものづくりを目指しています。

今年で創業31年。ずっと変わらないのは、自然環境を守っていくことで、社会を、そして地球を明るくしたいという想い。

がんこ本舗の洗剤を手にすることで、世界の環境問題を考えるきっかけになればと、フリーマーケットで販売したり、小学校に赴いて洗剤の授業をしたり。営業を一切せず、すすぎいらずの洗剤を届けてきました。

洗剤の良さが口コミで反響を呼び、今では全国約5000万世帯のうちの約1%、50万世帯で使用され、売上も創業以降右肩上がりを維持しているのだそう。

そんながんこ本舗の商品が生まれる源は、発明家であり研究者であり経営者でもある、代表の木村さんの熱い探究心から。

今回は、Laboの研究員を募集します。理想は、環境保全や社会課題に関心があり、疑問があったら調べたり、実際に研究してみたりと、つい体が動いてしまう人。未経験でも、理系学部出身で、がんこ本舗の活動に興味を持ってくれる人なら歓迎です。

 

東京から福岡まで、飛行機で約2時間。福岡空港から地下鉄で博多駅へ向かい、JRに乗り換えて20分ほどのししぶ駅へ向かう。

駅までは、代表の木村さんが車で迎えにきてくれた。

1分ほどで到着したのは、がんこ本舗の本社。ここには、Laboと工場、配送センター、総務などのメーカー機能がすべてある。

右側の生産部では、製造から梱包、発送まで行なっていて、左側の建物には、Laboと事務所がある。

事務所の一角に案内してもらい、代表の木村さんに話を聞く。

「気になったものは、なんでも研究したくなるんです」

そう目を輝かせて話す木村さんは、元プロクライマーで、18歳のときから環境活動家。これまで歩んできた道は、一言では語りきれない。

世界中の子どもの飢餓問題を解決するために東京農業大学に進学。経済地理学について学んでいた。

洗剤をつくるきっかけとなったのは、偶然誘われて好きになった登山でのこと。

「山から流れるきれいな水が、地上にいる人々の生活によって汚れてしまって、そのまま海に流れていると知って。なんとかしたいと思ったんです」

汚れのメカニズムを徹底的に調べはじめてわかったのは、皮脂などの油を含んだ汚れは水だけでは落ちないため、水に移動させる機能を有したものを使う必要があるということ。しかし、移動だけさせても分解には程遠い。

それなら、世界で一番の油汚れを処理(移動と分解)できるような洗剤をつくれば、身近な洗剤にも取り入れられる。そう思った木村さんがたどり着いたのは、タンカーの重油流出事故。

ときには専門家のもとへ足を運び、油の分解に関する知識を学んでいった。

「試作しているときに、原料特有の匂いが気になったんです。試しに香りのいい精油を混ぜてみたら、汚れがすごく落ちて。そこから精油を使った洗剤をつくりはじめました」

そして1999年に誕生したのが、すすぎ1回で済む洗濯用洗剤「海へ…」。

それ以来、性能を進化させ続け、2019年には世界初となるすすぎ0回の「海へ…Step(ステップ)」へグレードアップ。

国際的なDOC試験法において、21日間で全成分の70パーセントが生分解される「易生分解性」であることが証明されている。

独自の技術を用いて精油を使用することで、界面活性剤を一般的な洗剤の1/6程度に減らすことに成功。加えて、再付着防止剤の働きで、一度離れた汚れが衣類に再び付着するのを防ぐため、すすぎが0で済むというメカニズム。

排水として流れる汚れは、微生物によって二酸化炭素と水に分解され、洗濯物も洗い流す水もきれいになる。使用する水も最小限に抑えられるため、水道代の節約にもなる。

すすぎ0回。もうそれ以上のものはない… と思いきや、今年発売となった「海へ…Fukii(フッキー)」はすすぎ0回は変わらず、洗浄力がさらにアップして電気代0も実現できる商品。

