求人 NEW

文化的で
人間的な場所を
論理的につくる

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世の中には、決められた道を一歩一歩確実に進める仕事もあれば、まだ誰も歩いたことがないような道を進んでいくものもあります。

今回はどちらも必要な仕事です。

株式会社GREENINGは、前例のない場所づくりが得意な会社です。

誰もが商売が難しいと考えていたエリアに新しい飲食店をつくり、周辺を変えてしまったり、周辺相場の何倍もの家賃を生み出す新しい場所をつくったりしてきました。

今回は、クライアントワークを中心に不動産の開発コンサルティング・プロデュースを手がけるメンバーを募集します。

現在その仕事を手掛けているのは、CEOの関口さんと、取締役の川又さんのふたり。

不動産や建築などの経験を元にした論理的な実行力と、文化的で人間的な柔らかいライフスタイルを繋げられるような人を求めています。

 

地下に潜った、小田急線の跡地につくられた「reload」。

下北沢駅から東北沢駅にかけての道沿いに、デコボコとした白い建物が奥まで伸びている。

このプロデュースを手掛けているのがGREENING。

全24棟からなる商業施設は「個店街」と呼ばれ、文房具店や花屋、理容室に立ち飲み屋など、ちょっとしたまちのよう。

路面の最も東にあるのが「MUSTARD HOTEL SHIMOKITAZAWA」。

GREENINGが運営する、音楽をテーマにしたカルチャー型発信ホテル。海外からの観光客や犬と散歩途中の人。1階のカフェでは、さまざまな人がそれぞれの時間を過ごしている。

GREENINGの創業者である関口さんは、建築・不動産の領域で仕事をしてきた方。

長年のキャリアのなかで、鎌倉・七里ヶ浜の海に面した商業施設「WEEKEND HOUSE ALLEY」や、地域で採れた旬の食材を味わえる鎌倉のレストラン&カフェ「GARDEN HOUSE」などを手掛けてきた。

どの仕事も根っこにあるのは、「あったらいいな」と思うまちを、生活を、カルチャーをつくりたいという想い。

「趣味がサーフィンなんです。海外には浜辺においしいレストランがあるんですよね。日本にはコンビニくらいしかない。海から上がって、仕方ないからおにぎり食べるんですけど、なんか充実しないなって」

そんなとき、七里ヶ浜で土地が売りに出されていることを知る。海外のサーファーが体験しているような、海辺でおいしい食事を楽しめる複合施設をつくろう。

企画書を書いたけれど、当時所属していた会社からの答えはNO。都会に比べると人口も少ないし、アクセスがいいわけでもない。人が集まるとは思えない。

「海辺で食事をとることに価値があると言われても、体験したことのない人にとっては物語なんです。先行事例もないし、そんなんじゃ銀行に通用しないよって。それなら出店意欲のあるテナントを先に見つけちゃえばいいだろうと考えて」

知人のツテで有名百貨店のテナントにアンケートをしたところ、好感触が得られる。それがひとつの指標となり、「WEEKEND HOUSE ALLEY」の企画開発を進めることができた。

マーケットインの不動産業界に対して、理想から逆算してマーケティングを図るという、常識へのチャレンジ。現在は、当時と比較して3倍の地価がつく土地になった。

その後、関口さんは独立。2008年にはTHINK GREEN PRODUCEという会社を立ち上げる。

理想のまちづくりを進めるには現場感覚を養うことも必要だろうと、レストラン&カフェ「GARDEN HOUSE」からは直営の運営事業も始める。

集客が取れないと言われていた鎌倉駅の西口エリアで成功を収めるなど、新たな価値をつくり続けてきた。

転機となったのが、2020年からのコロナ禍。

2018年、カルチャー型ホテル「MUSTARD HOTEL」の1号店を渋谷に出店。手応えをつかみ、浅草に2店舗出店、さらに札幌で新店舗を仕込んでいたところにコロナ禍が襲った。

「人流自体が減って、ホテルだけでなく飲食も含めて大変なことになって。家賃が払えない状態になったんですね。自己資本でアセットを持つ会社さんは交渉の余地があるけれど、投資家からお金を集めているファンドなどは性質上、そうもいかない」

交渉の余地はなさそうだ。いろいろなことが脳裏によぎる。チャレンジに伴うリスクが、思わぬところで表面化した。悩みに悩む。

「多額の違約金を払う必要がありました。厳しい額です。一番大事なのは従業員の継続的な雇用と、事業の継続でした」

その最短距離をいこうと辿り着いたのが、第二会社方式だった。

状況を株主に説明し、第三者増資を図って新会社であるGREENINGを設立。THINK GREEN PRODUCEの事業のいくつかがGREENINGに事業譲渡される形で引き継がれた。

あったらいいなというまちと、生活とカルチャーをつくること。基本的なスタンスはずっと変わらない。経営者として、痛みを伴って学んだことを今のチャレンジに活かそうとしている。

「最近は、AM会社と資本提携、業務提携をしてSPCを組成できるようになりました。以前よりも不動産の取得開発がしやすくなりましたし、お金を出し合って不動産を取得する組織ではありますが、お金だけがリターンではなく、顔も見える関係でありたい」

GREENINGとして新たな船出をしたものの、与信上は簡単に融資を受けられない状況。

クライアントやデベロッパーなど、事業主との費用負担交渉によって事業化の可能性を高めるためには、企画の精度を高めていく必要がある。

状況だけ聞くと厳しいように聞こえるけれど、それでも「GREENINGにお願いしたい」という依頼の声は絶えない。

「ホテルでも、飲食店でも、新しく店をつくれば儲かるって時代でもなくなりました。新たな価値とは何なのか?考え続け、チャレンジすることが求められているんです」

 