環境のために、まだまだできることはある。木村さんは、洗剤が誰かの手に届くまでの過程にも目を向けた。

「全国にたくさん、がんこ本舗の洗剤を使ってくれる人たちがいるのはうれしい。ただ、この工場で製造して配送すると、遠くに送るほどCO2が出て、温暖化につながる。もうこんなバカバカしいことやめようよって思って」

そうして新たに生まれたのが、「地域洗剤®」。

私たちが暮らす街の海や川、山などの自然を守るため、捨てられてしまう植物や果皮から精油・アロマウォーターを蒸留し、地域ごとに地域の香り入りの洗剤を作る取り組み。販売はガラス瓶に必要なぶんを量り売りし、地域の方々と協力しながら広めているそう。

今後は、衛生環境が整っていない国の人々にも使ってもらえるよう、CO2排出量を抑えて輸送できるパウダー化した洗剤を開発する予定。生分解するシャンプーや、界面活性剤を使わないボディソープなどの開発や製造も進めているという。

「『エコよりもニコッ!』が、がんこ本舗の合言葉です。環境活動をもっとワクワクするものにできるよう、いろんな仕掛けを考えていきたい」

がんこ本舗は創業時から今に至るまで、営業部門がない。どうやって売上を立てているのだろう。

「海の環境をよくするための提案をするところから始まっているから、いまでも『洗剤使わない方がいいよ』って、お皿の拭き取りを薦めたり、節水や節電の方法を伝えることを優先したりしています」

「その姿勢に共感してくれた人たちが口伝えで製品を広めてくれて、そうしていただいた売上が、さらに環境活動を前にすすめるための研究開発費になっているんです」

スタッフさんからは“きむちん”の愛称で呼ばれている木村さん。スタッフのみなさんもそれぞれあだ名で呼び合っている。

取材中もスタッフさんたちが和やかに話しているのが印象的で、なんだか家族のようにあたたかい。少人数ながらも、一人ひとりが木村さんの想いを聞いて日々の研究や製造に取り組んでいる。

 

がんこ本舗で働く人たちは、どんな人たちなのだろう。

製造室と生産室を見学させてもらった。

中には、洗剤の原料をつくる部屋、ボトルに充填したりパウチ詰めをしたりする部屋、最後に梱包する部屋が一方通行に続いている。人や物の移動を減らし、外部からのホコリを防ぐためなのだとか。

防護服を着用し、エアシャワーを浴びてから中へ。ふわっといい香りが漂い、銀色の大きなタンクが目に入る。

「これはラベンダー調のアロマオイルの香りです。目の前に見えるのは200キロタンクで、2階には1トンのタンクもあって。1トンタンクでは約2300パック生産できます」

そう教えてくれたのは、Laboの研究員として働いて7年目の阿部さん。みんなからは“あべちゃん”と呼ばれている。

一通り生産部を案内してもらい、Laboへ移動。阿部さんにじっくり話を聞く。

以前は上下水道やゴミ処理場専用の洗浄薬剤を売る営業をしていた阿部さん。

「もともと大学で化学工学を学んでいて、研究は好きでした。前職では営業をしていたけど、製品のつくり手になりたい気持ちが強くなって転職を考えはじめて。同じ時期に、香りの勉強をすることがあって、精油を使っている変わった洗剤屋さんがあるなって見つけたんです」

「まず“がんこ本舗”っていう名前が印象的ですよね(笑)。それからホームページを見ると、代表が登山している写真があったり、環境活動もしていたり。それで興味を持ちました」

ホームページには、商品の紹介のほか、きむらさんへのインタビュー記事やスタッフさんのブログなど、読み応えのあるおもしろいコンテンツがたくさんある。

実際に働いてみてどうでしょう?

「普段は製品試作や調香をしたり、既存製品の製造と生産管理をしたりすることが多いです。製品が世の中に出るまでのプロセスにずっと関わっているので、やることや学ばないといけないことが多くて面白いですよ」

「就業時間はだいたい9時から17時半まで。毎週2回は朝礼前に“福拾い”。月に一回土曜日には海岸線と松原の清掃活動をするんです」

落ちているゴミを拾うと、きれいになるし、環境の保護にもつながる。気持ちよくなるために拾っているから、福拾いと呼ぶ。

「生産部の部屋や工場も、掃除、洗浄をすごく丁寧にやっていて。備品がちゃんと片付けられているかとか、チェックと管理をしています。自分の机だけは、うまくいかないんですけどね」

ここで働きはじめて、つくった洗剤を試すために、よく洗濯をするようになったという阿部さん。

「前職で汚れや匂いを落とす薬剤を扱っていて、もともと薬剤を使い続けることに違和感はあったんです。ただ、植物の精油と環境保護が結びつくとは思っていませんでしたね。入社してから、より環境問題への意識が強まりました」

がんこ本舗には、阿部さんのように入社してから環境について意識するようになった人もいれば、もともと環境保護活動をしていた人もいる。

両方に共通するのは、商品やメディアなどを通して感じる木村さんの熱い想いに惹かれたこと。新しく入る人も、まずは木村さんの想いに触れてほしい。

木村さんの想いに引き寄せられ、20数年前から一緒に形にして来たのが、Labo研究員の中須賀さん。

長年、協力してもらっていた製造受託会社で研究員をされていたけれど、定年退職。長崎で暮らしていたところ、木村さんが中須賀さんのもとを訪れアプローチ。木村さんの熱い想いを受け、2年前に復帰した。

Laboの研究員は阿部さんと中須賀さん、木村さんの3人。木村さんのアイデアをもとに、研究開発から商品ができるまで、3年から5年ほどかかる。

「大変なの。つくりたい製品にあった原料を探して、メーカーさんとやりとりしたり、問屋さんから情報をもらったり。原料に見当をつけたら、試作を繰り返すんよ。何度も何度も。理想の結果が出るまでには時間も手間もかかるけど、それが楽しいんよね」

「常にビーカー3つくらい使って実験をしていて、それぞれにタイマーかけて、 アラームに追っかけられまくるんです。昨日も走り回ってました(笑)」

「商品になるまで、いろんなハードルをクリアしなくちゃいかん。がんこ本舗で定めた基準と国の安全性の基準、その両方を乗り越えて商品ができる」

「毎日原料を混ぜて、どういう結果が出るかっていうのが楽しみで。そのチャレンジが糧になるので、常に前向きに捉えていますね」

マーケティング、原料選定、試作の繰り返し、テスト、値決め、パッケージデザイン、取扱説明書の作成、ホームページへの掲載など。一つの商品を世に出すためには、さまざまな仕事があり時間もかかる。各担当と連携し一緒に商品を生み出していってほしい、と木村さん。

「『エコよりもニコッ!』まずは、楽しみながら働いてほしいです」

環境問題は地球規模の大きなテーマ。でも難しく考えず楽しんで取り組むことで、アイデアが生まれたり、新しいことにチャレンジできたりするのだと思う。

がんこ本舗で働く人たちは、黙々と作業をすることが好きな人もいれば、ときには明るく場を盛り上げてくれる人も。いろんな人たちが混ざり合って、いま世の中にないものを生み出す土壌をつくっている。

みなさんの前向きに取り組む姿から、未来は自分たちの選択次第で変えることができるのかもしれない。そう感じました。

 

最後に木村さんの言葉を。

「経験やできるできないは置いておいて、なんといっても質問できる人がいい。これをやってって言ったときに、『わかりました』で終わるんじゃなくて、『どういう結果を求めていますか』とか、『こういう目的でやるんですね』とか」

「はずれてもいいから、どんどん聞いてきてほしい。自分の脳内にないことを聞かれたら、質問するっていう癖をつけるといいんじゃないかな」

“がんこ”というと、頑なに変わらないもののイメージがあるけれど、がんこ本舗では代表の木村さんを起点にどんどん新しい発明やプロジェクトが生まれています。

環境のために、ほかではできないことにチャレンジしたい。そう思う人にとって、がんこ本舗の熱量は心地いいと思いました。

化学で化学を正す。共感できる人は、ぜひ挑戦してみてください。

(2023/8/2 取材 大津恵理子)

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