理想とビジネス感覚を両立させながら、不動産開発を進めてきた関口さん。その手腕に期待する人も多いのだと思う。

ともに企画開発を担当する取締役の川又さんも、関口さんの仕事に魅せられたひとり。ふたりは、関口さんが独立する前に所属していた株式会社都市デザインシステムの同僚だった。

もともと食やファッションが好きだった川又さん。

社内の推薦もあり、ホテル、レストラン、ギャラリーやショップを併設したデザインホテル「CLASKA」の経営管理を担当することに。

「どの駅からも遠いし、近くて徒歩15分。そんな場所にも世界中からお客さんがやってくる。不動産の価値=利便の良さと言われていたけれど、カルチャーには人を惹きつける力があるんだと。すでに閉館してしまいましたが、このときの経験が今のベースになっていますね」

「ただ、実は全然儲かってなくて。事業から撤退することになったんです。どれだけおもしろくて格好いいことやってもお金がないと続けられないんだと痛感して」

その後、上海や沖縄離島でのプロジェクトなどを担当。その傍らで気になっていたのが、別事業部で活躍していた関口さんのこと。

マーケットインの考え方だとテナントもつかないような場所で、テナントもリースアップし、大きな売却益を得ている。クリエイティブの価値を最大化するためには、ビジネススキームをしっかりと組む力が必要だ。

関口さんに学ぼうと2008年、THINK GREEN PRODUCEに合流。

8人でスタートした会社は、途中で人が減り、いつしかプロジェクトの推進をすべてひとりで担うことに。企画、プレゼン、設計監理、クリエイティブディレクション、メニュー開発などフードディレクションなどあらゆることを経験した。

「レストランで使うスプーンを探しに古着屋さんを駆け回ったり。一番大変な時期でしたけど、追い込まれたぶんだけ力がつくというか。筋トレと同じですね(笑)」

ここ下北沢のreloadのプロデュースも、タフなものだった。

24あるテナントのリーシングはGREENINGがすべて担当。

想いをともにしてくれるような500以上の個人店をリストアップし、1社1社、声掛け。最適な出店形態など、新しく業態開発もしながら提案していった。

「たとえばナチュラルワインを売りにするイタリアンレストランに、角打ちのできるショップを出店しませんか、とか。すでにある業態を横展開で持ってきてもらうというよりは、シナジーの生まれる方法を探りました」

オーナーとのコミュニケーションも大きなポイント。

reloadのオーナーである小田急電鉄に対して、GREENINGが示したターゲットは、東北沢より東の代々木上原や、駒場に住んでいる人たち。

下北沢によく足を運ぶ人たちをメインターゲットにするのではなく、新しい人を呼び込もうと提案した。

「レコードショップや古着屋といった店はあるけれど、駅前はナショナルチェーンが増えて、下北のかつてのカルチャー感は薄まりつつあります。僕も久しぶりに訪れて、年齢層が少し下がっているように感じて。この延長線上でいいのか?と」

「かたや、東北沢より東に住むライフスタイル感度の高い人たちは、休日は下北ではない地域に足を運んでいる。そんな人たちが来たいと思える場所にできたら、人の流れも変わるし、新しい下北沢がつくれるんじゃないかと思ったんです」

下北沢のまちをどう見立てる?どんなものがほしい?

近隣数カ所の駅で、数百人に対してアンケート調査をおこなった。

大人が来られる場所が少ないんじゃないか、ペットと散歩して休める場所があるといいのでは。

ある程度の仮説は立てていたけれど、実際の声がオーナーにも届いた影響は大きかった。

「もともと縦長のビルを一つ建てましょう、という計画だったんです。工事費を抑えることを考えればセオリー通りなんですけど、逆に下北沢らしくないし、周りは住宅地。景観が特別いいわけではない。僕たちはここに上原や駒場の雰囲気を引っ張ってきたかったので」

川又さんがディレクションに入り、小さな空間を段違いに配置した不思議なつくりの建物に。内側にも回遊できる通路をつくることで、路地を歩いているような雰囲気を醸すことができた。

「シンプルな箱をつくるよりも費用はすごくかかるんです。小田急の担当者さんと何度も会話するなかで、僕らの目指す施設の価値を理解してくれて。上に話を通してくれた。二人三脚で事業を推進してこられたのも、この仕事の醍醐味ですね」

この場所でしかつくれない空間をつくろう。泥くさいまでの努力が、個性的な空間をつくりあげ、新しいまちをつくっていく。

これからどんな場所をつくっていくのだろう?

「七里ヶ浜のモデルになったロサンゼルスなどでは、ダウンタウンよりも海側のほうが地価は圧倒的に高いんです。車がガンガン通る都市部よりも、ビーチサイドで自然に囲まれて過ごすほうが気持ちいい。同じ現象が日本でも起こりつつあるんですよね」

たとえば、北海道・ニセコは、もともと「タダ同然」とも言われた土地だったにも関わらず、海外投資家によって土地の価格はこの6年で11倍に。

「地元からしたらなんともない土地も、スノーボーダーやスキーヤーの目線になると宝の山になる。今後、僕らが仕掛けていきたいのって、そういう場所なんです」

「テーマとしては自然×不動産。単なる自然豊かっていうよりは、サーファーの目線であったり、あるいはキャンパーの目線だったり、フェスに行くような人の目線であったり。カルチャー的な目線で土地を捉えていきたい」

 

どんな生き方・働き方をしたいですか?

「こういうのがあったらいいなあ」というイメージがたくさん湧いてくるなら、ぜひGREENINGで形にしてください。文化的で、人間的な場所を、論理的につくりましょう。

(2023/6/20 取材、2023/12/22更新 ナカムラケンタ、阿部夏海)

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